探偵系VTuberの成り上がり ~謎を解いて、人気者になって、お金を稼ぎます~ 作:正雪
「マッキーはさー、あの大林大樹って人の情報はやっぱモデル事務所だから知ってたんでしょ?」
私は学食のテラス席でコーヒー飲みながら、たった一人の友人に尋ねる。
「そうね。事務所の後輩も被害者の一人だし、本人から私も誘われたよ。動画は乗り気っぽいそぶり見せて、本人に送ってもらった。録画してるっていってたからさ。私も同じ性癖なんだとか適当言って。自分で後から見返すと興奮するんだって」
「ヤベー奴じゃん」
「超ヤバいのよ」
「しかも送り先もヤベー奴だし」
「え? 私もヤバい奴ってこと?」
「他に解釈ないでしょ。警察に持って行くとかじゃなくてわざわざVtuberになって晒す奴がマトモなわけない」
「まー、否定はできないよねぇ」
「あの怪盗活動はまだ続けてるの?」
「いや、もう辞める。そんなに芸能界の暴露ネタ持ってるわけでもないしさ。単にニコちゃんのライバルに相応しい登録者数稼げればよかっただけだから。TJの探偵活動とは全然違うってことは自分でもわかってるからね」
「それがいいかもね。ニコ&ルパンの同人誌とかも結構出てるらしいし、コラボとかしたら儲かりそうだけど」
「ホントに? ルパンは引退するけど、同人誌はめっちゃ欲しい。後で買お」
「欲しいかぁ? 私はいらんなぁ」
「TJは中の人なのにあんまりニコちゃんのこと好きじゃないよね」
「そりゃ、自分だからね。リアルの自分とそんな変わらないし、自分のこと好きっちゃ好きだけど。自分のファンにはならないでしょ」
「わかるけど、勿体ないなぁ」
「勿体なくないよ。ニコは私の小説の宣伝して、学費稼ぐための姿なんだから、その役割果たしてくれればいいの」
「小説の宣伝っていうけど新作とか出るの? 書く時間ないでしょ」
「あぁ、そのうち新刊出るよ。実はちょっとずつ書いてたんだ」
「ホント? あんたすごいね。発売楽しみにしてるよ」
「別に発売まで待たなくても先に読ませてあげる。友達だからね」
「ホントに! すごく嬉しい! やった。ホント友達でよかった」
「まぁ、いいよ、別に。だって流出したら、犯人一択だし」
「出たよ、その友達いないがゆえに消去法で犯人わかっちゃうやつ」
そう言って彼女は闊達に笑った。
友達がいるというのも悪くない。
※
私はこれまで解決してきた事件のことを小説にまとめて、担当編集者に送っていた。
タイトルは――『嘘つきVtuberの化けのガワを剥がします』
これはルポルタージュやノンフィクションの類ではないのかと言われたが、かなりの部分にフェイクを混ぜたこともあってこれは小説だと主張し、小説として出版してもらった。
そして今回の作品はどうやら売れ行きが好調らしい。発売から1週間ではじめての重版も決まり、早くも続編を望む声も多い。
どうやら私はもう少しだけ探偵系Vtuber兼女子大生作家を続けていくことになるらしい。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
だいたい書籍1冊分程度の原稿が貯まったので、一旦ここまでで第一部完としたいと思います。