DM背景ストーリー 短編集   作:ナエゴン

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パラレル修整

 始まりは、かすかな胸のざわつきだった。自分の身に何かが起きようとしているかのような、感じたことのない得体のしれない不安。一時のものだろうと考えていたが、不安は胸に張り付き、増大し、やがてハッキリとした恐怖へと変わった。そして、それが自分だけでないと気付いたのもその時だ。同じ顔をしていた者が大勢いた。皆同じ恐怖を抱えていた。

 

 この現象の奇妙な点は二つ。一つは、仲間達が一斉に同じ恐怖に襲われたこと。もう一つは、恐怖の対象が分からないこと。自分が何を恐れているのか、誰一人分からなかったのだ。ただ、恐怖は間違いなく存在する。心底気味が悪い。

 

 やがて誰かが言い出した。「世界の終わりが来るのでは?」と。心当たりはあった。龍頭星雲。宇宙の果てに存在する、暗黒の空間。無数のクリーチャーの死骸があるとか異世界と繋がっているとか様々な噂があるが、調査に行った者は誰一人帰ってこなかったから真相は分からない。ただ、確かなのは少しずつ大きくなっているという事だ。

 

得体のしれない恐怖

謎の暗黒空間

 

──いつしか、この恐怖から解放されるには世界を滅ぼすであろう龍頭星雲を打ち破るしかないという考えが皆に広まっていった。

 

 そして、今に至る。宇宙の果てにいくという事で同士を募った結果、話が更に広まり、同じような恐怖に包まれていた者が数えきれないほど集まってくれた。ここで初めて気付いたが、集まったのは皆ドラゴンだった。聞いた話によれば、ファイアー・バードなどに似たような恐怖を訴える者はいなかったそうだ。これもまた奇妙な話である。

 

遂に聖戦の時は来た。今こそ龍頭星雲を消し去り、我らの安寧を取り戻すのだ…

 

 

 

 

 …待て、本当に原因は龍頭星雲なのか?世界の危機といえば、心当たりはいくつもあるはずだ。何故、今の今まで龍頭星雲以外の可能性を疑わなかった?何故、龍頭星雲に攻め込む事だけに囚われた?そもそも、龍頭星雲が世界を滅ぼすなど、確証が全くない。おかしい。何かおかしい。

 

そう思い、話をしようと隣を向くと、そこにいたのは何かに取り憑かれたような目をした同志だった。彼だけではない。見渡すと、周りのドラゴン全てが同じ目をしていた。

 

この瞬間、私は先程までとは明確に違う、新たな恐怖が自分の中から湧き上がるのを感じた。それは、自分達が何か大きなものに操られているのではないかという、自分が自分でないような感覚。

 

自分は本当に自分の意思で動いているのか?龍頭星雲への疑いは、最初の得体のしれない恐怖は、本当に自分の中から生まれたものなのか?誰かに植え付けられたものではないのか?この進撃で、我々は本当に安寧を取り戻せるのか?

 

いくつもの疑問が頭の中で広がっていく。しかし、もはやそんなことを考えている余裕はなさそうだ。

 

 とうとう、龍頭星雲の前まで辿り着いた。もう覚悟を決めるしかない。何が待ち受けていようとも、闘うしかないのだ─。

 

 

 

 

 

 

「ほう、これは興味深い。」

「どうなさいました?ミスティ様。」

「この間まであなたがいた世界でドラゴンが消滅したでしょ?」

「あぁ、"禁断の星"の。それが何か?」

「平行世界ってね、どこかの世界で大きな変化が起きると、他の世界も似たような現象が起きるのよ。あれ程の特大の変化となると、かなり強引な修正が起きるんだなって。」

 

 私にはよく分からなかったが、フフフ、とミスティ様は笑っていた。

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