【古雪海菜のお話】
絵里の脱走事件から二週間ほど。
とりあえず結果だけ報告しようか。
絵里は無事μ’sの一員となり、穂乃果達との確執は解消される。次いで名付け親である希も彼女らの活動に加入することとなった。
メンバーが二人増え、ダンス技術も向上し、なおかつ生徒会の完璧なサポートをうけてライブを行うことのできた彼女たちのステージは見事!オープンキャンパスに来た未来の後輩たちの心を掴んだらしい。
μ’sの活躍のお蔭で廃校は見送られることとなった。
……らしい。
めでたしめでたし。
やったね穂乃果!やったね絵里!!
希も夢の入口にやっと立つことができたな。おめでとう!!!
……。
……。
釈然としねえええええええ!!!!!!!
なにこれ!?なにこの疎外感!!!!
自分の知らない所で大事なこと大体終わっちゃってた感じのヤツ!
色々裏でこなして帰ってきたら、ロンの活躍のお蔭でクディッチで優勝したグリフィンドールが浮かれ騒いでるとこに出くわしたハリーの気持ち。今むっちゃ良く分かる。
ライブ終わって、廃校取りやめの知らせが届いた後μ’sの面々がわざわざ会いに来てくれたんだけど……涙目でお礼を言ってくれたりしてくれる彼女たちになんて言葉かけていいのか分からなかったしな。
そもそも俺は大したことしてないし、彼女たちのライブを見に行くこともできなかったしな。
まぁ、冷静に考えて女子高のオープンキャンパスに男子高校生が紛れ込むなんて不可能だろ?通報されても文句言えないし……ただでさえ授業サボりまくってるせいで先生にマークされてるのにうちの学校まで連絡行く可能性を考えるとさすがに忍び込めなかった。
基本難関校は内申無視だけどポリスとのからみはあまりよろしくない気がする。
……え?何、女装はどうだって?
高校二年生の時クラスの文化祭の売り子として女装させられたけど凄まじく不評だったから。無理やりやらせたくせに男どもは爆笑、女どもは『キャー!キモイーーwww』。最終的にうちの店舗の商品買ってくれた人は俺を一発ビンタ出来るサービスがつく、なんて企画も持ち上がったしな。
だからもう二度と女装なんかしないって決めてる。
三回ビンタしにきた希はいつかしばく。
まぁ、なんにせよ。あいつらの願いが叶ったのは自分のことのように嬉しい。
にこの願いや希の願いはきっとまだまだ先にあるのだろうけれど、ひとまずは大きな壁を乗り越えたといっていいのではないのだろうか。
俺も彼女たちのサポートをすると言った手前、出来る限り時間を作るつもりだ。
聞くところによると当面の目標は『ラブライブ出場』らしい。
きっと生半可な目標ではないと思うけれどμ’sなら、きっと叶えることが出来るはず。
頑張れよ!!!!
【高坂穂乃果のお話】
やったーーーーーー!!!!
ふと目にしたARISEにビビッと来て、ほとんど思い付きで始めたアイドル活動だったけど、本当に私たちの力で廃校を阻止することが出来たよ!
最初は海未ちゃんとことりちゃんと私だけの小さなグループで正直挫けそうなくらい辛いこともあったけど、あの時諦めなくて良かったって本当に思ってる。
すっごくいい曲を書いてくれる真姫ちゃん、控えめだけどいつも一生懸命な花陽ちゃん。元気でカワイイ凜ちゃん達一年生が仲間になってくれた時は嬉しかったなぁ。後輩にも私たちと同じ思いをもって協力してくれる子達がいるって。
この子達の為にもゼッタイ廃校阻止してやるんだって、決意を新たにしたんだよ。
にこ先輩と初めて会ったときはびっくりしたな。だっていきなり『アイドルやめろ』なんて言うんだもん。それでも実は、私たち以上にアイドルへの想いは強くて、そして頼りになる先輩なんだって事が分かったの。少し子供っぽい所もあるけど、すっごくいい部長さんだって思うよ。
そして、絵里先輩と希先輩。二人とも生徒会のメンバーで、希先輩はなにかとアドバイスをくれたりしていたけど絵里先輩には会うたびに怒られたり睨みつけられたりで……正直苦手な先輩でした。
それでも、私たちと同じかそれ以上に音ノ木坂の事を考えているってことは凄く伝わってきていたし、いつか手を取り合って頑張れたらなって思ってた。だから、μ’sに入れてくれないかって言ってきてくれた時は一瞬自分の耳を疑ったけど、二つ返事でOKしちゃった。先輩の方から来てくれなきゃ私たちの方からお願いしに行ったかもしれないしね。
次いで、『μ’s』っていう名前を考えてくれた希先輩も仲間に!ずっと陰ながら見守って来てくれてたお姉さん的存在。まだどんな人なのかはよく分からないけれど、きっといい仲間になれる気がする!
そして、最後に。海菜さん。
勉強が忙しくてそんなにたくさん会えるわけではないけど、たまに練習を見に来てくれる先輩!毎回好き放題辛辣な言葉を残していくけれど、どれも私たちの足りない所だからすっごく助かってます。ホントにいい先輩。海未ちゃんが男の人に気を許しているのを見るなんていつ以来だろう。
また、ゆっくりお話してみたいな。
よーっし、明日もラブライブ出場に向けてがんばるぞーーーー!!!
おおーーーー!!!!
【東條希のお話】
あーあ。
結局美味しい所はぜーんぶ古雪くんに持っていかれちゃったな~。
なんて。嘘だよっ。
心から感謝してる。思えば新学期が始まってから今まで、ずっと私たち……いや、私の為に色々頑張ってくれたよね?μ’sに協力してくれたのもきっととっかかりは私が気にしていたから。それから先は穂乃果ちゃんの熱意や、ほかのメンバーの境遇とかに心動かされたんだろうけど、自惚れじゃないならきっとそうだと思う。
だからこそ、申し訳なく思う反面少しだけ嬉しかった自分もいた。
やっぱり君は私の事もちゃんと考えてくれてるんだなって!
きっと、私の願いはまだ始まったばかり。
だから、この先も傍にいてくれると嬉しいかな。
しばらくは今のままで……。
これからも、よろしくねっ。
【絢瀬絵里のお話】
本当にこの数か月は色んな事があったわ。
廃校の知らせが届いたり、あれほど意地をはって目を背けてきたスクールアイドル活動に参加して、その結果廃校を食い止めることが出来たり。
そして……。
うぅ、その……私の海菜への気持ちが恋だって事に気がついたり。
密度が濃すぎて思い出そうとしても頭がくらくらしちゃう。
それでも、すごく有意義な時間だったかな。
当面の目標はラブライブへの出場よ!!
確かに今のところ廃校は免れたけれど、来年度は出来るだけたくさんの人に音ノ木坂に来てほしいから。私は生徒会長として現状に満足せずに頑張るわ。
貴方も傍で見守っていてね……。
九人の女神が揃うまで 了
これ以上グダっても仕方ないので簡潔に完結させました。
いつの間にかお気に入りも1500を超え、UA数も20万に届きそうです。
記念回もずっと書きたかったのですが本編を放っておくわけにもいかず……これからはちょくちょく挟んでいきます^^
ラブライブの小説自体も100を超えており、時の流れをかんじますね(笑)
次回は早めにあげますのでお待ちください。