世界は変わり続ける
その変化の中で小さな力は徐々に大きくなっていく
この世界における戦争の意味とは何なのだろうか。
たまにそんなことを考えるようになった。
申し遅れたな。
俺はアイク・ヴァッサマン、誇り高きOZの兵士だ。
そもそも戦争をする理由が見当たらない。
元の世界、AC-195だと、組織の存続やコロニーの独立、完全平和、過去にも様々な理由で戦争が行われてきた。
聞いた話では、宇宙世紀とかいう時代("世界"と言ったほうが正しいかもしれない)にも、独立戦争とかがあったらしいし、AGとかいう時代だと、見捨てられた火星住民が地球を取り戻すためとかなんとか。
それぞれの時代での事情は分からないが、やはり共通するのは"理由があるということ"である。
「どう思うマルク。」
俺はバイカル基地へ向かう輸送艦で、相棒のマルク・レグルスにそんなことを問いかけてみた。
「正直俺も同じことを感じていたよ。だが、トレーズ閣下には何かが見えているはずだ。それに付いて行けば、必ず答は出ると思うぜ。」
「だといいが…」
俺は正直、怪しいと思っている。
過去に閣下がここまで自らの御意志を公にしようとしなかったことがあるだろうか。
何かを隠している、そう思わざるを得ないほど、この世界における閣下を知らなさすぎる。
そんなことを考えながら過ごしていると、割とすぐにバイカル基地に辿り着いた。
今回の作戦は、トレーズ閣下の護衛である。
明後日から期間未定で行われる、この世界初の勢力間会議に参加するのだ。
これには、数々の組織のトップたちが参加する。
故に戦争根絶だとかを掲げる分子には格好の獲物だ。
そして、それらから閣下を護るのが、俺たち"輝く双獣"に与えられた任務だ。
「御無沙汰しておりますゼクス特佐、ノイン特尉。」
バイカル基地第2司令室で、今回の作戦責任者であるゼクス・マーキス二級特佐に挨拶をした。
その隣には、士官学校をゼクスに次ぐ2位で卒業したルクレツィア・ノイン一級特尉が座っている。
余談だが、俺とマルクは士官学校時代、この2人に次いで同立3位だった。
「士官学校以来か。」
ノイン特尉がその特徴的な前髪を揺らして言った。
「はい。共に閣下をお護りする任、誠に光栄です。」
「自分も、特尉や特佐と共に同じ戦場に立てること、光栄に思います。」
士官学校時代のトップ4だぞ。
何なんだこの格差は。
恐らくマルクも同じことを考えているだろう。
不満と言うわけではない。
本当に光栄に思ってる。
「今回は各勢力、もしくはその構成組織の精鋭という精鋭が集結する。しかし、だからと言って警戒を怠るな。馬鹿は来るぞ…」
ゼクス特佐は確信しているかのようにゆっくりと言った。
その目は仮面に隠されて見えないが、やはり何処にいるか知れない"ガンダム"を意識しているのだろう。
『トレーズ閣下が40分後に出発なされる。準備しておけ。』
「了解した。」
突然入ったレディ・アン二級特佐の通信にゼクス特佐は短く答えると、すぐに「行くぞ」と言って部屋を出た。
ノイン特尉の後ろに付いて、マルクと俺も部屋を出た。
数時間後、トレーズ閣下と俺たちを乗せた飛行船が、中立地帯であるヨーロッパ上空に辿り着いた。
今回の会議は、ここヨーロッパのブリュッセルで行われる。
すでに周りには、ジヴァイスの船以外も、10隻ほど確認できる。
どこも少数精鋭であるため、護衛艦などは無い。
それでも、MS全て合わせて60機ほどにはなる。
しかも、そのパイロット60人全てがエースパイロットやそれに匹敵する手腕の持ち主である。
単純に考えても一般兵300人分ほどの戦力にはなる。
まぁこれはOZである俺が考えて出た数字ではあるが。
しばらくすると、地表にポッカリと空いた縦穴の巨大な洞窟が見えた。
この地球は、元の世界の地球とは、細かい地形が異なることがあり、こういったものがあちこちに点在する。
別に今更驚きやしない。
「ブリュッセルの大洞窟、通称コキュートスだ。入口は直径480m、空洞の最大直径は3km、深さは2km。最近見つかった大穴だ。何処かが戦略拠点にでもしたらかなり厄介な地形だな。」
コキュートスを見下ろしていた俺とマルクに、ゼクス特佐が説明してくださった。
「コキュートス…地獄の川の名前をつけるとは、どんな物好きがネーミングしたんでしょうかね。」
マルクがブリュッセルの大洞窟の名前に突っ込みを入れた。
確かにそうである。
