Bang Dream! ~時空の叫びと星の鼓動~   作:ライノア

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リメイク一話です。


チャプター1:五つ星集う
第一話(リメイク):星のカリスマ 前編


??? side

 

鳥ポケモンの声を聞きながら、支度を済ませた俺は朝食を食べている。

あれから九年くらいの年月が過ぎた。

 

???「もう!早く言ってよ〜!!」

???「聞かれなかったし...」

 

玄関で慌てている少女は戸山 香澄。九年前に森で倒れていた俺を助けた少女でもあり、俺の義姉だ。パジャマ姿でもう一人は義妹の明日香。

現在、俺は戸山 理央として此処に住ませてもらっている。俺がポケモンから人間になったという事は、二人には話していない。

 

香澄「じゃあ行って来るね。えへへっ」

 

笑顔を見せながら香澄は学校に登校すると同時に俺は朝食を食べ終えていた。

 

???「香澄、食べないで行ったよ...」

明日香「大丈夫でしょ。お兄ちゃんならカゲロウでひとっ飛びだし」

理央「ああ。俺は余裕で行く派だからな。さて、俺は陽気な姉の様子でも見に行って来てやるか。それじゃ母さん、行って来るよ」

沙織「いってらっしゃい」

 

義母である沙織さんに挨拶しながら俺は外履を履いて玄関を閉める。

 

理央「...よし、誰もいないな」

 

周囲に誰もいない事を確認すると俺は赤と白の二色のボール『モンスターボール』を手に取る。

 

???「ガアアアァァァァッ!!」

 

モンスターボールから発した青白い光によって姿を現したのは全体的に角張った部分が目立つ藍色(あいいろ)の鳥ポケモン。

2m程の巨体と赤い瞳を持つ黒目が周囲を恐れを成す雰囲気を漂わせており、両翼(りょうよく)の付け根辺りが襟の様に羽が開いている。

カラスポケモン アーマーガア。ニックネームは『アロウ』。俺の手持ちポケモンの一体だ。

 

理央「アロウ。今日も行けるか?」

アロウ『僕に任せて兄さん!』

 

俺はリオルだった時の影響の為かポケモンの言葉が分かる。意気揚々(ようよう)としているアロウの背中に乗りながら、俺は学校に登校するのだった。因みにポケモントレーナーっていうのは広義には『ポケモンをボールに入れて扱う者』の事を示し、法律上としては成人として定められている10歳から資格を得られるとされている。

そのため香澄達と暮らし始めて10歳になるまでは体力を補う事にした。こちとら元ポケモンでもあるからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アロウ 「ガアアァァッ!!」

理央「到着っと!サンキューなアロウ、戻ってくれ。此処か、花咲川学園ってとこは...」

香澄「あっ!りーくん。先に来てたよ〜!」

 

数分後には入学先である花咲川学園に難なく辿り着き、アロウをモンスターボールに戻すと、急に香澄が抱き寄って来る。

いや待て。よく見てみたら全員女子!?此処普通の高校じゃないの!?

 

理央「離れろよバカ姉貴、お前の抱き癖は相変わらず骨が折れる。少しは加減ってものを覚えろ。加減を...」

香澄「いーじゃん別に!苦しくなさそうだし!」

理央「こっちが苦しいんだよ!!」

 

俺達義姉弟がぎゃーぎゃー仲良く(いさか)う中、校舎内で女子生徒達がざわつき始める。

 

 

女子生徒A「あの人誰?」

女子生徒B「女子校に男子とか普通ないよね...?」

女子生徒C「ってか、よく見てみるとブーバーに似てない?」

理央「俺はブーバーじゃねえ!ったく、此処で言い争っても拉致が開かないから、先に名前を見つけた方が勝ちって事のはどうだ?」

 

お咎めなしで俺達義姉弟は自分の名前を探れるかを競う事にした。

 

香澄「いいよ。こっちだって負けないから!ええっと、戸山...戸山...」

理央「理央...理央...戸山理央...何処だ俺の名前...?」

「「あ、あった!」」

 

見つけたのはほぼ同時。俺達は左右に分かれて自分の名前を見つけると髪が靡いた一人の少女と打つかる。

 

???「あ。御免...」

 

唐突に打つかり俺達に謝る茶髪のポニーテールの少女。刹那、突然の目眩が俺を襲う。

 

理央「ぐっ...!」

 

来やがったか、あの能力が。俺だけが持つ触れた物の未来の光景や声を聞いたり見る事が出来る特殊能力『時空の叫び』が...!

