扉の先には絶望がある
絶望の先には何がある?
アタシはマスターである
スタークグランシャリオ…いや、コキュートスで見たあの機体はガンダムだった。
とにかく、ソールトシステムが積まれた機体を探すこと、それがアタシ、ヌクスィル・アナズィの任務。
「…見えました。」
「何処だ?」
「宇宙です。」
アタシは、まだ幼い頃にOZによって脳内にゼロシステムを埋め込まれた。
後の
別にゼロシステムを埋め込まれたことも、さほど気にしてはいない。
アタシにとって最も嫌だったのは、姉との別離だ。
OZに連れ去られた後、なんとか逃げ出して姉の元に帰った。
しかし、今まで暮らしてた家は廃墟になっていた。
OZの衛生兵だった両親は、戦場で味方の流弾が直撃して死んだ。
それから姉と2人で暮らしてた家が、アタシの唯一の帰る場所が、廃墟になっていたのだ。
姉は、指導者ヒイロ・ユイのOZへの復讐を実行する兵士、ガンダムのパイロットとして訓練するために家を出たらしい。
アタシは独りになり、絶望した。
それからアタシは、マックスウェル教会に拾われ、そこで育てられた。
でもその教会も、地球圏統一連合の反体制派掃討作戦に巻き込まれて崩壊、後に「マックスウェル教会の悲劇」と呼ばれるほどの大惨事となった。
その時の生存者はアタシも含め2人しかいなかったらしい。
もう一人が誰かは、まぁ見当がつく。
あの三つ編みは今でも忘れられない。
「どうしたヌクスィル。どこか不調でもあるか?」
「いえ、異常ありません。」
「そうか、無理はするなよ。」
とにかく、アタシは
神様は復讐の機会すら与えてくれず、死なせてもくれず、ただただ生きてきた。
そんな矢先、この世界に取り込まれ、exに拾われ、復讐する機会と力を与えられた。
アタシは誓った。
トレーズ・クシュリナーダを殺す。
例え姉が戻ってこなくとも。
「間もなく目標予測宙域です。」
アタシは、自分の脳、正確に言えば、脳に埋め込まれたゼロシステムが予測した目標の移動ルートの先に回り込むようにex-sa隊を誘導した。
「視界に入ります………見えた。」
「バロノーク…やはり宇宙海賊の世話になっていたか。」
ex-sa隊と言っても、今回はアタシのフェニックスメイデンとexのエクストリームの2機での作戦行動だ。
真武者やイフリート改は、地上での運用が主な機体で、宇宙には向いてない。
「敵の索敵範囲に入ります。」
「よし、向こうより先に攻めよう。」
「了解、マスター。」
今、エクストリームは、オールレンジ特化のイグニス・フェイズを装備している。
宇宙で特定の敵多数を相手するにはベストな形態だろう。
と言うより、アタシのフェニックスメイデンとの連携が一番取りやすいというのもある。
まぁ、個々の戦闘力が高いからその必要もなくなるかもしれない。
「射程内に入った…フェザー・ファンネル!」
「羽よ、刃となれ!」
まず、バロノークの推進システムを破壊する。
次にステルスシステム"見えざる傘"を破壊。
常に起動させておけば、もっと早く対応できたというのに。
「バロノークの戦艦としての機能を全て破壊しました。」
ここで下手にバロノークを破壊するわけにはいかない。
目標の機体はできれば無傷で手に入れたいし、そのパイロットも殺すわけにはいかない。
全て「できれば」の話だが。
しばらくして、バロノークから3機のMSが発進した。
全てガンダムだ。
でも、あの機体はいない。
「貴様らに用はない。」
『そうかい。だが自分の艦も守れない
AGE-2 ダークハウンドとか言ったかな。
それとクロスボーンシリーズのX1改とX3がいる。
まぁ強敵に数えてもいいか。
「ソードビット。」
フェニックスメイデンの両肩に2基ずつ装備された腕とほどの大きさのビットを飛ばした。
ソードビットはX1改に向かわせる。
ヤツが羽織っているABCマントをどかさないとビームが通じないからだ。
後はフェザー・ファンネルで他の相手をすればいい。
