湖の求道者   作:たけのこの里派

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まだストックが溜まりきってないけど、流石に三ヶ月は時間空きすぎだと感じ、投稿。



第十四夜 最後の日 

  

 

 ────────裁定者(ルーラー)のサーヴァント、ジャンヌ・ダルクは想起する。

 

 昨夜の、郊外の森での聖杯戦争第二戦目。

 セイバーとランサーの二度目の戦いは、しかし地形を活かしたランサーが優勢に進めていった。

 流石、唯一人で国を護り切ったケルト神話一の大英雄、光の御子クー・フーリン。

 ゲリラ戦の達人の縦横無尽の戦い振りは、騎士ではあるが王でもある騎士王アーサー・ペンドラゴンを翻弄していた。

 本来凡百の英雄ならばこの時点で勝機は無いだろうが、それを両者ともとは言えこれといった傷を負わずに凌いでいたセイバーは間違いなく、大英雄に相応しい存在なのだろう。

 

 しかし戦いは突如終わりを告げる。

 セイバーがランサーの目の前から消えたのだ。

 その光景に思い当たるモノが、ルーラーにはあった。

 

 令呪による空間転移。

 サーヴァントに対しての絶対命令権である令呪は、使い方によって魔法級の事象である空間転移すら可能にする。

 

 恐らくセイバーのマスターが行ったのだろう。

 ルーラーの気配探知に、アインツベルンの城にセイバーの存在を知覚することが出来た。

 そして、エレインの気配も。

 

 サーヴァントを手元に戻したマスターと、サーヴァントが側に居ないマスター。

 勝敗は決したと言えるだろう。

 

 しかし、ルーラーは城へ足を進めた。

 エレインの異様な知識、謎の情報源。異様な自信。

 

 この危機的状況で彼女がどう振る舞うか。

 この聖杯戦争で自身が召喚された理由を知ることが出来るかもしれないと、彼女は向かわずにはいられなかった。

 裁定者の、聖人固有のスキル『啓示』。

 それが働かなかったのも、助長していた。

 

「それがまさか、聖ロンギヌスの槍だなんて……」

 

 エレインが持ち出した切り札。

 世界最大級の聖遺物の輝きは、思わずジャンヌでさえ思考を停止させて魅入っていた。

 しかし、だからこそ疑問が生じる。

 

「彼女は何故、聖杯戦争に参加したのか────?」

 

 あれほどの聖遺物があるのなら、聖杯を求める必要があるのだろうか。

 

 曰く、持ち主に世界を制する力を与える伝説の聖槍。

 それは聖杯を求めるという、戦いの大前提を壊すものだ。

 聖杯を武器に聖杯戦争に挑むレベルで意味がない。

 

 とある阿呆なら、「立川市の聖人の相対的に見てダメな方を連れて、聖杯戦争に参加するレベル」で意味がない、と例えるだろう。

 正確には、この冬木の聖杯戦争の聖杯の願望器としての機能は副産物に過ぎないのだが、それでも意味がわからない。

 

 そう、分からないのだ。

 エレインの望みが、目的が見えない。

 情報が圧倒的に足りないのだ。

 

 それこそ、一瞥で万象を見通す英雄王の精神性が昇華された宝具────『全知なるや全能の星(シャ・ナクパ・イルム)』があれば別なのだろうが、ルーラーはあくまで聖女でしかない。

 思考が袋小路に嵌まっていた、そんな時。

 

「前方注意だ」

「えっ」

 

 ルーラーはただの娘のような声を漏らし、肩に手を掛けて押し留められていた。

 

(────────ッッ!??)

