偽典・遊戯王GX ~とあるTS転生者の決闘記録(デュエルログ)~ 作:空明 玄
諸君、君達は転生、憑依という現象を信じているだろうか?
大好物?私もだ。所詮空想の産物?私もそう思っていた。できるならしてみたい?あまりおすすめはしない。
…賢明な諸君ならもう気付いているだろう。
私はその空想の産物たる転生、憑依をしてしまったのである。
『なにをいってるのよ、アンタは?』
「気にするな」
まずは自己紹介をしよう。私は響 青葉。そして今会話をしていた相手は私の精霊のルキアである。まぁ彼女の子とはさておき、自身の話をしよう。残念ながら生前の名前は分からないが、とりあえずそこそこの容姿の男だったことは確かである。
そんな私だが、突如死んだ。死因はストーカー女に突き落とされ、階段の下にあった岩に頭をぶつけたことによる脳挫傷だろう。
しかし。
白い空間で神を名乗る人物に会うこともなく、元々転生の秘術を使っていたとかいうわけでもなく、ふと私の意識が再度浮上したのである。
そして目を開いた私の目の前に現れたのは。
…驚くべき美幼女だったのだ!
言い過ぎである。
まぁ、幼女と化していたのは事実なのだが。
そしてこの世界ではあのカードゲーム、『遊戯王』が非常に発展している世界だった。時代はいわゆるGX。チートドロー全盛期である。
そして名前から気づいた人もいるだろうが、私はプロデュエリスト、響 紅葉の妹になったようなのだ。
しかも姉弟が兄妹に入れ替わった影響なのかいたはずである姉のみどりが存在していなかった。もっとも、私の容姿はそれそのものなのだが。
『青葉。そろそろアンタの出番じゃないの?』
「…ん?」
ふと、横から聞こえる声に従って現実世界に意識を戻すと、デュエルフィールドでは受験番号3番の学生によるデュエルが行われており、そのデュエルは恐らくもう終盤だった。
「じゃあ、そろそろ準備するとしようかな」
仕方ない、まだまだ話したいことは山々なのだが今回はこの辺りにしよう。きっと過去編は番外編にでも書かれることだろうし。
『メタいわよ』
「うるさい」
side out
『受験番号2番の方、デュエルフィールドへお越しください。』
海馬ドーム内にアナウンスが流れる。
デュエルフィールドに立つ試験官は先程の受験番号3番のデュエルを思い返しながら次の受験生を待っていた。
「(先程の受験生はなかなかの実力があった。試験とはいえ油断して負けるわけにはいかんな)」
そのとき。
ビクッ
試験官は不意に自身の身体が震えたことに気付く。
自身を恐れさせる気迫の持ち主を探すために視線を動かす試験官の瞳に、一人の少女が映った。
その少女は美しく、気高かった。
腰まで伸ばされた深い夜のような色の髪に強い意思の込められた紫黒の瞳、そして圧倒的な強者のオーラ。
試験官につい自身のデッキをデュエルディスクに入れさせてしまうくらいに、彼女の身体からは攻撃的な気迫が現れていた。
「受験番号2番の子だね?」
「はい。受験番号2番、響 青葉です」
「デュエルの勝ち負けは試験結果に直接影響しない。だから負けを恐れずかかってきなさい」
「言われるまでもなく。やるからには勝たせてもらいます」
「その意気やよし!行くぞ」
「「デュエル!」」
青葉 LP4000
試験官 LP4000
互いが初期手札を確認する際に試験官は自分がデッキを間違えたことに気づいた。
「(まぁ、女生徒だしどのみちブルーは確定だからな。いいだろう)先攻は受験生だ」
「では私のターン、ドロー」
引いたカードを見ても彼女の表情はピクリとも変わらない。見事なまでのポーカーフェイスである。
「手札のレベル5以上の闇属性モンスターを墓地へ捨て、《ダーク・グレファー》を特殊召喚」
《ダーク・グレファー》
効果モンスター
星4/闇属性/戦士族/攻1700/守1600
このカードは手札からレベル5以上の闇属性モンスター1体を捨てて、手札から特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度、手札から闇属性モンスター1体を捨てる事で、自分のデッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る。
「そしてその効果を発動。手札の闇属性モンスターを捨て、デッキから闇属性モンスターを墓地へ送ります」
ざわっ。
彼女が墓地へカードを送るのを見て、会場中からざわめきが生じる。
よく聞けば「なにを考えているんだ」だの、「カードを墓地へ送るなんて」だの、「あれが2番とはな」だの声が聞こえ、試験官は頭が痛くなった。