俺の目に映った未来の光景は、ポニーテールの少女が自室で俺達と向き合っている光景が見えた。

 

???『私の代わりに誰かが損して...だから辞めたのに...今更出来る訳ないじゃんっ...!』

 

少女が涙を流しながら呟いた瞬間、その光景は途絶え、視界が元に戻る。

 

理央「...!」

香澄「りーくん?若しかして、またあの目眩!?」

理央「...ああ、大丈夫だ。直ぐに落ち着いた」

 

『時空の叫び』に関しては香澄達には『ただの目眩』だと誤魔化(ごまか)している。

沈黙状態となる俺を心配しながら声掛ける香澄を頼りに俺は立ち上がると、ポニーテールの少女に匂いが漂っている事に感ずる。

 

理央「おいお前。いい(にお)いがするな...パンか?」

???「えっ?」

香澄「くんくん。あっ、ホントだ。いい匂いした。パンの...!」

 

香澄が言い切ろうとしたが小腹が鳴ってしまう。

 

香澄「あ...」

理央「ったく。飯も食わずに腹を鳴らす長女以外何処にいるんだよ?」

香澄「えへへ。御免御免」

???「家、パン屋だから...いる?パンじゃないけど」

 

ポニーテールの少女はポケットから(あめ)を俺達に差し出す。

 

香澄「いいの?有難う。ねぇ、何組?」

???「...A組」

香澄「ホント?何処何処!?」

???「山吹沙綾」

 

少女は自分の名前を告げると、香澄はその名前を難なく見つけた。

 

香澄「あった!私はね、戸山香澄。こっちは弟のりーくん!」

理央「義弟な。戸山理央だ、よろしく頼む」

 

玄関を通り過ぎ。俺達は初対面の山吹と廊下で話し合っている。

 

沙綾「戸山さん達、何で此処に?」

香澄「えっとね。妹が此処の中学に通ってて、楽しそうだなあって...」

沙綾「へぇ...」

 

香澄の話を感心しながら山吹は納得する。

本人によれば、中等部に通っている明日香の文化祭を見て、此処しかないと思ったそうだ。

 

香澄「後ね。いっぱいあるんだけど...あ!制服好き!」

沙綾「大事!」

香澄「ああ。楽しみだね〜」

沙綾「何が?」

 

俺は香澄が言おうとした事を代弁する。

 

理央「教室、だろ?」

沙綾「私、外部生だから何も変わらないって言うか...」

理央「けど俺達は高校生だ。何かが始まる気でもしないのか?」

沙綾「えっ?」

理央「それは既に始まってるって事だ。冒険の始まりには仲間...ダチが必要だからな」

 

そう言うと俺達は早歩きしながら山吹の前に立ち止まる。

 

沙綾「『ダチ』って早いね」

香澄「えっ?」

沙綾「よろしくね。戸山さん、それと...理央君」

香澄「香澄でいいよ」

理央「俺も呼び捨てで構わない。よろしく頼むぜ、山吹」

 

 

 

 

 

 

???「中学高校の三年間は皆さんにとって実り会う時間になります様、お祈り申しあげます。生徒会長 鰐部 七菜」

 

数分後にて入学式が行われ、眼鏡を掛けた三年と思われる女子生徒のスピーチが終わると、今度は新入生代表がステージに立つ筈がその姿は何処にもなかった。

体育館がざわつき始める。この状況のままじゃ何も始まらない。よし...!

 

理央「俺が代役として代表します!」

『!?』

女子生徒A「この人、アーマーガア持ってた...!」

女子生徒B「顔は全然イケてないけど、相当の実力者かも...」

女子生徒C「私、ちょっと好みかな?」

 

女子生徒のざわつきを無視して、俺はステージに立ち止まる。

 

理央『えーっと。テストテスト...あー、あー、あー、あー、あー。よし異常なしだ。ナッシーだけに』

 

俺の洒落で体育館の空気が滞る。

 

理央『この世界は...はっきり言って残酷だ。歯車が外れて動かなくなったかの様に人の心は時が止まり、軈ては悪意に染まってしまう。そしてその心は時には誰かに大きな傷を付ける事になるだろう。だから少しだけ、俺が作った昔話を話そうと思う。実感出来ると思うんだけど』

 

