止めることすらできないまま戦い続けた。
操縦桿はもはや汗でびしょびしょだ。
レイの声はガラガラで、ヌクスィルの額には汗が滝のように流れ落ちる。
エネルギーもレッドラインギリギリで、いつトライデントシザースが使えなくなるかヒヤヒヤする。
レイが2連装ビームキャノンを的確に発射してくれるからなんとか長持ちさせている。
常に扉から逃れるようにしながら戦ってるからスラスターへの負担も相当で、GNドライヴを積んでるソレスタルビーイングのガンダムに比べたらそう長くは持たないだろう。
でも向こうのトランザムも同じくそう長くは持たないだろけど。
トランザムが切れたタイミングが狙いどきだ。
『貴様は時空を歪ませた。そしてこの世界においても、その存在がリボンズ・アルマークのような悪を生んだ!』
「そうかもしれない! そうかもしれないけど!! 私は少しでもその罪を償おうと今扉を破壊しようとしてるの‼︎」
『例えその償いが完了したとしても、貴様たちとそのガンダムがいる限り、同じ事が繰り返されるだけだ!』
「お前だって聞いたはずだ! 扉をくぐれば全てが融合してしまうんだって!」
『黙れェ!!』
アヴァランチエクシアダッシュがGNロングブレイドを大上段に構えて渾身の一撃を放った。
アヴァランチユニットの影響もあり、メテオリティスのパワーを持ってしても押される。
「どこまでいい加減で身勝手なんだ貴様は!!」
よろけながらもビームキャノンでロングブレイドを弾く。
今度はショートブレイドとビームダガーを続け様に投げてきたが、なんとかトライデントシザースで防ぐ。
『その機体はガンダムではない!』
「だからどうだと言うの!!」
『この俺が破壊する!!』
正直何を言っているのか理解に苦しんだ。
でも、戦場で人の感情が高ぶることは珍しくない。
というか、ずっと冷静でいられる方が異常だ。
「レイ! エクシアのトランザム予測限界値は‼︎」
「とっくにマイナス値だ! トランザムの限界時間が長くなってるんだ!」
「クッ…強化されてるのは武装だけじゃないってことか…バンシィ、アタシに力を貸して!!」
デュナメスと交戦中のバンシィの装甲が割れ、金色に光るのフレームが露見した。
一角だったブレードアンテナは2つに割れ、V字型になった。
フェイス部分も変化し、間違いなくガンダムの姿になった。
「セシアが残してくれたこの機体…その可能性は無限大!! 行くぞ、ヴァリアント・サーフェス!! 学ばせてもらった全てへと!!」
Vs.のサーベルとライフルが変形し、巨大なビームサーベルを形成した。
サーベルはヴァーチェのGNバズーカを粉砕し、装甲を溶解させた。
「このまま扉も破壊する!!」
サーベルがゆっくりと扉に切先を向ける。
それを援護するように、バンシィがアームド・アーマーBSから高出力のビームを放つ。
デュナメスがピストルを放つが、Vs.のアイオスで相殺する。
「レオスさん! ヌクスィル!」
しかし、それらは扉に当たる寸前に拡散した。
ビームは兵器としての効力を失う。
「ビームが効かないのか!?」
「ならば自分がスタークジェガンで!」
スタークジェガンが3連装ミサイル・ランチャーを全弾発射した。
ミサイルは扉に命中、効力も確認された。
どうやら実弾兵器なら通じるらしい。
「こいつらがいなきゃ、それほど苦労はしないんだけどねッ!!」
アヴァランチエクシアダッシュのGNソードとメテオリティスのトライデントシザースで鍔迫り合いになる。
無理やり押し返しトライデントの部分で思い切り突くが、側転で回避された。
「もう時間がない!! どけ刹那!!」
『レイ・ノマダ。貴様らとそのガンダムが消えれば、人類の未来は少しでも明るくなる!』
「あなたが言っていることも分かる。でも、扉の向こうで全てが一つになってしまっては、未来もなにもないのよ!!」
刹那は攻撃の手を緩めない。
それはソレスタルビーイング全体に言えることでもある。
『もう遅い!! 貴様がこの世界を創造し扉を開いた時点で、正常な世界の流れは歪んだ!』
