湖の求道者   作:たけのこの里派

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やっっと書けたぁ!
いやはや、更新をお待ちしていた抱いている感想やメッセージを頂いて尚スランプが続いていたのですが、父親のくも膜下出血の後遺症の病名が発覚してから書けるようになって、漸く出来上がりました。

あと、気分転換に名前変えました。
GOのネームですね。
玉藻出ねぇ……。


第十一夜 あからさまにフラグなのだ

 それぞれが戦いを繰り広げている最中、アイリスフィールと切嗣の助手である久宇舞弥は、戦場と逆方向に逃げていた。

 偏に、アイリスフィールが聖杯の器であるからだ。

 

 小聖杯。

 敗退したサーヴァントの魂を納め万能の願望器へと完成していく為の、聖杯戦争の要の一つと言える物。

 聖杯戦争に於ける賞品。

 

 第三次聖杯戦争で破壊され、それ故に「破壊されない様に、聖杯の器自身が自衛手段を取れるように」産み出されたホムンクルス。

 それがアイリスフィールの存在意義だ。

 

 勿論、衛宮切嗣によって心を与えられ、恋を成就させ母親にすら成った彼女には、そんなモノ二の次なのだが。

 しかし愛する夫の願いを叶える為に、娘を自分と同じ不可避の死の運命から逃がすために。

 彼女の身体は決して損なわれてはいけないものだ。

 それでも────

 

「(エレイン・プレストーン・ユグドミレニア……彼女を切嗣と遇わせてはいけなかったのに……!)」

 

 アイリスフィールが感じるのは後悔と不安。

 得体の知れないあの戦姫が、一体何を知っているのか彼女は知らない。

 

 だがそれでも、彼女の女の直感がどうしようもなく訴えていた。

 彼女と切嗣を会わせるのは、どうしようもないほどに致命的であると。

 切嗣の何かが崩れさってしまう。そう予感させた。

 

 だが、小聖杯であるアイリスフィールは逃げるしかない。

 言うに及ばず、戦いに巻き込まれれば一溜まりもないからだ。

 

 拠点をただ直感という確証の無い物で、何の抵抗もせずに放棄するなど戦略的にあり得ない選択だ。

 敵が来たのなら迎撃する。

 当然だろう。

 

 そして、衛宮切嗣は逃げられない。

 聖杯を勝ち取り、世界を平和にしなければ壊れてしまう。

 

「(今からでも遅くない)」

 

 目の前を走る舞弥に声を掛けようとして、

 

「────ッッ!!」

 

 そんなアイリスフィールの脳裏に警報が閃いた。

 森に展開された結界が、アインツベルンの城に近付いている者達を察知したのだ。

 尤も、既にエレインによって掌握されているのだが。

 

「どうかしましたか? マダム」

「新手の侵入者よ。一人は……これはルーラーね」

 

 コレは不思議ではなく、昨晩の言では聖杯戦争の真の監督役。

 ならセイバーとランサーの戦いを放っておく訳がない。

 

 だが、アイリスフィールは一人は、と言った。

 ならば────

 

「…………もう一人は?」

「……言峰綺礼。丁度私達の進む先にいる。このままだと鉢合わせになるわ」

「────!!」

 

 氷のような舞弥の美貌が、ほんの僅かに怒りと焦燥に歪む。

 ソレを見て、アイリスフィールの腹は決まった。

 

 言峰綺礼。

 切嗣が恐れ、エレインと同じく彼と会わせてはいけないと最初に思った男。

 

 何故、とは思う。

 この世界では切嗣によるビルの爆破解体は行われていない。

 何故なら本来ビル最上部に魔術工房を構えるケイネスが、ライダーの軍略によって即座に別の場所に移動したからだ。

 故に切嗣は言峰綺礼が自身を狙っていることを知らない。

 唯でさえエレインがやって来ているのだ。

 これ以上、愛する夫を窮地に追いやるわけにはいかない。

 

「舞弥さん。提案があるのだけど────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第十一夜 あからさまにフラグなのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────────(おかしい)」

 

 エレインから逃げつつも仕掛けた罠で反撃していた切嗣は、荒れ果てた城内の物陰に隠れながら疑問符を上げる。

 

 エレインは今城の二階廊下で、何らかの方法で此方を感知しているのか真っ直ぐ向かってきている。

 だが詳細な感知魔術ではないのか、何度も笑みを浮かべながら辺りを見渡している。

 今までにエレインを襲った罠の数は二十四。

 その総てが殺傷能力の極めて高い危険な兵器だ。

 にも拘らず────

 

