Bang Dream! ~時空の叫びと星の鼓動~   作:ライノア

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四話 中編どうぞ!


第四話:甘辛い嫉妬 中編

RIO SIDE

 

市ヶ谷の家に宿泊することになった俺が風呂から上がったタイミングで、インターホンの音が耳に入る。

 

有咲「私、出る!」

 

宅急便の車が走り去って行く様子を見届けた後、俺は市ヶ谷が購入した物と思われる横長の段ボールを開ける。

何と段ボールに入っていたのは、銀色をベースにしたキーボードだった。

 

有咲「ヤベェ...!」

理央「それはRolandのJUNO-DS61!?最安でも8万ぐらいもする値段のキーボードだぞ!運がいいなぁ...!」

有咲「...理央。ちょっと頼みがあるんだけど、いいか?」

 

購入したキーボードに感心していた俺は、市ヶ谷の頼みを聞く事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理央「そういや香澄。ギターケースを入れる袋は完成したのか?」

香澄「それが、中々終わんなくて...」

 

翌朝の12時過ぎ。俺達はいつも通りに弁当を食っている。

 

沙綾「あんな大きいサイズの作るから...」

有咲「ふぅん。じゃあ、今日は来ないんだ」

香澄「ん?何かあったっけ?」

「「!?」」

有咲「なっ、何でもねー!」

 

軽はずみな香澄は、市ヶ谷を放ったらかしにしてるのに気付いていない様子だ。

市ヶ谷は知らないフリをしながら啖呵(たんか)を切り、焼売(シューマイ)を口に運ぶ。

 

香澄「でも、おたえと仲良くなった」

理央「誰だよそいつ?若しかしてだが、花園の事か?」

香澄「そう!花園おたえちゃん。うちのクラスの」

沙綾「''おたえ''って...」

理央「時代劇の娘かよ」

 

おたえというぶっ飛んだ渾名(あだな)に苦笑する俺を含め、香澄は花園について熱弁(ねつべん)する。

 

香澄「おたえもギターの袋作ってて...あ、おたえ凄いんだよ。音聞いただけでチューニングしちゃうし、好きなんだって」

理央「んじゃあ、そいつもお前と同じ変態って訳か」

香澄「変態じゃないよ!」

理央「まぁ、その花園って奴とは...」

「「SPACEでバイドしてるよね(見掛けたんだよな)」」

 

小声で独り言を呟くりみと真実を告げた俺の声がハモる。

 

「「えっ?」」

「「えっ()?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、俺達三人は市ヶ谷家の蔵で香澄を待っている。

俺もメンバーの一人だし、何のパートやればいいのか正直言って迷う。

 

りみ「香澄ちゃん、遅いね...」

有咲「あいつ、今日も来ないつもりかよ」

りみ「だ、大丈夫だよ!今日で課題終わらせるって言ってたし...」

有咲「どうだか。花園って子とお喋りして、手が止まってんんじゃねーの?」

 

声がくぐもってる時点で明らかに嫉妬(しっと)してるな。

 

りみ「そ、そんな事ないよ!」

有咲「つーか、その花園さんってどんな子なの?」

 

市ヶ谷に問われるが、俺とりみも花園に関しての情報は知らない。

時空の叫びで過去を(のぞ)き見たいところだが...過去の記憶が見えるのか、はたまた未来の記憶が見えるのかは俺にも分からない。

 

理央「俺は一言で言えば、天然だな」

りみ「あんまり話した事ないけど、ちょっと不思議な感じかも」

有咲「不思議って...」

りみ「あっ、でも、良い子だよ。きっと!」

有咲「つまり、牛込さんと理央もよく知らないんだな」

理央「まぁ、そんな感じだ」

 

第一、時空に叫びの事は俺と香澄だけの秘密だ。今はそれを言う時期じゃない。

りみのスマホロトムが振動する。どうやらメールが届いたみたいだ。さて、結果は...!

