Bang Dream! ~時空の叫びと星の鼓動~   作:ライノア

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鼓動重なる花火大会 その2(リメイク)

RIO SIDE

 

アロウ『兄さん。待ち合わせの場所は其処で合ってる?』

理央「ああ、あそこだ。降ろせ」

 

有咲達が待機していた駅の広場でアロウを着地させ、ゴンドラタクシーから降りた香澄と有咲は他のメンバーと合流する。

 

香澄「今日という日、待ちに待った花火大会だ〜!はっなっび!はっなっび!」

リザード『全く、香澄は(はしゃ)ぎ過ぎだな』

理央「...まぁ、今回だけはうちのバカ姉貴の我儘(わがまま)を許してやってくれリザード。今回は俺も生まれて初めて花火大会に行くからさ」

リザード『...それもそうだな』

 

俺とリザードが香澄の燥ぎっぷりを見ながら、口元を緩める。

 

沙綾「香澄、ちょっと落ち着きなよ〜」

香澄「え〜、落ち着ける訳ないじゃん!私がこの日をどれだけ待ち()びてると思ってるの!」

沙綾「知ってるけど...って、ほらほら。浴衣なんだから、そんなに大股で歩いちゃ駄目だよ!」

香澄「はーい!」

理央「それにせっかく花火大会に来たってのに、見知らぬ人間に誘拐されて何やらされるか分からないしな。後の三人ももう少しで来る(はず)だが...」

 

燥ぐのは良いが、スリープに(だま)されたルリリの様になってほしくない。

俺の知っているスリープはトゲトゲ山で初めて捕まえたお(たず)ね者で、釈放された後は悪夢に(うな)されたルリリを助ける為に修行の山の頂上で再会した時には既に改心している。

だが、当時のスリープとは違って、釈放されても同じ事を繰り返す人間も実在する。

その被害に合わない為にも俺達が全力で死守する必要がある。

 

りみ「あ!香澄ちゃん、沙綾ちゃん、理央君!」

ヌマクロー『三匹共、お待たせ〜!』

バシャーモ『早速四人目が来たか』

 

甲高い声が飛び()い、りみとヌマクローが合流する。

 

りみ「御免ね、待った?着替えるのに手間取っちゃって...」

理央「そんなに待ってないから、別に気にしなくていいさ。お前も浴衣、着て来たんだな。ヌマクローは法被(はっぴ)(ねじ)鉢巻(はちまき)か...似合ってるな」

りみ「えへへ、有難う...」

 

りみの浴衣はアズマオウの柄が描かれた薄ピンクを基調としたもの。

法被を着たヌマクローの額にはオレンジと水色の捻り鉢巻を巻かれている。

 

香澄「りみりん、その格好...!」

りみ「ほら、此間おたえちゃんが言ってたでしょ?『浴衣で行く』って...だから、私も着ちゃった。若しかして、二人もおたえちゃんの言葉を聞いて着て来たの?」

理央「ああ、でもただ着て来た訳じゃない。今沙綾に預けているこのメッセージを書いた人間が、今年の花火大会に来るらしいんだ。その誰かは知らないが、時空の叫びを発動すれば()ぐに分かる」

 

俺の正体や時空の叫びについては詩船との戦いの後に明かしていた為か、状況を理解したりみは納得する。

 

りみ「そうだったんだ...って、香澄ちゃん?さっきから私の事ジロジロ見て、どうしたの?」

 

りみの浴衣姿を見た香澄は、茫然(ぼうぜん)と立ち尽くしていた。

 

香澄「...うん。りみりんの浴衣姿、とっても素敵だったから思わずポカーンとしちゃって...えへへ」

りみ「す、素敵って.../////そ、それを言うなら、香澄ちゃんの方が似合ってるよ!」

香澄「えっ、ホントに!?やった〜!褒められちゃった!さーやに着付けてもらったんだ〜!良いでしょ〜?」

沙綾「だから香澄。浴衣で飛び跳ねないの...!」

理央「ま、これが俺達の知ってる香澄だよ」

 