 

 驚愕がルーラーを襲う。

 霊基盤を上回るほどの精度がある半径十キロに及ぶ気配感知を持つルーラーが、肩を押し留められるまで気付かない。

 それは余りに異常である。

 

「貴方は────」

 

 そんな異常な化物。

 ソレはしかし、つい先日彼女を空腹から救ったランスロと名乗った男だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第十四夜 最後の日 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また会いましたね」

「まぁ、昼は基本的に桜と散歩しているからな」

 

 道を歩きながら、前を歩く桜と彼女と寄り添うように歩く灰色の狼────シフを眺めながら、ルーラーとランスロットは話す。

 本当ならば彼女は男────ランスロットに対して警戒し、その正体を詰問すべきである。だが、連れている少女────桜の存在がそれを躊躇させた。

 それに彼に対して啓示が何の反応もしなかったのと、ランスロットがルーラーに対して敵意や悪意を一切抱いていなかったのが大きかった。

 

「あの、失礼ですが彼女は……」

「────解るか」

 

 ルーラーは前を歩く、表情が一切無く、瞳に光が無くなっている少女について尋ねた。

 似たような瞳をした人間を、彼女は生前で見たことがあるからだ。

 何度も、何度も。

 

()()()()()()()()()()……あの子は養子に出された家で、つい最近まで虐待を受けていた。心を護るために、桜は心を閉ざすしかなかった」

「……ッ」

 

 痛ましい、ありふれているとは言え桜は間違いなく不幸な境遇であった。

 しかし、ルーラーは短い時間しかランスロットと過ごしていないが、それでも彼がそんな状況を見過ごす訳がないと確信している。

 行き倒れた自分に、あれほどの慈悲を見せたのだから、と。

 

「彼女は、貴方が救ったのですね」

「俺がこの街に来たのも、彼女の今の保護者が俺を呼んだからだ。その辺りは少し面倒な事情があるのだが……まぁ、今は虐待自体はもう無い」

 

 それに一息つける。

 幼い少女の地獄は、一先ず終わったのだと。

 しかし、そこからが本番だと最も人権の価値が低かった時代を駆けた聖女は知っている。

 

「だが、桜の負った傷は大きい。身体の傷はまだしも、心に負った傷はそう簡単には癒えない」

 

 百も承知。

 そう言わんばかりにルーラーは頷き、同意する。

 身体の傷は場合によっては簡単に治るが、心の傷だけは絶対に時間が掛かる。

 桜を連れて散歩をするのは、彼女の気分転換であるのだが。

 

「シフ────あの仔を側に置くのも、それが理由だ」

動物介在療法(アニマルセラピー)、ですか」

「あぁ。気休めだろうが、な」

 

 それでもシフは幻想種、その親和性は抜群だろう。

 何より、桜の周囲から昆虫類を悉く排除する為の措置でもある。

 

「本来なら、これも雁夜────あぁ。桜の保護者なんだが。ソイツがやりたがっていたが、あの男自身、点滴が手放せない身体だ。俺はその代わりだな」

「それは……貴方は、雁夜さん――でしたね、彼とはどういった出会いを? 居候と先日仰っていましたが……」

 

 ランスロの言う雁夜。

 彼は間違いなく間桐家、即ち聖杯戦争のマスターだろう。

 そしてその居候である目の前の男は何者なのか。

 疑いたくは無い。

 何よりルーラーにとって恩人を疑うという選択肢は苦渋のそれだ。

 

 しかしここまで一切姿を見せず、アーチャーという明確な動きが見える遠坂と違い痕跡すら残さない間桐。

 順当に行くのなら、初戦に現れたキャスターと思しき姿を隠した、ルーラーの『真名看破』すら防いだ謎のサーヴァントの情報も得られるのではないか────と。

 

「ふむ、言いにくいのだが……先に言った虐待をしていた雁夜の祖父から、桜を助けるために何か準備をしていた所に遭遇してな。流石にアレを見過ごすという選択肢は無かった」 

 

 ランスロットは思い出す。

 全身から血を吹き出しながら、遠坂時臣への憎悪で隠れた本心である、桜の救済の願いを。

 アレを見過ごしては英雄などと呼ばれる資格は無い。

 

「丁度宿無しの根無し草だったからな。それで解決に協力している」

「そう、ですか」

 

 その話を聞いた時、前を歩く桜を見ながらルーラーの顔に笑みが浮かぶ。

 そして、ランスロに対して間桐を探るのは止めた。

 このような人情に溢れ、救いを施せる男を疑う自分を恥じた。

 

 そして再度、聖杯戦争で一般の人々から犠牲を出すまいと誓った。

 喪われてはいけないのだと。

 

「そう言えば、君は何故この街に?」

「え、えっと……私は────」

 

 慌てて言い訳を考えるルーラーに────────緊張が走った。

 

