Bang Dream! ~時空の叫びと星の鼓動~   作:ライノア

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第六話 後編、どうぞ。


第六話:バンド命名 後編

RIO SIDE

 

沙綾「これで...オッケー」

香澄「やったぁ!皆もオッケー?」

 

俺と香澄は今日もパンの試食と文化祭で演奏する曲の作詞に励むべく、山吹の家に泊まることになった。

 

たえ「オッケー!」

りみ「うわあ...!」

有咲「何で私まで...!」

 

有咲以外のエプロンには星やハートが描かれた丸いバッジが付けられたり、色とりどりの音符や兎ポケモンなどの絵が描かれている。

因みに俺は(かつ)てガラル地方を旅した仲間から貰ったリザードンのシールをエプロンの左側に貼っている。

 

千紘「可愛いじゃない。皆うちで働く?お客さん沢山増えそう!」

理央「いえ、お気持ちだけ取っておきますよ。千紘さん」

 

俺達にオレンジュースを提供してくれているのは、山吹の母親である千紘さん。

その後ろに隠れているのは沙綾の実妹である沙南だ。

 

香澄「えへへ。さーなんも着る?」

沙南「''さーなん''?」

香澄「沙南ちゃんだから、さーなん!」

 

沙南は自分に付けられた渾名(あだな)に首を(かし)げる。

 

有咲「まーた変な渾名を...!」

香澄「ええ〜、可愛いでしょ...良い?」

沙南「...うん」

香澄「可愛い〜!!」

 

沙南の純粋さに悶絶する程に叫ぶ香澄だが、後ろのドアが開く。

 

純「あ。また来てる」

グライガー『ウゲェッ!また来たやがったのか!?』

理央「あ、テメェら...!」

 

俺は指を差しながら叫ぶ。山吹家の長男である純と山吹の手持ちの一匹であるグライガーだ。

こいつらはよく山吹に悪戯を仕掛けようとしているが、最近は俺達義姉弟に被害が相次いでいることが多くなった。

 

香澄「あ、じゅんじゅんだ!じゅんじゅん〜!」

たえ「じゅんじゅん〜」

 

香澄の渾名を花園が真似ると、(ほお)紅潮(こうちょう)させたクソガキは反抗的な言葉を投げ掛けながら階段を上った。

 

グライガー『い、今はお前らに構ってる暇なんてねーんだよ!じゃあなう○こ野郎!!』

純「う○こ、う○こ、う○こ、う○こ、う○こーっ!!」

理央「あ、テメェら!さっきからう○こう○こと連呼しやがって...!許さんぞぉ、このクソガキ共が!二度とその口叩けなくしてやるッ!!」

 

俺はクソガキの後を追うべく階段を登ろうとしたが、偶然に立ち止まっていたバシャーモに足を引っ掛けられる。

バランスを崩した俺は、危うく階段の角に打つかりそうになったところでサルヒコに(えり)(つま)まれる形で事なきを得た。

 

サルヒコ『ったく、足元には気を付けろよ?あいつらはお前も分かってると思うが、ただ人見知りが激しいだけと見た。香澄や明日香が貶されようが、此処は我慢だ』

理央「...分かったよ。あいつらは、いつか必ずシバき倒す!」

有咲「ううっ、うんk...」

りみ「有咲ちゃん、それは言っちゃ駄目っ!」

 

その後、同じく悶絶していた有咲が香澄に放った言葉を言おうとした寸前にりみが制止する。

二階に付いた明かりが商店街の周辺を照らし、時間は19時くらいとなっていた。

有咲達は変質者の対策としてアロウが専用のゴンドラタクシーで送ってくれることとなった。

 

りみ「お邪魔しました...」

たえ「曲出来たら送るね。歌詞頑張って」

香澄「頑張る〜...」

有咲「前から思ったんだけどさ、山吹さんが付き合うことなくね?フツーなら理央とやるべきだろ?」

理央「前はそう思ってたが、一人だと寝ちまう可能性があるしな」

有咲「山吹さん、若し香澄が寝ていたら叩き起こして。こちとら被害者でもあるから」

香澄「ええ〜、有咲酷い!」

沙綾「心配なら、うちに泊まればいいのに...」

 

有咲は俺達から目線を離しながら、山吹からの誘いを躊躇(ためら)っている。

 