紅潮したりみに浴衣姿が似合ってると褒められた香澄は更に上機嫌になると、両足で地面を蹴って飛び跳ねた。

 

りみ「それにしても、沙綾ちゃんって着付けも出来るの?凄いね」

沙綾「ほんのちょっとだけね。別に全然凄くないよ」

りみ「そんな事ないよ。(むし)ろ凄いと思う!それに、沙綾ちゃんの浴衣姿...何だか流石って感じがする。とっても大人っぽく見えるね。理央君は相棒ポケモンのルカ君のイメージカラーに沿ってて良いね」

理央「イメージカラーというよりも、ちょっと濃い感じだけどな...さっきのりみの気持ち、分かる気がする」

沙綾「...うん。笑顔で褒められると、凄くこそばゆい気持ちになっちゃうね」

 

俺と沙綾がりみの気持ちになった感じで照れ臭くなったタイミングでおたえとヒバニーが合流を果たす。

 

たえ「あ、皆浴衣...!」

ヒバニー『理央は甚平だ!』

 

おたえの浴衣は朝顔が描かれた青をベースにし、ヒバニーは頭に白と黄色の捻り鉢巻きとオレンジの法被を身に付けている。

流石、浴衣を着ていくって宣言しただけあるな。

 

香澄「おたえの浴衣姿、凄く奇麗(きれい)!」

沙綾「ホントだ。おたえの髪の毛がサラサラしてるから、ホントに和服美人って感じだね」

リザード『ヒバニーも捻り鉢巻と法被まで着たか。何と言うか...すげぇ男前だな』

ヒバニー『えへへ〜。リザードにそう言われるとオイラ、すっごく嬉しくなってきたぞ!こんなこともあろうかと、ポピパの相棒ポケモン全員分の法被と捻り鉢巻作ってきた!』

たえ「その法被と捻り鉢巻、全部ヒバニーが相棒ポケモン達の為に一晩掛けて作ってきたんだって。それに、オーナーとの戦いで活躍した理央の手持ちの分も」

 

よく見れば俺の手持ちのイメージカラーに沿った鉢巻や法被などがある。

例外としては鉢巻と法被の代わりに赤いバンダナもあった。これは恐らくサルヒコの分だな。

まさか、あのヒバニーにそんな特技があったなんてな...今度俺もヒバニーに服の作り方を教わろうかと思っていた矢先、何かが素早く接近してきた。

それを波動で感知した俺は、ルカとの意識をシンクロ。

(うごめ)く何かが俺の周りを這い回ったと同時に風が吹き荒れ、脇腹辺りに握った拳を構える。

 

理央「...其処かァッ!!!!」

ルカ『ふっ...!!』

 

左足を軸に後ろに向き直った俺と合わせる様にしてルカはコメットパンチを打ち込む。

俺達の周りを蠢いていた正体はドダイトスだった。

反動技のウッドハンマーで拮抗したパワーは互角で、そのまま後方へ下がる。

 

有咲「悪い、少し遅れた...どうだ、理央。挨拶代わりとして打った最速ウッドハンマーの味は?」

理央「悪趣味だな有咲。そのスピードとパワー、さては殻を破るを覚えさせてきたな?」

有咲「いや、覚えさせたのはロックカットの方だが...?」

理央「何でよ!?」

 

さっきの不意打ちで放った最大速度のウッドハンマーはロックカットとの合わせ技だった。

恐らくウッドハンマーを打つ直前に全体重を乗せたのだろう。

若し殻を破るを使っていたならルカを更に後ろへ押していたかもしれない。

 

理央「何はともあれ、これで全員揃ったな」

有咲「...お前ら、全員浴衣かよ」

香澄「とか言って、全員浴衣じゃん」

有咲「やっぱ考えるとこは皆一緒か...って、一人だけ浴衣じゃないんだが!?...つーか、香澄と同じレベルとか勘弁してほしいんだけど」

 

