ラブライブ! ~黒一点~   作:フチタカ

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第五十一話 彼女たちの願い

 

 決戦前夜――。

 

 二月も中盤に差し掛かり、凍てつくような寒さに草木も小刻みに震えている。都内の、比較的自然豊かな土地に建てられた音ノ木坂学院。温かみのある橙の煉瓦で作られた校舎も月明かりに照らされて少し寂し気な印象を見せた。

 ぽつん、と灯る明かり。生徒の居ないはずの夜の学校に彼女たちは居た。

 

「ちょっと、穂乃果ー。カーテン早く締めなさい! 冷えちゃうでしょ?」

 

 ぼうっと星空を眺めていた穂乃果は慌ててに声の主の指示に従った。

 

「ごめーん、にこちゃん!」

「どうしたの、ぼんやりして。合宿したいって言ったのは穂乃果なんだからね?」

「またまた~。にこちゃんもノリノリだったの凛、知ってるにゃ~♪」

「なっ! 別にそーいう訳じゃないわよ!」

 

 穂乃果がてくてくと自分の席へ戻るといつも通りの会話が繰り広げられている。高校生にとって二歳というのはかなり大きな差ではあるが、彼女達はそれを感じさせない雰囲気があった。穂乃果は嬉しそうに笑いながら隣の幼馴染に声をかける。

 

「それにしても、学校に泊まる許可が出てよかったね、ことりちゃん!」

「うん! お母さんが気を効かせてくれたから」

 

 ことりは心の中で理解ある母親にお礼を言う。

 

――お母さんありがとう。

 

 理事長と言う立場的に、あまり職権を乱用することは好ましくないのだが我が子の願いとなれば致し方ない部分もあるのだろう。もしくは、奇しくも娘の所属するスクールアイドルグループが経営を救うことになったわけで……恩人への配慮なのかもしれない。

 いずれにせよ、

 

『学校の宿泊がしたいなら、二週間前に許可を取らなきゃダメなんだけど……もしかしたら、私が見落としてたのかもね? 貴女達のお陰で最近は忙しかったから』

 

 と、ウィンク交えて言えるあたり、流石女手一つで学校経営を維持し続けてきた理事長――といった所だろう。その血は脈々と娘であることりに受け継がれているに違いない。ことりは手に入れた許可証をヒラヒラさせながらえへへ、といたずらっぽく微笑んで居た。

 

「ごはんあと二十分で炊けるよー!」

 

 家庭科室の奥から花陽の声が聞こえる。

 

「そう? じゃあ、おかず作り始めるわね」

 

 言うが早いか駄弁っていたにこは素早く腰をあげ、エプロンを身に纏いテキパキと調理の準備を始めた。その様子を見ていつもは生意気な一年生も感心したように声をかける。

 

「相変わらず小慣れてるわね」

「ふっふーん、真姫。もっと褒めても良いのよ?」

「スゴイワネ」

「なんで棒読みなのよっ!」

 

 凛も楽しそうに会話に混ざる。

 

「すっごーい! にこちゃんは家事が出来るフレンズなんだね!」

「猫のフレンズの凛! アンタふざけてばっかりいないで手伝いなさい」

「はーい。それにしても、じゃじゃ馬のフレンズが今日来れなかったのは寂しいにゃ~」

 

 じゃじゃ馬のフレンズ――? と、疑問符を浮かべる者は居ない。

 あぁ、海菜なら……。と、絵里がすぐに口を開いた。

 

「やっぱり無理だって。流石に明後日二次試験だから」

「うん! 仕方ないにゃ~」

「というか、海菜さんはじゃじゃ馬のフレンズなんですね……確かにそうですけど」

 

 にこが調理室に引っ込んだせいで一切のツッコミがなくなった空間に空しく海未の声が溶けた。

 幼馴染の言う通り、後輩にじゃじゃ馬と称された青年は自宅にて懸命に数式を書き連ねていた。勿論、現実問題男である彼が女子高で行われる合宿に参加することは不可能なのだが、部屋に居たメンバー全員が少しだけ寂しそうな表情を浮かべている。