 彼女の感知能力が、複数のサーヴァントが集まっているのを捉えたからだ。

 

(馬鹿な……ッ!? 今は昼下がり、サーヴァントが集まる道理など────)

 

 こんな日中にサーヴァント同士の戦闘。

 神秘の秘匿もそうだが、何より巻き込まれ生み出されるであろう被害者の数に青褪めた。

 

「申し訳ありません、急用が出来ましたッ!」

 

 そう言い残し、ルーラーは踵を翻した。

 颯爽とその場を後にする彼女に、ランスロットは心の中で静かに呟いた。

 

 

 

 

 

『────────大変だねぇ。問題児多すぎんよ』

「?」

「わふっ」

 

 この場に雁夜が居たら、その半死半生の肉体を酷使してでも叫んだだろう。

 

 ────お前が言うな、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルーラーは走る。

 日中ということで全力疾走は出来ないが、それでも路地裏や影を使ってさながら三次元駆動のように壁や住宅街の屋上を駆け抜ける。

 

(────サーヴァントが二人……いや、四人!? そんな数のサーヴァントがこんな昼の真っ只中でぶつかり合えば……!!)

 

 被害者は十や二十ではきかない。

 しかも今回召喚されているサーヴァントは、正体不明のキャスターを除き全員が対軍以上の宝具を持っている。 

 そんなものがぶつかり合えば、この街は間違いなく消し飛ぶだろう。

 

「もうすぐ────!」

 

 そうして、そのサーヴァント達が集まってる場所に辿り着いた。

 其処は────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ! ルーラーではないか!! 丁度良い、お主も共に食わぬか!? お好み焼き屋とやらめ、とんでもなく旨そうな匂いを出しとる!」

「うぉいッッ!!? 何言ってるんだよオマエ!!!」

「まぁまぁそう言うなよ小僧。別に此処は戦場じゃねぇんだからよ」

「お金はボクが負担しますから大丈夫ですよ、ルーラーのお姉さん」

「…………チッ」

「コラ、折角御馳走になるんだ。そんな舌打ちしては失礼だろう」

 

 高らかに豪快な笑い声を鳴らしながら手招きしてくるライダー。

 ライダーのマスターと共にいた、喚く少年を諌めるランサー。

 カラカラと笑いながら金貨を虚空に現れた黄金の歪みから取り出すアーチャー。

 不機嫌極まり無い表情で舌打ちし、恐らくマスターであろう眼鏡を掛けた少女に諭されるアヴェンジャー。

 

「……………………はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────事の切っ掛けはライダーがウェイバーを連れ回していた時にまで遡る。

 

 先に確認しておくが、サーヴァントの気配は極めて特徴的である。

 何せ現代では本来あり得ないほどの神秘の化身。それは霊格が高ければ高いほど顕著になる。

 魔術師ならば、その身に纏う超然とした魔力で一目で分かるだろう。

 更に言えば基本的に英霊になった人物は極めて個性的であり、十中八九外見が特徴的である。

 

 ライダー、イスカンダルは極めて分かりやすい二メートルを超える筋肉隆々の大男である。

 それに未だ素顔が明らかになっていないキャスターと、一部の例外を除いて姿すら見せないアサシンは別として、セイバー・アーチャー・ランサー・アヴェンジャーの悉くが容姿端麗眉目秀麗。

 止めに全員が日本人では無い。

 

 これで目立つなという方がおかしい。

 必然、人だかりが出来、一目瞭然。

 更に運悪くそんな面々がそれに気づけば────こうなる。

 

「いやー美味いッ! このお好み焼きとやら、今まで食べたことの無い旨さだ!! これが元々粉だと? 何という柔らかさだ!」

「……何でこんなことになったんだよぉ」

「あん? そりゃ間が悪かったんだろ。つーか飯時にいつまでも辛気臭ェツラしてんじゃねェよ。ホラ飲め飲め! このナマチューってのヤベェなぁオイ!!」

「ガツガツガツガツガツッッッッ!!!!」

「コラ、もうちょっと落ち着いて食べないか。あぁ、溢れてるだろう。全く……」

「────────はぁ」

「アハハハハ」

 