この中立地帯をわざわざ地獄の川の名前にするとは。
物騒だ。
「入口はここしか無いのですか?」
「驚くことにな。小型船どころか、人が入れる入口も無いらしい。これだけ巨大な穴が、ここにしか口を開けていないとは、不思議なものだな。」
「敵は上からしか来ない…という事ですね。」
そう、ここは自然が作り出した鉄壁の要塞だ。
攻める側は一箇所からしか攻めることができず、守る側は一箇所に防御網を張ればいいという、守りに関しては恐らく最強だと思う。
船はコキュートスの口へゆっくりと垂直降下していく。
広いとはいえ、直径480mである。
慎重にいく必要がある。
まぁ操縦士もOZの精鋭だから心配する必要は無いが。
「コキュートスへの着艦完了しました。」
「ご苦労だった。」
俺とマルクは、ゼクス特佐とノイン特尉より先に船を降りた。
辺りは流石に施設が整えられていて、地下であるとは思えないほど、手が込んでいる。
簡易的なコロニーといった感じだろうか。
「中々の顔ぶれだ。よろしく頼むとしよう、フリューゲル隊。」
眩しいほど高貴な衣装を着、悠々とした足取りで船から降りてきたのは、言わずもがなトレーズ閣下である。
後ろにはレディ・アン二級特佐もついている。
「はっ! 我らが全力でお護りいたします。」
4人で揃って敬礼し、フリューゲル隊の隊長であるゼクス特佐が言った。
トレーズ閣下は、レディ・アン二級特佐を始め、数人のボディガード(彼らもOZの精鋭である)を引き連れて施設内に入っていった。
護衛が任務、と言っても俺たちの本職はMSの操縦である。
生身ではさっきのボディガードに任せて、MSでの護衛が俺たちの仕事だ。
各勢力のMS隊と合流し、MSの布陣の確認が行われた後、各MS部隊は持ち場に向かった。
もう既にコキュートス外は布陣完了である。
フリューゲル隊は、コキュートス内入口付近に割り振られた。
入ってきた敵を墜とすのはかなり容易になりそうな場所だ。
「普通に考えれば、この場合は包囲殲滅がセオリーだが、"双獣"の機体特性上あまり有効ではない。よって今回は、入口に対して縦と横で十字形の布陣をとる。私とアイクは入口に対して垂直、縦を担当し、ノインとマルクは入口に対して平行、横を担当だ。」
「俺は特佐とアイクを援護すればいいという事でしょうか?」
「いや、その必要はないだろう。この4人は個人の実力が高く、スタイルの組み合わせが完成されている。」
「自由に動けば自然に連携は取れる、という事ですね。」
それぞれ自分のMSに乗り込み、出撃の準備にかかる。
全て完了し、ゼクス特佐の発進を待つだけになった。
その時だった。
地響きと共に爆発音が聞こえた
「上が騒がしい。まさかもう敵が!?」
そう呟いた直後、襲撃を知らせる警報が鳴り響いた。
「各機スクランブル! コンテナ開け! 直接出撃する!」
「「「了解!!」」」
コンテナが開き、4機のMSが起き上がった。
コンテナの構造は、内部機構はトーラスクルーザーに似ていて、背中合わせに4機が格納できる。
しかも、重力下では自動的に頭が上になるように回転する。
「フリューゲル1、ゼクス・マーキス、トールギス出る!!」
「フリューゲル2、ルクレツィア・ノイン、エアリーズ、出撃する!」
「フリューゲル3、マルク・レグルス、ビルゴⅡ、行きます!!」
「フリューゲル4、アイク・ヴァッサマン、ビルゴⅡ、出ます‼︎」
俺は、愛機である白銀のビルゴⅡを飛び立たせ、ゼクス特佐の後ろに付いた。
マルクの機体もそうだが、このビルゴⅡは、開発中の
同時に実験機でもあるため、MDシステムは外し、人の手と目でしっかりと管理しなければならない。
それだけでも大変なのに、
武装に関しては…なんだこれ?
ビームソードは分かる、サーベルより高出力で火力があるんだな。
で、ヒートロッドってなんだ。
鞭って過去に装備してた機体が無い。
故にどう扱えばいいかが分からない。
まぁ実験機だから俺の戦闘データで採用の是非が決まるんだろうが。
射撃装備も、通常規格のビーム砲の1.5倍は出力があるバスターキャノンは機体への負担がえげつない。
と言うか、ジェネレーターはもつんだろうか。
『こちらフリューゲル1、我々は予定通りのポイントで防御網を張る。後は手筈通りに。敵をしっかり見てデータを取っておけよ!』
『『「了解!」』』
どうも星々です!
今回はオリジナルキャラ、アイク・ヴァッサマン目線で書きました。
てかノイン全然喋ってないw