野生の春河童   作:れべっか

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はるかリセットのコミックス5巻発売記念。
野上先生おめでとうございます。


残暑お見舞い申し上げます

松風の価をねぎる残暑哉/正岡子規

 

 

夏至と秋分の中間が立秋でだいたい8月の6~8日、暦の上ではお盆前に秋になってしまうわけですが。

いやはや、どこをどう見ても夏の真っ盛り。

しがない売文家の営業活動の一環として、残暑見舞いの葉書を書こうとしたはいいものの、暑さのせいか気分が乗らない。

いやぁ、普段の執筆活動と違うことすれば気持ちのリセットになると思ったんだけど、駄目でした。

はい、皆さんご察しの通り、わたくし春河童は作業に詰まっています。

 

こんなときは、更に別なことで気を紛らわすしかありません。そして、一歩も外に出たくない猛暑日ともなれば。

冷蔵庫の中の切り札を切るときです。

 

「♪おっとぎ話の王子でもー、むっかしはとっても食ーべらーれなーい、アイスックーリーィームー♪」

 

NHKみんなのうたで知っている人も多いと思います、”アイスクリームのうた”。

子供のころから慣れ親しんだ童謡をついつい口ずさんでしまいます。

ちなみにこの曲、初出は1962年(昭和37年)と半世紀以上も前、高度成長期の時代です。平成生まれの春河童はキューバ危機とかマリリン・モンロー急死とか横綱・若乃花(初代)引退とか、当時の世相は知識としてしか知らないのですが。

 

冷蔵庫の中には、ちょっとお高いアイスクリーム。

レディーボーデンの120mlミニカップ詰め合わせ。これはマリコからお中元のお返しに貰ったものです。

もっともこのアイスクリームは私一人で独占するものではなく、この家で作業するマリコと折半ですし、編集の大山さんや観音師匠など来客があったときの備蓄でもあるので、考えなしに食べてはいけない、まさに切り札。

 

「今が切り札の使い時、いつ使うの? 今でしょ!」

 

そう言いながら冷凍庫のドアを開けると、目に飛び込んできたのは厚手のマグカップ。

 

「あぁ~、忘れてた~~っ!」

 

昨日、マリコに入れてもらった珈琲。牛乳と砂糖たっぷりの濃い味カフェオレにしてもらい、常温に冷ましてから冷凍庫に入れて。3時間ほどしたらティーブレイクを自作シャーベットでと目論んでいたのだが、筆が乗って忘却の彼方へ。

おそるおそるカップを取り出してみたが、一晩放置したため見事に氷の塊となってしまっている。スプーンを軽く付きこんでほろりと崩せる段階をとうに過ぎ、力を込めてスプーンを突き立てガリガリと気合で削らないといけない状態だ。

 

「あ、フローズンバナナもある。んー、これはまだ手を付けなくても良いか」

 

完熟バナナの皮を剥いて串か箸を突き刺し、果肉部分にラップを巻いて冷凍庫で一晩。フローズンバナナも手軽なアイスクリーム代替品として重宝している。

こちらは数日放置しても問題ないので、明日に回そう。

 

「さて、シャーベット攻略に取り掛かりますか」

 

かちこちの氷を放置してある程度溶かすにしても、放置しすぎると完全に溶けてしまいシャーベットの意味を失ってしまう。

カレーの煮込みと同様に、本でも読みながら適宜監視するスタイルでいいか。

テーブルにマグカップ、スプーン、本、それからカップが汗をかくので台拭きを用意して、待つこと少し。

カップとの接触面から氷が解け始め、スプーンで氷表面の端を突くとカップ内で氷が回る。この状態だとスプーンで削ろうとしても氷が固定されず上手くいかないので、カップを持ち上げて僅かに液体となっているアイスカフェオレを啜るに留める。

今しばらくカップから放射される冷気を楽しんでいるうちに、それなりに氷が解けてきた。ここで液跳ねを起こさぬよう慎重に、スプーンで氷を細かく崩していく。シャーベットを一すくい口に運びながら、この作業がなんだかカレーのルゥとライスを混ぜ合わせるようで、なんとなく面白みを感じる。

 

「次は100%オレンジジュースで作るのも良いかな…… 時間管理だけは面倒だけど」

 

 

 

木の匙に少し手強き氷菓かな/金子敦

 

 

 

お終い。

 

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