それを止めるべく集められた抵抗力
動き出す男
世界が見せつけられる事実は、どんな未来を描くのか…
新地球統合同盟所属、独立部隊オビルド。
自分はその隊長を勤めているウィズ・ルッツだ。
新地球統合同盟所属、と言っても、それは表の顔。
裏では、ジヴァイスのトレーズ閣下の指示の下で動いている。
そのトレーズ閣下も、ジヴァイス所属というのは表の顔で、その裏の顔は、裏組織リヴェラシヲンの一員。
しかし、それもまた仮初めの姿だ。
閣下は、リヴェラシヲンの企みを打ち砕こうと密かに"トレーズ派"と呼ばれる組織を組み上げ、来るべき決戦の日に備えている。
そして、自分に与えられたトレーズ閣下からの仕事は、リヴェラシヲンの一員であるフル・フロンタルとその親衛隊長アンジェロ・ザウパーのマークである。
「しかし、今度はあちらさんから来るとはね…」
今、オビルドはインド洋の真ん中でジヴァイスのMS部隊と遭遇した。
敵はネオ・ジオンだ。
薔薇のMS、ローゼン・ズールがいるからフル・フロンタル親衛隊だろう。
『また会ったな。角ジェガン!』
「アンジェロ・ザウパーだな。何故攻撃してくる!」
『敵だからに決まっているだろう! それに、大佐はお前のことを褒めていらした。なんて憎たらしい女だ!!』
「嫉妬か? 餓鬼め。」
『ほざけェ!!』
ローゼン・ズールのインコムが射出された。
自分はビームライフルを構えてローゼン・ズールに直進した。
インコムによる攻撃は加速やバレルロールで回避し、ライフルを連射する。
アンジェロもただのパイロットではなく、悠々と回避した。
インコムを回収し、クローでビームライフルを砕かれた。
「クッ…やるな。」
『ハハッ! 角割れを倒すのによい練習相手だ!』
「練習で火傷してちゃ仕方ないがな!!」
ビームサーベルを抜き、そのまま斬りかかる。
しかし、腕で押しのけられ、蹴りを食らった。
受け身を取る暇もなく、ローゼン・ズールのインコムがサーベルを握る右手を掴む。
ミサイル・ランチャーを放って突き放したが、右腕が少なからず動作不良を起こしていた。
『大佐の理想には邪魔な存在。消えてしまえ!!』
ローゼン・ズールがシールドから拡散する照射ビームを発射した。
「左腕損傷…やはりやるな。」
左腕を失いバランスが取りにくい状況になったが、半ば無理やり接近し、ローゼン・ズールの右腕を斬り落とした。
「やられた分はやり返さないとね!」
そのまま腹部にドロップキックの要領で蹴りをかました。
ローゼン・ズールはよろけながらも左腕のインコムを飛ばしてくる。
これがインコムの厄介なところだ。
できればここで墜としておきたいと思っていたが、やはり一筋縄じゃいかない。
これからトレーズ閣下の下へ向かわねばならないというのに。
仕方ない…EXAMでケリを付けるか。
そう思った矢先、ローゼン・ズールが踵を返し、撤退していった。
「何? まぁ助かったと言えばそうだが…」
数時間後。
もう陽は傾き始めた頃…だと思う。
今は地下にいるから外の様子など分からない。
「やはり墜とし損ねたか…」
「申し訳ありません閣下。」
トレーズ閣下は、椅子に座りながら薔薇の香りを楽しんでいる。
「まぁ仕方あるまい。」
周りには、自分と同じようにトレーズ閣下から選ばれたパイロットが並んでいる。
新地球統合同盟からは自分とリディ・マーセナス少尉、フュゼからはラグ・ランクゥとマフティ・ナビーユ・エリン、ジヴァイスからはマルク・レグルス、アイク・ヴァッサマン、ゼクス・マーキス、ルクレツィア・ノインの4人、そして無所属のバナージ・リンクス。
同じように選ばれた自分が言うのもなんだが、皆卓越した操縦技術の持ち主だ。
バナージ・リンクスという少年は知らないが、彼の乗る機体の性能は、数値で見る限りトレーズ派の中でも最強だろう。
「君たちには悪いが、カティとレディに頼んで軍では行方不明扱いにされている。よって、もう軍のことは気にしなくてもいい。」