「(傷一つ、服すら傷付ける事が出来ない……!)」

 

 エレインが魔術を使って防いでいるのだろうが、それが切嗣には判別が付かない。

 ソレを確かめようと、身を乗り出してキャリコM950で試してみた。

 監視カメラが無ければ肉眼で、だ。

 

 しかし距離があれば魔力砲で蹴散らされ、距離が近ければその前に手に持つ聖骸布で全貌を隠された槍で撲殺せんと迫る。

 固有時制御と置き土産の手榴弾でその時は逃げられたものの、恐らく二倍速は見切られただろう。

 ソレだけなら言峰綺礼にも出来るだろうが、武の才能だけならエレインは綺礼の比ではない。

 使用するだけで死にかける三倍速すら、次は初見で対応するだろう。

 仮に三倍速で、二倍速で上手くいっても、通用しなければ意味がない。

 

 解り易い障壁など使ってくれればまだ理解出来るが、魔力の気配だけで魔術を使う素振りが見えないのが厄介だった。 

 切嗣の切り札は相手の魔術行使に呼応して発動する。

 つまり相手の魔術、正確には魔術回路に流している魔力をそのまま攻撃力に変えるようなものである。

 故に出来るのなら相手が最大魔術を使用している時に、最大の効果を発揮できる状況がベストである。

 

「(だが、見えていたぞ)」

 

 手榴弾で爆発した瞬間、波紋の様なものがエレインの周囲で歪んでいたのを。

 後一度、確かめれば解る。

 故に切嗣が取るべき戦法はエレインが魔力砲で消し飛ばさない可能性の高い武装で、最速最大火力であるトンプソン・コンテンダーを用いた固有時制御でのヒットアンドアウェイ────! 

 

「!」

 

 固有時制御で二倍速になった切嗣が柱の影から飛び出し、ガゴンッ!! と、コンテンダーの銃口が火を吹く。

 すると弾丸は、エレインの顔の前で透明なクッションの様な何かに阻まれて止まる。

 

「(これは────!)」

「足が止まっているぞ?」

 

 エレインはサーヴァントを彷彿とさせる速度で切嗣に踏み込み、手にした槍を振るう。

 

「ごッ────がぁあああああああああああッッ!!!?」

 

 咄嗟にキャリコを盾にして防ごうとするも、ソレを見たエレインが打撃ではなく槍で切嗣を押し飛ばした。

 壁が陥没するほど強く壁に叩き付けられながら、切嗣は確信する。

 エレインの膂力はおかしい。

 昨夜のアヴェンジャーに傷を付けた魔力砲もそうだ。

 幾ら魔術師とはいえ異常が過ぎる。

 

 強化の魔術を重ねがけしても、この膂力にたどり着く前に肉体が耐えきれない。

 ただ強化しているのではない。何か絡繰がある筈だが────重要なのは、常に魔術を使用していること。

 ならコンテンダーの弾丸を防いだあのクッションは何か。

 答えは出ている。

 

「風……ゴホッ、大気をクッションにしているのか……!」

「ご明察だ」

 

 恐らく探知も風を用いた物だろう。

 エレインの魔術は風を用いたもの、ならば切嗣の切り札────起源弾は効果を発揮する。

 

 痛みを堪え、体勢を立て直す。

 否、切嗣はそれよりもコンテンダーの弾丸の装填を優先した。

 幸い体の影でエレインは気付いていない。

 出来ればより効果の高い状態で使用したかったが、彼我の戦力差が大きすぎる。

 躊躇はせずに、迅速に殺害するべきだ。

 

 背後に近付いているエレインに向かって振り向き様にコンテンダーを突き付け────! 

 

「ほぅ、それが起源弾か?」

「────────」

 

 引き金を引く前に、切嗣が固まる。

 

「起源弾、衛宮切嗣の用いる魔術師殺しの礼装。効果は魔術回路にまで及び、魔術回路は『切断』『結合』される。結果、魔術回路に走っていた魔力は暴走し、術者自身を傷つける───────成程。仕様上相手が強力な魔術を使っていればいるほど、殺傷力が上がる訳だ」

 

 まさしくソレは、衛宮切嗣の切り札の概要であった。

 

「まぁ本気で調べればどうという事はない。貴様がソレで殺した魔術師の死体はその効力を如実に現していた。そしてその作用が己の起源を応用したのには、死体の傷と名前を知っていれば容易く知れる」

 

