湖の求道者   作:たけのこの里派

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第二十三夜 私にいい考えがある

 

 信仰を受けた最高位の竜種に、灼熱の大地にて王の軍勢が突撃する。

 天空のヴィマーナにいるマスター達には、象に群がる蟻のソレに見えた。

 幾ら数十万の大軍だとしても、焼け石に雫ではないのでは、と。

 

「────ッ!!」

 

 突撃する万軍の王は、しかしてどうだろう。

 突っ込んで突き破れる壁かどうか解らないほど、イスカンダルは馬鹿であっても能無しではない。

 相手は幻想種の頂点。

 考えなしで突っ込めば、返り討ちに遭うのが必定。

 だが、

 

『ぬ────』

「挑まずにはいられんのだッ!」

 

 ヴィマーナにしがみつくマスター達、その内のケイネスとウェイバーの目が死んだ。

 

 馬鹿丸出しの戦車による突撃。

 なんの策もなく、ただひたすらの力比べを敢行する。

 一見、というかどう考えても自殺行為に近いそれは、しかしそれこそが最適解であった。

 

『ハッ! ならば来るが良い!! 鈍牛の突進風情で我が身を貫けると思うのならなァ!』

 

 何の躊躇もない突撃が、竜としてのプライドを刺激した。

 絶対強者として、この挑戦に対して避けたりカウンターを仕掛けるなど彼の沽券に関わる。

 

『────プロレスでは相手の技を受けなければならない』

 

 この赤竜が主の影響を多分に受けた者の一人であることは、最早言うまでもないだろう。

 恐らく最初にして最後の、絶好の好機。

 故に、イスカンダルは己のもう一つの宝具の真名を解放する。

 

彼方にこそ栄えあり(ト・フィロティモ)────いざ征かん!」

 

 『神威の車輪(ゴルディアス・ホイール)』による蹂躙走法。

 真名解放によって放たれる『神威の車輪』完全解放形態からの突進。

 雷神ゼウスの顕現である雷撃効果が付与された、雷気を迸らせる神牛の蹄と車輪による二重攻撃。

 

「『遥かなる蹂躙制覇(ヴィア・エクスプグナティオ)』ッ!!!」

 

 神牛が雷を奔らせる。

 蹄が灼熱の広野を蹂躙しながら頂点に挑まんと突貫した。

 ゴガッッ!!! と、轟音が周囲に響き、それにともない衝撃が走る。

 渾身の突貫に、それに続く軍勢が歓声を上げる。

 しかし、戦車に乗るライダーの顔色は優れなかった。

 

『────()()

 

 そんな歓声を黙らせる、地獄から響くような声が囁いた。

 アジアを蹂躙した征服王の蹄は、赤竜に満足な傷を与えることは叶わなかった。

 

「ぬぅ……!」

『では、次は此方の番だ』

 

 戦車(チャリオット)ごと神牛を、その巨大な両腕で抑え込まれる。

 同時に、その顎に無尽蔵を思わせる途方もない魔力が集束する。

 そんな王の危機に、彼の軍勢は次々に突撃し竜の身体に組み付くが赤竜は山のように微動だにしない。

 ライダーは己が戦車を放棄して退避する選択を選ぼうとした。

 だが忘れてはならない。

 これはライダー一人の戦いでは無いことを。

 

『ッ!? チィッ!』

 

 その場に、鎖が走る音が鳴る。

 今にもその咆哮を放たんとしていた赤竜は戦車を放り投げ、その場から退避した。

 

「おや、どうやらボクの(とも)が天敵の様ですね。流石です」 

 

 赤竜ドライグ。

 最高位の竜種でありながらヨーロッパでは数少ない()()()()()()()()()()()()()

 神性が高ければ高いほど拘束力を発揮する対神兵装である天の鎖は、ドライグにとって竜殺しに匹敵する天敵であった。

 

「────『突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)ッ』!!!」

『!』

 

 逃がさんとばかりに、飛び上がったドライグに間髪入れず朱い流星が直撃する。

 本来はB+ランクの宝具が、原初のルーンの強化によってA+に向上した、大神の槍さえも上回る炸裂爆撃がドライグを襲った。

 着弾後、浮遊した朱槍が凄まじい軌跡を描いてランサーの手元に戻る。

 

