Bang Dream! ~時空の叫びと星の鼓動~   作:ライノア

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6話 後編 その4。


第五話:兎追いし花園 後編 その4

RIO SIDE

 

ゆり「ミルタンク、飛んでから転がるよ!」

理央「きんにく、爆裂パンチ!」

 

転がるで接近してきたミルタンクが飛び上がった状態で転がりながら正面から向かって来た。

坂を下る様に軌道と速度が変化したので、俺はわざときんにくに爆裂パンチを繰り出させる。ミルタンクの四つ目の技を確認するためだ。

 

ゆり「思念の頭突き!!」

ミルタンク『ふっ、はぁッ!!』

きんにく『ぐぅっ!?』

 

爆裂パンチが届く直前に転がるを解除して素早く地面を蹴ったミルタンクは、青白く光らせた頭突きをきんにくの下(あご)目掛けて喰らわせる。

 

理央「しっぺ返し!!」

きんにく「おらあッ!!」

ミルタンク『ぐっ...!?』

 

意識が飛ばされそうになったが、負けじと根性を見せたきんにくの気持ちに答えた俺は指示を下す。

効果抜群であるエスパー技を喰らった分のダメージを、二倍にして返した。

互いに吹っ飛ばされ、睨み合う二体は荒れた息を整える。

 

ゆり「ミルク飲み!」

 

ミルタンクの回復技で全快するのだが、時間が経過していく度に火傷(やけど)によるダメージが蓄積されていくのは時間の問題だ。

 

理央「バレットパンチ!」

 

振り下ろした拳を叩き込もうとするが、早急に回復を終えたミルタンクが再び思念の頭突きで対抗する。

 

理央「きんにく、爆裂キャノン!溜める速度はさっきより早くだ!」

ゆり「ミルタンク、爆裂キャノンが来る前に丸くなりながら転がるよ!!」

 

爆裂キャノンの準備として数m先に立っているミルタンクに対してきんにくは、再度空気を連続で殴り続ける。さっきより成る可く早く。

相手の大技を溜め込むラッシュを中断させようと、ミルタンクがいつもの様に丸くなりながらの転がるでアクセルを踏み込む様に接近してくる。

だが、此処は敢えてきんにくにとある指示を下した。

 

理央「(よし、今だ!)体を後ろに()らせ!」

ゆり「!?」

ミルタンク『なっ...!?ぐうぅっ!?』

 

ミルタンクの転がるをきんにくは体を限界まで後ろに反らしながら避ける。ギリギリのところまで爆裂キャノンの溜め込みは維持させる事は出来た。

右足を(じく)にして後ろを振り向いた両腕を後ろに伸ばした姿は阿修羅の如く。背後を振り向いたミルタンクを一瞬にして警戒させる。

だが、俺達の狙いは其処じゃない。

 

理央「地面を殴れッ!!」

ゆり「地面に...!?」

 

後ろに反らした体を勢い良く戻しながら地面を叩き付けるきんにく。

大きく(ひび)が入り、フィールド全体に亀裂が走った。

 

きんにく『...成る程な。ベグにエアスラッシュを何度も撃たせたのはそういう事だったんだな?』

理央「ああ。一か八かだったが、第二ラウンドに取っておいて良かった」

 

俺達の狙いはミルタンクに再度爆裂キャノンを放つのではない。

ベクのエアスラッシュによって出来た亀裂に爆裂キャノンを撃ち込み、その衝撃でフィールド上に亀裂を走らせる。

ミルタンクの転がるを中断させ(やす)くするために考案した俺の編み出した作戦だ。

 

ゆり「理央君、まさかミルタンクの転がるを中断させ易くするために敢えてフィールドに爆裂キャノンを放ったのね?」

理央「ま、これが俺の作戦という事で。合わせ技を攻撃だけに扱うのはちょいと不便だと思ってな。ジュナイパーは確実にベグを戦闘不能にしてくる...だから敢えてベグにエアスラッシュをジュナイパーに当てるフリをしながらフィールド上に放つ。更に大文字でフィールドを(あぶ)ったおかげで、地面に亀裂を生み出し易くなったしな」

ゆり「全ては計画通りって訳ね?流石はパルデアチャンピオン。でも、私はまだ負けてはいないんだから!!」

 

ゆりはそう言い張ると、右腕の拳を掲げて何かを見せる。

それは中央にデバイス機能が付いている左右に青と赤のラインが走っている白いアームバンドだった。

 

