Fateを布教したい一般転生者藤丸立香の話   作:食卓の英雄

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地獄(受験)から戻ってきたぞ読者!

作者「勘違いしていた。この手の二次創作の醍醐味ってのただ物語を垂れ流して反応を見る事じゃないんだ。そもそも俺にはそんな無駄に長い話を書けるほど忍耐強くない。そうだ。俺に出来る事はただ一つ。盛り上がる山場や、これを見た人々の反応を書くことだけだった」


まるで気分は過労死王

 

 誰もが寝静まった深夜。高い摩天楼の一つの上にて。二組のマスターとサーヴァントが対峙していた。空気は剣呑、今まさに戦闘真っ只中である。

 ライダーの軽やかな技にもセイバーが対応しはじめ、劣勢かと思われたその時。ライダーが動いた。

 

 シュルリと、眼帯が解かれ、その杭を己の首に突き刺す。誰もがその光景に驚愕していると、溢れる血は魔法陣に、紫電をまとって天翔ける幻想馬を生み出した。

 

「ライダーの宝具……!」

「ペガサスだと…!?」

「ってことは、あれメデューサ!? いや、でもメデューサとペガサスの直接的な関係は…」

「うるせえ! それは後で考察して今は見ろ!」

 

 決着の気配を漂わせるそれに観客たちのボルテージはうなぎ登りに上がっていく。

 

騎英の手綱(ベルレフォーン)――――!!』

 

 闇夜を駆け抜ける天馬の光の軌跡に、セイバーの刀身がついにその姿を現す。

 

約束された(エクス)―――勝利の剣(カリバー)―――!!』

 

「キタ―――――!!」

「エクスカリバーだとぅ!!?」

「マジモンの聖剣じゃねぇか!!」

「拮抗っ……、破ったっ!?」

 

 星の息吹を束ねた光の奔流が立ち昇り、ペガサスもろともライダーを飲み込んだ。

 決着。サーヴァント同士の本気の戦いは今幕を閉じたのだった―――。

 

 

 

 本日の公開も終了し、興奮冷めやらぬといった面持ちの人々や、先程の話を熱く真剣に語り合う神々達が帰路を為していると、そこに新たな火種が投下される。

 

「なっ、あっ、あれは!!」

「書籍展開…だと…」

「『10年前の第4次聖杯戦争を描いたzeroの物語』…ジャガ丸くん食ってる場合じゃねぇ!」

 

 Fate/zero 第1巻〇月✕日発売予定

 

 またも、街の一角が盛大に湧いた。

 

 

 

 

 

 

「い、今仕上がった原稿は規定数まで刷りました…。とりあえず後はページごとに別けて、綴る…。すいません、寝てもいいですか…」

「ベル君ー!!? そのまま寝ると危ないぞ!! ほら、ソファに行ってくれ!」

「すいません神様…。立香も、そろそろ寝たほうが…」

「大丈夫だって、俺は回復するから手の痛みもないし、頭痛もすぐ和らぐ。 まだだ、まだ俺は舞える…!!」

「舞うって何だい!? キミ昨日からずっと机にかかりっきりじゃないか! 体壊すような真似は控えておくれよ!?」

「終わらない…終わらないよ…」

 

 少し時は遡り、廃教会の地下室にて、このような喧騒が繰り広げられていた。

 血走った目のまま狂ったようにペンを走らせる黒髪の少年と、うつらうつらと舟を漕ぐ白髪の少年。それらに自身も深い隈を作りながらも世話を焼くツインテールの女神に、そしてこれまた死んだ顔で書き上げられた紙を手元の道具に入れ続ける少女の姿。

 

 端的に言って、地獄である。

 

 何故こうなったのか、それは2日目のFateが放送された日まで遡る。

 

―――…

 

 

 

「なっ、何ですかこれ!?」

 

