Bang Dream! ~時空の叫びと星の鼓動~   作:ライノア

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五話 中編どうぞ!


第五話:兎追いし花園 中編

RIO SIDE

 

有咲「何だ簡単じゃん」

りみ「ホント...!?」

有咲「...多分」

りみ「良かったぁ...!」

 

蔵でするライブこと『クライブ』で披露する楽曲として『私の心はチョココロネ』の楽譜をパートごとに分配(ぶんぱい)される。

有咲は勉強があると乗り気ではなかったが、りみが『お姉ちゃんにキーボードのパートを作ってもらった』と言われると直ぐに食い付いた。

 

香澄「りみり〜ん!どうしよう、全然分かんない」

りみ「タブ()の方がいいかな...?」

香澄「''タブ譜''?」

 

有咲は余裕だが、半分難しそうだなと言わんばかりに苦言を述べる。

完全初心者である香澄にとってはタブ譜の意味が分からなかったため、りみにマンツーマンで教えてもらう事にした。

 

りみ「四弦の五フレット...」

香澄「こう?」

 

りみの指示通りに弦を弾く。

 

りみ「うん。次は一弦の七フレットかな...?」

香澄「一弦の七フレット...」

りみ「あれ?違うかも。ええっと...!」

香澄「ええっ、何処何処?」

りみ「一つ、隣かな...?」

 

有咲は香澄の様子を見て何かしらと違和感を感じていた。

そして数分後...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たえ「こんちには」

ヒバニー『チハ〜っす!』

香澄「おたえー!教えて〜!」

理央「通りで呼び出すと思った」

有咲「ちょっと待て!何で花園さんを連れて来るんだよ!?」

 

最終的には練習の仕方が分からなかった香澄が花園を蔵に呼び出す結果となった。

あいつもギターに関してはとても詳しいから、コーチには持って来いだな。だが、有咲はこの状況を飲み込めずにいた。本来震えさせる対象である(はず)の花園を香澄が自身の蔵に呼び出してしまったのだから。

 

香澄「だって、おたえしか頼れる人居ないし...」

有咲「確かにそうだけどさ...!」

たえ「私は別に気にしないよ?」

りみ「香澄ちゃんがギターの練習分かんなくて御免ね。ええっと、この譜面の曲なんだけど...」

 

香澄に泣き付かれている花園にりみがギターパートの譜面を配る。

 

たえ「有咲。アンプ借りるね」

有咲「えっ?うん...」

 

無頓着(むとんちゃく)な表情とは裏腹に、『こんなのは朝飯前だ』と言わんばかりに余裕そうな雰囲気を漂わせていた。

花園は有咲から借りたアンプをギターに接続し、譜面を見ながら最初のサビを弾く。ギターを披露し終えると、俺達は拍手喝采(かっさい)をする。

 

香澄「おたえ最高!」

りみ「うん。凄い!」

有咲「すげぇ...!香澄の代わりにギターやらね?」

理央「ああ。バカ姉貴はボーカルだけで十分だ」

りみ「えっ、冗談だよね!?」

有咲「にひ〜!」

理央「勿論、ウソだよ〜!」

 

冗談そうにニカっとする俺と有咲。香澄は花園にアンコールを(うなが)すと、何故かスマホで撮影をし始めた

 

香澄「おたえ、もっかい!いい?」

たえ「うん」

香澄「はい、行くよ〜!よーいスタート!」

たえ「チョココロネの歌〜!」

ヒバニー『うた〜!』

理央「何だこれ」

りみ「あはは...」

 

その様子に苦笑するりみ以外の俺達は呆然した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~花咲川女子学園 中庭~

 

沙綾「ライブの準備頑張ってる?」

香澄「うん。順調順調!おたえにバッチリ教えてもらってるし!」

沙綾「えっ?何か勝負的な感じじゃなかったんだ...」

有咲「それなー」

りみ「あのっ、お姉ちゃんクライブに来てもいい?」

 

次の日の昼休みにて中庭で昼飯を堪能(たんのう)している中、チーゴジュースのストローを口から離したりみが、実姉であるゆりがクライブに来る事を明かした。

 

理央「...マジかよ」

香澄「ホント!?」

有咲「ええっ、マジか。すげー緊張すんじゃん!!」

たえ「グリグリのゆりさんが...!?」

沙綾「花園さんが緊張しなくても」

 

相変わらず天然な花園を山吹が落ち着かせるが、SPACEで働いていた人間が有名ガールズバンドのメンバーがライブに来る事を知れば、緊張せずにはいられないだろう。

 

有咲「あ、うちの婆ちゃん呼んでいい?何か見たいって言ってて...」

香澄「勿論だよ。お婆ちゃんにも見てもらお!せっかくだから、あっちゃんやりーくんも誘おうかな?」

理央「俺もかよ...そういえば、山吹は来ないのか?」

沙綾「えっ?あぁ、でも...」

 

山吹もバンドのオーディエンスに誘われるのだが、控えめな態度で冷や汗をかきながら視線を左側に向ける。やはり過去に何かあったのだろうか...?