exの手を借りなくとも倒せるだろう。
『フェザー・ファンネルか…悪いけど、それはもう攻略済みなんだよ!』
X3はフェザー・ファンネルの弾幕をいとも簡単に回避し、こちらへ向かってきた。
巨大な剣、ムラマサブラスターのビームの刃を形成し、大上段に構えている。
「単純な攻撃だ。その程度でゼロは破れない。」
フェザー・ファンネルをダークハウンドに集中させ、インコム・アームを飛ばした。
メガ粒子砲とビーム・トンファーで十分戦える。
ビーム・トンファーでムラマサブラスターを受け止め、メガ粒子砲でビーム発生器を焼く。
『トビア!』
X1改が割り込んできた。
ソードビットを凌いでくるとは、やはりそこらのパイロットとは違う。
しかしゼロはその程度想定済み。
アタシはビームライフルを最大出力で放った。
ソードビットの誘導で上手くマントの裂け目を狙い撃った。
『クソっ! この感じ、鉄仮面みたいなヤツか!』
「鉄仮面? カロッゾ・ロナと一緒にしないでほしいな。」
キンケドゥ・ナウ、本名シーブック・アノーが過去戦った機械だ。
あんなものと一緒にされたくない。
アイツには、願いが無い。
意思や望み、決意や目的があったとしても、人間を捨てたヤツは願いを忘れる。
感情が薄れ、やがて消える。
アタシはまだ…あれ……
『お前は人を超えた力を持っているかもしれない。そのファンネルを操っている時点でな。詳しいことは分からないが、その力を別の事に使おうとは思わないのか!』
『アンタらex-sa隊は、破壊と暴力を繰り返すだけで、何も産もうとしない! 例えここが異世界だとしても、否、異世界だからこそ! 何かに気付かせる、あるいは産み出さなきゃいけないんじゃないか!』
「アタシ…は……!」
「それに気付いていながら、何故戦う。」
今まで沈黙していたexが口を開く。
「戦いから産まれるのは、破壊と暴力、そして絶望だけだ。そして、それを加速させるのが、貴様らがかくまっている機体だ。それによって扉が開かれれば、貴様らが知る世界は崩壊し、更なる絶望が訪れる。そこから産まれるものなど何もない!」
『何を言っているか分からないが、あのパイロットにはソイツなりの希望を持っている! 海賊である俺たちの世話になってまで、実現しなければならない事がある! それは希望に導いてくれると信じてるんだ!』
アタシはフェザー・ファンネルとソードビットを呼び戻し、ビームライフルを仕舞い、ビーム・トンファーを両手に構えた。
「現実は、そんなもの簡単に踏みにじる…」
「ヌクスィル……」
exはついに、自らの羽を舞い散らせた。
刃は絶望を冷気として帯び、乱舞した。
アタシはそこに斬り込む。
ゼロを最大限まで活用し、exとの連携を完璧にこなした。
結果は明白。
すぐに3機のガンダムはボロボロになり、戦闘続行困難になった。
その時だった。
「…!? 来る……」
アタシは敵意を感じ取った。
バロノークからだ。
でもなんだろう、とても暖かい…感じがする。
『もう結構です、下がってください。』
『僕たちが相手します。』
現れたのは、白と黒の翼を持つガンダム。
全身のスプリッター迷彩を見る限り、目標の機体だと思われる。
「出たか…」
『ex-sa隊、僕たちは時空を歪めようとしているヤツらを倒すために戦う。』
「その機体が存在し続ける限り、扉はいずれ開かれる。否、一度扉が開かれた時点で、絶望の序曲は始まった。」
「私は、その中に希望を見出したい! 歪んでしまった時空が、元に戻らなくなってしまう前に!」
アタシはこの声に聞き覚えがあった。
記憶より少し大人になってはいるが、確かにあの声だ。
「嘘……嘘…でしょ…」
どうも星々です
今回はex-sa隊目線ですね
自分で読んでて会話がなんか上手く書けてないなぁとか思ってますw
前回のソレスタルビーイング戦の直後にex-sa隊戦…
そしてフェニックスメイデンの少女の記憶にあるものは!?