そこに降り立ったガンダムマイスター
絶望を知らせる者が残した言葉が意味することとは
ここはオーストラリアの砂漠地帯。
見渡す限り砂の海が広がる。
日光は照りつけ、気温は40℃をゆうに超えている。
そんな場所に、刹那はいた。
彼が実行中のミッションは、砂漠地帯にあるというフュゼの地下基地の位置特定である。
「レーダー反応無し。目視でも異常は確認できない…」
刹那はゴーグルを付け、マフラーで口元を覆っている。
高気温下でもこんな格好をできるのは、鍛え上げられたガンダムマイスターの肉体があってこそなのだろう。
刹那はエクシアのコックピットに戻り、砂嵐で自分の身を隠しながら移動を始めた。
その頃、フュゼの砂漠基地でMS部隊の訓練が始められようとしていた。
3対3の模擬戦形式の訓練である。
基地のMSデッキに、部隊がスタンバイした。
4足歩行の獣のような外見を持つMSが、黒いのが5機、オレンジのが1機である。
「準備はいいか! 戦闘訓練、開始するぞ!」
オレンジの機体、ラゴゥのメインパイロット、アンドリュー・バルトフェルドの号令と共に上り坂の先の天井が口を開き、外界の光が入ってきた。
そのMS部隊、バクゥとラゴゥは、一気に砂漠へ駆け出した。
3対3で向き合って、模擬戦を開始した。
が、開始直後、バクゥが2機、爆散した。
「な、なんだ!?」
「アンディあそこ!!」
ラゴゥのガンナー、アイシャが左の方を指し示す。
そこには、1機のMSが立っていた。
足元にはバクゥの残骸がある。
「ガンダムだと!?」
現れたMSはガンダムだった。
マントで全身を覆い、機体各部に砂漠戦を想定した作りが見られる。
『その基地を放棄して投降しろ。命まで奪おうとは言わない。』
通信で聞こえてきた声は少年のものだった。
「構わん! 全員総攻撃だ!!」
バクゥは、2機の前衛と3機の後衛に分かれて突撃した。
前衛のバクゥは、頭部両サイドから出力されるビームサーベルでガンダムに斬りかかる。
が、それは軽く回避された。
ガンダムは、マントをパージし、大きく湾曲した剣、ヒートショーテルを2本取り出してバクゥを1機斬り裂いた。
「僕のサンドロックを戦わせたくないのに…でも…倒すしかないんだね。」
現れたガンダム、ガンダムサンドロックのパイロット、カトル・ラバーバ・ウィナーは、少し悲しげに呟くと、もう1機の前衛を軽々と破壊した。
「ま、まずいわよアンディ!」
「分かってる!」
後衛をつとめていたバクゥ3機を追い越して、ラゴゥが一気にサンドロックに詰め寄る。
低重心から放たれる独特な格闘攻撃を繰り出そうとした。
だが、バルトフェルドは危険を察知して機体を後退させた。
レーダー反応があった上を見上げると、そこにもガンダムがいた。
「エクシア、フュゼの砂漠基地を発見。同時に、未確認機との戦闘を確認。これより武力介入を行う。」
エクシアは、上空からGNビームライフルを連射した。
ラゴゥは、俊敏に動き回って上手く回避する。
そして上に向けて2連装ビームキャノンを放つ。
エクシアはそれを回避し、GNソードを振り下ろした。
ラゴゥはそれも回避した。
が、今度は回避した先にいたサンドロックに狙われる。
振り下ろされたヒートショーテルが翼の部分にかする。
「貴様も戦うというのか…!」
刹那は、サンドロックも標的として捉えた。
足払いの要領で低姿勢でサンドロックの足元を狙う。
サンドロックはジャンプでかわすが、ラゴゥの2連装ビームキャノンに狙い撃ちにされる。
三つ巴の戦闘が開始された。
あまりに高度で高速な戦闘に、3機のバクゥは手を出せずにいた。
「待ってくれ! 僕の目的は基地の無力化、君と同じなはずだ!」
「俺たちは全ての武力に対してガンダムによる介入を行う。」
「ハッ! 矛盾してるな!!」
3機は、砂埃を巻き上げながら複雑に交わり合う。
時折ビームの煌めきや、金属音が響く。
「何故戦わなくちゃいけないんだ、僕たちは!!」