 

 本選までの時間は既に二十四時間を切っており、二次試験までは約四十時間足らず。

 お互いの最終目標がほぼ重なってしまった現状では中々スケジュールを合わせることは出来なかった。

 

「でも、明日は見に来てくれるらしいわよ? 私たちの出番だけだろうけど」

「次の日試験やし、十分すぎるやん! 相変わらず律儀やねぇ」

 

 希はくすりと微笑む。秘かに思いを寄せる男の子の体調は確かに心配ではあるけれど、同時に彼が自分たちの晴れ舞台に顔を見せないタイプでは絶対にないと知っていた。そして、彼女は幾分か状況を好転させたにこに声をかける。

 

「にこっちが演技の順番を決めるくじで、トリを引いてくれたお陰やん」

「そうね、海菜も喜んでたわよ」

 

 調理の手を止めてにこが答える。

 

「どーせ『演技と結果、一気に見れて楽』とか言ってたんでしょ。素直に褒めれば良いのに……」

「え? そんなこと無いよ? 『やっぱりニコの奴、持ってるな』って褒めてたし」

「え!? 希、それ本当でしょうね? ニコを褒めるなんてアイツどういう風の吹き回しよ……逆に嫌な予感がするわね。何かのフラグ? ちょっと怖いんだけど……」

「それは大丈夫やない? 『アイツ一生分の運を使い果たしたな、俺のスケジュールの効率化の為だけに。かわいそw』って続けてたから」

「ムカつく!!」

 

 

 わいわいと騒がしい家庭科室に、次第に香辛料の良い香りが漂い始める。プリプリと怒りながらも見事なフライパン捌きで着々とμ'sの家事担当は料理を完成させていた。他のメンバーも食器などを準備して待っていた。

 しかし何故か一人だけ、炊飯器の前で座り込んでいる女の子がいる。

 

「花陽、何をしているのですか?」

「しっ! 海未ちゃん、静かに……」

「はっ、はい。すみません?」

「今、お米の声を聴いてるの」

 

――お米の、声?

 

 触れてはいけないものに触れてしまった確かな危機感と、理解不能なワードからくる疑問が踊る。海未は言われるがまま口を噤んで花陽と炊飯器を見守った。

 

「…………」

「…………」

 

 暫しの沈黙――そして。

 

 ピ――――――。

 

 聞き慣れた電子音が鳴り響いた。それは一般的に米が炊けた合図であるが。

 

「花陽、炊けましたよ?」

 

 そう言いながら海未は静かに蓋へと手を伸ばし――。

 

 

 

「あーーーー! ダメぇ!!!!!」

 

 

 

 刹那。花陽に押し倒された。

 むぎゅ、と後輩に抱きしめられ、あたふたしながら海未は視線を泳がせる。一体、私が何をしたのでしょうか!? しかし、当然彼女の知識からその問いの答えを導き出すのは不可能。ただ、妙に良い香りのする花陽に胸や頭を押し当てられ、されるがままになる事しか出来なかった。

 

「何やってるの、海未ちゃん!」

「な、何って……お米を皆に配らなくては」

「ダメだよ! まだ完成してないんだから!」

「えぇ? でも、たった今ピーと音が……」

「蒸らさなきゃ!!!!」

「蒸ら……?」

「蒸らさなきゃ!!!!!!!」

 

 最新式の炊飯器ならいざ知らず、この家庭科室にあるような旧式のしかも大型の性能のよくない炊飯器を使うならそれ相応に気を使わなければいけない。炊き終わってから蓋を開けずに適切な時間蒸らす必要がある。蒸らし時間は大体目安はあるけれど、一番良いのはお米の声を聴く事。

 花陽が必死の形相で羅列する情報を、海未はかけらも理解出来なかった。

 