理央「それは...『ダイマックスバンド』!?」

ゆり「そうよ。このダイマックスバンドは決勝戦までに取っておいた私の切り札の一つ......これで貴方のカイリキーを打ち破ってみせるわ!ミルタンク、戻って!」

鋼慈『ああーっと!ゆり選手、此処でダイマックスを使用!本気でパルデアチャンピオンを追い込むつもりだああああーーーーッ!!!!』

 

ミルタンクをモンスターボールに戻すと、ダイマックスバンドから紫色のエネルギーが注がれる。

 

ゆり「大きく行くわよ!''ダイマックス''!!」

 

モンスターボールを10個買うと貰える白いモンスターボール『プレミアボール』に似たデータグリット状へと大きく変化した大玉を、ゆりはバレーボールのパスの要領で投げた。

 

ミルタンク『ブモオオオオオオオオオオッ!!!!』

 

巨大化したミルタンクが赤く光るオーラを(まと)いながら雄叫びを上げると、上空を渦巻く赤黒い雲で覆う。

その影響か否か。ミルタンクの頭上には並んでいた三つの黒雲(こくうん)が輪を描いて回っており、足元が赤く光っている。

 

ひなこ「イッケェ、ゆりぃー!パルデアチャンピオンをぶっ飛ばしちゃえーーー!!」

 

ゆりに声援を送っていたのは二十騎(にじっき)だった。そういやグリグリのメンバーも観戦に来てたんだな。

話を戻すが、これがガラル地方のトレーナーの切り札『ダイマックス』。

俺は一つの疑問をゆりに投げ掛ける。流石にガラルではない地方でダイマックスが使えるのが一生疑問に残ってしまうからな。

 

理央「なぁ、ゆり。何故ガラルではないのにも関わらずダイマックスが使用出来るんだ?」

ゆり「...時空財閥(ざいばつ)は弦巻財閥とも仲が深いとも言われているの。このフィールドには、『ダイマックス装置』とも呼ばれている物も開発してるみたいで、ガラル地方でもないこのガルパ地方のスタジアムでもダイマックスが可能となっているわ」

理央「そういう事か。なら......俺も同じ手を使わざるを得ないな」

 

俺もリュックから取り出したダイマックスバンドを右腕に付ける。

本来なら三体目でケリを着けたいが、それではきんにくの期待を裏切ってしまう事になる。

 

理央「きんにく。こっちもやるぞ!!」

きんにく『おう。この女の戦いにケリを着けてやるよ』

 

きんにくを戻したモンスターボールがビリリダマサイズに肥大化する。

 

理央『阿修羅の如き四つ腕の豪傑(ごうけつ)よ。機雷に匹敵せしその力で、この世の全てを()じ伏せろ!カイリキー、キョダイマックス!!』

 

肥大化したモンスターボールから巨大化したきんにくが雄叫びを上げる。

ミルタンクと同じくきんにくの頭上を渦巻く赤黒い雲が覆っているが、唯一の違いとしては姿がメガシンカ同様、大きく変化していた。

通常より二倍の長さに達している頭部中央の突起。上半身を中心に肥大化した四つの腕にマグマの様なエネルギーが流れ込んでおり、パンツの様な模様は踝辺りまで広がっている。

そして本来、頭上に浮いている筈の黒雲三つがベルト周りにあるという事。

これがガラルで特定のポケモンに確認される特殊なダイマックス現象『キョダイマックス』だ。

 

鋼慈『何と理央選手、こちらもダイマックス!しかもこれは、キョダイマックス個体だああああーーーーッ!!』

 

鋼慈の熱狂した実況で、観客達は歓声を上げた。こんな事もあろうかと、特訓最終日できんにくにダイスープを飲ませた甲斐があった。

巨大化した二体のポケモンが睨み合うと、俺達は指示を下した。

 

理央「きんにく、ダイアーク!」

ゆり「ミルタンク、ダイウォール!」

 

きんにくの左右に現れた赤黒いオーラがミルタンクを絡めると同時にエネルギーが爆発する。

だが、既に貼られていた水色の円形バリアによって守られていたため、一発目は不発に終わった。ダイマックス解除まで、後二回。

 

ゆり「今度はこっちの番よ。ダイロック!」

 

