スーパーハイスクール   作:生き残れ戦線

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プロローグ

アメリカ。ハワイ州。

中部太平洋に位置するそこは南の楽園と呼ばれる。

六っつからなる島群の一つ。オアフ島。

呆れるほど青い空が続く緑あふれるそこに留学生として日本からやって来たその男、青木島命(あおきしまライフ)はホノルルハイスクールの教室で授業を受けていた。

 

 

ライフようやく学校に慣れて来た頃だった。

最初こそ親の転勤で来ることになり戸惑っていたが気の合う友達もできたしこの生活にも慣れて来た。何不自由のない暮らしに満足していた。

友人にはアオとかライと呼ばれている。

ぼーっと青い空を見上げながら思う。

 

ああ、悪くない一日だ....と。

こんな日常が続けば何もいらない。

平凡な考えをもつ只の少年だった。

だからこそ、まさかあんな事になるなんて誰が予想できただろう。

 

あの血の惨劇を......。

 

 

 

 

それは太陽が真上に登ったころだった。

友人に誘われて昼食を食べに行こうとしていた時間帯だ。

 

どこかでパンと何かが破裂する音が聞こえた、

それが何なのか最初ライフには分からなかった。

聞き覚えのない音だったからだ。

 

「ねえ今の音はなに?」

 

隣に居る友人に聞いた。

同じ東洋系の顔立ちの上海から来たシェンだ。

シェンにも分からないようだった。首を傾げている。

 

「分からない何の音だろう」

 

二人で首を傾げているとまた音が鳴った。

今度は立て続けに二回だ。

断続的に続く。重苦しい音に二人は何故か恐怖を覚える。

.....まさかあの音は。

聞き馴染がないけれど、しかし本能が訴えかける。

ここにいたら危ないぞ。直ぐに逃げろ。

 

だがそんな本能から来る赤信号を二人は無視してしまった。

平和な国からやって来た彼らはその考えに至らない。

まさかそんなはずがない。

そんな考えでライフたちは広間を抜けると、校門に続く廊下を覗いた。

——そして見た。

 

廊下は一面、血に染まっていた。

数人の生徒が倒れている。

二人は絶句した。

もう何が起こっているのか二人も理解した。

 

アメリカの銃乱射事件だ。殺人鬼がこの学校に入って来たのだ。

 

そして判断ミスを犯す。

二人は倒れている生徒を助けようと駆け寄った。

同じクラスの人間だと分かってしまったからだ。

 

「ユウ!大丈夫か!?」

 

白い肌の少女は真っ青になって血の海に倒れていた。

話しかけるが意識はない。

彼女はもうこと切れていた。

 

「.....嘘だろ?」

 

信じられない。ほんの数分前まで友達と楽し気に喋っていた彼女が死んでいる。友達だった。

ここに来たばかりの自分に率先して話しかけてくれるような心の優しい少女だった。

こんな所で簡単に死んでいい人ではない。

涙が止まらなかった。

 

「アオ!逃げようここに居たら僕らも殺される」

 

シェンも泣いていた。でもしっかりとした意思のある目で俺の肩を強く揺さぶった。

この状況でどうすればいいのか彼は分かっている。

青い目から涙をこぼすライフも分かったと頷く。

立ち上がり動き出そうとする。

 

——しかし。

 

「君も友達を見捨てて行くのかい?」

「っ!?」

 

その声が俺達の背中に掛けられた。

シンと時間が止まった様な感覚。

今すぐ走りたいのに足ががくがくと震える。

二人とも動けなかった。それほど近くに声の主はいた。

奴は待っていたのだ。この状況を。

罠にかかる得物を待つ狩人ように。

 

ゆっくりと背後を振り返る。

俺達の日常を呆気なく破壊した赤い髪の殺人鬼は楽しそうに笑っていた。

俺達と大して変わらない年だ。

茫洋とした見た目の男だった。

こんな狂った状況を作り出すような男には見えない普通の人間だ。

しかしその手は血に濡れている。

返り血を浴びていた。何人殺せばそんなにも血で汚れるんだ。

 

「四人だよ」

 

唐突に男が言った。

四人、その意味を嫌なくらい鮮明に理解した。

でもライフは何も言い返せない。認めたくなかった。

 

「ここに来るまでに四人殺した。でもまだ足りないなぁ」

「っ何でこんな事をするんだ?僕達が貴方に何かしたのか!」

 

シェンが前に出た。納得できないと彼は顔を怒りに染め上げる。

俺もそうだ納得できない。シェンの怒りに当てられてライフも殺人鬼を睨みつけた。

 

「意味はある君達の死は無駄にしない。——あああああ主よおおおおおお!!我が律を定めし主よ!私は捧げます!この者達の魂を!そして私を貴方の元へ召喚くださああああい!!!」

 

殺人鬼はいきなり狂乱しだした。

普通の男だと思っていたがもう違う。目は血走り口端からダラダラと涎を垂らしている。

意味の分からない言葉を喜々として叫び続けている。

 

「こいつ薬物中毒者か」

 

確かにそうとしか思えない。

薬物に手を出した男が幻覚を見て彷徨い、この学校に現れたのだとしたら納得がいく。

途端に怒りが湧いてきた。

 

「こんな奴に皆が!」

 

意味も意思も目的もない。

そんな奴に友達を殺されたのかと思うと怒りと恐怖でどうにかなりそうだった。

 

「主の元へ僕は行くんだああああああ!!!」

「まずい!」

 

いきなり銃を乱射し始めた。

咄嗟にシェンが俺を地面に押し倒した。

背中に衝撃が来る。身構えていたから耐えられた。

 

「ありがとうシェン僕を助けてくれたのか」

「......」

 

しかし彼からの返事はなかった。

何度も呼びかけるが無駄だった。

シェンの背中には無数の穴があいていた。

そこから血がだくだくと流れ出ていく。

 

「っぁー.....!!」

 

声にならない悲鳴が漏れる。

また簡単に人が死んだ。

視界がゆがむ意識が遠のく。

それでも気絶はできなくて。いっそ失神してしまえば楽なのに。

 

「....ここは地獄か?」

 

楽園だと思っていた場所は簡単に地獄に様変わりした。

今まで理解してこなかった。こんなにも悲惨な現場を。

きっと世界から見たらなんて事のない銃乱射事件として扱われるのだろう。

今まで俺がそう思っていたように。

 

「嫌だ死にたくない!」

 

神様がいるなら助けて!助けてください!

そう何度も願ったが奇跡は起こらない。

誰も助けてはくれない。ヒーローはいない。

自分がなるしかないのだ。

しかしそれも。

 

「助けっ——」

 

バンと撃たれて、そして俺の意識は飛んだ、

痛みもない一瞬の事だった。

あっけなく俺は終わった。

 

 

 

 

 

そして始まる俺達の地獄が。

 

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