くっ、殺せ!(挨拶)
『……だから、もし聖杯の力で王の選定をやり直す事が出来るなら、その前に戻ればきっと―――』
「あー、なるほど。アーサー王の伝説だとほぼ内輪もめで終わってるから…」
「それでやり直してもっと有能な王がいればってことか…。でもそれは過去改変とかになってうまくいかんのだよなぁ」
「そうそう、時の神がそこらへん超厳重に管理してるからなぁ…。あ、でもFateだとどうなるんだ?」
バーサーカー陣営を打倒した彼らは親交を深めたが、その最中で語られたセイバーの思いに、神と人とで共感し、それぞれ感想を述べていく。
主従の気持ちが交差する中、キャスターの襲撃が始まる。いざ元凶であるキャスターを討伐せんと庭へ出る。一度は恐ろしい精度の大魔術で危機に陥ったかに見えたが、それすらセイバーは一蹴。
キャスターは話をしに来たと言い、アサシンの脱落を語る。驚きながらも断ると、さっきの竜牙兵を召喚し―――
『失せるがいい、道化』
塀に立つ黄金の男の雨あられのような攻撃がキャスターの体を貫き、金色の粒子へと還した。
『――な、貴様、アーチャー!?』
「は? え? アーチャー?」
「イメチェンしたのか?」
「っていうか、何だ今の。空中に金色の波紋が出て……武器が弓みたいに発射されたぞ」
何とか難を逃れた士郎たちは、紆余曲折あり、ぶつかり合いながらも信頼を更に深いものとする。そこに現れた黄金のサーヴァント。
士郎がバーサーカーを倒したあの剣で斬りかかるが、メロダックによって深手を負ってしまう。セイバーは怒り斬りかかるも、全て鎧だけで受け切られる。
「士郎――!?」
「また致命傷負ったぁぁあ!?」
「アーチャーはやられてるだけなのに、全然ダメージを負ってねぇ。あの鎧が宝具なのか…?」
そして、キャスターを屠った攻撃が今度はセイバーに襲いかかる。なんと、空間に浮かぶ大量の武器、その全てが宝具なのだという。信じられない、とセイバーがその事実に瞠目するが、余裕綽々といった様子のアーチャーの言葉に、その答えを導き出す。
『ギルガメッシュ――――人類最古の英雄王――――』
「ブフゥッ――!?」
「イシュタル様!?」
「な、何か粗相を!?」
そして、セイバーは宝具を切った。世界で最も有名な聖剣。あのバーサーカーを仕留めた一撃は、しかしてギルガメッシュに届くことはなかった。
『“
「は?」
「…何……だと…」
「エクスカリバーが完全に負けた…」
セイバーは倒れ、無理矢理に斬りかかった士郎も、メロダックによって致命傷を負う。最早動くこともできないほどの傷を負いながらも立ち向かう士郎に、ギルガメッシュは止めを刺そうとして――セイバーが手をかざした何かに防がれる。
それを見たギルガメッシュは無言で立ち去った。残ったのは、二人だけだ。そして、癒えていく士郎の傷を見て、セイバーは抱きしめた。
『シロウは、私の鞘だったのですね』
「おお…!」
「士郎の体の中に宝具があるってことか…?」
「なあ、あれあの状況だからいいけどさ、性別逆だったらものすごいセクハラに…」
「おい止めろ。感動シーンに水を差すな」
そしてまた、最近聞き慣れてきた音楽と映像を楽しみ、彼らはホクホク顔で居住区へ戻っていくのだった。
「あー、にしても明日で最終回かぁ…。すごい楽しみなだけに終わったあとを考えると怖いな…。果たしてこれ並みの娯楽にどれほど出会えるか…」