 

たえ「来て!」

沙綾「......」

香澄「さーや!」

沙綾「うわあっ!?わ、分かった分かった。ずっとは無理だからね!」

香澄「やった〜!」

 

花園に(そで)を掴まれ、香澄に押し倒された山吹は(なか)ば強制でクライブに行く事にした。そして花園が唐突に爆弾を仕掛けてきた。

 

たえ「''彼''も連れて来よっかな〜?」

[「「えっ(は)...!?」」」

りみ「おたえちゃん、付き合ってる人居るの!?」

理央「早まるな、まだそうとは断定していない...ん?」

 

花園の彼氏の話で騒ぎ立てる香澄達。それを二階から見下ろしていたのは二組の海野夏希。俺と目が合ったのか、冷淡な表情を浮かべながら廊下を歩き出した。

 

スリープ『おっと、済まないね』

 

何か隙があれば、打つかるフリをして時空の叫びを発動する事も出来る。ポケモンだった俺が、お(たず)ね者だったスリープと打つかった時と同じ様に。

放課後のバンド練習やポケモンバトルも花園が付き()う事となり、香澄達三人をよりよく中和(ちゅうわ)させている。

 

 

 

 

 

 

 

 

~戸山家 リビング~

 

明日香「二人共。お風呂出たよ」

理央「そういえば明日香。明日、暇か?」

明日香「うん。急にどうしたの?」

理央「バカ姉貴が同じクラスの花園をドキドキさせるんだとよ」

香澄「うん。二人の事もドキドキさせるね!」

理央「まぁ、俺は気分によるがな」

香澄「そんな事言わないでよ〜!!」

 

冷たい態度を取っている俺だが、義姉の初めてのライブだ。期待せざるを得ないだろう。若しライブが終わった後に誰かにポケモンバトルを挑まれたその時は、全力で相手をしてやるまでだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~市ヶ谷家~

 

クライブ当日となり、俺達姉弟は山吹を含めた有咲達と合流する。だが一番肝心な花園がまだ市ヶ谷家に到着していない。あいつの言う『彼』を連れて来るのにも然程(さほど)時間が掛かるのだろうかと思っていたが、約十分以内で到着。『香澄とお揃いのギター袋は付けてないのか?』と俺が尋ねると、花園は目に涙を浮かべながら『ケースを背負いながら立ったら急に破れた』と回答した。

 

香澄「同じだ...!」

有咲「ギター同士、仲良しだな...」

 

うちのバカ姉貴のギター袋も破れたが、ギターケースは明日香の迅速(じんそく)な行動で地面に落ちる事はなかった。もうランダムギターをケースごと修理に出すのは二度と御免だからな。金掛かるし。

 

たえ「りみ、可愛い!」

りみ「えへへ。有難う」

香澄「おたえ、私も気合入れて来た!」

 

花の髪飾りを付けているりみが褒められているのを見て、香澄も自分の髪型を自慢する。

 

有咲「その髪型、猫ポケモンか?」

りみ「ピカチュウじゃない?」

理央「残念ながら、これは星だ。一瞬ピッピだって思ったろ?」

たえ「確かに。ピッピの耳にも似てる」

 

コントに区切りをして、俺達は花園の右手に持っているモンスターボールに目を付ける。

 

理央「それより花園。そのモンスターボール...どんなポケモンが入ってるんだ?お前の言う『彼』か?」

たえ「うん。これはね...」

香澄「見せて見せて!」

有咲「ちょ、おまっ...!」

 

どんなポケモンか待ち切れずにいた香澄がモンスターボールのスイッチを押す。開閉したボールから青白い光が、俺達の視界を(おお)った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~有咲の蔵~

 

NO SIDE

 

万実「ジュースでよかった?」

沙綾「はい。有難(ありがと)う御座います」

 

沙綾達四人は、有咲の部屋にてソファーに座っていた。

 

ゆり「貴女、確か戸山さんだよね?中3の...」

明日香「はい、ご存知でしたか?」

ゆり「うん。水泳部の可愛い後輩だもの。部長としては覚えておかないと...お姉さんとお兄さんのライブ、楽しみだね」

 

ゆりが水泳部の部長である事は存じていた明日香だったが、後輩である自分を知っていた事に驚きを隠せなかった。

 

明日香「お姉ちゃんはおっちょちょいで、お義兄ちゃんは交戦的だから、ちょっと心配で...」

ゆり「心配いらないわよ。あの二人も貴女と同じで、この時のために練習してきたんだから。夏の大会、楽しみにしてる」

明日香「すみません。私、その前に...」

理央「来るな、来るな、来るあああああああああッ!!!!」

 

明日香は不安ながらも香澄と理央とは違う高校受験を受けるという事実を告げようとしたが、それは理央の悲鳴によって妨げられた。

理央に向かってドスドスと跳ねていたのは、腹部が腹巻状の茶色と黄色い毛布に覆われている中年体躯のウサギポケモン。

口周りの茶色い毛は(ひげ)の様になっており、両耳は腕の様な形をしている。

 

???「ホルホルホルホル。ホルホルホルホル〜!(あーら、そんなに逃げなくてもいいのよ。あたしが抱き締めてあげるから〜!)」

理央「来るなっつってんだろ、オカマウサギ!!」

???「ホルホルホル。ホルホルホル、ホルッド!(失礼ね。あたしこれでも立派な乙女ポケモンよ!)

