over the GUNDAM   作:星々

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扉は開く
禍々しいその向こう側は絶望の海
その絶望を封じ込めるための行動も邪魔される
世界は、世界自身が破滅へと歩んでいるのか


26th 〜決戦〜

私は目の前の光景に圧倒されていた。

元の世界で経験した悪夢、あの赤い翼を再び目にすることになるとは。

膝の上には涙を流すヌクスィルが座っている。

 

「ヌクスィル…この後…どうなるの…?」

 

「分からない…けど、ここの先にあるのは時空の狭間だってexが言ってた。」

 

レイは急いで通信機を起動させ、公共回線に繋げた。

 

「ex! 聞こえてたら教えてくれ! 扉を通ったらどうなるんだ!」

 

『………』

 

応答はない。

聞こえてはいるはずだけど。

数秒の沈黙が続いた後、ようやくノイズ混じりの声が聞こえた。

 

『あの向こうにあるのは時空の狭間だ…』

 

「それはヌクスィルから聞いたわ。そこに入ったらどうなるの?」

 

『あそこには、空間や時間という概念が無い。否、とても微弱だ…そしてそこには、己と他の区別が無い。』

 

「つまりどういうことだ。」

 

『全ては一つになる…物理的にも精神的にもな。あそこを支配する……ヤツのシグナルによって。』

 

「ヤツって何d…うわっ!」

 

周囲の全てのMSが扉に引き寄せられるように動き出した。

赤い翼の根元には、時空の歪が発生していた。

先は真っ暗…というより真っ黒だ。

身体だけではなく魂のようなものまで吸い込まれそうだ。

否、吸い込まれていってる。

 

「ミデン! メテオリティスの駆動系は動くか?」

 

「どうするつもり?」

 

「あれを破壊する!」

 

「破壊する!?」

 

レイに言われたとおりに駆動系のチェックをしながらレイの考えを聞いた。

ソールトシステムは、元々は宇宙の記憶を解析して物理的に再現するというシステムだ。

つまり、あの扉はソールトシステムによって再現された()()だということだ。

だから破壊できるかもしれない。

でも問題が幾つかある。

 

「接近したらすぐに飲み込まれる…でもモタモタしててもいずれは飲み込まれる…」

 

「メテオリティスの射撃兵装は2連装ビームキャノンだけしか残ってない…」

 

「でも、やるしかないよお姉ちゃん!」

 

ヌクスィルの言葉で覚悟を決めた。

 

「そうだな、どちらにせよこのままじゃ飲み込まれるんだ。今できる最良のことをやろう。」

 

レイの言葉に背中を押された。

 

「ヌクスィルはサイドシートに移って。何か分かったらその都度報告して。レイはオペレートお願い。」

 

私はメテオリティスを動かし、漂っていたヒートショーテルを拾った。

それを扉に向けて思い切り投擲し、トライデントシザースを拾いに行った。

 

「ヒートショーテル命中! 効いてるぞ!」

 

トライデントシザースを拾い、振り返って扉へ向かおうとした。

しかし、ヌクスィルの警告でそれは回避行動へと移される。

 

「右から何か来る! お姉ちゃん回避を!」

 

「…ッ!!」

 

「反応あり…MS4機!!」

 

超弾速のスナイパーライフルをスレスレで回避し、レイとヌクスィルの言う方向を見る。

そこには、光る粒子を撒き散らしながら接近して来る機影があった。

 

「GN粒子…ソレスタルビーイングッ!!!」

 

「何考えてるんだ‼︎ 公共回線を開いてなかったのか!!」

 

ソレスタルビーイングは、やはり総力をあげて私たちを潰すつもりだ。

アヴァランチエクシアにはダッシュユニットを装備し、更に強化されていた。

 

「何でそんなに私たちを殺したいの!? 今は戦ってる場合じゃないのよ!!」

 

『お前がそのまま危機だけを取り除くとは思えない。』

 

『君たちだって、リヴェラシヲンと同じことをしでかさないとは断定できない。』

 

こいつらは敵だ。

理屈とかではなく、もう根本的に敵同士になる運命だ。

アヴァランチエクシアダッシュはGNソードを構えた。

キュリオスのミサイルの雨を回避しながら迎撃体制を整える。

と言っても、残り少ない武装ではできることは限られているが。

アヴァランチエクシアダッシュのGNソードとメテオリティスのトライデントシザースがぶつかる。

パワーはこちらが上回っていた。

アヴァランチエクシアダッシュを弾き、GNビームサブマシンガンを構えたキュリオスに2連装ビームキャノンで対抗する。

 

「さすがに1対4は辛いか…」

 

「デュナメス、ヴァーチェも間合いを詰めつつある。4機で押し潰すつもりだ。」

 

「お姉ちゃん、アタシとメテオリティスのゼロシステムをリンクさせて。」

 

「でもヌクスィルは大丈夫なの?」

 

「大丈夫…同じゼロで相談し合うだけだから。」

 

予備のヘッドセットをヌクスィルに渡し、ゼロシステムをリンクさせた。

どういう仕組みでやったのかはわからないけど、今までより多く、かつ正確な情報が流れてくる。

しかも頭がだいぶ楽だ。

その後、敵の攻撃がいとも簡単にかわせるようになった気がした。

でも所詮は多勢に無勢。

ジリジリと不利な状況へと流される。

 

「こんなッ…ところで!」

 