 そのサーヴァント集団に合流したルーラーは、カリスマAという人間の限界値であるランクを持つライダーに強引に巻き込まれ、さらにそれに乗った征服王すら超えるA+という呪いに等しいカリスマを持つアーチャーが、笑いながら後押しした。

 

 幾らルーラーもカリスマをCランクで保有しているとはいえ、前述の征服王と英雄王がコンビを組んで巻き込めない人間など存在しない。

 

「それで、何故このような状態になっているのですか」

「先ず、余がアヴェンジャーとそのマスターの娘と会ってな。最初は噛み付いておったが、流石に真っ昼間からやり合う訳にもいくまい? 其処に英雄王めとランサーが合流しての?」

「御昼時に丁度良いと、ボクが食事を提案したんです」

「俺は誘われれば断れねぇしな」

「彼女も落ち着いたしな。それに、折角の誘いを断るのも悪いだろう」

「………………………………なるほど」

 

 神秘の秘匿やその『食事』というワードでアヴェンジャーは何故か静かになり、そんな彼女のマスターはそれに便乗。

 ルーラーにはランサーの真名を『真名看破』で知ることができ、彼が誘われた食事を断れないのはまだ納得がいく。

 

 クー・フーリンは様々な誓約(ゲッシュ)で縛られており、目下の者からの食事の誘いを断れない。

 今回は王族たる彼より目上の人間────王からの誘いであるため実は断ることも出来たのだが、今回は彼の主人からの命令も有り、乗ったのだ。

 

 そしてルーラーの啓示スキルにも、このメンバーから目を離してはいけない事を直感させられた。

 今日、何かがあるのだと。 

 

「そう言えばお主の名前を聞いておらなんだな、アヴェンジャーのマスターよ」

「こんな小娘に興味があるのか? ライダーのサーヴァント?」

「うむ! 余から見ても中々の佇まい、一国の姫君の様ではないか」

「────……氷室鐘。魔術師でもないただの小娘だよ」

 

 ライダーの言葉にアヴェンジャーのマスター────氷室が目を見開き、しかし自嘲気味に嗤う。

 まるでそう呼ばれるのが辛いように。

 その姿は10にも届かないような幼い姿には、あまりに不釣り合いな感傷。

 そんな彼女に、先程からの凄まじい勢いの食事の手が止まり、アヴェンジャーが細めた瞳で見遣る。

 そんな二人をふむ、とライダーが見据え。

 

「何やら訳ありかの。所でアヴェンジャーよ、あの夜には言わなんだがお主、余の傘下に────」

「死ね」

 

 ピシャリと、ライダーの言を切り捨ててアヴェンジャーは再びどんぶりをかっ喰らい始めた。

 あっさりとフラれたライダーに、ウェイバーとランサー、ルーラーから呆れた視線を向けられる。

 

「お前……よりにもよって今ソレやるか?」

「何を言う坊主。昨日のてれびとやらに、『かもしれない運転』というのをやっておったのを忘れたのか?」

「それは車の運転の話だろ!?」

 

 ワイワイガヤガヤ。

 そんな擬音が見えて来るようなライダーとウェイバーのやり取り、それこそサーヴァントからしてみればじゃれ合いの様な光景。

 そんな二人に視線を向けるのは二人の騎士クラスのサーヴァント。

 

「随分とまぁ愉快な主従だなぁオイ。いや? マスターの助手だったか? 穴蔵決め込んでやがるお前のマスターと比べてどうよ?」

「アハハ。ボクのマスターはお堅いですから、あぁいった掛け合いはしませんね。ランサーさんの方は?」

「あー……惚気話を時々聞かされてるわ。見てて微笑ましいぜ全く」

 

 カラカラと笑うアーチャーに、ランサーは切り分けたお好み焼きを箸で器用に摘まみながら、生ビールを煽る。

 目の前の一心不乱に食事を取るアヴェンジャー。そんな彼女を復讐の狂気に陥れ、エレインに輪廻すら超えさせた男。

 その悲劇とも言える結末を、ランサーは生前殺してやる事が出来なかった己が師と重ねずにはいられなかった。

 