誰かが唾を飲む音がした。俺は話を続ける。

 

理央『かつて、一人の旅人は記憶を失った一方で多くの仲間と出会いながら旅をし、その中には自分の世界を救う為に盗賊となった者もいた。そいつは記憶を失う前の旅人の相棒だった。そして旅人に世界を救う事を願って後を託し、元いた時代に帰った。春も夏も来る事のない暗黒の時代に。結果として世界を救う事は出来たが、その代償として旅人は一度死んだ。けど、彼の帰りを待っている仲間達の願いがあったからこそ再びこの世界に止まる事が出来た。そして戻って来られた喜びを感じながら彼は思った。「俺達は生きている!」...ってな。全ての命は其処にいるだけで美しい。最初から否定された命なんて、この世の何処にもない。これで話を終わる。新入生代表代役、戸山理央。俺の名前、よーく覚えておけよ?』

 

俺の演説に教職員を含めて拍手をする者もいたが、中にはそうと思わない者もいた。賛否両論の拍手に包まれる光景を俺は目に焼き付けるのだった。

 

 

 

 

 

香澄「中学から学年トップ!?そんな人いるんだ!」

女子生徒A「うん。あまり学校来ないけどね」

香澄「へぇ...」

香澄が他のクラスメイトと話していると、チャイムが学校内に木霊し、担当教師が教卓に立ち止まる。

担当教師「順番に自己紹介しましょうか。皆さんもう高校生ですから、自己PRを意識してください。では、牛込さん」

???「はっ、はい!え、ええっと、牛込りみです。ええっと、あの...よろしくお願いします」

 

紺色のショートヘアーの少女は緊張ながらも自己紹介を終えると、クラスメイトが拍手が讃えられるが、その表情はどうも緊張のあまりで失敗してしまった様にも見えた。

 

香澄「PRってアピールだよね?アピール...」

理央「兎に角、今は自分のやりたい事を言えばそれでいい。思ってる事を言えばいい」

香澄「うん、分かった」

担当教師「では戸山さん」

香澄「はい!皆さん初めまして、戸山香澄15歳です」

理央(いや年齢はいいって...)

香澄「私達姉弟がこの学校に来たのは楽しそうだったからです。中学は地元の学校だったんですけど、妹が此処に通ってて文化祭に来てみたら皆楽しそうでキラキラしてて此処しかないって決めました!だから今、すっごくドキドキしています!」

理央(よし!此処まではいいぞ)

 

バカ姉貴の自己アピールに期待する俺だったが次の瞬間、まさかあの事を話すとは思ってもいなかった。

 

香澄「私、小さい時に『星の鼓動』を聞いた事があって...!キラキラドキドキってそういうのを見つけたいです!キラキラドキドキしたいです!」

理央「......」

 

俺は時が止まった空気が漂う中、手で顔を覆い隠す。

 

香澄「...?」

クラスメイトA「『星の鼓動』って?」

 

その様子に香澄は首を傾げるが、クラスメイトからの問い掛けに応じる。

 

香澄「えっと...星がキラキラって」

クラスメイトB「可愛い」

 

クラスメイト達が談笑していると俺達は偶然に牛込と目が合うが、彼女は慌てながら視線を見放す。

入学式が終わり、放課後俺達は山吹と一緒に帰宅する事となった。

 

理央「悪いな。うちのバカ姉貴がこんなので」

香澄「私、自己紹介で変な事言ったかな...?」

沙綾「私はいいと思ったよ」

香澄「ホント!?じゃあ明日から部活見学一緒に行ってくれる?」

理央「それもそうしたいところだが、それは本人の意見にもよるぞ?」

香澄「そっかあ...」

沙綾「うん」

 

俺達は山吹と別れると、花咲川の学校を見ながら新たな一歩を踏み出す為に気合を入れる。

 

「「よし」」

 

香澄は部活見学をする事に。一方、俺は女子生徒達にポケモンバトルを申し込んだ。そして数日が経ち...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沙織「で、何にするか決まったの?」

 

夕食中に沙織さんに部活は何にするのかを問われる。

 

香澄「どうしよう...どれも楽しそうなんだよ」

理央「俺はバトルの事でいっぱいになってまだ決めてなかった...」

沙織「ふうん...そうなんだ。じゃあ、一番これだって思ったのは?」

香澄「うーん...あっちゃんと同じにしようかな?」

明日香「入るならやれば?あたし、もう直ぐ辞めるけど」

「「「はぁ(えっ)!?」」」

沙織「何で!?」

 