「と言うことは、始まるってことですか?」
民間人のバナージ・リンクスが発言する。
閣下に対して言動があまりにも軽すぎるが、閣下自身が気にしていないようだから無視する。
「そういうことだ。リボンズは世界に鍵の存在を公表し、事を進めるつもりだ。彼個人の部隊まで用意し、リヴェラシヲンを第4の勢力、否、全てを凌ぐ最強の勢力にするための仕上げに入った。」
「ヤツの動きの詳細は把握しておりますか? できれば聞かせて頂きたい。」
ゼクス・マーキスの質問に、少し言葉を詰まらせる閣下。
「同じリヴェラシヲンと言えど、一枚岩ではないってことか…じゃあ一体、どうやって攻めればいいんですか。」
このリディ・マーセナスも中々の礼儀知らずだ。
「リヴェラシヲンメンバーが集まる場所がある。そこに辿り着ければいいのだが…あそこにはフル・フロンタルとブライト・ノア、ギルバート・デュランダルが防御網をしいている。私はともかく、ウィズ君が実証してくれたように君たちは通れないだろう。」
自分が始めてフル・フロンタルと遭遇したあのポイントこそが、リヴェラシヲンが集まる場所だ。
防御網は強固で、とてもじゃないがこの数では突破できない。
「そこで、我々はリボンズの部隊が現れたと同時に、他の勢力の攻撃に乗じて接触する。」
「今、カティ・マネキンが戦術予報を立てている。情報が少ないため難航はしているが、彼女の示す予報は一級品だ。信用してもいいだろう。」
「レディ・アン嬢が言うのなら信用できそうだな。」
その後、各個人の機体をトレーズ派の母艦"ピースミリオン
ピースミリオンXⅢは、トレーズ派で密かに開発されていた宇宙戦艦で、オリジナルのピースミリオンの全長3000mという笑えるような大きさを、最小限のサイズまで縮めた。
戦艦としての性能も高く、この世界においてもトップクラスの戦艦である。
全長にしておよそ600m。
まぁだいぶ小さくなっただろう。
優秀なステルス機能や、脅威のスピード、圧倒的な火力、その全てが見たこともないような強さだ。
というか、ルクレツィアのエアリーズとかいうMS、あれただの量産機とさほど変わらないけど大丈夫なのか?
さすがの自分でも、スタークジェガンのカスタムタイプに乗っているし、他もカスタムタイプや専用機だ。
「私のエアリーズの性能に心配しているのか?」
突然、後ろからルクレツィアが話掛けてきた。
しかも、考えが読まれてる。
まさかコイツ、ニュータイプか!?
「私のエアリーズは、この艦の中でカスタムされる。お前のスタークジェガンやラグのアドヴァンスドジンクスのようにな。」
「そうか、なら安心だな。」
「フッ…やはり心配されていたか。」
この女、何故か親密感がわく。
トレーズ派パイロットの中で数少ない女だからだろうか。
否、軍なんて最初からそんなもんだ。
まぁ仲間として戦うんだ、仲がいいに越したことはない。
『作業急いでくれ。遂に動いた。』
トレーズ派のトレードマークでもある腕時計型通信機から閣下の声がした。
動いた!? リボンズがってことか。
カティの戦術予報も届いてないというのに…ッ
「ルクレツィア、公共回線を全て開いてくれ!」
「了解した! ウィズは監視衛星の情報解析を頼む!」
数秒後、世界中の回線、我々の監視衛星さえもがジャックされ、若い男の顔が映し出された。
その整った顔立ちには不気味とも取れる笑みが浮かんでいた。
トレーズ派地下基地の大モニターにもそれは映し出されている。
トレーズ閣下も部屋から出て、同じ画面を見ている。
「さぁ、どう出るリボンズ……」
どうも星々です!
とうとう表に出てきましたリボンズ!
対リヴェラシヲンのために結成された、軍や勢力を超えた部隊"トレーズ派"!
ex-sa隊やミデンたちもリヴェラシヲンを知り、抵抗しようとしていますが、世界はリボンズをどうとらえるのか!?