テストやらサンブレイクやらコロナやらでね…。
2つ目なんか違うって?いや、ちゃんとMR上げてましたよ?
とにかく、新章(というか本編)始まるよ〜
オラリオに運命がやってきた
時は過ぎ―――とうとう訪れた月曜日の夕方。
この間に金稼ぎに奔走したり、グッズ展開やこれからのシリーズに向けての工作を行ったりと、様々な活動をしていた。
俺は地上でやらなければいけないことや商談もあるからそう長い時間はダンジョンに潜れなかったが、やはりレベル3がいるのでは効率が違った。ヘルハウンド対策に
ある時はベルと共に中層一歩手前でアーディの蹂躙に追い縋りながらサポーター活動をし、またある時はCMの打ち合わせを行い、そしてまたある時は書籍や設定集の執筆などを進めて、ようやくこの時が訪れた。
今日が初の本番ということで、ベルもヘスティア様もこの後の予定は入れていない。昼すぎまでで冒険は切り上げ、後は万全の準備を整えながら時が来るのを待つだけだった。
「そういえば、何だか街の雰囲気もいつもと違う気がしますね」
ベルの言うとおり、今日は都市全体が何やらそわそわとした空気に包まれ、如何とも言い難い一日を迎えている。もちろん普段通りに暮らす者も少なくないが、何より時間を気にするような素振りを見せる者が多くいることで異様な雰囲気は成り立っていた。
「やっぱりこれも、Fateの影響…?」
「それだけ皆が期待してるってことだよね!」
それは嬉しい限りだが、ちょっと空気が変わりすぎじゃないかな…? 聞いた話では今の時間から場所を陣取っている神なんかもいるらしく、邪魔になっているらしい。
「…こう、いい場所は予約席とかにして迷惑を減らそうか」
「それがいいよ。あいつらはそうでもしなきゃ何処にでも湧いてくるからね…」
疲れたというか、ほとほと呆れ果てたような顔で吐き出すヘスティア。もしこれでFateのせいで迷惑がかかったとか言われるのであれば神たちに
「よし、まだ時間はある…。俺は見直しとか今後の予定とかを立てとくけど、ベル達は何か見るときに食べるものとか買ってきてよ。ご飯前だけど特別ってことで」
「分かった。立香とアー……さんは何がいい?」
「じゃあジャが丸くん小豆クリーム味とプレーンを」
「私もおんなじの!」
ベルの顔が引き攣ったような気がするけど、無視だ無視。俺も最初はかなり攻めた味だなと思ったけど、食べてみれば中々悪くなかった。他の味が美味しくないってわけじゃないけど、素朴な味に飽きてきたら一回は食べてみるのをオススメする。
よし、ここまで来たら後はなるようになれだ。この世界のFateは、ここから始まるんだ。
「――喜べ市民よ、君たちの願いはようやく叶う」
「コトミネ神父の真似? あんまり似合ってないよ?」
「………そういうのは言わないでくれると助かりますぅ…」
◆
ガヤガヤと、人通りが緩やかになり、そわそわとした様子でしきりに時間を確認しては空を見上げる人々。
バベル前の広場に集まった神々は他愛のない雑談を繰り返し、下界の民は種族問わずに思い思いの場所に溜まって今か今かと期待に胸を躍らせる。
人が集まれば、時には一悶着が起こったりもするが、そこは都市の憲兵とも呼ばれる【ガネーシャ・ファミリア】の団員達が対処していく。これはフジマルの依頼ではない。話を聞いたギルドがそれだけ人が集まるのならと呼びかけ、彼らの主神ガネーシャが応じた形になる。因みに当の本人はちゃっかり最前列でも後列でもない丁度いい位置で放映を待っている。
「まだか…?」
「いや、まだなってない。でもいつ始まってもおかしくないぞ」
「俺が! ガネーシャだ!」
「ガネーシャうるさい! 流石に見るときくらいは静かにしてくれよ頼むから…」
彼らの雑談も一止み、誰しもがバベルを見上げた瞬間、唐突に期待のものは現れた。
パッと音もなく
「おお!映った!」
「キタ――――!!」
「あの白い兎はどういう意味があるんだ…?」
「分かったから黙れ! 聞こえない!」
場面はあの未来都市へと。名は冬木というらしいが、それが夜闇の中に煌々と燃え盛っている。さながら大抗争のいつかの日を思い出し戦慄する者がわずかに顔を顰め、炎上する都市を一人の少年が歩き、倒れた後に何者かに抱き起こされる。
「何これ…」
「酷いな…」
「この子が主人公か…?」
少年の目が閉じ、次に起きたのは治療院。そこであの大火に生き残ったのは少年だけだと告げられ、自分を救ってくれた人物に引き取られることとなった。