「今日はかいな先輩じゃなくて、海未ちゃんが被害者だにゃー」

「ふふ、やっぱり花陽ちゃん面白いね!」

「穂乃果、笑ってないで助けに行ってあげたら? 海未、目を回してるわよ」

 

 

 暫くして――。

 

「出来たわよー!!」

 

 フライパン一杯の麻婆豆腐を片手ににこが呼ぶ。その声に全員が注目し、表情を輝かせた。遠めに見ても分かるほど美味しそうな出来で……。濛々と立ち込める酸っぱい湯気の元には、食欲をそそる赤。豆腐が綺麗に形を保っている辺り手慣れていることが伺える。食材を切る手伝いをした穂乃果たちも、まさかそれらがこれほどまで魅力的に姿を変えるとは思っていなかった。

 

「ほら、良い感じに取り分けなさい」

 

 にこは机の上にドン、とフライパンを置いた。

 続いて希やことりが頷いて個々の皿に取り分ける。

 

 にこはふぅ、と一息ついてエプロンを畳んだ。そして慌ただしく食事の準備をする穂乃果たちを眺める。――ちゃんと自分の出来ることはしてくれようとする辺り、良い娘達なのよね。ふと自分の妹たちとその姿を重ねて、彼女は微笑んだ。あれだけ嬉しい顔をしてくれると頑張って作った甲斐もある。

 

――あれ? どうしたのかしら。

 

 彼女の目に留まったのは花陽。既に海未は這う這うの体で彼女から逃れており、相変わらず花陽は炊飯器の前でじっと座ったまま――食材の声を聴いていた。無論、にこにそれは知る由もない。

 つかつかと後輩の元に歩いて行き、

 

 

「ほら、花陽。おかず出来たわよ。さっさとごはん取り分けて……」

 

 

 

 

 話しかけながら炊飯器の蓋に手をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にこちゃん!? ダメぇ!! あと二十秒待ってーーー!!!!!!!!!!」

「へ? きゃあああああああ!?!?!?!?」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

「満足です!」

 

 けふ、と可愛らしいげっぷと共に花陽が満足そうに手を合わせた。

 

『ごちそうさまです!』

 

 九人が声を合わせて行儀よく頭を下げる。

 それぞれの目の前に置かれた茶碗や皿は全て綺麗に空いており、誰も食べ切れずに残したりしていなかった。花陽は何故か自前のどんぶりを満足そうに撫でまわしているし、これまた不思議な事に凛は至極幸せそうな表情で一人だけラーメンのスープを啜っている。

 

「なんだか、合宿みたいやね?」

「うん、同じくらい楽しいね」

「何言ってるの、ことりちゃん。合宿より楽しいよー! だって、学校だよ? 学校!」

 

 まったく、子供ねー。

 にこが嬉しそうに話す穂乃果を見ながら零した。

 穂乃果は目をキラキラと輝かせながらことりや希を見て笑う。そしてふと何かを思い出したかのように大きく口を開けると、カタンと音をたてながら立ち上がった。食事後の艶めいた唇が弾む。

 

「ねえねえ、今って夜だったよね?」

「へ? そうやけど……」

 

 言うが早いか、彼女は窓に駆け寄ると

 

「ばーーん!」

 

 カーテンを躊躇いなく開いた。

 窓は開けていないため急激に冷たい空気が室内に入ってくることは無かったが、家とは違う校舎の大きな窓はすぐに室内の空気を冷やし始める。布切れ一枚とはいえ間に挟むことの重要性が理解できた。

 

「ちょっと、何してるの!? 寒いじゃない!」

 

 上座――というよりは窓のすぐ傍が定位置のにこ。彼女は慌てて襟を寄せながら苦情の声をあげた。しかし、それに穂乃果が臆することは無い。にこり、と満面の笑みを浮かべると元気よく振り向いた。当然、カーテンは締めないままで。

