探偵系VTuberの成り上がり ~謎を解いて、人気者になって、お金を稼ぎます~ 作:正雪
リンちゃんはもっとウダウダ悩むかと思ったけど、あっさり二人が組むことが決まってしまった。
「流石、リンちゃん! 話が早いね!」
築地お姉さんも大喜びだ。手をパチンと合わせる。
「麻雀面白かったし、教えてもらえるのありがたいですしー」
「これでわたしも違法っぽいギャンブルからは足を洗ってVTuberとして一念発起がんばるよ。やっぱりさー、こないだの大会でわたしが雇われてたチームがリンちゃんの恋人を騙して借金漬けにしてたのとか知っちゃうとねー。そこに与すると間接的でもそういうのに加担したことになるじゃない?」
「そんなことはないと思いますよー」
リンちゃんはまったく気にしてないが、ジャンキーお姉さんが勝っていたら、藍ちゃんは死ぬまで借金を返し続ける人生だったわけだし、反社の活動資金が増えていたのだからそうも言ってられなかったと思う。
「ううん、そうなのよ。二人に会って、自分がスリルを楽しむために誰かが犠牲になってる可能性っていうのに気づけたんだよね。だからもうヤクザの代打ちとかはおしまい」
ヤクザの代打ちとかやるよりはVTuberとして活動する方がいいに決まってる。
「それに世界中回ったけど、結局わたしより強い人なんて見つからなかったんだけどさ、リンちゃんや東城ちゃんはいずれわたしを倒せるくらい上手くなると思うんだよね。だから、動画録りながら二人やまだ見ぬ画面の向こうのライバルに麻雀やポーカー教えて鍛えるのもいいよねっていうのもあるの」
「え? 私も入ってるんですか?」
「当たり前じゃない。東城ちゃんもコラボしながら勉強して、いつか本気のわたしを楽しませられるように頑張って」
まぁ、私は前回の勝ちはあまり勝ったとは思っていないし、後で見直したら本当に私たちは運良くたまたま勝てたようなものだ。
後からぴーちゃんにも聞いたが、計算上の勝率は40%以下だったというし。
ゲストでちょくちょく遊びに行くのも面白いかもしれない。
「私がちょっと勉強したらあっという間に追い抜いてしまうでしょうけどね」
「楽しみにしてるよ」
本当に楽しみそうなので、困ってしまう。
こういう時にツッコんでもらえない。
「この間の麻雀大会で知名度も上がったし、築地さんが中の人だって明かせば昔のファンもみるでしょうし、収益は結構出そうだね」
「あ、お金もらえるんだー」
「当たり前でしょ。配信なんてそのためにやるんだから」
「やったー、ラッキー」
築地さんは「儲け全部リンちゃんにあげてもいいよ」なんて言うが、流石にリンちゃんはそれは断った。
「半分こにしましょう」
「じゃあ、半分こで」
つい先日までライバルだったのだが、なんだか二人が姉妹のように見えて微笑ましい。
リンちゃんが藍ちゃんと一緒に暮らすちょっと広いマンションを借りられる日もそう遠くないかもしれない……。
「じゃあ、早速グリモワール行って配信スタジオとか必要なもの探しに行こう。二人はこのあと暇?」
「急ですねぇ」
「あたしもTJも今日はもう終わりなので大丈夫ですー」
二人のチャンネル登録者数が一瞬で藤堂ニコチャンネルを抜き去り私が不機嫌になるのはまた別のお話。
昨日『夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない』のカバーデザインが公開となりました。
ニコちゃんのリアルの姿である東城早菜ちゃんが自分の容姿をそのままヒロイン設定にしているので、是非ご覧いただき、気に入っていただければご予約・お買い上げいただけるとニコちゃんも喜びます。
https://twitter.com/shosetsu_w