「チッ、それでも鱗をちっとばかし焦がした程度かよ。野郎、自分の周囲に馬鹿みてぇな魔力を渦巻かせてやがる」

「余の戦車が傷をつけられなかったのは……」

「魔力乱流を突破するだけで力尽きたからでしょうね」

 

 一定ランクの攻撃を遮断する魔力乱流に、更に一定ランク以下の攻撃をカットする肉体は、ランサーとライダーのA+ランクの宝具を見事に防いでいた。

 

『ぬぐッ!?』

 

 展開された『王の財宝』から、中でも巨大な武具────ではなく、()()()()()が展開、射出される。

 余りにも単純な質量による重り。

 それらが地面に縛り付けるようにドライグを襲った。

 

『貴様ら……!』

「生憎と貴方の攻撃を喰らっては此方は一溜まりもない。申し訳ありませんが、何かをさせるつもりはありません」

 

 再び飛来した魔槍に続くように、王の軍勢の重装騎兵が食らい付く。

 それに英雄王は斬山剣イガリマを展開。

 山ごと突き立てるように向けるが、

 

「ッ!」

『鬱陶しいわッ!!!』

 

 それらを、力ずくで薙ぎ払う。

 ただの魔力乱流を意識的に放出する、ただそれだけで。

 無意識に垂れ流していた魔力を意識的に流す、それだけで山や軍勢を薙ぎ払った。

 セイバーで例えるなら、魔力放出を行っただけ。

 端から見れば窮地と言えた状況も、容易く覆せる物でしかないのだ。

 しかしそんな魔力の暴風雨に晒されては、王の軍勢は一堪りもない。

 特に、その王であり先程戦車を投げ飛ばされたライダーの消滅は、その暴風雨の主を現実に解き放つことを意味する。

 

「────主の御業をここに。我が旗よ、我が同胞を守りたまえ!」

 

 それを聖旗の乙女は、己の真名解放で防いでいた。

 

「『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』!!」

 

 それは聖女ジャンヌ・ダルクが常に先陣を切って走りながら掲げ、付き従う兵士達を鼓舞した旗。

 天使の祝福によって味方を守護する結界宝具。EXランクという規格外の対魔力を物理的霊的問わず、宝具を含むあらゆる種別の攻撃に対する守りに変換する。

 如何に神霊の域に至った竜種の魔力放出でも、ライダー一人護れない道理はない。

 

「助かったぞルーラー!」

「いえ、護れたとは言いがたいです。私の宝具は範囲が狭い」

 

 ライダーは護れたが、他の軍勢の被害は甚大だ。

 幸いと云えば、暴風雨の主たる赤竜が空に夢中だということ。

 即ち、最大の脅威たる英雄王に。

 

 そんな、常人ならば塩の柱と化すであろう視線を浴びながら、当の本人は嘆息する。

 

「はぁ……やれやれ、ボクは彼方の援護もしないといけないのに」

「……そんな」

 

 呆れるように呟くギルガメッシュと共にヴィマーナにしがみつくアイリスフィールは、彼の移した視線の先を見て、絶句する。

 

 そこには疲弊したセイバーとアヴェンジャーが膝を突いている姿と、無傷のローブ男の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

第二十三夜 私にいい考えがある

 

 

 

 

 

 

 

「ゼェッ……ハァッ…糞ッ!」

「……くッ」

 

 息を切らせ、片膝を突く。

 アーサー王とモードレッドという強者が揃って弱者のような有り様を晒していた。

 

「ッ────ぉおおお!」

『────』

 

 赤雷を奔らせ、弾丸の様に突貫したモードレッドはそのままクラレントを一閃する。

 Aランクの魔力放出によって放たれた一撃は大岩を砕き、人体を容易く両断する威力を秘めていた。

 だが、

 

『……ふむ』

 

 男は、何もしなかった。

 受け止めることも、流すことも、避ける事さえしなかった。

 まるで断頭を受け入れた罪人のようにその刃を受け入れた。

 にも拘らず、刃は一ミリ足りとて男を切り裂くことは叶わない。

 それ所かビクともせずに、体勢さえ崩していなかった。

 

「────ッ、何でだッ……!?」

 

 絞り出すような声で、目の前の光景を理解出来ずにいた。

 