理央「いや、何処がだよ!?」

 

素っ頓狂(とんきょう)な声を上げた理央は、リオルだった頃の身体能力を活かした跳躍力で明日香の後ろに隠れる。本来なら自分の正体を隠すために人間離れな身体能力を秘匿(ひとく)していたが、トラウマであるポケモンを目の前にして恐慌(きょうこう)せざるを得なかった。

 

明日香「お義兄ちゃん、ホルードぐらいで奇声を上げなくても...」

理央「ううっ、だってぇ...!」

ゆり「パルデアチャンピオンにも、苦手なポケモンもいるのね」

明日香「お義兄ちゃんは小学生の頃、色違いのホルビーをサブパートナーにしていた事があったんです。今は私のパートナーなんですけど、ホルードに進化するのを何故か嫌がってて...」

沙綾「因みにどんな理由?」

明日香「話すと長くなりますけど...」

 

沙綾の問い掛けに、明日香は理央の小学生時代のトラウマを掘り下げる。穴掘りポケモン ホルード。オガシマタウンに居た頃の理央にとってはトラウマそのもので、過去にサブパートナー的存在だった色違いのホルビー ラビーが進化したらどんな姿になるのかと期待を膨らませていた。そんなある日、とある生徒が出したホルードを見て、愛くるしい外見からおっさんの様な姿に一転するという事実に絶望。その事実にラビーもショックを受けたのか、理央と共同して理性を失う程にフルボッコにした事がある。その後、偶然手に入れた変わらずの石を持たせてラビーを進化させない事に成功している。これ以降、理央はホルビーを持っている後輩に『絶対にホルビーを進化させるな。ショックを受けるぞ』と促す様になった。

 

ゆり「そんな過去が...」

沙綾「まぁ、可愛いポケモンが望んでもいない姿に進化してショックを受けるのは誰だってある事だしね」

理央「当然もクソもねぇよ!!ってか、ライブは?」

香澄「そうだった。よぉし、皆準備しよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RIO SIDE

 

準備万端な香澄達の前に花園も加わり、ギターにアンプを繋げる。

 

香澄「ドキドキしてきた...!」

たえ「私も...」

有咲「手汗ヤバい...!」

りみ「ふぅ...ふぅ...!」

 

緊張によって手汗が出たり、息が乱れそうになる有咲とりみ。全員が落ち着いたのを確認した香澄はクライブの司会を実行する。

 

香澄「こんにちは、戸山香澄です。本日はクライブに来てくださって有難う御座います!」

万実「有咲〜!」

有咲「ばーちゃん!///」

 

可愛い孫の演奏が楽しみで名前を呼ぶ万実さん。これにより、大分緊張が(ほぐ)れたことだろう。

 

香澄「今日はおたえと、さーや、あっちゃん、おばあちゃん、そしてりーくんをドキドキさせます。してくださったら嬉しいです!行きます...''私の心はチョココロネ''!」

 

互いに目を合わながら頷く四人。香澄の曲名発表と同時にりみがスマホロトムの液晶画面に映る再生ボタンを押し、4拍子のテンポ音に合わせて演奏が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香澄「やった!最後まで出来た!」

有咲「マジヤバかった!ホントヤバかったって!」

りみ「でも、楽しかった!」

明日香「勝負じゃなかったの?」

理央「そうみたいだな。演奏の方はまだまだ未熟だが、気持ちは十分に伝わった。あいつら四人は一緒に演奏している内に、震える程に輝いてた」

香澄「だって、一緒に演奏した方がドキドキするから、ねっ、おたえ!」

たえ「...香澄、有咲、りみ!」

 

曲を終えて緊張感を解いた三人に抱き寄る花園。これでバンドメンバーは五人になった...と言いたいところだが、肝心なドラムが未だに残っている。恐らく山吹がその候補に当たるのだが、俺は山吹と初めて会った際に打つかった衝撃で発動した時空の叫びの言葉を振り返ってみる。

 

沙綾『私の代わりに誰かが損して...だから辞めたのに...今更出来る訳ないじゃんっ...!』

 

恐らく山吹の母親は体が弱い性質で、海野とは一年くらい前の友人である可能性が高い。つまり山吹は海野や仲間達と共にバンド活動をしていたのだが、ライブ当日に母親が倒れてしまった事が原因でライブに出られなくなり、同時に音楽を辞めた。今此処で時空の叫びを発動するのは流石にまずいだろう。

 

ゆり「...理央君。突然なんだけど、私のお願い聞いてくれるかしら?」

理央「何だ?」

 

ゆりが突然、山吹の過去に黙考(もっこう)していた俺に近付きながら相談を持ち掛ける。その内容は————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆり「グリグリを代表して、私と勝負してほしいの」

 

まさに俺に対する挑戦状だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




TO BE CONTINUED...


















次回の後編はゆりさんとの対決になります!








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