仕方なくアクティブクロークを閉じて防御に徹している状態だ。

でもこれじゃ限界は近い。

その時だった。

斬りかかってきたアヴァランチエクシアダッシュとメテオリティスの間にMSが割り込んできた。

 

「あ、あなたは!?」

 

「地球連邦…否、トレーズ閣下直属のウィズ・ルッツだ。トレーズ閣下のご命令で貴公を援護する!」

 

青いスタークジェガンはアヴァランチエクシアダッシュのGNソードを受け流し、ビームライフルを撃ちながら間合いをとった。

 

「どうして駆動系が…?」

 

「恐らく、このスタークジェガンのEXAMが大量の殺意に反応し、さっきの光に拮抗したのだろう。」

 

キュリオスがスタークジェガンにサブマシンガンを撃ちながら接近する。

私はデュナメスのスナイパーライフルを見切りながらヴァーチェのGNバズーカを破壊しにかかる。

 

「俺も手を貸すぜ!」

 

メテオリティスの背後に回ったアヴァランチエクシアダッシュをファンネルが阻む。

 

「エクストリーム!? レオスか!」

 

ヌクスィルはあの機体、エクストリームガンダム(typeレオスⅡ)Vs.を知っているようだ。

 

「このVs.は爆熱機構"ゼノン"という独自の機構をもってる。それが偶然、あの光を拒んだってことかな。」

 

幸運だった。

あの全てを終わらせる光を凌いだ機体が存在しただけでも奇跡である。

 

『都合のいいヤツだね。でも僕たちは……フッ…俺たちは負けねェよォ!!』

 

キュリオスの動きが変わった。

ハレルヤが出てきたのだろう。

 

「まずい…MSが扉に吸い込まれてる。」

 

ソレスタルビーイングとの戦いの最中にも、多くのMSが扉に吸い込まれた。

その中にはAGE-2 ダークハウンドやクロスボーンの姿もあった。

そんなことを気にしていたら、気が付いたらメテオリティス、スタークジェガン、Vs.の3機とも、ソレスタルビーイングに囲まれてしまっていた。

全機トランザムを起動してている。

 

「何で…何でこうも世界は…私たちを苦しめるの……」

 

流石にキツイ。

諦めたくもなる。

でも、それでも希望は残っていた。

 

「MS接近! まだ動けるヤツがいたんだ!」

 

レイの言葉にモニターを凝視する。

そこには、猛スピードで接近してくる一角の黒い機体が映っていた。

 

「あれは、ユニコーンガンダム!? でも白じゃない?」

 

「来てくれた…!」

 

ヌクスィルは黒いユニコーン、バンシィを見て笑顔を浮かべた。

ヌクスィルが言うにはこういうことらしい。

この世界でヌクスィルに施された強化は、サイコフレームという特殊なフレームを人間の精神の波と共振させ直接動かすという実験の一環だった。

結局、精神の波を物理的エネルギーを発生させるまで拡張できずに計画は破棄され、被験体は処分されたらしい。

しかし、被験体で唯一の生き残りであるヌクスィルの精神の波がエンドシステムによって拡張され、時間はかかったもののサイコフレームを直接動かすことに成功した。

この機体、バンシィだが、これはex-sa隊がオーガスタ研究所の稼動実験を強襲し奪取したものらしい。

 

「このバンシィとアタシなら、エンドシステムの影響を受けずに稼動できる!」

 

ヌクスィルはメテオリティスのコックピットからエンドシステムを介してバンシィを遠隔操作する。

武器は無事である。

 

「レイ! エンドシステムの様子は?」

 

「出力は下がってて効力が弱まってるから新たにあの光を発生させることはできなさそうだ。こっちからじゃコントロールできないし…システムが沈黙する前になんとかしなきゃダメだ!」

 

「時間がないってことね…でも、手数は十分!!」

 

まず、メテオリティスがアヴァランチエクシアダッシュをパワーで無理やりねじ伏せる。

Vs.は全感応ファンネル"アイオス"でヴァーチェを翻弄する。

これでヴァーチェは足が止まるGNバズーカを使えなくなる。

さらに、高純化兵装"エクリプス"で火力も十分ある。

厄介なデュナメスはバンシィが、高機動のキュリオスはスタークジェガンが、それぞれ相手する。

元々個々の戦闘力が高いソレスタルビーイングをまとめて相手するより1対1の戦闘を展開した方が良いと私が判断した結果だ。

ヌクスィルとメテオリティスのゼロも同じ結論を出している。

 

 

 

私の指示によって戦況は傾いた。

扉に多くのMSが、否、世界そのものが吸い込まれていく中、私たちは必死に戦い続ける。

この行動は自己満足やエゴかもしれない。

間違った行動をしているのかもしれない。

でも、この世界において"正しい"の判断はし難い。

それでも私は戦う。

そしてなんとしても扉を破壊する。

この世界を造ったのが私とレイだというのなら、全ての融合なんて望んでないし、皆を元の世界に帰すのが私たちの償い。

もう手遅れかもしれないけど、ここで諦めたら巻き込んでしまった人たちに申し訳が立たない。

それが、世界が敵になっても尚、戦い続ける理由。

 

 

 

でもそんな想いさえも踏みにじるのがこの世界だ。

 

 

 

 




どうも星々です!

まさかのソレスタルビーイング乱入!
彼らを怒らせたら怖いですよねきっとw

ご都合主義気味になってしまいましたすみません(>人<;)

さぁ、次回もお楽しみに!
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