 受け止めるのなら斬り潰せば良い。

 防がれるのなら防げない様に攻めるだけ。

 避けるのならば喰らい付き続ければ良い。

 

 だが、渾身の一撃を叩き込んで微動だにしないというのはどういうことだ。

 

 この一度だけではない。

 既に百を超える剣を叩き込んでいるというのに、まるで手応えがない。

 確かにここに居るし、事実剣は男に叩き込まれている。

 

 脳天に、首に、胴に一ミリも斬り入れることが出来ないのだ。

 それはまるで、湖に浮かぶ月を斬ろうとしているような徒労感さえ覚えた。

 次の選択肢の正解を選べない。

 理解不能────そんな文字が脳裏に浮かぶ。

 

 しかしそんなモードレッドは背後に回ったセイバーを見て、瞬時に跳び下がる。

 そのままセイバーは聖剣のもう一つの鞘を解放した。

 

「『風王(ストライク)────鉄槌(エア)』ッ!!!」

 

 圧縮空気を剣閃に乗せて放つそれは、低ランクながら宝具の域である。

 回り込んだ際の遠心力に風の魔力放出も合わさり、かのヘラクレスの神の祝福(のろい)を受けた肉体でさえ貫くだろう。

 

「────馬鹿なッ…?!」

 

 だが、叩き込まれたそれでさえ、貫く事も、揺らがせる事も出来なかった。

 

『……ぬぅ』

 

 男から唸るような声が溢れる。

 だが、決して苦悶のソレではない。

 まるで困った様な声色だ。

 

「ふざけやがって……!」

 

 モードレッドはソレを、侮辱と受け取った。

 此方の攻撃を一方的に受け、攻撃を一切しない。

 これを侮辱と言わず何という。

 

「バカみてぇに突っ立てんじゃねぇよ! 攻撃一つしやがらねぇ、嘗めんのもいい加減にしやがれ! 案山子か手前は!? お前は此処に何しに来たんだ、あァ!?」

『……成る程、それもそうだ』

「ッ────、王剣よ!」

 

 まるで噛み合わない会話にブチリ、と。

 余裕綽々が過ぎる様子に、モードレッドがキレ、

 

 叫ぶと同時に、その身の魔力を解放して己が邪剣と化した宝具を解放する。

 クラレントが禍々しい血のような紅色に染まり、その形を歪め始める。激音が剣の周囲に発生した赤雷によって打ち鳴らされる。

 その現象は、モードレッドの通常の魔力放出の比ではない。

 アーサー王が手に入れ吸血鬼の侵軍の際にモードレッドに貸し与えられそのまま簒奪した王証たる『燦然と輝く王剣(クラレント)』。

 ランスロットを喪ったその時、王位継承を示す宝剣が憎悪の邪剣に変貌した。

 即ち、宝具の真名解放。

 

「『我が君に捧ぐ血濡れの王殺(クラレント・ブラッドアーサー)』!!!」

 

 宛らそれは紅の極光。

 『燦然と輝く王剣』の刃先から打ち出される最大まで増幅された赤雷が、あり得ざる直線上の雷の柱となって轟音と共に殺到する。

 

 

「くっ!」

 

 行使者と標的以外では最も近くにいたセイバーが、轟音と共に視界を奪われる。

 砂塵を巻き上げながら、減退していく赤雷はそこにいる存在を喰らい尽くしたあと大地に傷跡を付けて消えた。

 

「…………嘘だろ」

 

 ────────全くの無傷の男を除いて。

 

 傷一つ。

 身に纏う影の如き外套にさえ一片の襤褸も無い。

 自身の憎悪と復讐の結晶、ソレが全く通用しなかった。 

 

 理解が出来ない。してはならないと心が悲鳴を上げる。

 何故なら、それはランスロットへの想いが目の前のポッと出の男に劣ることを認めることになるのだから。

 

「……殺す、殺す殺す殺す! 殺してやるッ!!!」

 

 真名解放の名残で疲弊した身体を無理矢理動かし、絶対に認められない存在を消し去らんと立ち上がる。

 だが────

 

『お前の言う通りだ、モードレッド。敗戦濃厚な戦いにこそ、真に力を発揮できるというもの。ならば此方も動かなければ無礼だったな』

 