明日香が水泳を辞める事に俺達一同は驚く。

 

明日香「中三。受験生だよ?」

沙織「じゃあ高校はどうすんのよ!?」

明日香「行くからでしょ?」

沙織「べ、別のところ!?聞いてない!」

理央「まぁ、沙織さん。其処は明日香自身が決めた事なんだし、止めなくても良いんじゃない?」

 

数分後、湯船で上せてしまった香澄は明日香の腕枕で横たわっていた。

 

香澄「涼しい〜!」

明日香「もういい?」

香澄「ダメ〜」

明日香「...お兄ちゃん、さっきはありがとね。あたしの意見に賛成してくれて」

理央「いいんだよ。明日香は明日香自身の道を選んだんだ。辞めたけりゃ辞めるのは人間の勝手だからな」

明日香「本当昔っから変わってない。でも...あたしは案外好きかな?」

理央「おいおい、冗談は寄せよ?」

明日香「冗談じゃない。本当だから」

 

ぐうたらに膝から離れたくない気持ちを吐露する香澄は昔話を語る。

今から九年くらい前の事だ。香澄と明日香が森で迷子になり、二人で夜空を見上げた際『星の鼓動』を聞き、倒れていた俺を助けたといったもの。これが香澄が言う『キラキラドキドキ』の原点となった。懐かしいな...こっちも人間に戻ってから結構経つよ。その時の俺は当時五歳だった。

その後、香澄は全ての部活動に体験入部したが『キラキラドキドキ』するものは見つからなかった。

その帰り際、とあるベーカリー屋には頭頂部に金色の装飾が付いている風鈴の様な水色の体色を持つポケモンが赤に染色された尻尾を振っている。

 

チリーン『いらっしゃいませ〜。ご来客は二名ですか?それなら店内にご招待です!』

香澄「あのポケモンってチリーンだよね?」

理央「ああ。その様だ」

 

俺はロトムパットを取り出し、チリーンの図鑑説明文を読み上げる。

 

『チリーン 風鈴ポケモン エスパータイプ 鳴き声は7種類に使い分けて仲間とコミュニケーションを取ったり、敵を驚かせて追い払ったりもする。暑い季節になると元気に飛び上がる』

 

風鈴ポケモン チリーン。俺の知ってる個体はプクリンのギルドの給仕(きゅうじ)係担当で、俺とピカのチーム構成で世話になった。

同じギルド仲間で仲の良いキマワリに悪戯を仕掛けた事もあったらしい。御免なキマワリ、勝手に日記見たりして。

彼女に誘き寄せられたかの様にベーカリーへ入ってみると、何故か山吹が受付カウンターに立っていた。

 

沙綾「...メロンパン焼き立てです」

 

暫く経ち、俺達は部活が決まってない事を話したと同時に此処が山吹の実家だという事が判明した。

因みにさっきのチリーンは山吹のポケモンで、いつの間にか軒下(のきした)に棲みついていたらしく、実家の看板ポケモンとして商店街では有名になった。

捕獲した経緯は、置いてあったボールに入っただけだった。

 

沙綾「焦んなくていいんじゃない?」

香澄「うん...」

沙綾「バイトするとか?」

香澄「雇ってくれる!?」

沙綾「うちは厳しいよ?朝は早いし夜は遅いし、睡眠時間は毎日二時間...」

香澄「ハード!」

理央「ブラックジョークにも程があるだろ?」

沙綾「あ。バレちゃった?」

 

談笑し合う二人の光景に、俺はピカの事を思い出す。

あいつとも喧嘩した事もあったし、泣いたり笑ったりもした。今頃何してるんだろなぁ...。俺がいなくてもちゃんとやっていけてるのだろうか?そうも思ってしまう。

 

沙綾「...見つかるといいね」

香澄「うん!」

???「沙綾」

沙綾「はーい!んじゃ」

香澄「うん」

理央「又明日」

 

香澄に激励する山吹は父親と思われる人物に早速呼ばれた様で、俺達は山吹ベーカリーを後にした。

 

 

 

 

 

 




如何でしたでしょうか?
後編もお楽しみに!

理央君の手持ちの中で活躍に期待したいポケモンは...?

  • ルカリオ
  • アーマーガア
  • ゴウカザル
  • ゲッコウガ
  • ジュカイン
  • ルガルガン
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