「(どうして墓地にモンスターを送ることの有用性が理解できていないんだ…)」
「カードを2枚伏せてターンエンドです」
青葉 LP4000
手札 1枚
モンスター
ダーク・グレファー ATK1700
魔法・罠
伏せ2枚
「では先生のターンだ。ドロー」
試験官は自身の手札を確認する。
伏せカードを破壊できるカードは…ない。
「仕方ない。先生は《ジェネティック・ワーウルフ》を召喚!」
《ジェネティック・ワーウルフ》
通常モンスター
星4/地属性/獣戦士族/攻2000/守 100
遺伝子操作により強化された人狼。
本来の優しき心は完全に破壊され、闘う事でしか生きる事ができない体になってしまった。
その破壊力は計り知れない。
「バトルフェイズだ。《ジェネティック・ワーウルフ》で《ダーク・グレファー》を攻撃!」
暁美淡 LP4000→3700
「先生はカードを2枚セット、《凡骨の意地》を発動してターンエンドだ」
《凡骨の意地》
永続魔法
ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、そのカードを相手に見せる事で、自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。
試験官 LP4000
手札 3枚
モンスター
ジェネティック・ワーウルフ ATK2000
魔法・罠
凡骨の意地
伏せ2枚
「私のターン。ドロー」
青葉は引いたカードを確認し、ひとつ頷くと引いたカードを即座にプレイした。
「魔法カード、《トレード・イン》を発動。手札のレベル8モンスターを墓地に送り、カードを2枚ドローします。そしてリバースカード、発動」
《トレード・イン》
通常魔法
手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。
デッキからカードを2枚ドローする。
発動されたカードの図柄を見た試験官の背中に冷や汗が流れる。
なぜなら、そのカードは。
「《リビングデッドの呼び声》。墓地に眠るモンスターを攻撃表示で特殊召喚します」
《リビングデッドの呼び声》
永続罠
自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。
そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。
そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。
「やはり蘇生カードか…!」
最低でも青葉の墓地にほ最上級のモンスターが存在している。いくら伏せカードが存在するとはいえ、強力なカードばかりの最上級モンスターが出れば戦局は十分にひっくり返る。
「私が蘇生するのは《堕天使スペルビア》。そして《スペルビア》の効果により、墓地の天使族モンスターを特殊召喚できます。私は《ダーク・ヴァルキリア》を特殊召喚!」
《堕天使スペルビア》
効果モンスター
星8/闇属性/天使族/攻2900/守2400
このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、自分の墓地に存在する「堕天使スペルビア」以外の天使族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。
《ダーク・ヴァルキリア》
デュアルモンスター
星4/闇属性/天使族/攻1800/守1050
このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードが表側表示で存在する限り1度だけ、このカードに魔力カウンターを1つ置く事ができる。
このカードの攻撃力は、このカードに乗っている魔力カウンターの数×300ポイントアップする。
また、このカードに乗っている魔力カウンターを1つ取り除く事で、フィールド上のモンスター1体を選択して破壊する。
「そして《ダーク・ヴァルキリア》を再度召喚」
「デュアルモンスターか!」
「えぇ、そうです。再度召喚された《ダーク・ヴァルキリア》は自身に魔力カウンターを乗せ、300ポイント攻撃力が上がります」
ダーク・ヴァルキリア ATK1800→2100
魔力カウンター 0→1
「そしてその魔力カウンターを取り除くことでモンスター1体を破壊します。《ジェネティック・ワーウルフ》を破壊」
「くっ!?」
ダーク・ヴァルキリア ATK2100→1800
魔力カウンター 1→0
「バトルフェイズ!《ダーク・ヴァルキリア》でダイレクトアタック。ダーク・エンジェルダスト!」