「おいおい、終わる前から悲観してどうする。俺はどうやって決着がつくか気になるな…。英雄王ギルガメッシュ…。今の時代に知ってる
「やっぱり造ってるの
「最終回が来ても円盤を買っている俺に死角はない。垂れ流しながら
「っていうか、歌の方もだしてくれねえのかな。映像と音がいけるなら音だけもできるだろうに。俺二つ目のオープニングが好きなんだよな」
「俺は三つ目のエンディング〜」
「やっぱ一番最初のを聞いたときの衝撃が―――」
◆◆◆
フジマル・立香。
私を連れ出してくれた、不思議な青年。
あの大抗争の日、私は死んでから幽霊になった。誰にも見つからず、何処へも行けず。声も届かず触れもしない。私はここにいるのに、いない。
私の死に心を痛める友人の慟哭を目の前で見届けた。
終わらない争いの音に敏感になった。そして、いつの間にか音は聞こえなくなっていた。
まだしばらくは耐えられた。きっと、何かの間違いなんだって。この世界に残ったのは、神様がうっかりミスをしてて、少しの間だけの猶予期間なんだって思えた。
…ううん、そう思いたかっただけ。そして日が沈んで、また昇って、それが100を越えた時にはもうそんな僅かな拠り所もなくなっていた。
ここはずっと寂れたまま。外は見えないし、人は来ない。たまに来ても、私に気づかず通り抜けていく。
ずっと、ずっと辛かった。気を紛らわせようにも、この体じゃ何もできない。
―――
そんな風に思って、数え切れないくらいの時間が経った。何をしなくても問題ない。それはまるで拷問のようだった。
何もできない、何をする機会もない。ただそこにいるだけ。私の体には何の変化もない。死んだときの姿そのままで、時間だけが無為に過ぎていった。
狂ってしまいそうなのに、狂えない。
人が来ても、もう期待することなんてやめた。きっと、世界が終わるまで私はこの場所に
『あ、すみません…』
――立香に出会った。
あのときはとうとう幻聴が聞こえたと思った。それでも、妙に気になって顔を向ければ、明確に、私を避けたような姿。
咄嗟に手を伸ばした私は悪くないはず。誰だって私と同じ環境に置かれればこうもなると思いたい。
あの時間の喜びは何よりも激しかったと思う。もうどれくらいの時間を過ごしていたのかは分からなかったけど、久しぶりの人との会話。こっちを見据える目。その肌に触れて、反応して、それだけで多幸感に満ち溢れていた。
私の話に相槌を返す姿。言葉が詰まる私を、忌避せず待ってくれる気遣い。
どれもが、私は嬉しかった。そして、また会いたいと、嫌われたくないと思って、別れを告げたけど、なんと、立香は私を外に連れ出してくれた。
『アーディ。―――――手を!』
悩む手を強引に掴んで、私は檻から連れ出された。
まるで御伽噺に出てくる、幽閉された姫を救い出す勇者の様に。
何も触れなかった体に、今まで感じてこなかった感覚が蘇る。
自分の足で、大地を踏みしめることができる。匂いを嗅ぐことができる。血の通っている感覚が満ち、世界に
(……本当に、絵本の中の王子様みたい。なんて、気取り過ぎかな?)
アルゴノゥト、とは思わない。アルゴノゥトには役目があったし、何より彼は弱くても、情けなくても英雄の一人。
立夏は違う。荒事をなす冒険者という立場でも、ベルよりも大人びていても、根本的に一般人なんだ。それが、何より私達が守りたかったものの様で―――。
「アーディアーディ! なんか、なんか出来そうな気がする!
