そのテストの最中、近付く者たちがいた
ソレスタルビーイングのガンダムはそのまま各々の任務についた。
内容は、破壊工作やらスパイ行為やらである。
一方、ミデンのスタークグランシャリオは、損傷が激しかったため、トレミーに戻った。
トレミーでスタークグランシャリオの修理を行うと同時に、新たな強化プランの採用を試みる。
ガンキャノンの改造も順調に進んでおり、残すは最終調整と運用テストのみである。
数日後、ガンキャノンのテストが行われた。
リニアカタパルトにスタンバイしたガンキャノン。
『リニアカタパルト接続確認。射出タイミングをレイさんに譲渡します。』
「了解。レイ・ノマダ、ガンキャノンGNカスタム、行きます!」
ガンキャノンは宇宙に出た。
スピードはそれほど変わっていないのが実感できた。
武装を見ると、こちらはこれでもかと言うくらい強化されていた。
GNガンキャノン砲が前向きに4門、背面に2門あり死角がほとんど無くなった。
両脚にはGNミサイル・ポッドが装備されている。
レイが一番驚いたのは、胸部である。
胸部は丸ごとGNバズーカに改造されていた。
この大量かつ強力な武装を実現するために、背中には大型のGN粒子貯蔵タンク、両腕にはこれまた大型のGNコンデンサーが取り付けられている。
『まずはその宙域のデブリを撃ってみてください。』
戦況オペレーター、フェルト・グレイスから指示を受けたレイは、近場のデブリ2つに狙いを定めた。
トリガーを引くと、GNガンキャノン砲の下2門からビームが発射された。
デブリは狙い通り撃ち抜かれた。
GNガンキャノン砲は、ビームと実弾の使い分けが可能になっている。
上2門は実弾、下2門と背面はビームになっている。
ビームライフルを装備できることを考えると汎用性の高い射撃機に仕上がっている。
試しに実弾の方も撃ってみた。
宇宙空間とはいえ、地球の重力の影響を受けて少し軌道がズレる。
「使い分けが大変そうだな…」
ガンキャノンGNカスタムが宇宙空間でテストを始めた頃、その宙域に接近する戦艦があった。
ブリッジには所々、骸骨を模したデザインがされていて、少し不気味である。
「あのMS…新地球統合同盟のガンキャノンとかいう機体に似てるが……カスタムタイプか何かか?」
戦艦の艦長と思われる、ロングコートを羽織った男が、ガンキャノンGNカスタムを見て言った。
長いブロンズの髪が印象的だ。
「君はどう見る? あのMS。」
「キャノン砲の増設で次弾発射までのタイムラグを改善、背面設置で死角を減らし、火力、射程ともに強化されている。ただ、近付けば頂いたも同然だな。」
艦長の隣に腕を組んで立っている青年がガンキャノンGNカスタムを分析する。
彼の言った通り、ガンキャノンGNカスタムには相変わらず近接戦用装備が頭部のバルカン砲しかない。
「頂くか?」
「高性能なのは事実だ。できれば欲しいところだが…」
「あの艦にMSが残っているかどうかだな。あの性能のMSを複数機同時に相手するとなると、こちらも多くのMSを出撃させることになる。」
「近づいて様子を見よう。」
「だな。」
艦長は操舵士に接近するよう指示した。
艦はゆっくりではあるが、着実にプトレマイオスへと近づいていった。
不思議なことに、プトレマイオスの索敵範囲内に入っても気づかれていない。
「よし、一旦止まれ。」
戦艦はプトレマイオスの横に着いた。
レイはガンキャノンのテストを続けていた。
武装系の異常は見られず、機体は完璧だった。
「よし、レイ・ノマダ、プトレマイオスに帰艦する。」
レイがガンキャノンをプトレマイオスに向かわせようと振り向かせたとき、視覚に少し違和感を覚えた。
プトレマイオスより少し横の方、普通に見れば相変わらずただ漠然と宇宙が広がっているだけである。
しかしレイには確かに見えた。
勘に近いものだが、レイは行動にうつした。
プトレマイオスには向かわず、ガンキャノンのGNガンキャノン砲の標準をその空間に合わせる。
『レイ? どうかしたの?』
