Bang Dream! ~時空の叫びと星の鼓動~ 作:ライノア
RIO SIDE
サルヒコがバシャーモをアスファルトに大きく殴り飛ばし、更に追い討ちを掛ける様にして自身の尻尾で引き
サルヒコ 『だありゃあッ!!』
バシャーモ『ぐはぁっ!?』
助走を付けたところで全身を縦に360度回転させ、勢い良くバシャーモを背中から地面に叩き付けた。
そしてこれの繰り返しで、徐々に俺達の距離を放さんばかりに疾走する。
沙綾「バシャーモ!!」
理央「文化祭当日まで体力温存しとけって、あれほど忠告したってのに...!!」
香澄「
理央「いや、お前はヒトカゲの手当てを優先しろ。それにお前ら、
俺が香澄にヒトカゲの手当てを優先させ、サルヒコのところに向かおうとしてる際に俺は有咲達が山吹の家に居た事を見抜く。
香澄「有咲!?りみりんとおたえまで、どうして
有咲「お前と理央がいきなり飛び出したから後を付いてったんだろーが。まぁ、それは兎も角...こっちに来たら山吹さんのお父さんが家に上げてくれて...」
沙綾「父さんが!?じゃあさっきの話、下にも...!?」
りみ「うん。今は純君と沙南ちゃん
「「「「「ええっ!?」」」」」
山吹の弟妹が居ない事に気付くりみに、俺達は驚愕の声を上げる。
たえ「
理央「...一刻も早くサルヒコとバシャーモを追うぞ。さっきも言ったが、香澄はヒトカゲの手当てを!後、山吹!お前もあいつのトレーナーなら一緒に来い!!」
沙綾「う、うん!」
俺に良い傷薬を投げ渡された香澄を一旦残して、俺達はサルヒコのところへ向かうのだった...。
SARUHIKO SIDE
両脚による中断回し蹴りをバシャーモが両腕で受け止める。
右腕が突き出されるも、軸になっている右足が上手く踏み込む力が入っていなかった。
俺は
バシャーモは怒り浸透の為冷静さを掻き乱しながらも殴りに掛かるが、今の俺の前では遠く及ばなかった。
俺は渾身の一撃を込めたマッハパンチによるアッパーカットで宙に打ち上げられたバシャーモの
恐らく『ソーラービーム』だろうが、同じ炎タイプを持つ俺には効果は今一つだ。
俺に難なくそれを避けられ、更に焦りを生じたバシャーモは右腕を打つけ合う。
其処から激しい拳の
バシャーモ「ぐぉっ...!?」
バシャーモが大きく後退し、駆け出した俺に二度目のソーラービームを放つ。
俺は腕を交差させて相殺し、バシャーモの拳の嵐を回避していく。
隙を見てアッパーカットを打ち込み、俺は最大火力の炎を右の
サルヒコ「波ァァァァァァァッ!!!!」
火力を上昇させる度に炎の揺らめきが激しくなり、怒りの咆哮と共に
俺が今放っている技は炎御三家最強の技『ブラストバーン』。これを怒りの感情と合わせて放つ事で、貰い火の特性を持たない炎ポケモンだろうと、ダメージはただでは済まない。
バシャーモ「ぬおおおおおッ...!!!」
バシャーモは必死にブラストバーンを耐え
サルヒコ「波ァァァァァァァッ!!!!」
バシャーモ「ぐあああああッ!!ぁああああああああああッ...!!!!」
俺の怒りの炎を受けきれなかったバシャーモはアスファルトに押し出され、地面の着弾と同時にブラストバーンのエネルギーが爆発。
他の人間達に被害は出なかった事に俺は安堵はしたが、何よりこいつがヒトカゲを殴り飛ばした罪は余りにも重い。
仰向けに倒れている無様な姿を見下ろす俺に、バシャーモは自身の蓄積したダメージに構わず問う。
バシャーモ「...どうした?何故トドメを刺さない...!?」
サルヒコ「テメェ程の奴なら、ホントは気付いてんだろ?俺が言ってる事を...」
バシャーモ「ッ...!言いたい事はそれだけか?決着はもう付いたんだ、早くトドメを刺せ...!!」
俺は無言でマッハパンチを発動させるべく、振り上げた拳を白く輝かせた。