「敵だからだよ少年っ!」
「僕たちは、この世界に引き込まれたという共通した経験がある。元の世界に戻るという共通した課題がある。なのにどうして!」
「人類はそれすらも、自らの利益のために利用する。世界が歪み、この世界に閉じ込められた時点で、戦争が始まるのは決まっていた!」
「では君は何のために
「時代の流れの方がおかしいんです! 僕はそれを正すために戦うと決めています!!」
「時代の流れが歪んでいるというのなら、俺はその歪みを破壊する!!」
3機の格闘武装が一点に集中した。
強烈な衝撃波が辺りの砂を吹き飛ばす。
『そこまでだ。』
3機の鍔迫り合いが続く中、4機目の乱入者が現れた。
その機体は、上空から降下してくるというより、
刹那はこの機体に見覚えがあった。
「ex-sa隊…エクストリームガンダム……!」
エクストリームは、両肩に巨大なビーム砲を持つ、カルネージ・フェイズで現れた。
そして、黒いエネルギーの塊を撃ち出した。
黒いエネルギーの塊は拡散し、機体に纏わり付いた。
「な、なんだこれ!?」
「動かない!?」
「動けエクシア。動いてくれ!」
3機は、カルネージが放ったエネルギーに拘束された。
カルネージはゆっくりと着地し、両腕から実体弾を放った。
何の抵抗もできずに、直撃をくらう。
『君たちにいいことを教えてやろう…』
カルネージはゆっくりと歩み寄ってきた。
その姿は実に不気味で、恐怖を感じるような雰囲気があった。
『この世界は、たった2人の人間によって作られた。戦争のない平和な世界を望む心が、この世界に武力を集めたのだろう。そしてその2人は、この世界でも、平和を望んで戦っている。その先に待っているのは絶望だと知らずに。』
「平和を望む心は、人類の希望たり得る可能性です!」
『貴様らが希望と信じて止まないもの、私はそれが
「じゃあ貴様にとっての希望はなんだ!」
『もはや希望など何処にも存在しない。私はそれに気付かせてやりたいのだよ。』
カルネージは、ビーム砲を構えた。
エクシア、サンドロック、ラゴゥは、未だ動きが鈍い。
『これで終わりだ。』
『そうはさせない!!』
カルネージの目の前に、突然、1機のガンダムが降り立った。
『赤いエクストリーム…貴様は!!』
現れたガンダムは、ex-と同じエクストリームガンダムだった。
ただ、機体色が赤を基調としていて、力強さを感じる。
『またしても私の敵となるかレオス!』
エクストリームガンダム(type-レオス)のパイロット、レオス・アロイとex-は知り合いのようだ。
同じ機体に乗っていることからも考察できる事だが、同じ世界からやって来たらしい。
『刹那・F・セイエイ、カトル・ラバーバ・ウィナー、アンドリュー・バルトフェルド。ここは俺に任せろ!』
レオスのエクストリームは、閃光と共に姿を変え、射撃特化の形態、エクリプス・フェースに
すぐにカルネージとエクリプスで射撃戦が始まった。
驚くことに、エクリプスは互角に戦っていた。
実力は刹那やカトル、バルトフェルドと大差はないが、レオスはex-のクセを知り尽くしていた。
『何をしてる、早く!!』
「仕方ないな…バクゥ、撤退するぞ!!」
ラゴゥはバクゥを引き連れて基地に逃げ込む。
刹那は基地へ追撃しに行こうか迷ったが、任務の主要項目である地下基地の位置特定は完了したので、巻き上がった砂に混じって姿を消した。
サンドロックも撤退したらしい。
(ex-…一体何者だ?)
(それにしても、ヤツが言っていた『この世界を作った2人の人間』とは誰の事なんだ…?)
「俺はただ、そいつが作った歪みを破壊するだけだ…」
刹那は決意を改め、宇宙のプトレマイオスへと向かうのであった。
どうも星々です
だいぶ日にちが空いてしまいましたね(汗
風邪を引いてしまい、身体がダル重ですw
今回は、ミデンとレイからは少し離れて、刹那中心の話でした
ex-とのやりとりで刹那が持った決意とは!?