 

りみ「遅くなったから、今日も行けないって」

理央「......マジかよ」

有咲「......」

 

今日も蔵に行けないんじゃ(らち)が明かないな。

 

りみ「香澄ちゃんにもアレ(・・)見せたいよね」

有咲「べ、別に見せたい訳じゃねーし...」

理央「市ヶ谷にとっては無理もないだろう。だが、もし香澄がお前の気持ちに気付かなかった時の最終手段として...」

りみ「...有咲ちゃんと理央くんが戦うって事?」

 

りみの問い掛けに俺は(うなず)く。

 

理央「ああ、香澄がギターの袋を作り終えたタイミングでバトルを行う。今の内にトレーニングを済ませておけよ?」

 

最後に『一日くらいはトレーニングを控えてもいい』と伝えると、俺は我が家に帰宅すべくカゲロウの背中に乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我が家で晩飯を食った後、香澄はランダムスターで五弦の練習をしていた。

 

香澄「ギターって弦抑える指決まってるんだって、あっちゃん!」

明日香「聞いてる」

香澄「見てて。ええっと、Aコードは四弦と三弦と二弦のリフレットを人差し指で...」

 

アイスを食いながらスマホを弄っている明日香に、香澄はギターの弾き方についての紙を見ながらギターを弦を弾く。

紙に書いてあった説明通りに弦を弾いてみるも、ピーンと小さな音が鳴った。

 

香澄「あれ?ええっと...あっちゃん!これ、Aコード!」

明日香「聞いてる聞いてる」

香澄「Dコードは四弦を抑えないで三弦の二フレット。二弦の三フレットは薬指。ううん、一弦のリフレット...指吊るぅ〜!」

 

指が吊らない程度に弦を抑えながら弾くと、今度は大きい音が鳴り響いた。

 

沙織「ちょっとは弾ける様になったじゃない」

香澄「えへへ。あっちゃんあっちゃん!」

明日香「何...?」

香澄「アイスが食べたいな〜」

理央「食いたいなら食えばいいだろ」

 

ギターの弾き方に奮闘するのもいいが、少しは市ヶ谷の事も気に掛けてやれよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香澄「おたえにコード習ったんだ。キラキラ星はメジャーコードを...?だから初めての人向けなんだって!」

りみ「......そ、そうだね」

理央「それより香澄。家庭科の方はどうなっている?まさか、今日も終わらないって言わないよな...!?」

 

香澄が花園の事を市ヶ谷に熱弁している中、俺とりみは相槌(あいづち)を打つ。

 

香澄「それがまだ〜」

有咲「...だと思った」

りみ「じゃあ、蔵来るよね!?」

香澄「うーん...終わったら」

有咲「終わんねー。一生終わんねーな」

香澄「一生はないよ〜」

 

嫉妬を剥き出しながら道路を渡る市ヶ谷に、香澄は冗談だと思い込む。

全く、本当に世話を焼かせるバカ姉貴だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香澄「おたえがアンプ持って来てくれてね。ちっちゃくて可愛いの。おたえは音が余り良くないって言ってたけど...ちゃんと音が出るし、おたえのギターカッコいいんだ〜!」

「「......」」

 

次の日の午前12時過ぎ。花園の事で頭がいっぱいの香澄に、俺は袋から取り出したポケモンフーズを不機嫌に咀嚼(そしゃく)し、市ヶ谷は胡坐(あぐら)をかいていた。

どうにか相槌を打っているりみだが、市ヶ谷の不機嫌さを見て浮かない顔をする。

 

沙綾「課題を終わらせる気ないな」

 

ドヤ顔で言う山吹に苦笑する香澄に、りみは一か八かの賭けに出る。

 

りみ「香澄ちゃん。あのっ...課題終わったら、蔵で練習しない?香澄ちゃん居ないと...ねっ?有咲ちゃん」 

有咲「私、関係ねーし」

りみ「ええっ!?...でも!」

香澄「あっ、おたえ。ちょっと行って来る!」

 

りみは花園の元へ駆け付ける香澄を必死で呼び止める。

 

りみ「香澄ちゃん...!」

香澄「おーい、おたえ〜!」

たえ「Gコードは中指から抑えた方がいいかも」

香澄「そっか、こうか...あっ、りーくんと有咲戻るの?」

有咲「...それが?」

理央「......行くぞ市ヶ谷。香澄はそいつと一緒に居た方が幸せかもな」

 

俺は香澄にわざと突き放す様な言い方をしながら、市ヶ谷と共にその場を後にする。

これが人間の『嫉妬』って奴か...。

 

ルカ『...ガウガウ(少しは二人の事も構ってあげて)』

香澄「えっ...?」

 

人間にポケモンの言葉が分かるわけがない。だが、せめて一言だけでも言っておきたい。

ルカは香澄に市ヶ谷の気持ちを代弁すると、俺達の背中を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




TO BE CONTINUED...








若しも理央君が四凶ポケモンの中でガールズバンドメンバーとのポケモンバトルで使用するとしたら...?

  • チオンジェン
  • パオジアン
  • ディンルー
  • イーユイ
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