「リバースカード発動!《聖なるバリア ーミラーフォースー》!君の攻撃表示のモンスターをすべて破壊だ!」
《聖なるバリア −ミラーフォース−》
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。
「カウンター罠、《神の宣告》!ライフを半分支払い、《ミラーフォース》の効果を無効にします」
「なっ!?」
《神の宣告》
カウンター罠
ライフポイントを半分払って発動できる。
魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚のどれか1つを無効にし破壊する。
青葉 LP3700→1850
「そしてカウンター罠が発動したことにより、私の手札のこのモンスターの効果が発動します。フィールドの闇属性モンスター1体を生け贄に捧げ、《ダーク・ボルテニス》を特殊召喚」
《ダーク・ボルテニス》
効果モンスター
星8/闇属性/天使族/攻2800/守1400
自分がカウンター罠の発動に成功した場合、自分フィールド上に存在する闇属性モンスター1体をリリースする事で、手札からこのカードを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚に成功した時、フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。
「《ダーク・ボルテニス》がこの効果で特殊召喚に成功したとき、フィールドに存在するカード1枚を破壊します。もう1枚のリバースカードを破壊!」
闇に濡れた裁きの天使が放った雷撃は、試験官のフィールドに伏せられていたカードを貫き焼き付くした。
「バトルフェイズは続行。2体の天使でダイレクトアタック!」
「う、うぉぉぉぉっ!?」
2体の最上級天使の攻撃を受け、吹き飛ぶ試験官。
そのライフポイントは0の数字を刻んでいた。
「ぐ、いい、デュエルだった…恐らく、文句なしの合格だろう」
「ありがとうございました」
そう一言告げると、青葉は颯爽と試験会場を後にした。
side out
『あたしはまた墓地送りだったわね』
仕方ないだろう。引いたんだし。
『ま、今回は効果を使ってくれたし、許してあげるわ』
それはどうも。
「ナイスデュエルだったな」
「ん?」
ルキアと会話していると声をかけられた。そこで顔をあげると将来的に空気になりそうな男が立っていた。
「なんだか酷く不愉快なことを言われた気がするんだが?」
「そう気にするな。君は…受験番号1番君かな」
「あぁ、その通りだ。2番さん」
「私は響 青葉だ。同級生になるだろうからな、名前でいいぞ」
そう言うと私は彼に手を差し出す。
「そうか、青葉だな。俺は三沢 大地だ。よろしく頼むよ」
大地はそう返しながら私の手をきちんと握ってくれた。
「こちらこそ」
というわけでしっかりと握り返す。微笑み付きで。
よく見ると大地の頬が若干赤い。ふふ、照れてるのか。若いな。
『楽しそうね、アンタ』
男と恋愛は有り得ないが、からかうのは最高に楽しい。
『相変わらず性格悪いわね…』
堕天使に言われるとは心外だな。
「次は俺の番だな」
「ん?あぁ、そうだな。頑張ってくれ、私に負けないくらいには」
「はは、そう言われたら仕方ないな。勝ってくるよ」
「楽しみにしておく」
そう言葉を交わすと大地は試験会場に向かって歩き出したのだった。
『これが彼の姿を見た最後だった』
やめてやれ。
それじゃあ帰るとするか。
『彼のデュエルを見ていかないの?』
どうせ同学年だし、いつでも見れるさ。それにあのテストで私より上の成績だったんだろう?なら直ぐにブルーに上がってくるよ。
それに…さっさと帰らないとまた電子レンジを爆破されたら困るし。
『あー』
そんな会話をルキアとしながら、私は試験会場をあとにした。
(続く)
「『なーにかな、なーにかな?』」
「今日の最強カードはコレ!」
《神の宣告》
カウンター罠(制限カード)
ライフポイントを半分払って発動できる。
魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚の
どれか1つを無効にし破壊する。
『現実でも制限カードに指定されている最強のカウンター罠ね』
「どうなんだ、実際に強いカードを紹介するのって…そして私がやる必要はあるのか?このコーナー」
『仕方ないでしょ、まだあたし達しかいないんだから』
「…キャラクターが増えるのを楽しみにしておくよ…」
『それではー、次回もよろしくねー』