探偵系VTuberの成り上がり ~謎を解いて、人気者になって、お金を稼ぎます~   作:正雪

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どの王子を指名するか

 あたし、西園寺凛はリンちゃんアバターでマッキーと共にVRホストクラブ「レディプリンス」にやってきていた。

 やはりVRはリアルな土地がいらない分、なんでもできる。

 本当に西洋のお城に来たみたいだ。

 

「ご新規のお姫様がいらっしゃいましたぞー」

 

 ザ・爺やみたいな白髪白髭に燕尾服のアバターに迎えられ、あたしたちは豪奢なシャンデリアがぶら下がる大広間に通される、

 ホストクラブというからもっと薄暗いかと思いきや、どちらかというと高級ホテルのティールームのような雰囲気でとても明るい。

 

「ホストクラブって感じじゃないね。ワクワクしてきた」

 

 マッキーが拍子抜けした感じで言う。

 

「ねー、これなら怖くないよね」

 

 あたしとマッキーは早くもお姫様気分でキャッキャしていた。

 TJが「そうやって警戒心解いて大金使わせるんだから、怪しげな店よりよっぽど怖いよ」って言ってるけど、まぁ当時のあたしたちにそんな発想はない。

 

「姫、今日はお目当ての王子がおりますかな?」

 

 爺やが尋ねてくるが、そんなのはいない。

 あたしは運命の出会いを求めてるんだもの。

 

「いません」あたしが言うと、マッキーが続ける。

「同じく」

 

 爺やはニコニコと頷くと、あたしたちの前に仮想ウィンドウを展開する。

 ウィンドウのデザインにも凝っていて、額縁がついている。

 

「スライドしていただき、お好みの王子をお選びください。最大3人まで姫のもとに参上いたしますので。もしお話ししていただき、お気に召した王子がおりましたらこっそり爺やにお知らせください。多少のお小遣いをお渡しして、姫とお話しする時間を長引かせられるよう取り計らいますので」

 

 なるほどー。

 3人指名して、気に入ったら追加料金で延長できますよってことね。

 

「ところで姫は別々の席になさいますか? お二人一緒でも構いませんが」

 

 そっか。

 どうしようかな。

 

「わたしいたら、遠慮しちゃうでしょ。別々の席にします。じゃ、リンちゃんまた後でね。延長するならDMして」

「う、うん」

「がんばってね。楽しくおしゃべりできるといね」

 

 マッキーがそう言うと、似たような爺やがやってきて、近くの別席に案内されていった。なろほど、他の客の席が見えないような配置になっている。これは自分の王子が他の姫を接客している様子を見せないようにするための配慮なのだろう。

 

 たしかにマッキーが言う通り、彼女が隣にいると思うと、ちょっとカッコつけてしまうかもしれない。

 マッキーはまぁまぁのサイコパスみがあるけど、基本的には優しくて気が利く子だ。

 TJに蔑ろにされた時にメンヘラ出ちゃうのと、興味がない相手にはとことん冷たいだけで……。

 

「では、改めまして。姫、どの王子にお越しいただきますか?」

 

 えーっと……。

 私はタイプが違う3人のイケメンを指差す。

 

「お目が高いですな、姫。どの王子もきっと気に入りますぞ。では、呼んで参りますのでしばしお待ちを」

 

 爺やが去っていくと急に心臓の鼓動が速くなっていく。

 どうやら緊張しているらしい。

 身体は自宅マンションのPCデスクなのに、本当にお城で王子が来るのを待っている気分だ。VRでこれだけ緊張するならリアルのホストクラブには到底行くのは無理だろう。

 

 そして――。

 ちらりと視界の端に時計を表示をした時、ちょうど深夜0時になったところ。

 

「はじめまして、お姫様。御指名ありがとうございます。僕はサカサマ・エラ」

「はじめまして。好き」

「僕も好きだよ」

 

     ※

 

「おいー! なんや、その話ー」

 

 私は学食で人目も憚らず思わず叫んでいた。

 ツッコまれたリンちゃんはニコニコしていた。

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