放浪する戦艦に保護され、しばし共に行動することになる。
世界は2人に何かを求めているのだろうか…
目を覚ますとそこは、狭くて薄暗い空間だった。
「ここは…コックピット…?」
うっすらとした意識の中、自分の身体を触ってみる。
感覚ははっきりとしていた。
短めの赤く整った髪、豊満な胸、ふっくらとした肌。
どれも触り慣れた感触だった。
「…!! そうだ、レイは!?」
コックピットで目覚めた少女、ミデン・アナズィは一緒にいた少年のことを思い出した。
急いでシステムを起動させ、辺りの状況を確認しようとするが、コックピットは静寂を保ったままだ。
しょうがなくヘルメットをかぶってコックピットハッチを開き、外に出た。
差し込んでくる光に目が眩む。
徐々に目が慣れてきて、恐る恐る足を踏み出すと、下へ引きつけられる感覚があり、足を引っ込めた。
どうやら重力帯にいるようだ。
視界の端に表示される数値は、大気の存在と呼吸が可能であることを示していた。
ミデンはヘルメットを外して、辺りを見回した。
木々と川、水分を多く含んだ土が囲む。
「熱帯雨林…ジャングル……?」
深呼吸をすると、じめっとして暖かい空気が肺を満たしていく。
「レイ!! 何処なの! いたら返事して!!」
大声で呼んでみるが、すぐに反応はなかった。
ふと、自分が乗っていた機体を見上げると、損傷がひどい状況だった。
両腕はなく肩は融解し、頭部も装甲がほとんど剥がれている。
損傷した頭部を眺めていると、うっすらと声が聞こえた。
気をつけないと水の音で聞き取れないほどに小さな声である。
「レイ!! 何処!!」
その声は聞き慣れた声だったので、すぐに誰のものかわかった。
そしてすぐに聞き返した。
遠くを見ようと、頭部に登ると、川の向こうに脱出カプセルらしきものが見えた。
ミデンは飛び降り、ぬかるんだ地面を走った。
川は比較的穏やかだったので、ゆうに渡ることができた。
そして、カプセルの上に立つ少年にその勢いのまま抱きついた。
「ちょ…ミデン…!?」
「よかった、無事で…ホントによかったぁ…」
カプセルの上に立つ黒髪の少年、レイ・ノマダとミデンはしばし抱き合った。
抱き合っていると、上からゴォっという音がした。
見上げると、そこには真っ白な戦艦がゆらゆらと飛んでいた。
その戦艦から、小型の戦闘機らしきものが発進した。
「こんな時代に戦闘機?」
「宇宙から来たのか…?」
その角張った戦闘機は、空気抵抗に対する配慮が見られなかった。
戦闘機は2人の近くに着陸した。
2人は戦闘機の方に向いた。
右手はホルスターにかけてある。
戦闘機のコックピットから出てきたのは、15〜6の少年だった。
「どうか銃から手を離してください。僕は地球連邦軍所属、第2連合艦隊第13独立部隊の者です。GPS装置の故障で現在地が分からなくって…」
「自分たちはフリーのMSパイロットです。自分たちも同じく現在地が分からずにいた所です。」
少年はミデンの返事を聞くと、コックピットに頭を突っ込んで何か話し始めた。
恐らく戦艦にいる上官に判断をあおっているのだろう。
十数秒後、少年は再びこちらに向き直った。
「よければ、僕たちの戦艦に来てくれませんか? 情報を共有しましょう。」
「……了解しました。」
ミデンとレイは、小型の輸送艇で戦艦に保護された。
「MSも回収してもらい、ありがとうございます。」
「いえ。」
少年の案内で、ミデンとレイはブリッジに通された。
そこで、真面目そうなタレ目の青年と金髪の女性、茶髪の女性が出迎えた。
「ようこそホワイトベースへ。自分はこの艦の艦長、ブライト・ノア少尉だ。」
「僕はレイ・ノマダ。こちらは…」
「ミデン・アナズィです。現日時を教えてください。」
「それが、分からないのよ。」
金髪の女性が答えた。
「あ、申し遅れましたね。私はセイラ・マス軍曹です。で、日時ですが日照時間も今までの地球とはズレがあって何も…」
つまりこういうことだ。
地球が今までと違う速度で自転しているということ。
「この後はどうするつもりですか?」
ミデンが今後のことをブライトに聞いた。
「それを考えていた所だよ。」
「もしよければ、宇宙に上がってくれませんか? 仲間がいるかもしれないんで。」
「ミライ、行けるか?」
「なんとかいけるわ。」
「
レイは腕を組んでブライトを見た。
少し警戒の意識を持ったままだが、ブライトは自分たちを敵と認めていないらしい。
「よし、では今後の行動を指示する。ホワイトベースは宇宙に上がり、現状の把握を試みる。総員、準備に入れ!」
ブライトの艦内放送で、クルーたちが忙しく動き始めた。
ミデンとレイは1つの部屋へ案内された。
ここで生活するらしい。
2人では少し窮屈だが、最低限の生活はできそうだ。
周りを調べてみた限り、カメラ等はなさそうだ。
2人はベッドに座り込むと、険しい顔つきで話し始めた。
「ミデン…この世界…以前とは全く違うようだ。」
「えぇ、私たちの知っている地球には軍はもう存在してないし、地球連邦軍なんて聞いたこともないわ。」
「それに、設備が前時代的なものが多い…」
「あの光が私たちをここに導いたのかしら…?」
2人は最後の戦闘で敵を倒したときに、光に包まれて気を失った。
その光が何か関係しているのかもしれない。
「戦争がまだ存在する世界…AC以前の世界か…? 否、あり得ない。」
「どうやら私たちは、全くの異世界にいるようね……」
2人がもといた世界。
AC-200年、戦争の無い平和な世界だった。
ミデンは統一国家となった地球圏を地球外生命体の侵攻から守る戦いを率いていた。
最終的に親玉を倒した際、眩い光に包まれた。
これが2人の最後の記憶である。
ホワイトベースは宇宙へ上がるが、そこで驚くべき事実を知ることとなる。
どうも星々です!
「新機動戦記ガンダムW 〜試されしガンダム達〜」の続編を書き始めましたが、相変わらず見切り発車ですw
自分、W以外はそこまで詳しくないので設定のミスなど多々あるかもしれませんが、気軽に読んでいただければ幸いです。
さて、自分の前作を読んだ方はお分かりだと思いますが、ミデンとレイは時空の歪に飲み込まれてしまい、今に至ります。
超次元的な設定ですw
是非、「新機動戦記ガンダムW 〜試されしガンダム達〜」の方も読んでみてください。
ちなみに、この作品の世界は、どのガンダムシリーズにも属しません。