有咲の浴衣は百合の花が描かれた紫を基調としたもの。

ドダイトスの頭には深緑と黄土色の捻り鉢巻が乗せてあった。

 

りみ「有咲ちゃんの浴衣姿奇麗...すっごく色っぽくて、つい見惚(みと)れちゃう...」

有咲「はぁ!?な、何言っちゃってんの突然!!!?」

たえ「有咲、照れてる」

有咲「別に照れてねーから////!!!!」

沙綾「うんうん、照れてない照れてない。顔は赤いけど...全然照れてない」

有咲「べ、別に照れてねーから////!!!!」

 

浴衣姿を評価されて相も変わらず意地を通す有咲に対して沙綾は本人の意見に合わせる...と見せかけて顔で分かり易かったので最後は揶揄(からか)った。

 

ドダイトス『ハッハッハ!有咲の奴、ハッキリと言われてやがらぁ!こりゃぁ内心ではよっぽど喜ばしい事だろうよ...』

理央「楽奈が此処に居たら絶対『おもしれー女』って言い出しそうだな...いや、『おもしれー奴等』の方が妥当か」

香澄「さーて、それじゃあ皆(そろ)ったし花火大会に出発進k...「さくぽん、早く戻って来てくれェェェェェェェェッ!!!!」うええっ、何!?」

 

花火大会の場所に赴こうとした次の瞬間、何処からか叫び声が響く。

 

???「こら、ジュブリー。そんな大声で騒いだら他の人にも迷惑が掛かるでしょ?それに、アキノリが準備に少し手間取ってるらしいけれど...」

???「うん。さくぽん達が居ないと、今年のお祭りに行くのが面白くなくなってまうんよ...」

???「大丈夫だって。別に間に合わない訳でもないし!」

 

大声で叫んだ鳥ポケモンの羽が描かれた青紫色の甚平(じんべい)を着ている少年を慰めていたのは、赤い甚平を着た黒髪の少年と薄紫の浴衣を着たショートヘアーの少女。

連れ歩いているポケモンはどれも未進化ポケモンばかりだった。

一匹目はターバンに似たもふもふの頭部から肩辺りにかけての羽毛と尾毛が白い青い鳥ポケモン。

 

二匹目は一対の丈夫な大(あご)が特徴的な、頭頂部がオレンジでその周りが黄色で(ふち)取られている白い幼虫ポケモン。

頭部の前面には発達した大顎があり、付け根側は黄色で先端側はオレンジ色をしている。

顔は茶色で黒い虹彩をしている楕円(だえん)形の目。縦に長くギザギザした口は大顎の間にあり、下側には三対六本の短足。体側面には黄色の丸い斑点が二つずつ見られる。

 

最後の三体目はズバットと同じコウモリポケモン。

体は薄紫色で目は黄色。首周りと尻部(こうぶ)から腿部(たいぶ)にかけて黒い毛で覆われ、耳はそれぞれ顔と同じぐらいの大きさがあり丸い縁が濃い紫色となっている。

雛鷲(ひなわし)ポケモン『ワシボン』、幼虫ポケモン『アゴジムシ』、そして音波ポケモン『オンバット』の三体。

 

『ワシボン 雛鷲ポケモン ノーマル 飛行タイプ 生まれて直ぐに親に挑んで力を認めてもらう必要があり、その後も事ある毎に親に挑戦する。強そうなポケモンにも戦いを挑み、負けた時は大泣きするが、それを乗り越えて強くなる』

『アゴジムシ 幼虫ポケモン 虫タイプ 普段は地面の中に大顎を使って巣穴を作り、その中で暮らしている。大顎は太い枝をへし折ることが出来る程強力で、地中の移動などに活用する』

『オンバット 音波ポケモン 飛行 ドラゴンタイプ 特徴的な巨大な耳は様々な周波数の音波を放ち、最大で20万ヘルツの音波も出す。攻撃に利用するほか、仲間とのコミュニケーションや餌となる果物に当てて熟度を測る事が出来る』