「だからそんなの分かってるって!!! でも、残された人たちにはその人なりの未来が待っている! ここに集った武力はここで終わってしまうかもしれないけど、戦いを望まない人たちが築く未来すらも巻き込んじゃダメなのよ!!」
『…ッ!!』
「私たちに未来はない…あなたもその一部よ!! だからお願い! これ以上時空に刺激を与えるようなことはしたくないの!!」
アヴァランチエクシアダッシュのトランザムが切れた。
同時に攻撃をやめ、動かなくなった。
刹那は声を発さずにただコックピットにいる。
数秒の沈黙の後、突然アヴァランチエクシアダッシュが扉に向かって加速した。
「せ、刹那!?」
「一体何をするつもりだ!」
GNソードを正面に構えて、アヴァランチユニットを解放し、全力で加速した。
他のソレスタルビーイングのメンバーもしれに続き、デュナメスはGNミサイルを放って、キュリオスは変形して、ヴァーチェは溶解した装甲をパージしてガンダムナドレとして、それぞれアヴァランチエクシアダッシュに続いた。
『破壊する……この歪みを…破壊する…ッ‼︎』
刹那は静かに、かつ強く言った。
「それって…!」
『勘違いしない方がいいぞ。あんなヤツだが、刹那にもそれなりの存在があるんだよ。』
「ロックオン・ストラトス…」
『だが忘れるんじゃねぇぞ…テメェらが生き続けてる限り、何度でも殺しに行くぜ。』
『それまで僕たちソレスタルビーイングも消えるわけにはいかない。そういうことだ。』
ナドレとデュナメスの拳が扉に突き刺さる。
キュリオスも突撃し、アヴァランチエクシアダッシュのGNソードが捻じ込まれる。
ソレスタルビーイングの怒号とともに無理やりトランザムを発動させる。
扉にヒビが入る。
それと同時に、徐々に飲み込まれて行く。
「レイ、ヌクスィル…私たちも行こう。」
「あぁ…!」
「ゼロは行くなって言ってる…でも、今はお姉ちゃんの方が正しいって思うから。」
アヴァランチエクシアダッシュも身体の半分以上が侵食されている。
でも確かに効いてる。
「俺もついてくよ。君は希望に満ちている。その愛と希望の真髄を知りたいしな。」
「閣下の命令だ。どこまでもついて行くさ。」
「まだまともに会話したこともないのに…ありがとうございます…」
Vs.は掌からエネルギーの塊を発生させ、扉に入ったヒビに手を突っ込む。
バンシィはアームド・アーマーVNで何度も引き裂く。
スタークジェガンはただひたすら殴り続ける。
ソレスタルビーイングの姿はもう無い。
Vs.やバンシィ、スタークジェガンの身体もすぐに飲み込まれてはじめる。
「でも、やるしかない!」
「メテオリティス、アンリミテッド!!」
レイがリミッターを外したと同時に私は一気にメテオリティスを加速させた。
当然、すぐにブースターの過度の負担を知らせるアラートが鳴ったが、そんなのは無視。
トライデントシザースを仕舞い、途中で拾ったドラゴンハングを右手にはめる。
「「これで…終わらせる!‼︎」」
ドラゴンハングを纏った拳、ドラゴンフィストを叩きつける。
ハング直結のブースターに点火し、さらにフルパワーで押し込む。
「「はああぁぁあぁあ‼︎!」」
扉は砕けた。
全てを飲み込む前に破壊できた。
でも、私たちは間違いなく引き摺り込まれている。
砕けても尚、その微かな痕跡に引き込まれて行く。
そして、圧縮されるような急激な圧迫感と共に、黒い世界に飲み込まれた。
これでここ以外の世界をちゃんと守れただろうか。
私たちの償いは完了しただろうか。
そんなことを考えていたのは覚えてる。
でもその直後、ごちゃごちゃの記憶が広がって…それからは分からない。
でも確実に、私たちの戦いは終わった。
終わったと願う…
----fin----
どうも星々です!
これでこの物語は終結です。
最後までご愛読してくださった方々に感謝です!
もしかしたらもしかすると、またまた続きを書いちゃうかもしれないんでその時は続けて読んでいただけると嬉しいです!
最後になりますが、ここまでご愛読してくださった方々、誠にありがとうございます!!