「それだランサー、お主のマスターは何処で何をしておる。こういう場でこそあやつの聖杯に捧げる願いを聞かねば!」

「…………そうですね。私も『裁定者(ルーラー)』のクラスで召喚された者として、貴殿等の願いを知っておく必要があります」

「ほう?」

 

 そのライダーの言葉に、ルーラーも便乗する。

 基本中立の立場である彼女にも、例外が存在する。

 その一つが「世界を崩壊に導く願望」の絶対阻止である。

 そして、その結末が理論的に成立すると見做されたからこそ、彼女は召喚されたのだから。

 

「そうだな、これ以上は集まりようが無さそうだしな」

 

 ランサーが確認する様に目配せし、ニヤリと悪巧みに協力する悪童の様に笑う。

 

「そろそろ俺のマスターからメッセージが届いてる頃だろ」

「……メッセージ?」

「俺の目的はそれを出来るだけ他の陣営に伝えることだ。協会の監督役とやらが、お前らにキチンと伝えるかどうか怪しかったんでな」

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻。

 冬木教会に一個の小包と共に一枚の手紙が、使い魔によって届けられた。

 

『────大聖杯に異常あり。全陣営に休戦と招集要請を』

 

 御丁寧に、その異常の証拠として厳重に封印された『泥』をも揃えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「聖杯の、異常……!?」

 

 ランサーが告げたエレインが教会へ行った要請。

 それに愕然とした言葉がウェイバーから呟かれる。

 

「ふむ……」

「あらあら」

「異常だと……?」

「────」

 

 それぞれのサーヴァントは、ライダーは顎を手で持ち。

 アーチャーはあまり興味無さげに曖昧な苦笑を。

 アヴェンジャーは食事を止め苛立ちの声を漏らした。

 

「聖杯の異常……まさか」

 

 ルーラーは己が『啓示』が反応するのを理解した。

 正しく、己が役目はその異常に関係するのだと、彼女に直感させたのだ。

 

「まぁ詳しい理由は教会に向かってからだ。俺のマスターは一応全陣営に招集を要請したが、だからと云って教会が早々そんな要請を認めるとは思えねぇ」

「うむ、当然ではあるな」

 

 聖杯の異常。

 それが御三家の人間が行った報告ならば兎も角、外部の魔術師のモノ。

 そう簡単に信用など出来ないだろう。

 だが監督役を自称する者として、聖杯の異常など決して無視することは出来ない。

 

「だとすると教会が招集するのは、先ず御三家のマスターだろう」

「まぁ、そうでしょうねー。どうやらボクのマスターも教会に向かうようです」

 

 御三家のサーヴァントであるアーチャーが同意する。

 それは同時に、殆どの外来マスターを余所に自分達だけで話を進める事を意味している。

 

「ルーラー、オマエは俺のマスターの目的が何なのか知りたかったんだよな? 何故こんな真似をしたかったか」

「……えぇ」

 

 

 第四次聖杯戦争、その最後の日は教会から発せられた一報と共に幕を開けた。

 

 

 

 

 

「――単純だ。御三家(連中)が俺らに隠してる事を全部バラして、お前ら全員に聖杯を()()()()()ことだとよ」

 

  

 

 

 




らんすろ「モノを食べるときはね 誰にも邪魔されず自由で なんというか救われてなきゃあダメなんだ」

モードレッドが大人しくしていたのは、戦闘になったらマスターが巻き添えを喰らうからとらんすろの言い付けが理由です。
モードレッドにとってらんすろの言葉は絶対でありまする。

そしてサーヴァント集結。偶然もありますが、基本ランサーが気配と魔力撒き散らして誘いました。ディルが原作でセイバー相手にやったのと同じことですね。
ウェイバーとイスカンダルは散策。
氷室とモードレッドはモードレッドが現界したがりなので服を買いに外出する際にライダーとかち合いました。殺気立ちましたが、ライダーが戦う気が無いことと秘匿的な意味合いでそのまま流されました。
子ギルはイスカンダル同様散策を行っている最中見つけ、面白そうなのでやって来ました。

聖杯問答は次々回になります。というか現在執筆中です。
なので今度こそ、次回はキリの良いところまで連続投稿できればと思っちょります。
次回はらんすろ始動と切嗣の現実逃避。そして冬木教会集合をお送り致します。

修正or加筆点は随時修正します。

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