 ────そんな訳があるか。

 切嗣は腹部の激痛が無かったら、頑として否定する言葉を叫びたい気分であった。

 

 名は体を表す。

 切って繋ぐ────衛宮切嗣の切断と結合の起源から、父親の衛宮矩賢は名付けたのだから。

 だからと云って、そんな名前を付けた衛宮矩賢を恨むのは筋違いである。

 普通ソレだけで他人の起源など解りはしない。

 

 反則極まりない大前提があったからこそ、ここまで切嗣の手の内を暴けたのだ。

 尤も、暴くも何も最初から彼の日記に記されていた。

 エレインはその確認をしただけ。

 

「さぁどうする? 撃たないのか? 魔術師が目の前に居て、既に魔術を使っているのに? ────早く次の手を打て。でなければ殺すぞ」

 

 切嗣の顎が、噛み締めた力に軋みを上げる。

 この女は、確実に起源弾に対する対抗策を用意している。

 

 だからここまで魔術師殺しの魔弾に対して悠々としていたのだ。

 にも拘わらず数に限りがある起源弾を用いるのは愚策でしか無い。

 

 その銀の美貌の女を睨み付けながら、突き付けたコンテンダーを力なく下ろす。

 

 衛宮切嗣は、エレイン・プレストーン・ユグドミレニアに及ばない。

 魔術師殺しでは目の前の魔術師を殺せないと、そう自認してしまった。

 

「────────令呪によって、我が傀儡に命ず!」

「ッ!」

 

 だが、これは聖杯戦争。

 切嗣が無理に勝つ必要は何処にもない。

 マスターで勝てなければ、サーヴァントを当てれば良い。

 

 コンテンダーではなく投げ飛ばされた故に無事だったキャレコを放ち、本来時間稼ぎにもならない刹那を、不意討ちで繋げる。

 武人としての癖なのか、本来避ける動作すら必要がないにも拘わらず、至近で撃たれた弾丸を弾き飛ばすためエレインは槍を振り上げてしまう。

 そして、令呪が発動する前に切嗣の腕を切り落とすには、もう遅い。

 

「来い────セイバー!」

「────フはッ」

 

 しかしエレインの溢した笑みは、切嗣の令呪が魔力の奔流と共に溢れる輝きに隠れ。

 その瞬間、黄金の聖剣を携える蒼銀の騎士王が出現した。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 令呪による空間転移。

 ソレによって切嗣の目の前に出現したセイバーは、直ぐ様エレインの首を刈り取らんと聖剣を振るう。

 エレインがランサーを令呪で呼ぶ隙を与えない為に。

 ここで倒さなければならないと、未来予知にすら匹敵するセイバーの直感が警告していた。

 

 いくらサーヴァントと渡り合えるエレインと云えど、その肉体は人間のソレ。

 サーヴァントなら耐えられる攻撃も、人間のエレインが喰らえばその美しい肢体はいとも容易く砕け散るだろう。

 実際、エレインが15世紀前からこの時代に持ってこれたのは、その魔術と槍術の技量と、『槍』とらんすろ日記のみ。

 人間の反射神経では、仮に認識できたとしても音速を超えるセイバーの聖剣を防ぐ事など出来はしない。

 故にエレインは完全なる不意討ちによって敗北する。

 

「グッ……フンッ!」

「な────」

 

 ────筈だった。

 セイバーの聖剣を、エレインは危なげながらキチンと防ぎ切ったのだ。

 

 避けたのでは無い。

 捌いたのでは無い。

 真っ正面から膂力で受けとめ、ギャインッ!! と弾き返したのだ。 

 

「……なんだその呆けた顔は。鳩が豆鉄砲でも喰らったのか?」

 

 サーヴァントの、しかも超級には届かないものの一級品のステータスを誇るアーサー王の一撃を、人間が止める。

 魔術師が聞けば、笑い飛ばされる光景があった。

 

「何をした。貴女は一体何をしたのだ、エレイン!」

「さて、自分の魔術を教える魔術師がいると思うか?」

 

 エレインが槍の名手であることは知っている。

 だが、だからと云ってサーヴァント────それもアーサー王の振るう聖剣を防げる人間など存在するだろうか? 

 腕力という一点のみなら、エレインの細腕では論外。

 では技術? 

 単純な技量でセイバーの剣を防ぐことの出来る存在など居るか? 