 夕日が沈み、すっかり夜の帳が降りた街に、少年の悲鳴が響く。出所はベル。ダンジョン探索から帰ってきた彼は目の前のファミリアの少年が机に置いている札束に恐れ慄いていた。それはつい先程、バイトから帰ってきたばかりのヘスティアも同様だ。

 

「ここに200万ヴァリスあります」

「「にひゃっ…!?」」

 

 どこか遠い目をした立香の発言に、今まで貧乏暮らしだった二人は目を向いて驚く。

 これまでに目にすることもなかった大金に恐々とする中、ベルはその出所を尋ねる。

 

「あの、これは一体どこから…?」

「まさか借金なんてことは…」

 

 平然と告げるフジマルに、今度はヘスティアが声を荒げる。彼女自身、借金とは言えないまでも他人に借りがある身。その際は知人ということで大目に見てもらったが、彼の場合そうはいかないと不安げに問う。

 

「CMの広告料と、先行投資ってやつだよ。……ちょっと違うかな? まあいいや。とにかくここ最近、都市の話題はFateのアニメ一色だよね?」

「そうそう! 分ってたけどやっぱり凄いよね。ギルドでも職員の人や冒険者も話してたし…」

「あー、それはよく分かるよ。僕もバイトしてる時にその話を道行く子供たちが話してるんだからね。誇らしい気持ちでいっぱいさ」

 

 二人の肯定的な意見に、フジマルはうんうんと頷いて返す。

 

「それでさ、予め話をつけてたファミリアとかもいて、将来性とか評判次第では資金援助や技術提供をしてくれるってことだったんだ。それが今日決まったんだよ」

 

 その答えに二人は成程と納得した風の表情に変わり、それだけの資金で何に広げようかと持ちかけようとして、途端に扉が開かれる。

 

「はい! 頼まれてたものとか紙とか粘土とか色々受け取ってきたよ!」

「あ、ありがとう。取り敢えずすぐ使うものはこっちの机に置いといて…後は教会の中にでも」

「分かったー」

 

 現れたのはやたら元気な幽霊(死人)のアーディ。彼女は両手いっぱいに紙やら魔石製品の入った袋を掲げており、今の話から察するにそれはこの部屋に収まらないほどらしい。

 

「えっ…と、立香くん。これは?」

「次の展開のための色々です」

「え、でもそんなお金は…」

 

 ない。と言いかけて、ヘスティアは何かに気づいたように200万ヴァリスとフジマルの顔とを交互に見合わせる。

 

「まさか、それって……」

「お察しの通り、これらの機材を買ったあまりがこの200万ヴァリスです。元は700万ヴァリスほどあったかな…。うん。ちょっと予想外過ぎた」

 

 遠い目のまま告げるフジマルに今度こそ二人は絶句。人は己の想像のキャパシティを超えると思考を停止するものだ。

 

 再起動を果たした二人に対して、紙と機械を手に取った彼はこう告げたのだった。

 

――――これから、Fateの小説を書きます。

 

 

―――…

 

 

 

「……ページの落丁、乱丁は…?」

「…ありません」

「部数確認…」

「限界ギリギリまで刷って500部くらい…」

「だいぶ少ないけど、一都市ならそのくらいでいいかも…」

「zzz…」

 

 人の往来も落ち着き始めた昼頃、各々顔を突っ伏して半死人へと成り果てたフジマル達の姿があった。

 

 連日の徹夜作業。加えてフジマル以外はみな単純作業のみだったため異様なほどに精神をすり減らした時間だった。

 フジマルが書き、二人以上で確認し、問題無しとしたものを印刷機(試作品)に投入、大量に複製し、それらをきれいに綴ってやっと出来上がり。言葉にすれば単純なものだが、彼らの疲弊具合がその過酷さを如実に表している。

 

 むしろ、これだけの量を僅か四人で出来たこと自体が奇跡だ。

 

 そして作業が終わったとき、皆が口を揃えてこう思った。

 

((((二度としない…))))

 

 と。次回以降の製本は他ファミリアへ委嘱されることが決まった瞬間である。

 