ダンジョンに行った時から少しずつ溜まってたっぽいのが、なんか出来そう! ちょっと来て!なる早で!」
「―――うん! 今行く!」
まあ、今は楽しくやってるよ。お姉ちゃん。
◆◆◆
アーディを呼び出して、教会裏の広場に佇む。
「それで、何が出来そうなの?」
「……多分、フレポガチャだと思う」
「ふれぽ?」
「うん、
「???」
アーディはよくわかってないみたいだけど、俺もよくわかってないからおあいこだ(???)。
事の始まりは初めてダンジョンに潜った時。本当に最初は小さな違和感しか無くて、それも初めてのダンジョンという非日常に興奮していたせいだと思った。でも、何度も戦闘行為を行っていくたびに蓄積されていく感覚。それが、今になって何か出来るという感覚がある。
うーん、ゲーム的に言うならフレンド…つまりは同じファミリアの人を連れてダンジョンで戦った…つまりはクエスト扱いなんだろうけど…。他の派閥の人と一緒だと非フレみたいになるのかな…。まあ、それは検証しないと分からないか。
それと、多分溜まり方は戦闘に区切りがついたか。って感じだと思う。FGOでも3Wave3/3/1のクエストがあれば、1Wave15とかのクエストで一段落の時もある。多分、同時に戦う敵、及び逐次敵対する相手がいる場合を含めて1Wave。ちょっとの移動や待機を挟んで戦闘が始まる様なら次のWave扱い。それで、しばらくの間戦闘に余裕が出来一段落が出来るのが
……いや、これ普通に強くない?奇襲とかには対応できないけど、継戦するならその区切りが分かるし。連戦の間でもそのあたりの判別がつくってすごい便利だと思う。素人の俺でも考えつくんだから、きっと頭のいい人ならもっと活用法が思いつくかも。
まあ、それは一旦置いといて。今はガチャだ。
フレポガチャかー。フレポガチャねえ。何が出るんだろう? ゲームだったら星3までのサーヴァントとか概念礼装が出てたけど、今は石を割っても星1とか出るしなー。
じゃあ、早速やってみる。
「【素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ――以下略――汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ】!」
そう告げると、魔法陣が現れn回と見たあのサークルが現れる。
……便利だけど、これ本当にダンジョンじゃ使えないな。何するにしても長い召喚が必要だし、光るし音も鳴る。それなのに戦闘に関わらないってのは本当に自殺行為だ。
そして眩い光と共に円環が収束すると、そこには―――
―――手が生えていた。
「えっ」
「えっ」
いや、確かに手ではある、手ではあるけど…。その手は俺の腰ほどまでの大きさで、黒い色にオレンジの筋がいくつも通っていて……そして、掌の上には同じくオレンジの球体。種火、通称イクラが浮遊していた。
……これ、
俺たちが余りの光景に呆気にとられていると、種火は俺たちを捉えた?のか、うごうごと歩いて攻撃を仕掛けて―――!?
「危なっ!?」
掌の種火が予備動作に入った段階で慌てて飛び退くと、さっきまでいた箇所にそれが叩きつけられ、石畳が粉砕する。地味に威力高いね!?
「やぁっ!」
アーディも流石に攻撃を仕掛けてきたとなればぼうっとしてもいられない。素早く叡智の種火へ接近すると、右手に剣を出現させながら斬りかかる。一撃では倒れず、けれど再び種火が動き出したその隙に一閃。
見事に入った一撃に腕は沈黙し、種火を残して消滅した。
「…何これ?ドロップアイテム?」
残った種火を摘み、不思議そうに顔を近づけるアーディ。そして気づく。今しがた現れたサークルが消えていない。いや、消えていないどころか、再び回転を始めて新たに召喚を行おうとしていることに。
「これ止めれる!?」
「ごめん無理! お願いします!」
「もぉーっ!?」
それから、種火は倒される毎に召喚され、最終的に10体の種火が召喚された。まあ、発生する場所が同じでタイミングも分かりやすいから後半は現れる瞬間から思いっきり剣を振る作業になってたけど。
因みに最後の一体は
「で、これ何?」
地下へ潜って一言。集めた種火のことだ。
「…………いくら、じゃないかな?」
「そんなわけないよね」
――――流石に無理があった。
おまけ
「意外と美味しいのが悔しい。こんなわけわかんないやつなのに…。あっ、今なんか力増した感じがする!」
「……そんなに美味しいなら、俺も一口だけ…」
アーディは強化され、俺は腹を壊した。