 

「夜の学校ってさ、なんだかワクワクしない!? いつもと違う雰囲気で、しんせーん!」

 

 その問いかけに対するメンバーの答えは概ね一致していた。それぞれ表情に違いがあれど素直に頷いて見せる。昼間しか来ることのない校舎の中にこの時間まで居られるという非日常。程度の差はともかく、誰もが多少なりとも心躍るシチュエーションなのだ。

 

――ただ一人を除いては。

 

「……そ、そう?」

 

 小声で絵里が零した。

 そしてその声を耳ざとく希が聞きつけてほくそ笑む。

 

「凛、後で肝試しがしたいにゃー!」

「えぇっ!?」

「いいやん! 特にエリチは、大好きだもんねぇ~?」

「の、希!」

 

 絵里は慌てて隣に座る親友に抗議の声をあげる。しかし、当然彼女は動じることなくいたずらっぽい笑みを浮かべたまま堂々と見つめ返してきた。

 

――この表情、見たことあるわ……。

 

 絵里の脳裏に一人の青年の顔が浮かんだ。同時に、冷や汗が浮かぶ。

 

「絵里ちゃんそうなの?」

「え、えっとそれは……」

 

 絵里は最上級生の威厳を保ちながらも肝試しを回避する。そんな方法を探してしどろもどろになりながら弁明を始めた。しかし、当然彼女が言い訳を終えるまで他のメンバーが大人しくしている訳は無くて……。

 

 パチン。

 

 唐突に部屋の電気が消えた。

 

「ひっ!?」

「おーばーけーだーにゃー!」

 

 直後、暗闇の中――凛の顔だけが浮かび上がった。

 単純に懐中電灯で下から顔を照らしただけの安易なものではあったが

 

「きゃあ!!!」

 

 効果はてきめんだった。

 

 絵里は悲鳴を上げながら一番手近に居たことりに抱き着く。よく手入れされた金髪が揺れ、放漫な彼女の胸がことりのそれと触れ合って互いに柔らかく形を変えた。しかし、最上級生は構うことなく後輩にしがみつく。

 

「ふぇ?? 絵里ちゃん~? 痛いよ~?」

「離さないで、離さないで、お願い!」

「えぇ?」

「やぁ……海菜ぁ……」

 

 最後、小声で零した声は誰にも聞かれていない。

 

 パチン。

 再び部屋に明かりが灯る。スイッチの前には真姫が居て、驚いたように先輩を見ていた。悪い事は出来ない性格なのか、表情に申し訳なさが滲み出ている。

 

「暗い所は苦手だって言ってたから、ほんの一瞬だけ脅かそうとしたんだけど……」

「凛の顔が怖すぎたのかにゃ?」

 

 一方、凛は悪びれることなくにこにこと笑う。

 

「ふふ、新たな発見やろ~?」

「希!!」

 

 絵里は全てを知った上でイタズラを仕掛けた親友に噛みついた。頬は赤く、未だにことりにしがみついたままなので迫力などありはしないけれど。そして、抱き着かれたことりは何故か幸せそうにひっそりと絵里の腰に手を回していた。

 

「真姫も! 電気を消したり驚かせるのは禁止!」

「分かったわよ」

「待って、真姫ちゃん、もう一回消して!」

「穂乃果!?」

 

 予想外の方向からの追い打ちに戸惑う。

 が、何故か穂乃果は部屋の様子に目もくれずに窓の外を眺めていた。

 

「良いけど……絵里、ちょっと我慢しなさい?」

「ひっ……」

「もう、絵里ちゃん~♡」

 

 再び部屋は闇に包まれて、全員の視線は穂乃果と月明かりの零れる窓に集まる。

 そして、次第にそれは上へと移って行き。

 

 

 

「星が綺麗……」

 

 

 

 ため息のような声が漏れた。

 

 

