Bang Dream! ~時空の叫びと星の鼓動~ 作:ライノア
NO SIDE
LIVE HOUSE SPACEの出入口の照明が消され、SPACEのロビーでは
外からは救急車の警報音が鳴り響く中、SPACEのオーナーである詩船はコーヒーを一口飲みながら
フレームガラスの手動ドアがギィっと小さな音を立てて開く。
ドアを開けた正体は、SPACEでアルバイトをしていた花園たえだった。
たえ「オーナー。ちょっとだけいいですか?」
詩船「飲んだら直ぐ電気消すよ」
冷徹な眼差しを向ける詩船は、たえの意見を
たえ「
理央「...急用だが、邪魔するわ」
香澄「お邪魔します...」
たえの声に続いて香澄と理央はロビーに足を踏み入れ、そのままライブステージへと向かった。
RIO SIDE
たえ「SPACEはガールズバンドの聖地なの」
理央「''ガールズバンドの聖地''?」
首を
たえ「うん。オーナーが認めたバンドだけが此処に立てる...バイドの後とか休みの日は、私もライブ見るんだ。最初はギターの勉強したくてだったけど、出る人達みんな楽しそうで...見てると直ぐ好きになっちゃう。それって、凄いと思うんだ。演奏も凄くて、私も此処に立ちたいって思うけど...まだ全然届かない」
香澄「...ホントに?」
理央「SPACEに入ったのはいつ頃だ?」
花園はSPACEでアルバイトする様になった出来事を語り始める。
たえ「春休みにバイド初めてから三ヶ月経ったけど、色んな人に会ったよ。バンドが好きな子、これからSPACEのオーディションを受ける人、オーディション落ちちゃったけどライブを見に来た人も...
「「......」」
俺はポケモンだった頃の出来事を振り返る。ピカと探検隊を始めて、沢山のポケモンと出会った。
俺達二人を支えてくれたギルドの仲間達、病弱な母親のために手伝いをする優しい二匹の兄弟、温泉が大好きな物知りで肝心なところを忘れてしまう長老。そして...かつて俺が人間だった時のパートナーで、盗賊として過去世界にいる全てのポケモンを敵に回してでも世界を救おうとした者。
今振り返ってみると、花園の経歴が少し俺に似ている。
たえ「皆、此処に立ちたいけど立てない場所なの」
理央「いや。地道な努力さえし続ければ不可能なんてものはない」
香澄「私もりーくんも此処に立ちたい!凄い頑張って、オーディション受けて、皆をキラキラドキドキさせる!」
オーディションへの思いが強くなった香澄だが、コードすらも分からない、タブ譜の意味も分からない様な人間がオーディションを受けるのは不可能だ。
それどころか、真面にライブが出来ないと思われる。何というか、
そんな香澄の覚悟を試す様に、花園は俺達にこう言い放った。
たえ「...じゃあ、やって。私を震えさせて」
OP『Buzy/Be Somewhere』
有咲「んで、おたえをドキドキさせる作戦って何?」
昼のチャイムが木霊し、有咲は花園を
香澄「ライブするの!私がギターで、有咲が...!」
有咲「ライブなんて出来るわけねーだろ!!」
香澄は肩を揺さぶられる。有咲も先程売った利根川を代償にキーボードを貰っているが、まだ結成されていないのにも関わらずバンドをするのはご法度だ。
花園が昨日言ってた『オーナーに認められたバンドでなければステージに上がる事は不可能』。俺達を冷静に突き放したのも、何かしらと義理がある。
りみ「出来なかったらバンド解散...!?」
理央「いや、バンドが無理なら普通にポケモンバトルでも良くないか?」
有咲「それな。ってか、結成してねーし」
香澄の肩から手を離し、あぐらを掻く有咲。
沙綾「基準が分からないけど...もし駄目だったら、そのオーディション受けられないって事?」
香澄「嘘...!?」
理央「ああ。花園が昨日言った...オーナーが認めたバンドでなければ、ステージに上がる事は先ず不可能だ。それほど人間の世界は...じゃなくて、世間は甘くないってこった」
あぶねーあぶねー。危うく正体がバレるところだった。
俺とした事がつい口走ってしまった。
たえ「そこまでは言ってないけど...」
理央「お前、いつの間に!?」
有咲「何でいんだよ!?」
花園が即答しながらも香澄の隣に座っていた。
香澄「''おたえドキドキ作戦会議''〜!」
たえ「重要参考人」
ヒバニー『ヒバ(ニン)!』
「「どうみても敵だろ!?」」
香澄「え?違うよ。友達!」
ヒトカゲ『うん。おたえもヒバニーも、僕達の友達!』
「『友達...!』」
その言葉を受けた花園は両手を胸に手を当て、ヒバニーは目を輝かせながらヒトカゲに抱き付く。
沙綾「花園さん?」
りみ「心臓痛いの...?」
たえ「ううん。友達って言われたの初めてで...!」
ヒバニー『ヒバヒバ〜(うん。ヒトカゲはオイラの友達〜)!』
沙綾「まぁ、あんまり言わないよね」
りみ「あのっ!...ライブで花園さんをドキドキさせられなかったら、どうなるの...!?」
心配そうにりみは
有咲「ってか、関係なくない?うちらの関係じゃん」
たえ「確かにそうだけど、SPACEは甘くないよ?ヒバニー、行こ」
『素人が簡単にステージに上がれると思うな』。そんな意味で再び冷静に突き放すと、花園とヒバニーはその場から離れて行った。
理央「花園。SPACEの仕事はいつからだ?」
俺が質問すると、素直に振り向いてくれた。