ミルタンクの足元に出現した巨大な横面の岩盤が地面から現れ、そのままドミノ倒しの様にきんにくに向かって急降下していく。

だが、ここは敢えて俺はダイマックス技同士の打つかり合いはさせない。

 

理央「きんにく、ダイロックを受け止めろ!」

ミルタンク『嘘...!?』

ゆり「何ですって...!?」

 

衝撃の指示にゆりとミルタンクは驚愕する。きんにくは俺の指示通りにダイロックを上の両腕で受け止めると、下の両腕によるラッシュで砕く。

砕かれた岩の破片が地面に落ちた事で粉々になり、足元で砂嵐が巻き起こっていた。

 

理央「ダイロックの破片で叩きつけろ!!」

きんにく『そうらよぉ〜。返す...ぜッ!!』

 

ダイロックの破片を半分に分けたきんにくは、ミルタンクの頭上目掛けて叩きつけた。

見事に頭頂部へクリーンヒットし、ミルタンクは苦痛の声と共に視界を奪われる。

 

鋼慈『何と理央選手、ミルタンクのダイロックでそのままお返しと言わんばかりに叩きつけたァーーーッ!?』

理央「巨大進撃(キョダイシンゲキ)!!」

 

ダイロックの破片を一旦足元に置いてエネルギーを最大まで(たかぶ)らせたきんにくの双手突きがミルタンクを後退させる。

 

ミルタンク『うぐっ!?』

ゆり「ミルタンク!」

 

効果抜群の技を受けたミルタンクに心配の声を掛けるゆり。これで攻撃を与える隙が出来た。

 

理央「今だ、巨大進撃...」

ゆり「ミルタンク、ダイウォー————」

理央「...と見せかけてダイロックの破片を()れ!」

 

守りを固めようとしたゆりの指示に対して、俺は追い討ちを掛ける様に途切らせた。

キョダイマックス技を放つフリをしたきんにくが足元に落ちていたダイロックの破片の一つを、大きく振り上げた右足でミルタンクの腹部目掛けて蹴り飛ばした。

 

理央「巨大進撃!!」

ゆり「ダイサイコ!!」

 

巨大進撃を一回打った影響か、ミルタンクに与える二度目の巨大進撃は効果抜群だけでなく、急所に当たり易くなっている。

ゆりは効果抜群であるエスパーのダイマックス技を選択。

マグマが流動する様なエネルギーが迸る四つの腕による拳と、地面を波打つ虹色の波紋と打つかった事で大きな爆発が発生。

世界の滅亡を連想とさせる光景の邪念を打ち払ったのは、天に昇る虹色の橋だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NO SIDE

 

ダイマックスが解除されてから数秒が経過した。

吹き荒れる砂嵐を防いでいた桃色のドームを、ドローンロトムが状況を確認しに行った。

映っていたのは、膝を突きながらも立っているきんにくの姿が。両腕の手首にはオレンジ色のオーラが纏われている。

同じくダイマックスが解除されたミルタンクは、目を回して仰向けに倒れていた。

 

『ミルタンク、戦闘不能。カイリキーの勝利』

鋼慈『何とカイリキー、ミルタンクのダイマックス技を利用して見事勝利に収めたぁぁぁぁーーーーッ!!!!』

理央「...おっし。先ず一本ッ!!!!」

 

遂に女ポケモン同士の戦いに終止符が打たれ、観客席の歓声が鳴り響いた。

 

ひなこ「ああ〜っ!惜しいっ!!」

 

ひなこは自分の頭を掻きながらあたらな言葉を吐く。あのままカイリキーと相打ちになっていれば、状況的にはゆりの方が有利になっていた。

だが、相手のダイマックス技を利用した理央の戦略に()まってしまい、手持ちの一匹を失ってしまったのだ。

 

七菜「破壊したダイロックの破片を利用した上で巨大進撃を二回当てたのが予想外だったわね。流石はパルデアチャンピオン、中々引けを取れないわね...」

ひなこ「ええっ!?理央くん、パルデアチャンピオンだったの!?だったら次は私とバトルして————」

リィ「はいはい。別に戦わなくても見て分かるでしょ?にしても、まさか理央君が次世代のパルデアチャンピオンだったなんてね」

 

興奮しているひなこを(なだ)めたリィは、大会前の出来事を振り返る。

理央がパルデアチャンピオンである事を知ったのは寿とのバトルが終わってからであり、これを聞いた他のメンバー達も驚きを隠せなかった様だ。

 

