探偵系VTuberの成り上がり ~謎を解いて、人気者になって、お金を稼ぎます~ 作:正雪
「というわけで、VR空間で流行ってるとか流行ってないとか、見たら姿を消すとか消さないとかの神様をですね、探してみようと思うわけです」
私はグリモワール内のリビングしかない自宅で安楽椅子に座って生配信中である。
もちろんリアル側ではいつも通りベッドの上で部屋着で。
結局のところ最初はファンのみんなに聞いたことあるか確認して情報を集めるのが早い。
[お、新しい事件だな!]
[《¥2525》とりあえず資金提供]
[おじさん、とりあえず生みたいなノリで金払うなよ]
「まだ事件というほどのことではないですけどね。ただアイドルファンが新しいアイドルに乗り換えてそのまま他界しただけ説が濃厚です」
とりあえず暇だし、推理とか捜査してないとこのまま歌ばっかり求められて歌ファンの方が探偵ファンより増えるのはやってない。
[たしかにそれが一番ありそう]
【フローラ】
[《¥2525》でも黙って他界しちゃうようなファンの方ではなかったので、せめてどうなったのかだけでも知りたいです]
[フローラちゃんだー]
「フローラもこのように言ってますしね。というわけで皆さん、何か知ってることがあれば教えてほしいんです」
コメントが止まる。
「あれ? マイク切れてるんですかね?」
[いや、全然知らないから]
[誰か聞いたことあるか?]
[いや……]
「あっれー? 流行ってるっていう話だったのでは? 皆さん、私より社交的なのでは?」
[ニコよりは社交的だろうけど]
[聞いたことないもんは聞いたことない]
[《¥25252》資金を提供することしかできない」
[《¥2500》同じく]
[《¥2525》私も]
[《¥2525》ミーも]
「いやいや、そのノリのスパチャ結構ですから。嬉しいですけど、今欲しいのは情報なんですよ。しかし……解せないですね」
流行っているのではないのか……。
[マジで誰も聞いたことないのか?]
[聞いたことあるような気もするけど、ぴーちゃんのライブの時に誰かがちらっとどんな話してたかなーくらいだな]
[一人いたけど、特に情報らしい情報はなしか]
「ぴーちゃんと”ふぁんたすてぃこ”のファンでそれぞれ一人ずつ……場合によっては同一人物だったら一人もありえますね」
私は天井……といってもVR上の電球の一個もない真っ白な天井を見上げて考える。
――わからん。
思ったのはぴーちゃんの家ほどじゃなくてもちっちゃいシャンデリアとか飾ってもいいかなーってことくらいだ。
[ニコでもお手上げか?]
[これだけ情報ないとな]
[迷宮入りかなー]
「ん? 何を言ってるんですか、皆さん……」
私は自分の内側から湧き上がる熱いものを感じていた。
「ふっふっふ、謎っていうのはこうでなくちゃダメですね。わからなければわからないほどテンションが上がります。俄然やる気が出てきましたよ」
[ニコが燃えてる!]
[《¥10000》うおー]
「明日から聞き込み調査を始めますので、皆さんも何かわかったら私のSNSのDMに送ってください」