 無数のきらめく光が──まるで空にもうひとつの東京が覆い被さったように、そこにはあった。それは夢の景色のように、ただひたすらに、美しい眺めだった。

 

 

 

「ねぇ。屋上に……行ってみない?」

 

 

 

 

***

 

 

「ふえぇ……」

「花陽ちゃん、頑張って!」

 

 穂乃果の励ましの声に後押しされて、花陽は一生懸命備え付けられた鉄の梯子を上る。あまり普段使用者が居ないせいか所々錆びており、季節のせいで金属は冷たい。かじかむ手を繰り返し上へと伸ばしながら彼女は屋上の……一番上へと向かっていた。

 既に全員が梯子を昇り終えており、花陽の到着を待っていた。

 冷たい風が寝巻の薄布を通して背中を撫でる。

 

「ん……しょっ」

「はい、手を握って? もうちょっとだよ」

 

 差し出される穂乃果の右手。

 花陽は恐る恐る掴む――すぐに力強く握り返された。

 

――穂乃果ちゃんの手。

 

 μ'sを引っ張ってきたリーダーの手。

 その大きさを理解する、その前に彼女はその手に引っ張り上げられた。

 

 その足は煉瓦作りの床へと降り立って――。

 

 

 

「わぁ……」

 

 

 

 すぐに感嘆の声が漏れた。

 凛と真姫がブランケットを肩にかけてくれたことにさえ気づかずに花陽は呆けたように口を開け、目の前に広がる景色に目を奪われていた。彼女たちがここまで来た理由は一重に星の為。無数の砂金ぐらいの光がちりりと冷たそうに震えていたのを見て登って来たのだ。その美しさに心奪われて。

 

 しかし――今、彼女たちの心を奪うのは。

 

 

「光の海みたい……」

 

 

 人が作り出した星々だった。

 光の海――ことりが零した言葉はその情景を形容するに丁度良い。多種多様な光が集まり、まるで海のように煌めいている。大気汚染や町明かりの少ない地方に比べると、確かに劣る星の質。しかし、地上に輝く星はどこにも劣らぬ魅力を持っていた。

 

「あの、一つ一つが、皆誰かの光なんですよね」

 

 海未は小さく微笑み。

 

「その光の中でみんなが生活してて、喜んだり、悲しんだり、努力したり」

 

 絵里はこの光の一つ。

 明かりを灯して努力を続ける彼に想いを馳せた。

 

「きっと、この中には私たちと話したことも、会ったことも無い人たちがたくさん居るんだよね」

 

 そんな穂乃果の言葉ににこが返す。

 

 

「でも、繋がった。スクールアイドルを通して」

 

 

 にこらしい、自信に溢れた満足そうな表情で。

 

 

「うん。偶然流れてきた私たちの歌を聴いて……。何かを考えたり、ちょっぴり楽しくなったり。ちょっぴり元気になったり、ちょっぴり……笑顔になってるかもしれない。……素敵だね?」

「だからアイドルは最高なのよ」

「うん!」

 

 

 

 

 

――穂乃果は、駆けた。

 

 

 校舎の縁まで。光の海に一番近いその場所まで。

 

 

――穂乃果は、叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私!!! スクールアイドルやって、良かったーーーー!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その声は闇夜に溶ける。

 しかし、誰かに届いたような。誰かに伝わったような。

 

「どうしたの?」

 

 驚き交じりの真姫に彼女は笑い返す。

 

 

「だって、そんな気分なんだもん!」

 

 

 恥ずかしがることも無く、真っ直ぐな笑顔で。

 

 

 

 

「皆に伝えたい気分。今のこの気持ちを!!」

 

 

 

 

 穂乃果は再び――。

 

 

 

 

「みんなー! 明日は精一杯歌うから!!」

 

 

 

 

――叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞いてねーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして。

 

 

 

 

 

 

 

『みんなー!!! 聞いてねーーーー!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 九つの声が――重なった。

 

 





次回――本戦。

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