またも場面は移り変わり、洋風な屋敷の内部に迫る。赤い服の少女がこれまた赤の魔法陣の前で詠唱を紡ぐ。詠唱は終わり、魔法陣が輝けば轟音が鳴り渡り、崩れた瓦礫の上に赤い外套の男がニヒルな笑みを浮かべて腰掛けていた。
「場面変わったぞ」
「これが召喚ってやつか」
「じゃあこの赤いやつは英雄なのか」
そして流れる透き通るような神秘的な曲調。聞いたこともない音楽性だというのに、どこか懐かしさに駆られる歌と共に画面では激しい戦闘やそれぞれのシーンが映っていく。
「何だ何だ!?」
「こんな曲聞いたことない!」
「吟遊詩人とも違うが……何かこう、胸に来る感じがする!」
「おいそれよりあのキャラ達は誰なんだ!? 頭が追いつかねえよ!」
『〈第一話〉始まりの日』
曲が終わってみれば、最初の少年をそのまま大きくしたような青年が顔を出し、モノローグが流れ始める。それは主人公の境遇であったり、魔術やこの未来の簡単な概要だった。
そして歩き出した彼を俯瞰で追う視点では今のオラリオからは全く違う街並みでありながら、より豊かに規模も広く近代的な様相を醸し出しているそれは、確かに目指すべき未来の一つだろう。
「エミヤ・士郎…。極東の人間なのに髪は赤いのか…」
「魔法と魔術ってわざわざ別々に呼んでたがどこが違うんだ?」
「というかまだ何の話もないぞ? ひょっとして主人公なんも知らないんじゃないか?」
「ありえる。さっき独学でしかも才能ないとか言ってたからな」
主人公がなんてことのない日常を送る中、その裏では怪しげな影が跋扈していた。最後に、赤の主従が夜の都心に舞い降りてその話は終了した。
エンディングテーマが流れ、皆が呆気にとられたまま画面は暗転する。
「え、もう終わりかよ」
「結局その、何だっけか。聖杯…戦争の話は無かったな」
「っていうかこっちの曲もいいな…。一体誰が歌ってるんだ?」
「あのロリが気になるな俺は。お兄ちゃんって言ってたが、ひょっとしたら親父が家にいないとき実は愛人と会っていてその子供…とかいう展開かもしれんぞ」
そうして各々が僅かな消化不良を感じながらも、思い思いの感想を告げて解散しようとしたところで再び画面は灯される。
「おい待て待て! まだ続きあるぞ!」
「そういえば3話とか言ってたような気が……」
「何で3話なんだ…?」
再び画面は映り、裏の事情に絡まず、平穏な日常を謳歌するエミヤ・士郎と、前回とは異なるオープニング。
「前の歌より激しいが…」
「なんかこう、熱くなるな…!」
話は進み、特徴的な髪型の嫌味な男に仕事を押し付けられる。そして凛と呼ばれたマスターが屋上に佇んでいると、青い小人族が現れる。
ランサーのサーヴァントはマスターである凛を狙うが、既のところで逃げ出した勢いでそのまま地面に飛び降りる。
「おいおい、恩恵ないんだろ!?」
「いや待て!」
落下途中、目に見えない何かに空中で支えられ無傷で着地。それも束の間襲いかかるランサーのサーヴァントに、アーチャーは黒い片手剣を以って応戦する。始まったのは、まさに古代の戦いの再現。第二級、ともすれば第一級冒険者をも超えかねない圧倒的な迫力の戦闘シーンは聴衆のボルテージを一気に高めていく。
「「「おおおおおおおおおおお!!!?」」」
「す、すげぇ…。こんなきれいにどうやって作ってるんだよ…」
「アーチャーなのに剣だけで片がつくんじゃないか?」
驚嘆冷めやらぬ間にも、まだ戦いは続いている。防御態勢で受けきったランサーごと地面を陥没させる強撃が炸裂し、戦況はアーチャーの優勢かに思えた。
『――間抜け』
「あっ、剣が…!」
「やっぱアーチャーに近接戦は厳しかったか…」
『―――――』
「二刀流…だと…!?」
「「「カッッッケエェェェェェェ―――!」」」
「しかも今壊されたのとおんなじの使ってるぞ!? どういうことだよ!」
「サーヴァントってやつは武器無制限なのか?」
「いやそれはランサーの反応的に違うと思うが…」
「両手使うって弓持つ気ねぇじゃん」
視点は移動し、その戦いの目撃者である衛宮士郎が校内を駆け回る。
「ぴーぶい?のシーンかここ」
「追いかけられてたの
当時を思い出し、やはりというべきかエミヤ・士郎は心臓を貫かれて倒れ伏す。あの戦いのような勢いは無かったが、明らかに致命傷。高レベルの恩恵保持者ならばともかく一般人である彼の生存は絶望的だった。
「えっ…主人公死ぬんか」
「いや、ここはこう、秘められし力が覚醒して…」
『何だって、アンタが…!』
「どれでもないみたいだぞ」
「知り合いか?」
「詠唱なかったぞ…」
「…一時的に臓器を複製してその間に実物を修復する。何かに使えそうですね……」