レイの不可解な行動にミデンが通信で声をかける。
「何かいる…」
レイはそう言ってトリガーを引いた。
下2門のGNガンキャノン砲がビームを放った。
2本のビームは当然のように直進し続け、プトレマイオスの横で何かに当たって消えた。
「そこに何かいる…! トレミー!! 横に何かいるぞ!気を付けろ!!」
レイはスロットルレバーを押し込み、全速でそこに向かった。
機体の特性上あまり近づけないが、即座に戦闘が開始できるようにスタンバイした。
すると、プトレマイオスの横の空間が歪んだように見え、突如として黒い戦艦が現れた。
「戦艦!? しかもタダの戦艦じゃない!!」
その戦艦、バロノークは、ステルスシステム「見えざる傘」を切り、その姿を晒した。
両舷に計2基のカタパルトデッキ、艦首部に赤い鋭利な刃物状の構造物を持ち、船体横には髑髏のマーキングが施されている。
そして、バロノークからMSが2機発進した。
「敵さんのお出ましか…ッ」
出撃したMSはどちらもガンダムだとわかった。
額に髑髏のマークがある漆黒の機体と、マントを羽織った白と黒の機体である。
(スタークグランシャリオはまだ出られないか…)
(2対1…頑張れるか…?)
マントを羽織った機体、クロスボーンガンダムX1改が動いた。
主兵器、ザンバスターからビームを放った。
ガンキャノンは反撃にGNガンキャノン砲の下2門を放った。
ビームはすれ違い、互いの機体に直進した。
「っぶね‼︎」
ガンキャノンは紙一重でかわしたが、クロスボーンX1改は回避行動をとろうとしていなかった。
GNガンキャノン砲のビームは当然、命中した。
が、ビームはマントに弾かれた。
「な!? ビームが効かないのか!? なら実弾で!!」
レイは上2門を撃とうとした。
が、もう1機のことも忘れたわけではなく、そちらにも牽制をいれる。
漆黒の機体、ガンダムAGE-2ダークハウンドは高い俊敏性を持っているようで、軽々と回避した。
そして、両肩にあるアンカーを発射してガンキャノンを拘束した。
必死に抵抗するが、中々ほどけない。
更に、クロスボーンX1改も、マントの下からシザーアンカーを伸ばしてガンキャノンを拘束した。
「クソッ! やられた!!」
ガンキャノンはそのままバロノークに連れ去られた。
ミデンはスタークグランシャリオのコックピットに滑り込んだ。
「いくらなんでも無茶よ! まだ新装備の調整も終わってないのよ!!」
「そんなの戦いながらでもできます。私はレイを助けに行きます。」
ミデンはソレスタルビーイングから支給されたピンク色のパイロットスーツを着て、ヘルメットをかぶった。
「相手が何機のMSを所有してるかも分からないのに!」
「それは向こうも同じです。出撃します、下がってください。」
ミデンはスタークグランシャリオを起動させると、コンテナから直接出撃した。
スタークグランシャリオには新たに改造が施されていた。
両肩の3連装ミサイル・ランチャーの側部に、半球を関節として、GNロングライフルが追加された。
接近戦向けのビームピストルに加えて、遠距離戦向けのロングライフルを装備。
これで汎用性は向上したが、調整がまだなので機体バランスが非常に悪い。
「海賊…
バロノークに近付いたが、MSは出てこなかった。
スタークグランシャリオはそのままバロノークに降り立った。
すると、バロノークから通信が入った。
ミデンは回線をつなげた。
『こちらはバロノーク艦長、キャプテン・アッシュだ。その機体の実力が見たい。場合によっては、その機体と引き換えに命だけは助けてやってもいい。』
「随分と上からね…あなたたちがその機体を奪った目的は何? 答えによっては強行策に出るわ。」
『……面白い…』
どうも星々です
忙しいですね、戦ってばっかでw
ガンダムシリーズでまさかの被りを見せた宇宙海賊ですが、ここでは手を組んでしまいましたw
完成したばっかりのガンキャノンGNカスタムも奪われてしまって、ミデンとレイはどうなるのでしょうか?