 

俺のパットロトムの電子音声に気付いた青紫色の甚平を着た少年が此方へ駆け寄って来た。

 

???「なぁ、君!そのスマホロトム...若しかして、ロトムパット!?」

理央「何でロトムパットの事を?そういうお前らは...?」

???「僕は大鳳貴雄(おおとり たかお)大鳳組(おおとりぐみ)組長『大鳳鷲雄(おおとり わしお)』の一人息子や!構成員の皆からは坊ちゃんって呼ばれとるけど、それでも気にせず受け入れとるで!」

有咲「''大鳳組''だってェ!!!?」

ドダイトス『あの大鳳組組長の息子だと...!?』

 

大鳳組の言葉を聞いた有咲が素っ頓狂な声を上げ、ドダイトスは愕然としている。

 

香澄「ねぇ、有咲。何なのその大鳳組って...?」

有咲「バカヤロー!大鳳組はなぁ!このガルパ地方を含めた日本の中で最も知名度が高い極道組織!!下手に機嫌損ねたら、何されるか分かんねーんだぞ!!」

貴雄「其処(そこ)まで僕とお父ちゃんの事知っとるのか。でも安心して、相手が下衆野郎でなけりゃ————一切の手出しはしまへんのでご心配なく...!!」

「「ヒィッ!?」」

 

低いトーンに切り替わった貴雄の強力な圧力に、香澄と有咲は俺の背後に避難する。

バシャーモが臨戦態勢に移ろうとした時、りみが貴雄に向かってゆっくりと牛歩していく。

圧力を解いた貴雄もりみの顔を見て、何か見覚えがある様だ。

 

りみ「ね、ねぇ。貴方若しかして...たっちゃん?」

貴雄「えっ、何で君は僕の昔の渾名(あだな)を知っとるんや?いや、待て...若しかしてやけど君...りみりんか!?」

理央、ルカ、たえ、ヌマクロー、バシャーモ以外『ええーーーーッ!!!?』

 

突然の事実で俺、ルカ、おたえ、ヌマクロー、バシャーモ以外のメンバーが驚く。

 

りみ「たっちゃん!やっぱりたっちゃんなんやね!会いたかった〜!!」

貴雄「相変わらずちっこくてかわええまんまやな!浴衣姿も似合っとるで〜!」

有咲「おい、どういう事だよりみ!何で大鳳組の息子と知り合いなんだよ!?」

りみ「うん!私とたっちゃんはコガネシティに居た幼馴染みなんだ〜!」

 

有咲の質問にりみはいつもとは違うテンションで即答した。

貴雄とは同じコガネシティ出身の幼馴染みで、ゆりと一緒に家に遊びに来た時は組員達から娘の様に可愛がられたそうだ。

 

ヌマクロー『ボンボン、久しぶり〜』

ワシボン『ゴロ吉。久しいのぉ、進化しても昔っから暢気なのも変わっとらんなぁ。おやっさんにも、高校生になったりみの浴衣姿を拝ませてやりたかったわぁ』

 

再会を果たしたのはりみと貴雄だけではない。

貴雄の相棒ポケモンであるヤクザ口調で話すワシボンことボンボンが、ゴロ吉の渾名で呼ばれているヌマクローの頭を撫でて互いの再会を喜んでいた。

 

???「ジュブリー!さっきから見てたんだけど、その子と知り合いなの?」

貴雄「うん、僕がコガネに居た時の幼馴染みや。りみりんって言うんやで!」

???「幼馴染みねぇ...あたしとジュニラムも似た様な関係なんだけどね」

 

貴雄の元へ駆け付けたアゴジムシとオンバットのトレーナーである二人の少年少女は自己紹介を始める。

 

???「初めまして、ポピパの皆。僕は小野寺(おのでら)雄一(ゆういち)、君達の事は雄大から聞いてるよ!」

???「あたしは(ひかり)雲母(きらら)。誰もが知る謎の女よ...宜しくねぇ?」

 