 ならば、此方からと。

 その言葉を皮切りに、男が初めて腰を落として────消えた。

 

「────────」

 

 斬られた。

 脳天から鎧などまるで関係無いと、股下までを両断された。

 肉体が開き、血潮と臓物が溢れ落ちる様を別たれた目が死を、認識し、視 界が、崩 れ────

 

「ッ!!??」

 

 腰が大地に落ちる。

 ソレで漸く、自身が生きている事を認識した。

 

「モードレッド?」

「………………………」

 

 憎き父の困惑する言葉に反応する余裕は、モードレッドには無かった。

 思わず、傷一つ無い額に触れる。

 ぶわり、と汗が吹き出た。

 

「(斬られた)」

 

 刃が自分の肉を切り裂き、通る感触を確かに感じた。

 衝撃は未だ残っていた。

 だが、何故生きている。

 

 答えは単純。

 斬られていないからだ。

 

 世界の外側へ弾き出されたらんすろは、何度も世界に戻らんと試行錯誤していた。

 尤も、入れても世界の裏側。

 必然的に彼の行動は世界の外側と裏側を行き来するものとなっていた。

 

 そんな中、幻想種や世界の外側に存在していた怪物と言える存在を相手にしながら、切に思っていた。

 

 ────立ち上がってくれ、と。

 

 らんすろは既に『刃世界・終焉変生(ミズガルズ・ヴォルスング・サガ)』────幕引きを極め、通常攻撃にしていた。

 放つ刃は全て御都合主義の一撃。

 

 相手が何であれ、一振りすれば事足りる。

 心踊る剣線の駆け引きも、血沸き肉踊る激戦もない。

 

 その様に求め、その様に極めたのだ。であれば、その幕引きは必然である。

 振れば終わるのだ。其処に愉悦も糞もない。

 成る程、これは凄いのだろう。

 だがこれでは素振りと変わらないではないか。 

 

 小学生がかめはめ波の練習をして、間違って出来てしまった様なものだ。

 その為に鍛えてきたので満足だが、此のような事態は正直困る。

 

 そこから悩んだが、彼の願望は基本的に内側に向く。

 それが己の力ならば尚更。

 なので他者をどうこうしようとは思わない。

 死者が存在せず、全力を振るえる世界を作ろうとは思わず。

 自分に互する強者を求めるわけでもない。

 

 だから彼は考えたのだ────手加減の仕方を。

 

 最初は単純に峰打ちを行ったのだが、峰打ちなど知らんと言わんばかりにそのまま斬ってしまった。

 次に獣の骨を使ってみた。

 文字通り無骨極まりないそれならばと。

 しかし相手は真っ二つになり死んでいた。

 これも駄目だった。

 

 その後も、枝や草葉。

 鎖や紙、布などで試してみても綺麗に斬れる。

 最後に残ったのは手刀だったのだが、これも見事に斬れてしまった。

 寧ろ『無毀なる湖光(アロンダイト)』以外の得物では一番の手応えであった。

 

 これには流石の彼も頭を抱えた。

 今や彼の全てが斬神の神楽。

 斬れぬものなど、最早無かった。

 

 世界の外側でさえ、その気になれば斬ってみせるだろう。

 しかし彼は剣神ではあったが、剣鬼ではなかった。

 別に最強を証明したい訳でも、誰よりも強くなりたい訳でもない。

 そこで彼は思い出した。

 天啓に等しい記憶が、脳裡に浮かんだのだ。

 

『────逆に考えるんだ。別に斬らなくても良いさ、と考えるんだ』

 

 彼は長年の試行の末、『斬った振り』に辿り着いた。

 斬らなくても良い。

 斬ったと錯覚させるのだ。

 

『唐竹、袈裟切り、逆袈裟、右薙ぎ、左薙ぎ、左切り上げ、右切り上げ、逆風────』

 

 人の思い込みとは凄まじいものである。

 傷を負っていないのに、傷を負ったと思い込めば痛みは発生し、果ては本当に傷が付く。

 彼はそれを痛みの段階に留めようとした。

 プロのパントマイムで、実際に壁を感じさせるように。

 斬っていないのに斬ったと錯覚させるのだ。

 それが彼が辿り着いた、これまた元ネタの存在する────『エア斬り』である。

 