ゆり「ミルタンク、お疲れ様。ゆっくり休んで」

 

ゆりは戦闘不能になったミルタンクに(ねぎら)いの言葉を掛けながらモンスターボールに戻す。

 

ゆり「ジュナイパー 、お願い!」

ジュナイパー 「ジュナッ!」

 

戦場に再び投入されたジュナイパー。確実に仕留めるという決意の眼差(まなざ)しが、きんにくを身構えさせる。

 

理央「...こりゃあ、交代も許されないみたいだな」

ゆり「ええ。私は貴方のポケモンを一切交代させる気なんてないわよ?」

鋼慈『それでは第五回戦、始めッ!!』

 

五回戦のゴングが鳴り始め、先に指示を下したのはゆりだった。

 

ゆり「ジュナイパー、影縫いからのゴーストダイブ!」

 

影縫いで動きを封じた上でゴーストダイブで姿を消したジュナイパー。

理央の持つ波動による察知が出来ず、背後から攻撃されたきんにくは大きく後退する。同時に影縫いも解除された。

 

理央「そのダメージ貰った!しっぺ返しを維持しつつ爆裂パンチ!サイコフィールドを破壊しろ!!」

きんにく「リッキイィィ...!」

ゆり「(ッ!今度はフィールド破壊と来たわね。でも、そう簡単にはさせないんだから...!)ジュナイパー、影縫い!」

理央「...と同時に岩雪崩(なだれ)!」

 

きんにくの四つ目の技。ジュナイパーが影縫いを放とうとしたが、自分の影に違和感を感じて空を見上げる。

空中を擦り抜けて降ってきた岩石の雨がジュナイパーの方へと落ちていく。

 

ゆり「なっ...!?」

きんにく「リッキ!!」

 

追い討ちを掛ける様な技の同時使用。勿論、岩雪崩はサイコフィールドを破壊するための単なる時間稼ぎに過ぎなかった。

降り注いているせいで上手く照準(しょうじゅん)を定められない。

その隙にきんにくはフィールドに攻撃を当てていた。亀裂の入っているフィールドに更に亀裂を生み出し、サイコフィールドがガラスの破片の様に散っていった。

 

リィ「サイコフィールドを...!」

ひなこ「破壊した!?」

 

観客席にいたひなことリィも驚きを隠せないでいた。

驚くのにも無理はない。フィールドを破壊する荒技を披露したトレーナーは滅多にいないのだから。

 

理央「これで先制技が使える!しっぺ返しを維持しつつバレットパンチだ!」

きんにく「リッキ!リィッ...キィィッ!!!!」

ジュナイパー「ジュナァッ...!?」

 

しっぺ返しとバレットパンチの合わせ技で、ジュナイパーに一発攻撃を当てる事が出来た。

巨大進撃による急所ランクアップや、効果抜群である悪タイプの技も合わさってかなりのダメージを与えられたのだ。

スナイパーライフルの銃撃とほぼ同じくらいの速度で殴り飛ばされたジュナイパーが両翼を羽ばたかせて体制を立て直す。

だが、理央は既にきんにくを素早くモンスターボールに収めていた。

 

有咲「上手いな。サイコフィールドのタイプはエスパー、効果抜群である悪タイプの技を爆裂パンチと合わせる事でフィールドを破壊しただけじゃねぇ。ジュナイパーの影縫いをさせないがために、怯み狙いで最後の最後に取っておいた岩雪崩を同時に打った。これは...ゆり先輩にとってはほぼ苦戦を強いられるが、理央にとっては交代させるのにも好都合だ」

たえ「それよりも、気になってるのは理央の三体目。効果抜群を狙ってくるなら、同じホウエン御三家であるジュカイン、それかグラスフィールドを展開してグラススライダーの威力上げるゴリランダー...と予想したんだけど...ダイマックスはさっき使っちゃったし、流石にそれはないね」

 

たえが予想している内に、理央は三体目のポケモンが入っているモンスターボールを取り出す。

 

理央「ゆりの手持ちが最後の一体になるまでは、ゆっくり休んでくれ。さてと、いよいよお前の出番だぜ。月夜に紛れし悪を討つ、神出鬼没の蝦蟇忍(がまにん)......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガマロク!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




TO BE CONTINUED...








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