香澄「何緊張してんの?」

有咲「うっせー!私はそんなに軽い女じゃないんだよ!!アロウ、早く家まで送ってってくれ!」

たえ「今夜はすき焼きだよ」

りみ「すき焼き、誕生日なの?」

たえ「違うよ。ほら、早く乗ろ」

アロウ『...じゃあ、兄さん。今から三人を家まで送ってくから、先に晩ご飯食べてて』

 

やまぶきベーカリーの一階の照明が消え、俺達は早速晩飯で舌鼓(したづつみ)を打った。

 

香澄「美味しい〜!」

理央「この卵焼き美味えぞ!有咲のばあちゃんと同格のレベルで美味え!」

沙南「これも食べる?」

香澄「いいの?ありがとー!」

 

因みに俺の手持ちは文化祭で勝手に開催するフルバトルに向けてサルヒコとアロウ以外のメンバーを変更。アロウが帰ってくるまでの間はフーズはお預けとなった。

 

沙綾「捕まえた!今直ぐお風呂に入らない奴はこうだ!」

純「やめろぉー!離せぇー!!今日は風呂に入んねぇって言ってるだろ!?」

理央「そうか。俺達に歯向かうか。若し入んないというのなら...今からお前を素っ裸にして外で逆さ吊りにする。そしてサルヒコの頭の炎でじっくりと焼いて、四肢ぶった切って人肉ステーキにしてやる...それが出来(でき)なければ————」

純「ひぃっ!?それだけは勘弁してくれぇー!ちゃんと風呂に入るからぁー!!」

 

香澄が沙南にドライヤーを掛けている間、山吹に捕まった純が風呂に入らないとほざいていたのでドスの聞いた声を出した俺が、必要以上に圧を掛けて脅迫(きょうはく)した。

まぁ、風呂に入らせるためとはいえ、今のは流石にやり過ぎだったと思う...今度から気を付けよう。

俺が心の中で反省していると、香澄のドライヤー掛けはもう終わっていた。

 

香澄「よし。オッケー!」

沙南「有難(ありがと)う!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SARUHIKO SIDE

 

俺はヒトカゲと一緒に沙綾の家の屋根上で星を眺めていた。

理央と香澄は文化祭で演奏する曲の作詞すべく、家に泊まっている。

沙綾本人も作詞に付き添ってはいるが、あいつのことだ。

常人並みの語彙力もない擬音頼りの香澄は今頃、中々自分で思った詞が頭に浮かばないと苦戦しているだろう。

 

ヒトカゲ『ねぇ、サルヒコさん。香澄は大丈夫かな?』

サルヒコ『香澄は子供っぽい正解な上、語彙(ごい)力が壊滅的だ。まぁ、沙綾と理央が付き添ってくれてるみたいだから、大丈夫だとは思うが』

 

俺は香澄を心配するヒトカゲの気持ちを(なご)ませる。

香澄は一つ年下の実妹である明日香の中等部による文化祭で高等部に進学したのはいいが、余りにも語彙力が破算している。

何か切っ掛けがあれば、歌詞作りが(はかど)ると思うんだがな...。

 

バシャーモ『お前のトレーナー、相当歌詞作りに苦戦している様だな』

 

其処へ割り込む様にして、沙綾の相棒ポケモンであるバシャーモが腕を組みながら俺達の横側に立っていた。

 

サルヒコ『お前、いつの間に...』

香澄「ああーっ!頭パンパンだよぉ〜!!」

理央「此処で即リタイアする奴があるか。文化祭でライブやるんだろ?」

香澄「それもそうだけどさぁ〜!」

沙綾「まぁまぁ。ちょっと休憩入れる?カフェオレ()れるけど...」

 

バカ姉貴こと香澄に厳格に気合を入れようとした理央を(なだ)める沙綾が、カフェオレを淹れるや何やで休憩を挟んだ。

 

沙綾「はい、お父さんから差し入れ。理央も」

香澄「わあ〜。可愛い!有難う」

理央「...意外と気が利くんだな」

沙綾「まぁ、昔から慣れてるから」

 

ベランダで(たたず)んでいた理央達に沙綾が差し出してきたのは、長方形の木製の盆に置かれたカフェオレ三人分。

丸い皿にはバネブーとヤンチャム、そして理央がポケモンだった頃の姿であるリオルの顔が描かれた可愛らしいクッキーもおまけ付きで付いてきた。

 

沙綾「行けそう?」

香澄「うん。名曲の予感!」

 

カフェオレを口に含んでから夜空を見上げる香澄に、沙綾は声を掛ける。

 