凛々子「バイト?」
香澄「はいっ!」
有咲「い、いえ...」
香澄「えっ!?皆でやろうよ!」
有咲「ふざけんなよてめー!」
理央「俺達が何のために此処に来たと思ってんだ」
りみ「私は、お母さん達に聞かないと...!」
従業員である
やっぱり
詩船「準備中だ。関係者以外は出ろ」
香澄「オーナー、バイドさせてください!」
詩船「そんな時間あんのかい?花園、仕事だ」
たえ「はい」
オーナーは声掛けると、花園は早速仕事に取り掛かった。
夕暮れ時となり、俺達兄妹と有咲は木の床下に座り、りみは窓からSPACEの様子を眺めていた。
香澄「...はぁ」
有咲「何だよ。溜息なんか吐いて」
香澄「SPACEの事、もっと分かるかなぁって」
りみ「そうだったんだ...」
そうとなれば手っ取り早く時空の叫びを使うべきだったと、俺は一瞬だけ心の中で後悔した。
理央「一つだけ気掛かりがある。SPACEは何故、『ガールズバンドの聖地』と呼ばれているんだ?」
たえ「聖地は聖地だよ」
香澄「なるほど!」
「「全然分かんないんですけど...」」
俺達のやり取りに苦笑しながら、りみはフシネの過去を語ってくれた。
かつてバンドのギターボーカルを担当し、ライブハウスの怖そうなイメージを
同時にポケモントレーナーもやっていた様で、チャンピオンに上り詰める程の実力者だった。
そんなある日、とあるバンドがやり切らないまま終わろうとしたのを見た以降、技術や演奏の完成度よりも『やり切ったかどうか』を基準としてオーディションという形で自分が設立したSPACEのステージに立つに相応しいバンドを見極める様になったそうな。
その時のセリフがこうだ。
詩船(30年前)『私より音楽が好きだって奴は上がんな!!』
理央「そうだったのか...」
有咲「怖え〜」
香澄「でも、カッコいい!」
その話も花園は知っていたのか、りみに近付いてきた。
たえ「よく知ってるね。りみ」
りみ「ええっと...お姉ちゃんに聞いたの」
たえ「お姉ちゃんって、グリグリのゆりさん!」
りみ「うん。お姉ちゃん達もファーストライブはSPACEって決めてた...」
時間は夜になり、二人組のガールズバンドのライブが終わると観客席に歓声が湧き上がる。
ライブが終わってから数分後、観客席に居るのは俺達だけとなり、りみはライブの感想を花園に伝える。
りみ「うわあ〜!楽しかった。鳥肌立っちゃった!」
たえ「私も」
有咲「おい香澄...」
理央「そろそろ帰るぞ」
俺と有咲が声を掛けたが、香澄はステージの前で立ち止まっていた。
香澄「...凄かった」
有咲「えっ?」
香澄「指すごい動いてた!皆、完走に弾いてたから...でも違った!前は分かんなかったけど、おたえの言ってた意味、ちょっと分かった!」
理央「SPACEでやるんだろ?」
香澄「うん!すっごく大変だと思うけど...私も此処でキラキラドキドキしたい。おたえの事、ドキドキさせるね!」
ギターを弾く難しさと楽しさを実感した香澄は、花園を震撼させる事を改めて宣言する。
帰り際にSPACEのステージを使用するのは流石に無理なため、有咲の許可を得て実家の蔵を代用する事にした。
~有咲の蔵~
有咲「んで、何やんだよ?」
香澄「う〜ん...どうしよっか?」
理央「ちゃんと考えろよ」
腕を組んで何かを考えていた香澄だが、何も考えていなかった模様。
香澄「キラキラ星は!?」
理央「止めなさい」
香澄「でも、SPACEでやった時はキラキラだったよ?」
有咲「だからその『キラキラ』の意味が分かんねーっつーの!それに、あれは全部グリグリのおかげだろ?」
香澄「ゆりさんみたいに弾くから〜!」
有咲「出来ねえっつぅの!馬鹿じゃねぇの!?」
りみはゴタゴタになりかけた二人を仲裁すべく、俺の肩を少し叩いて耳打ちをしてきた。
りみ「......」
理央「ああ、成る程。二人共、ちょっとりみがお前らに提案したい事があるんだが...」
香澄と有咲の片方の耳にイヤホンを付ける。
流れているのはゆりのギターの音と、りみの歌声だった。
りみ「お姉ちゃんと前、作った曲なんだけど...私の鼻歌が元だから全然あのっ、あれだけど...そんなに難しくないから」
香澄「歌ってるのはりみりん?」
りみ「一応、試しに撮ろうって...」
有咲「へぇ〜」
確かにりみが自分の鼻歌から作った曲でもあるし、そんなに難易度は高めではない。
まぁ、可愛らしい曲で何よりだ。
香澄「可愛い!すっごい可愛い!」
りみ「ホント!?」
香澄が評価すると、りみは喜んでくれた。
理央「せっかくだし、俺も聞こうかな?有咲。もっかい流してくれ」
有咲「オッケー」
理央「ついでだから、お前も一曲聞いてくか?」
りみ「えっ...?」
俺は両耳にイヤホンを付ける。
そしてりみのスマホの音量を最大にして再生ボタンを押すと同時に、素早くイヤホンのプラグを取る。
イヤホンから響く大音量に一瞬だけ
『〜♪』
「「にひひ...!」」
理央「自分で作った曲だ。最後まで味わって聞け」
りみ「うわあ〜っ!?音出さないで〜!!」
ヌマクロー「?」
自分の歌声が蔵中に響き渡り、恥ずかしいあまりに顔を赤らめるりみの様子をヌマクローは首を傾げた。
TO BE CONTINUED...
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