ハキハキとした態度で挨拶をする雄一と、妖艶な表情を浮かべ色っぽい声を出す雲母。

どうやらこの三人は、前に透冀が言っていた『マスコット組』に違いないだろう。

俺達は貴雄達三人を連れて花火大会の会場周辺に赴くと、人混みの波が押し寄せる様にして通り過ぎる。

 

香澄「わわっ、すっごい人だね....若しかしてこの人達、全員花火大会を見に?」

有咲「だからそう言ってただろ?滅茶滅茶人来るって...」

沙綾「かなり盛大にやるもんね。向こうの方は屋台とかも出てるし」

りみ「花火が上がるのって、どの辺だったかな?」

 

りみの疑問に、有咲はスマホロトムで花火が打ち上がる場所を検索する。

 

有咲「えっと、確かこっちの方角だったけど...」

りみ「その辺だと、あんまり見えないかもね」

香澄「えっ、花火見れないの?やだ、花火見たいよ〜!」

沙綾「良い場所は、何日も前から場所取りとかしてるみたいだから...」

香澄「やだ!見たい〜!」

 

駄々を捏ねる香澄に、有咲は呆れながらも小さく呟く。

 

有咲「...ったく、しょーがねーなー。本当は秘密にしておきたい場所なんだけど...あそこに行くか」

香澄「えっ、有咲知ってるの!?」

有咲「多分あそこなら人も少なそうだし、良いと思う」

香澄「行くっ!絶対其処行く!」

有咲「...此処(ここ)からちょっと歩くけど、平気か?」

香澄「うん!皆も平気だよね?」

 

有咲の確認に俺達は即答する。

 

理央「俺は問題ない」

りみ「勿論(もちろん)平気だけど、この人混みだと逸れない様にしないとね」

貴雄「せやったら、皆で手を繋ぐのはどうや?」

沙綾「私も同じ事考えてた。弟達と人が多いところに出かける時はそうしてるんだ。それじゃあ、手を繋ぎたい人、挙手(きょしゅ)!」

たえ「はい!」

 

数秒足らずでおたえは即座に挙手した。

 

有咲「お、おたえ。恥ずかしげもなく挙手を...恥ずかしくないのか?手を繋ぐなんて子供見たいじゃん」

たえ「だって、(はぐ)れたら嫌だから」

沙綾「ふふっ、おたえは良い子だね。それじゃあ、手繋ごっか?」

 

沙綾の持ち掛けにおたえは手を繋ぐ。

 

香澄「良いな、良いな!私も私も!私もさーやと手を繋いで、有咲のお勧めスポットまで行く〜!」

理央「やれやれ。こういうのも悪くないかもな...お前らは手を繋がないのか?」

雄一「ううん、僕は当然繋ぐよ。キバーラちゃんが迷子になったら色々と大変だから」

雲母「言ってくれるわねジュニラム...でも、ありがと。あたしの事気遣ってくれて」

 

雄一と雲母はどうやら恋人同士である様だ。きっと俺達が知らぬ間に様々な困難を乗り越えてきたんだろうな。

一方で貴雄とりみは幼馴染み同士で手を繋ぎ、そのまま屋台へ(おもむ)いていく。

俺も香澄の手を繋いで屋台に向かった————。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SAKUYA SIDE

 

楽奈「...抹茶のかき氷、まだ?」

咲夜「だからまだだって言ってるだろ?少し準備に手間取ったのもあるしな...!」

 

俺はポケモンの背中に乗って森林を駆け巡っている。

背後には楽奈が飛ばされない様に両腕で俺の脇腹(わきばら)を挟み込み、噛み合う前輪と後輪が地面に散らばる無数の葉を踏み鳴らす。

レグレット達はマスコット組とは別ルートで合流する様に言われ、楽奈は俺が監視する様に命じられた。

服装は俺が両肩に『33』の文字と、左側に白い十字線が描かれているマゼンタのTシャツ。

楽奈は黒い帯が巻かれた抹茶色の浴衣で、頭には赤い花のカチューシャを付けている。

 