そうして、命を救われたエミヤ・士郎は家に逃げ延び、仕留め損なったランサーが追撃をかける。
「家の中に急に現れただと…!? どこも開いてないぞ…!?」
「霊体って言ってたが、まさか壁とかもすり抜けられるのかよ…!?」
『七人目のサーヴァントだと!?』
あわや殺されかかるその瞬間、魔法陣が色濃く輝き暴風とともにランサーの驚愕した顔が映し出される。
『問おう、貴方が私の―――マスターか』
「金髪碧眼の女騎士キタ―――!」
「何持ってるのアレ」
「最後のセリフの人だよな…」
再びエンディングが挟まり、余韻をしっかり楽しんだ彼らに新たな燃料が投下される。
現れた女騎士は説明も行わないまま外に駆け出し、ランサーと戦闘を始める。目に見えない得物を高速で交わし合う二騎の戦いは苛烈を極める。
『お互い初見だしよ、ここらで分けって気はないか』
ランサーが待ったをかける。しかしセイバーはにべもなく拒否。それを分かっていたのか、ランサーの槍に禍々しい魔力が満ちる。
『その心臓、貰い受ける―――!』
『
それは下から突きこまれる一撃。しかしながらにその軌道は異様に折れ曲がり真っ直ぐに心臓へ。セイバーも全力で槍を受けるがその拮抗すら無意味のようにすり抜け左胸を貫いた。
「ああっ!?」
「何だあの槍の動き!?」
「ってかゲイ・ボルグ!? 今ゲイ・ボルグって言ったよな!?」
『躱したな、我が必中の魔槍を!』
「モロ胸貫通してるじゃん!」
「因果の逆転……だと!?」
「絶対心臓に当たる槍…ってこと!?」
「じゃあ何で外れたんだ?」
時は移り、セイバーが接敵したアーチャーとそのマスターとの話し合いが始まる。その際にサーヴァントの大まかな概要や魔術についてなどが凛の口から語られ、エミヤ・士郎と共にその深く掘り下げられた設定に感嘆の声を漏らす。
教会に着き、現れた神父のコトミネ・綺礼から発破をかけられ、士郎は聖杯戦争への参加を決意する。
意味深な言葉を残したコトミネに背を向け教会を出ると、そこには不思議な銀髪の少女と筋骨隆々の巨漢が待っていた。……というところでエンディングが入る。
「もう終わりかっ…!」
「最後のは一体誰なんだ!?」
「っていうかサーヴァントの戦いもすごいが、ちゃんと伝承に近いぞ!」
「ゲイ・ボルグで小人族ってことは…あのクー・フーリンじゃないか!」
「ああ! でもそれってやったことが規格外すぎて信じられてないやつじゃないか?」
「いやでも恩恵なしでもアルバートっていう前例がいるわけだしな…」
「うーむ…。セイバーもアーチャーもそんな英雄相手に互角だったよな…。一体どんな名前が飛び出してくるんだ…」
「セイバーランサーアーチャー…。そして多分最後の奴もサーヴァントだよな? もう四人も揃っちまった」
「英雄だけじゃなくて凜や士郎とかも気になるぞ…!」
みな思い思いに騒ぎ語らい、興奮冷めやらぬといった様子で感想、予想を口々に言い合うが、その根底にあるものは同じだ。
「「「「「あー! 続きが楽しみだ!!!」」」」」
そして、そんな彼らにさらなる朗報が表示される。
『製作者からのメッセージ
アニメ「Fate/staynight」はお楽しみいただけたでしょうか。初めての試みということもあり、その物珍しさに惹かれた人も多いでしょう。
ですが、余りに長くお待たせしても、この作品の魅力を完全に伝えられないと思っています。よって、これから連日、本日と同じ時間から最終話まで毎日放送させて頂きます。
これからのFateもよろしくお願いします』
「「「「FOOOOOOOOOOOOOOOOO〜〜↑↑↑」」」」
それはさながら砂漠を放浪する旅人にとってのオアシス、あるいは素材を渇望する
この日、オラリオの騒がしさは例年の祭事を抑えて一位の座に輝いた。数日後、これを更に超える熱狂が襲うことになるのは、未だ神ですら知らないことだった。
ちょっとアニメの地の文多い気がする。惜しいけど飛ばす部分もあるから、「このシーン入ってないやん糞が!」って言わないでねお兄さんたち。
因みに、3話全てでOPは違います。
1.やっぱアニメ版セイバールートといえばコレ!静かな旋律に高揚を煽る神秘的な曲!
disillusion / タイナカ彩智
2.嘘みたいだろ…?これ10年前の作画なんだぜ…!テンション高めの中盤でのモチベ上げ役!この世界では不可能なVITA版Realta Nuaセイバールート編より出張!
ARCADIA / earthmind
3.原典
THIS ILLUSION / ヘスティア様