山吹のポケモンとされるグライガーと
一旦マッハパンチを中断し、グライガーには波動弾。バケッチャには尻尾でキツく締め付けた後にアスファルトに何度も体を叩き付けた。
仕上げに波動弾で怯んでいたグライガーに直撃させ、透かさず波動弾を数発打ち込んだ。
純「止めろ!これ以上、これ以上バシャーモを痛めつけるなら...俺が相手になってやるっ!!」
振り下ろそうとした瞬間に山吹の弟たるクソガキが割って入り、大の字となってバシャーモを庇う。
沙南「ダメェー!喧嘩しちゃ...!喧嘩しちゃダメェーっ!!」
バシャーモ「純、沙南...!」
サルヒコ「...ッ!!」
後から山吹の妹が泣きじゃくりながら抗議する。
歯を食い縛った俺は余りにも期待外れだった事を認識し、振り上げた拳を脱力させて背中を向ける。
サルヒコ「...止めだ、今のテメェと戦っても時間の無駄だ。少なくとも、あのガキ共に感謝しとくんだな。こいつらが俺を止めなかったら、テメェは今頃重傷どころじゃ済まなかっただろう...まぁ、その傷を見るに、なってるも同然か」
理央「サルヒコ!!」
理央達が俺達の方へ駆け付ける。
理央「お前、あれほど力温存しとけって言ったのに...!」
サルヒコ「...ルカ、バシャーモの傷、一応治しとけ」
ルカ「...分かった」
ルカは
香澄「サルヒコ君?今、何て...!?」
理央「帰るってさ。これ以上バシャーモを殴るだけ殴っても、心が痛くなるのはサルヒコ自身だからな」
有咲「だろうな。今は話す状態じゃないでしょ」
沙綾「御免ね。香澄とサルヒコが暴走しちゃって...」
山吹は頭を下げて俺達に謝罪するが、俺は向き直らずに押し黙る。
有咲「...まぁ、ライブはどうでもいいんだけど。でも、高校入って初めてのお昼...私、香澄と理央だけじゃなくて一緒に居たのが山吹さんだったから一緒に食べられたんだと思う。だから若し、山吹さんが...」
理央「有咲。それぐらいにしておけ」
更に山吹の地雷を踏みそうになった有咲の言葉を、理央が制止する。
我に返った有咲は
有咲「...あー!御免ッ!!私もまだぐちゃぐちゃで分かんないッ!!」
ドダイトス「オラも詳しくは言えねぇんだけどよ...少なくとも、知らねぇ奴よりお前とバシャーモがマシな方だったぜ」
りみ「私も、さーやちゃんと一緒に出来たら嬉しい」
ヌマクロー「僕、いつでも待ってる...!」
ドダイトス達も言葉を紡いで山吹に温もりのある言葉を投げる。
ウサギ女がスマホロトムを操作し、新曲のデータを送った。
たえ「曲のデータ送った。多分、今は誰も言葉で上手く言えないから」
ヒバニー「でも、オイラとおたえは信じてるぞ!いつかバシャーモがリザードンに進化したヒトカゲや、サルヒコと熱いバトルをしてくれるって!」
バシャーモ「...それ以上喋るな、耳
沙綾「私、無理だから...絶対無理だから!!」
沙綾とバシャーモは弟妹を抱き抱えながら強く否定するが、香澄は涙ぐんででも言葉を送る。
香澄「...それでも、私は待ってる。さーやが前を進んで一緒に歌ってくれる日を...!」
理央「行くぞ、サルヒコ。帰って最終調整だ」
サルヒコ「...ああ」
理央の後を追って踵を返す中、俺は一度歩みを止める。
ガキ共が心配そうな声を掛けていたからだ。
沙南「おねーちゃん...!」
純「バシャーモ...?」
沙綾「大丈夫...御免ね?」
バシャーモ「純、済まない...済まないっ...!」
サルヒコ「......」
くぐもったバシャーモの声が聞こえなくなるまで、俺は再び
此処で立ち直るか立ち直らないかはこいつ次第だが、そんな事は俺に取ってどうでもよかった。
確かに俺は弱い奴は嫌いだが、何故だかこういう奴には自然と情が
こんな気持ちはギネと一緒にカカロットを地球に送り飛ばしたのを見届けた以来か。