 

 ────居るには居るだろう。

 並行世界で、暗殺者のクラスで召喚された『佐々木小次郎』として現界した亡霊が。

 

 かのランスロットが剣を振るう者として、この世界で唯一尊敬した剣士。

 だがあの農民は例外中の例外。

 エレインの槍術が、かの農民の剣技と同等などと、口が裂けても言えない。

 寧ろ足元にも及ばないだろう。

 

 ならカラクリがある筈だ。

 魔術に対して門外漢のセイバーでは、全く理解できない。

 だが、ここに居るのはセイバーだけではない。

 

「固有結界か……?」

「む」

 

 同じく体内に固有結界を展開する切嗣なら、その概要を知ることができた。

 エレインの、正確にはプレストーン・ユグドミレニアの魔術。

 ソレは『魂の運用』に他ならない。

 

 先代であるダーニック・プレストーン・ユグドミレニア。

 彼は魔術において変換不能、役立たずの栄養分と言われる魂に着目し、他者の魂を己の糧とする魔術を編み出していた。

 だがこの術は限りなく禁忌に近い呪法で、少しのミスが即座に自らの死を招くため、編み出してから60年の間でも魂を喰らった回数は三回しかなかった。

 しかも、その三回の使用でさえ肉体と魂の適合率が六割を切るほどのズレを引き起こしており、それによって生じた自分ではない“誰か”に彼は己を支配されつつあったという。

 

 その魔術を受け継いだエレインが辿り着いたのは、魂を自身の魂に取り込むのではなく固有結界というタンクに収納するというモノだった。

 勿論ソレだけでは意味がない為、一工夫加えている。

 

 ここで出てくるのがらんすろ日記である。

 日記と原作知識の記憶媒体とは別に、もう一つの役目。

 

 即ち、ネタ帳である。

 様々な既存作品の様々な設定や能力が書き記されたソレの中に、それはあった。

 ────他者の魂を取り込み、燃料とし己を昇華させていく外法。

 新世界の神を生み出し、永劫回帰の法を定めた旧神を打ち倒すための術理。

 

 勿論、あくまで参考だった。

 慢性的に殺人衝動などに襲われておらず、聖遺物など必要ではない。

 聖遺物を固有結界に代用し、抑止力を抑えるために、何より燃焼・昇華機構を体内に固有結界として展開。

 その結果あらゆる能力が向上した。

 膂力はサーヴァントの、英霊の域に昇華され、魔術は現代魔術では突破できない対魔力を貫けるほどに。

 

 そして名付けられたその魔術の名は────『魂魄兵装(エイヴィヒカイト)』。

 

「────ま、種がバレてしまえばこんなものだ。魔術師ならば足りない物は余所から付け足せば良い。当然だろう」

「一体貴女は……どれだけの魂を取り込んだのだ……!!」

「さて、具体的な数値は解りかねるな。何、善人や一般人は喰らっていないぞ? 私の燃焼となった者達は死徒や畜生以下の魔術師ぐらいだ」

 

 死都となった街の死徒を皆殺しにした場合、一度で取り込める魂の量は百を易々と超えるだろう。

 今エレインが固有結界に抱える魂の総量は英霊に匹敵する。

 だが、セイバーの疑問はまだ残っている。

 

「ハッ!」

「ぬっ────!」

 

 聖剣を振るえば、今度はエレインの持つ槍で辛うじて打ち合う。

 だが、そもそも宝具であり神造兵装であるエクスカリバーと打ち合える槍など、ソレこそ宝具のみだ。

 

「しかし間合いが測れないのは厄介だな。流石に私も、聖剣の刃渡りなど覚えていない────邪魔だな、その風」

 

 だが、その槍こそが肝要なのだ。

 

「────────なッ!!?」

 

 エレインが槍を廻す。

 槍に巻かれていた聖骸布がほどかれ、その真価を発揮する。

 ソレだけで、セイバーの聖剣を隠す『風王結界』は解かれた。

 

「馬鹿な」

 

 溢したのは切嗣だ。

 切嗣はその槍を知っている。

 そのレプリカだけなら、ネットで画像検索すれば直ぐ様その姿を知れるだろう。

 

「私も前世に於いて、聖杯を探したが……ついぞ見付けることは出来なかった」

 

 今まさに、英霊を引き摺り出してまで獲ようとしている聖杯と同じ、世界最大級の聖遺物。

 曰く、持ち主に世界を制する力を与えるとされる、聖杯同様に救世主の血を受けた聖なる槍。

 

「代わりに、蛮人によって奪われたコレを発掘することに成功したがな」

「ロンギヌスの槍だと────!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前で死合っていた剣士が消失するのを、ランサーは溜め息と共に見届けた。