『────斬りたい放題だ。どうした? 隙だらけだぞ』

 

 モードレッドの背後に立つ男は、まるで教え子に物を語るように言い放つ。

 サーヴァントに死を感じさせる程の、恐るべき斬気。

 否、ソレよりも────

 

「ふざけやがってッッ……!!」

 

 余りの屈辱に目眩を起こしそうだった。

 

 ────剣士だ。

 目の前の男は、剣使いだ。

 にも拘らず、男は今尚その両手に刃を持ってはいない。

 アーサー王やモードレッドを前にして尚、得物を手にしてすらいない!

 

「ぁああああああアああッ!!!」

 

 何故そんな事をしているのか。

 理由は明快である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「手加減している!?」

「だから、先程も言ったでしょう」

 

 凄まじい勢いで飛行しながら武具を射出するギルガメッシュの言葉に、マスター達はいよいよ絶望を感じていた。

 

 特にエレインと氷室の危機感は凄まじいものだ。

 彼女達はモードレッドの戦闘能力をよく知っている。

 生前のアーサー王がロンゴミニアドを用いて、致命傷を受けながら倒した叛逆者。

 

 そんな彼女の全てを何もせずに受け切り、あまつさえ容易く翻弄する。

 未だ開帳していないセイバーの聖剣。

 しかしモードレッドの切り札を微風のように受けた相手に、傷を付けることが出来るか否か。

 

「しかし、些か茶番感が酷くなってきましたね」

「何?」

 

 そんな聖槍で周囲を護るエレインが、アーチャーの言葉に疑問符を上げる。

 茶番、とはどういうことだ、と。

 

「だって、彼は勝つ気がない。少なくとも今は」

「……何故だ」

 

 聖杯の破壊。それが奴の目的ではないのか。

 だが、それではアーチャーの言う手加減の理由が分からない。

 そんな彼は視線の先をエレインの持つ聖槍に向けた。

 

「うーん、まぁ仕方無いでしょう。ランサーのマスターさん、()()()()()()()()()()()()()()?」 

「! ………可能だ」

「うん、ではあの竜は貴女に任せますね」

「はぁ!?」

 

 驚愕するエレインを尻目に、ニヤリと笑いながら英雄王は指を立てた。

 

 ────ボクに考えがあります、と。 

 

 

 

 

 




我が君に捧ぐ血濡れの王殺(クラレント・ブラッドアーサー)
ランク:A+
種別:対軍・対国宝具
レンジ:1~50
最大捕捉:800人『燦然と輝く王剣』の全力解放形態。荒れ狂う憎悪を刀身に纏わせ、剣の切っ先から直線状の赤雷を放つ。『燦然と輝く王剣』はモードレッドが手にしても本来の性能を発揮しないが、その「増幅」という機能は失われたわけではない。
この宝具は魔力放出スキルの応用であり、真名解放時に『燦然と輝く王剣』を構えた彼女を中心にした一帯が血に染まり、父への憎悪を魔力という形で剣に叩きこみ、増幅させて打ち放っている。

 基本的に原作通り。
 差異はアーサー王特攻ではなく、ブリテン関連者とあらゆる国家の王者に対しての特攻である点。
 云わば対ブリテン、対王宝具としても機能する。
 なんで第四次では特攻相手がてんこ盛りだったり。
 彼女にとって憎悪する父の名を冠したこの宝具は憎悪の象徴であり、らんすろに対する執着の結晶。
 まぁ当の本人には案の定アレだったが。

 ドライグの防御力については、ジークフリートの『悪竜の血鎧』とプリヤの黒化セイバーの魔力放出の壁の合わせたものの上位互換です。
 ティアマトほどじゃないが、英霊の域を超えたのだとこんな感じかと。
 ですのでランサーとライダーの宝具では魔力放出の壁は突破出来ても鎧は突破出来なかった訳です。実質A+ランクの宝具じゃ突破不可。
 突破にはA++以上でゴリ押しで魔力放出と鎧を剥いで攻撃を充てる必要があります。
 勿論それで即殺できるわけでも、ジッとしてくれる訳でもありませんが。

 らんすろはどうやって倒したって?
 無視して斬ったんだよ()

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