あいつが若しポケモンに生まれ変わってるなら、今度はカカロットと一緒に老衰で死ぬまで
RIO SIDE
サルヒコ「ふっ、はっ!てりゃああああッ!!」
明日は文化祭当日であるのにも関わらず、サルヒコはトレーニングを続けていた。
ルカの癒しの波動で回復しつつ、一切の休憩も挟まずに拳と足で空を薙ぐ。
アロウ『ったぁ、バーダック!少しは手加減してよぉっ!』
サルヒコ『バカラスが!戦いに加減もクソもあるか。ほら、回復したら又組み手やるぞ。今度は五体全員掛かって来い!!』
アロウを含めたフルバトル用の五体は、最終調整として5対1の組み手を行った。
近所迷惑になるのは承知の上だ。自分を限界まで追い込み、バシャーモとの決戦に備える為に。
相棒ポケモンの中でも唯一最終進化を果たしているドダイトスもその対象で、ルカは癒しの波動でフルバトルで戦う手持ちポケモンの回復に専念している。
理央「悪い。ちょっと香澄の様子見てくる」
ルカ『うん。大丈夫そうだったら戻って来て』
一方で俺達は有咲の蔵で香澄が涙を拭いながら、新曲の歌詞作りに専念していた。
ヌマクローやヒバニーはヒトカゲの様子を見ている。
ヒバニー『ヒトカゲ、大丈夫か?』
ヒトカゲ『うん、大丈夫だよ。でも、ちょっと無理しちゃったかな...?』
理央「どうだ?香澄の奴、まだあんな感じか?」
有咲「ああ。蔵来てからずっとああしてるけど...」
りみ「うん...」
有咲は俺とおたえに謝礼の言葉を言う。
有咲「...花園、たえ。理央も、さっきはありがとな...あれ以上の言葉を重ねてたら多分、今自己嫌悪でわーってなってたと思う。つか、あれ以上言おうとしてたんだ私...今の山吹さんに何を言ったって
理央「いや違う、そうじゃない...やるかやらないかは山吹自身が決める事だ。何でも一人で
有咲「理央...」
りみ「理央君...」
有咲が言う様に俺達が掻き回すべきではないと言うなら、きっちりと過去の整理が付け終わるまで会わない方が最善だ。
香澄だって、俺が居なかった場合も同じ事を言っていただろう。
理央「お前らは先に寝てろ。俺はサルヒコ達のトレーニングに戻る」
俺は蔵を上がり、サルヒコのトレーニングに戻った。
二人が立ち直るその日まで、俺達はもっと頑張るしかないんだ。
NO SIDE
晩飯を食べ終えた沙綾は、ベットの上で一人
バシャーモは
高校生活で初めて出来た友人から差し伸べられた手を否定した自分を自責した。
あの夏の日。母親が倒れたあの夏の日、バシャーモが重傷を負ったあの夏の日、バンドを脱退したあの冬の日。
様々な記憶が沙綾の頭を掻き乱す。
沙綾「...私には、無理だよっ...!」
破壊された穴から透き通った壁から微かに聞こえた声に、一つの影が反応して呟く。
???「...少し無意味だが、背中を押してやるとするか」
その言動は白か黒か、果ては破壊は創造か。今は誰にも分からない。
エンディング曲『女王蜂/メフィスト』
~次回、時空の叫びと星の鼓動~
りみ「私、香澄ちゃんや理央君、沙綾ちゃんの事も信じてるっ...!」
有咲「私だってやってやる!信じて待つ!!そのためにも今を全力で楽しむ!!」
夏希「私も、楽しかった。楽しくて楽しくてずっと大好きだったよ...」
理央「サルヒコ、全力で打ちのめせ!!」
沙綾「行くよ、バシャーモ!!」
第八話:発酵少女
時と闇を越え、空を駆けろ!!
TO BE CONTINUED...
理央と沙綾とのバトルは...
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フルバトル
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くじ引きの結果で六体以下