 それと同時に、ルーラーの気配が消える。

 

 ルーラーは聖杯戦争の監視者。

 ならば一人になったランサーよりも、呼び出されたセイバーの元へ向かうのは必然。

 冬木全域に及ぶ気配察知能力を持つ彼女ならば、アインツベルンの城の場所など一目瞭然だろう。

 

「計画通り────ってか。面白くもねぇ」

 

 まんまと逃げられ、己がマスターが危機に陥っているというのに、アイルランドの光の御子の表情は、退屈だった。

 サーヴァントを物理的に離れさせ、一人となったマスターにサーヴァントをぶつける。

 ソレすら、想定通りだった。

 余りにも彼女の、エレインの思うがままだ。

 勝機の見えない、敗戦の色の濃厚の戦いこそ、たった一人で国を護りきったケルト神話に並ぶものの無い大英雄たるクーフーリンの所望する戦いである。

 

「でも……何でかなぁ。どうもこれで終わりそうに無いんだよな」

 

 大英雄の直感、腹の虫、経験。

 理由を挙げればキリがなく、確証は無かった。

 だがそれでも、なんとなく確信があった。

 

『ランサー、ソコから五時の方向2キロ程だ』

「了解っと。ま、俺は俺の仕事をするとしますか」

 

 ランサーは全力で、念話の指示で足を運ぶ。

 恐らくソコには、二人の女が居るのだろう。

 一人の男が居たのだろう。

 何もかもが、全知の如く想定通りなのだろう。

 

「でもまぁ。なんだかなぁ」

 

 エレイン・プレストーン・ユグドミレニア。

 今回の聖杯戦争最強のマスター。

 サーヴァントにすら匹敵する実力と、『聖槍』によってほんの一部とは云え世界を制する女。

 単純にカタログスペックで語るならば、サーヴァントがマスターやっているに等しい彼女が勝利しないほうがオカシイ。

 だが、それでもランサーは思うのだ。

 

 ────────彼女、最後でしくじるアレな女の匂いがする。

 主に、男の所為で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はしつこい位のエレインtueeeeeee回でした。

そして切嗣を上手く書けたか今一不安だったりします。
切嗣って基本的に先手とって圧倒するイメージがあるので(言峰綺礼戦以外は)。
では各キャラの補足をば。


セイバー
 ランサーには不利な戦場で翻弄され、チートガン積みのエレイン相手に上手く攻めきれずドヤ顔される。

切嗣
 チートガン積みのエレインに終止圧倒される。
 大体切嗣がサーヴァントと戦う事になったら、をイメージしとります。

じゃんぬ
 らんすろにご飯奢って貰いお腹一杯になってキチンとお仕事遂行中。

ランサー
 切嗣がセイバーを令呪で呼んだため戦闘中断。
 エレインに失敗フラグを建てる。

エレイン
 チート武器にチート魔術に原作知識と、もうコイツがオリ主で良いんじゃねぇの? と言わんばかりにチートガン積み。槍のことはばれたら余程のことがない限り聖堂教会と戦争不可避。
 ただしキチガイが居る上、更にランサーがフラグ建てた。

『魂魄兵装』
 他者の魂を魂で取り込むのではなく、体内に魂を燃料に変換する擬似的な固有結界を生み出して其処に貯蔵する方法を執っており、自滅のリスクをゼロにしあらゆる魔術や感覚を含む身体能力や防御能力を向上させている。
 仮に肉体が損傷・欠損しても、魂を糧に瞬時に再生することが可能。なので、宝具がショボい弱小サーヴァント程度なら普通に勝つことが出来る。霊的装甲とかはない。
 死徒狩りは魂集めが目的。
 ちなみにエイヴィヒカイトと銘打っているが、聖遺物とかは必要無いし、渇望で変わる位階とかも無い(迫真)。なので創造とか流出とかは無理。文字通り武装なので。必殺技は槍が担当。
 元ネタは『Dies irae』の永劫破壊。

言峰綺礼
 原作通り切嗣の元にスネークする。ただしアサシンではなく子ギルを連れて。
 だからと云って何かが変わるわけでも無い為、主要役にはなれない。


ちなみに吃驚しましたが、ランスロ五次参戦ものを短編に載せて欲しいとの要望がありました。
申し訳ありません、削除してしまったのでできませぬ。



修正or加筆点は随時修正します。
返信出来ないかもですが、感想待ってまする(*´ω`*)


  

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