探偵系VTuberの成り上がり ~謎を解いて、人気者になって、お金を稼ぎます~ 作:正雪
西園寺凛さんは小さな声で訥々と語り始める。
「私、実はあんまりサークルにも学部にも馴染めてないんだけど……ちょっと前にサークルで人と仲良くなれるVR体験動画というかちょっとしたセミナーがあるよって教えてもらったの」
私とマッキーは静かに頷き、続きを促す。
「それで、グリモワールのアカウント作ってね、そのセミナーに参加したんだけど、なんか普通には入れないというか紹介だけなんだって。そこで……その……」
西園寺さんはそこで口ごもる。
「西園寺さんもサークルの人に紹介してもらったんだ?」
「うん」
「その人は?」
「田畑君っていう同期だったんだけど……サークル来なくなっちゃって。噂では体調不良で休学したって聞いた。別に仲良かったわけじゃないから、直接連絡もしてないんだけど……」
「なるほど……ね」
仲がいい友達に有益な情報を伝えようとしたわけではなく、彼女の悩みが見透かされ、そこにつけ込まれる形になったのであろうことは想像に難くない。
「それで、そのセミナーの内容っていうのは? なんで神様?」
「その……うぅ……」
彼女は言いたくない。言えないのだ。
私はコミュ障で人の気持ちがわかる方ではない。
だけど名探偵だから。
いや、きっと探偵じゃなくてもわかる。
彼女がそのセミナーに参加してしまった理由はマッキーと仲良くなるためだ。
それが友情なのか女性同士の恋愛感情なのかはわからないが。
だから、マッキーの前では言えないのだ。
今ならまだ自分への感情はほぼゼロだが、伝わり方によっては大きくマイナスに振れる可能性がある。
「言わなくても大丈夫だよ」
「え? TJ聞かなくていいの?」
サイコパス牧村が驚愕する。
「いい。だいたいわかったから」
「どういうこと?」
「言わない」
「えー、なんでー?」
お前がいるからだよ。と思ったけど、適当にはぐらかしておくか。
「別に簡単でしょ。ただ対人関係に悩む人を食い物にするカルトでそのリーダーが神様だって名乗ってるって話。そりゃ、そういうのに引っかかってるって言いたくないに決まってるじゃない」
「そりゃ、そうだ」
私の推理はちょっと違うがまぁいい。
アイコンタクトで西園寺さんにはわかってるぞ、と伝える。
彼女が俯いた様子からするとおそらく伝わったはずだ。
「ところで西園寺さん、私もそのセミナー参加してみたいんだけど、紹介してもらっていい?」
「え? この話聞いて参加してみたいって思うの? 東城さんには必要なさそうだけど」
「興味は実際なくもないんだけど、潜入取材が主な目的かな」
「えっと……それは……」
「西園寺さんにとって踏み入ってほしくない場所なのかもしれないとは思ってるんだけどね。多分、西園寺さんの本当の悩みってきっと解決できるきっかけは今この瞬間で……神様のところじゃないよ」
「え?」
ここはもう一か八かだ。
「その格好、私の真似でしょ? リアルで解決した方がいいよ。そんなことしなくてもきっと大丈夫」