「っと、安心してないで夕暮れまでにはこれを出版しないと間に合わなくなる…。よし、じゃあ俺行ってくるよ」

「今からかい!? もうちょっと休んでからでもいいんじゃ…」

「俺は礼装(これ)で他よりはマシだから大丈夫だよ」

 

 そう言って背中を叩くフジマル。それはフジマルの背中に埋め込まれた概念礼装のことを指している。

 着けているのは『聖者の行進』だ。元々は2015年のクリスマスイベント限定の星4礼装だったが、何故だか出てきた。ゲームでは毎ターンHP回復とNP獲得の効果だったが、それは現実世界となった今も遺憾なく発揮していた。

 ろくすっぽに冒険していない俺の体力に600の補正が加わり、肝心の効果は1ターンを1分、NPを魔力として換算された形になる。それも総魔力の割合なため、毎ターンNP獲得の効果は高レベルの魔道士であればあるほど実感できるに違いない。

 最初は星4ゆえの補正の高さや効果から、冒険者として活動するベルに渡そうと思ったのだが、「魔法もないですし、回復は今のところポーションを使うほどでもないので大丈夫です」と断られた。いい感じの礼装が出たら優先してあげるとしよう。

 

「あっ、じゃあ私も行く」

「アーディも? 俺は大丈夫だから、休んでても…」

「ううん、これでもLv.3だからね。回復魔法もあるし…。むしろずっと地下室で同じ作業をしてたのが精神的にキツかっただけだから、気分を変えたいなと思いまして。…それに、キミの近くにいたほうが気分が楽だからさ」

「…? ああ、そっか。確かに近くにいたほうがパイプも太く繋がるんだった!」

 

 疑問符を浮かべつつも、その理由を推測し納得した風のフジマル。言われた当人もそれに肯定し、何ら不思議な点もなく二人はバベルへ続く道へと急ぐのであった。……その言葉の端に、当人でも気づかないほどにほんの僅か、異なる感情が秘められていることに気づかぬまま。

 

 

 

 

 冬の城、そこから辛うじて逃げ延びた三人に、アーチャーの足止めを突破したバーサーカーの魔の手が伸びる。

 未だ魔力の戻りきらぬセイバーが何とか防戦し、その隙を縫ってトオサカが攻めに出る。それは数多の宝石に長年かけて蓄積された魔力を一気に放出する文字通りの虎の子。その威力は並の魔術師ではどれだけの時を経ても繰り出せぬ必殺の一撃。

 撃ち出された凶弾のうちいくつかは薙ぎ払いにより防がれるが、生き残った氷柱の魔弾は加速しながらバーサーカーに直撃する。

 

「おおっ!? バーサーカーの腕に当たって……」

「吹き飛んだぁ―――!!?」

「よしっ、腕を奪った……! やっぱりトオサカはうっかりなだけだったんだなって」

「いやだが、あれだけやって片腕だけとなると――」

 

 一柱の神がこぼした疑問は見事にあたり、片腕を潰された状態のまま、トオサカはその華奢な体を掴まれてしまう。

 しかし、それすら読んでいたのか、ニヤリと不敵な笑みを零してバーサーカーの頭部を完璧に吹き飛ばすことに成功するが………。

 

『ソイツは十二回殺されないと死ねない体なんだから』

 

「何だそのチート!?」

「体そのものが宝具、そういうのもあるのか…」

「クソッ、撃たなきゃみんな殺されて、撃ったらセイバーが消滅する…! どっちみち聖杯戦争に勝てねぇじゃねえかよ…!」

 

 トオサカを助けるため宝具を放とうとするセイバーに、それを止める士郎。最早一刻の猶予もなく、それが無為な時間となりそうな瞬間、士郎が動いた。

 

『――創造の理念を鑑定し、

 ――基本となる骨子を想定し、

 ――構成された材質を複製し、

 ――制作に及ぶ技術を模倣し、

 ―――成長に至る経験に共感し、

 ――蓄積された年月を再現し、

 ――あらゆる工程を凌駕し尽くし、

 