沙綾「名曲の予感って、まだ歌詞も曲も出来てないのに?」

香澄「だって、皆居るから。最初は入学式前にりーくんが突然帰ってきてわーってなってたけど...有咲とりみりんが居て、自分で初めてゲットしたヒトカゲやりーくん、おたえも一緒で。それに、さーやも!」

沙綾「......」

香澄「クラスの自己紹介覚えてる?私、変な事言ったってりーくんにきっぱり言われたけど...さーやに良いって言ってくれて嬉しかった!」

沙綾「ドキドキしてる?」

香澄「うん!皆で歌って弾くの絶対キラキラだよ。全部楽しい!わぁーって走りたい!」

 

最初は何事もなかったが、個性のある仲間達と出会って、一緒にバンドをしたりする香澄。

急遽(きゅうきょ)パルデアから帰還して、まだ見ぬ強者との戦いに足を運びながらも他者との絆を深めていった理央。

良くも悪くも、あの二人は似た者同士なのかもしれないな。

 

理央「だったら、それ歌詞にすりゃいいじゃねぇか」

香澄「えっ...?」

沙綾「うん。難しく考えないで、そのまま真っ直ぐ歌に込めたら伝わると思うよ」

 

理央と沙綾がアドバイスを送る。

 

香澄「そうかな?」

理央「「そうかな』じゃねぇよ。大体、お前は気付くのが遅いんだよ...まぁ、後の修正は有咲達に任せればいい」

香澄「...ねぇ、さーやも歌おう!文化祭、一回だけでもバンドに入るとかじゃなくて一緒に歌いたい。りーくんも、文化祭でさーやとポケモンバトルしたいって言ってたじゃん!」

 

無邪気そうに指摘する香澄は、理央を前後に揺らしながら指摘する。

 

理央「勝手に言うなバカ姉貴...と言いたいところだが、流石に真意を見抜かれたんじゃ隠す必要はないか。文化祭で戦える相手が余り居なくてさ。山吹、俺はお前と戦いたい。若し出来るのであれば、悔いのないバトルにしたい。お前のバシャーモとサルヒコが戦ったら、一体どんなバトルになるんだろうなぁ...」

沙綾「文化祭でライブするだけじゃなくて、エキシビションマッチもやるんだ。凄く楽しそう!」

 

こいつらと来たら、まだそうと決まった訳じゃないだろ?

正直言って、俺もバシャーモと戦いたいと思っている。

 

ヒトカゲ『...ねぇ、バシャーモ。僕がリザードンに最終進化したらバトルしてくれる?』

 

ヒトカゲも香澄と同じ質問をバシャーモに投げ掛けると、バシャーモは後ろを振り返る。

同じくして、少し(うずくま)りながら間を置いた沙綾に対して違和感を感じた理央は(まゆ)(しか)める。

 

理央「山吹...?」

ヒトカゲ『バシャーモ...?』

「『いつか...いつか()』」

香澄「うん、うん!約束!」

 

香澄は沙綾といつか一緒に歌うということ。ヒトカゲは最終進化したらバシャーモと手合わせしてくれることを願いながら指切りをした。

丁度良いタイミングでバシャーモは屋根から沙綾に声を掛け、自らモンスターボールに戻った。

 

サルヒコ『''いつか''、か』

ヒトカゲ『サルヒコさん、どうかしたの?』

 

何故か感情が整理出来ていなかった俺は、ヒトカゲに聞かれない程度の声色で呟く。

 

サルヒコ『...いや、何でもない。そろそろ俺達も部屋に戻るぞ、風邪でも引いたら元も子もないからな』

ヒトカゲ『うん!』

 

そう言って、俺はヒトカゲを抱きながらベランダへと降りて行った。

そして文化祭までのタイムリミットが三日となった上で、俺とバシャーモが本気で張り合う結果になってしまったのはまた別の話...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、時空の叫びと星の鼓動

 

理央「お前と山吹の間に、一体何があったんだ?」

 

バシャーモ『お前達に...俺と沙綾の何が分かるって言うんだッ!!!!』

 

サルヒコ『まさか貴様がそんなことをほざくとはな...!炎御三家の面汚しがァッ!!!!』

 

純「これ以上バシャーモを傷付けるっていうなら...俺が相手になってやるっ!!」

 

香澄「私達、待ってるから。さーやがいつか一緒に歌ってくれるって...」

 

???「少し無意味だが、助けてやるとするか」

 

第7話:申し子の喧嘩

 

時と闇を越え、空を駆けろ!

 

 

 

 




TO BE CONTINUED...








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