???「アギャス!」

咲夜「どうしたピンワン。そんなに理央に会いたいか?そう急かすなって。調査中に何もなければ、俺のポケモン達にも会えるさ」

???「アギャァス!」

咲夜「ほら、フューザーも言ってるぜ?『若し一分や二分ちょっとでもあれば、ちょっとだけでも会う事は出来るよ』ってな」

 

俺達が乗っている二体のポケモンは、通常のポケモンとはまた違う別の存在。

俺が乗っているのは、紫とシルバーを基調にしたメカニクルな外見。

目の後ろからアンテナ状の四本の角、目は黒い液晶のような器官に描かれた虹彩はドットで描かれている。

顔と首の境目には耳当てのような膨らみがあり、輪郭(りんかく)は青紫色で中は白い粒が浮かぶ青紫色に光っている。

首から腹にかけて丸い膨らみを持ち、表面にMを伸ばしたような模様がある。

前足の肩には青い湾曲(わんきょく)した波線型のツノのようなトゲが背中に伸びており、根元近くに丸い三日月型の白い粒の浮かぶ青紫色に光る部分が二つ並んでいるそれが、乗り手が掴むハンドルの役割を(にな)う。

太腿(ふともも)は直線の途中でVを描く心電図のような線で分けられ、線は白い粒の浮かぶ青紫色に光る。

太腿の付け根側は色が濃く、ジェットエンジンのような器官を持つ。

尻尾は等間隔に横線が入っており、腰にはバイクの背もたれのような黒い部位。

そして前足と後ろ足を折り(たた)んだ喉の膨らみと尻尾を腹側に丸く繋げたリング形状のバイクの様な形態で走っている。

 

もう一体は同じく尻尾と喉袋をタイヤの様に丸めて四足歩行で移動している、古代のドラゴンの様な見た目をした赤い体色のポケモン。

手足の指は四本。(たくま)しい蜥蜴(とかげ)や竜人を連想させ、全身が(うろこ)で覆われている。

頭からは捻れた髪で出来た長い触角のように二本生えており、根元付近は青でピンク色は青よりも少し長く、最後の白が一番長く触角の半分以上を占める。

羽の前に一本だけ青い毛が短く、赤く短い触角が二本生えている。

前足の肩には青い湾曲した角の様なパーツが背中に伸び、(ほお)には白い楕円(だえん)の半円模様。二の腕と太ももには白いダイヤマークが連なった模様がある。

古代と未来の世界から来た未知なるポケモン『パラドックスポケモン』。

最初に送り込まれたこの二体こそが『翼之王(コライドン)』と『鉄之大蛇(ミライドン)』だ。

俺と理央がパルデアで最初に出会ったライドポケモン達で、(がけ)や水上だけでは止まらず空中では滑空や自由飛行も出来るオールラウンダーだ。

コライドンのピンワンとミライドンフューザーを一旦止めた俺と楽奈は、双眼鏡で辺りを見渡す。

 

楽奈「何も、ない」

咲夜「だな。此処から5000m以上は走ったし、少し休憩でも挟むか?良ければお前らの好きな具材をサンドイッチにして食わせてやる」

「「アギャス!」」

 

サンドイッチの単語に反応した二体は、馬の様に前足を上げる。

未だに双眼鏡で周囲を見渡していた楽奈は何かを見つけたのか、自分の視線を目的地への目印を置いてピンワンに耳打つ。

そしてピンワンは楽奈を乗せたまま、目印を付けた方角へと駆け出した。

俺もその後を追う様にしてフューザーを再度走行させる。

 

咲夜「急にどうした楽奈!まさか、何か異変でも見つけたのか!?」

楽奈「...違う。誰かが、誰かが助けを求めてる...!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




TO BE CONTIBUED...

理央と沙綾とのバトルは...

  • フルバトル
  • くじ引きの結果で六体以下
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