 ――ここに、幻想を結び剣と成す!』

 

「「「おあおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ――――!?」」」

 

 湧き上がる歓声。輝く金色の剣で以て斬りかかったその一撃はバーサーカーの腕もをたやすく両断し、見事に遠坂を助け出す。

 

「何だこの剣、すげぇ!」

「どっから剣が出てきたんだ…? あっ! 壊された!?」

「いや、まだ再現できてないだとか…」

「ってことはあの剣は士郎が造ったのかよ! 今、ここで!?」 

「アーチャーみたいなことしてるな」

 

 その剣、かつてセイバーが持っていた失われた宝具、『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』。数度に渡る剣戟を経て、完璧に近い構造となったそれを、二人並び構える。

 星の聖剣に近い性質のその奔流は、迫りくるバーサーカーの肉体を完璧に捉え――――。

 

『『―――――』』

 

「やったか!?」

「おい馬鹿やめろ」

 

 その一撃を受けて尚、巌の如き巨躰は未だ二足を地につけており――。

 

『それがお前の剣か』

 

 決着は着いた。霊基を失い粒子として消え去るバーサーカーと、言を交わす二人。こうして、名実ともに“最強”のサーヴァントであったヘラクレスに勝利したのだった。

 

〜中略〜

 

 

 最後の話のエンディングが流れ、いつものように今回の話を振り返る人々。しかし、その中には話に混ざらず、猛然と街路を駆け抜ける一部の神々の姿があった。

 人々は「何だ?」と不思議そうにその後ろ姿を見届けるが、次の瞬間、目の色を変えてその後を追うことになる。

 

 

 Fate/zero 第一巻本日発売!

 

 

「「「し、しまったぁぁぁあぁぁぁ!!」」」

 

 

「あったか!?」

「だめだ、こっちの書店には取り扱ってないぞ!」

 

 

「も、もう完売!?」

「は、はい。既に神様たちや冒険者の方々が…。申し訳ありませんが他店へとお越しになられてください…」

「チクショー、完全に出遅れてる…!」

 

 

「クソ! どこにもねぇ!?」

「どこか、どこかに売ってねえのかよー!?」

 

 

「フハハハ、買えなかった愚民どもが喚いているな」

「こうなったらお前の本を奪ってでも…!」

「や、やめろ! これは持って帰ってじっくり読むんだ!」

 

 

「ロキが持ってるぞー!」「寄越せー!」「絶壁の癖に生意気な!」「くっ、無乳に負けた…!」

「あ?」

「「「「すいませんでした」」」」

 

 

 この有様である。当然発売から1時間と経たずに刷られた500部完売。買えなかった者たちの怨嗟の声が響き渡ったのであった。

 

 

 

◆おまけ〜例のカッコいいポーズを見たオラリオの反応〜

 

「カッコいい! カッコいいが……www」

「クッソwwww酒返せwww」

「製作者の感性俺等と同じだろ絶対」

「かっけええええええええwwww」

 

「な、なんてかっこいいポーズなんだ…」

「これを作った人は只者じゃないぜ…!」

「俺は神々こそがこの作品の製作者だと考えるね。これだけ素晴らしいセンスはそうに違いない」

「確かに…」

「俺等には想像もつかねえな……」

 

 

「へっぶし!」

「大丈夫? 風邪?」

「ん、大丈夫。ただのくしゃみ」

「ならいいけど。体には気をつけてね? 立香はレベル1なんだし、色々とやってるからさ。立香がいないと…」

「いないと…?」

「…ううん、なんでもない!」

「なにそれ」




出来たんだけど……。
あっふーん…。そういう反応しちゃうんだ〜。ザ〜コザ〜コ♡液晶見てニヤニヤしてる♡待たせてごめんね♡申し訳程度のクリスマス成分♡次回以降未定♡また見てね♡
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