White and white(PSYCHO-PASS)   作:鈴夢

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透明人間

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

―――公安局 刑事課一係オフィス

 

 

 

監視官の常守。そして執行官の狡噛、縢、征陸。各々が自分のデスクで仕事と向き合っていた。

 

通報も入らず平和な夜。狡噛がタバコを片手に天井を見上げていたその時。手首のデバイスが一瞬通話を知らせるも、すぐ消えるという不可解な反応を見せた。

 

 

「―――ん?」

 

 

不審に思った狡噛は発信元の相手を調べる。そこには"狡噛舞白"の文字。

 

普段、妹の舞白から電話がかかってくることは滅多にない。だからこそ余計に不審に感じてしまう。

 

そして、こちら側から折り返しでかけ直すも繋がらず、むしろ相手がオフラインの状況であると通知が入る。

 

 

 

「…ん?どうしたコウ」

 

征陸が不審な動きをする狡噛に気づくと、ふと声をかけた。

 

 

「いや…ちょっと妙だ。―――舞白…」

「舞白ちゃんがどうかしたのか?」

「通話が入ったと思ったら直ぐに切れた。かけ直しても繋がらない。」

 

不思議そうにデバイスを見据える狡噛と征陸。

 

するとそのやり取りを見ていた常守と縢も心配そうに狡噛のデスクに集まる。

 

 

「どうかしたんですか?狡噛さん?」

「舞白ちゃんが何だって〜?オレにも教えろよ〜」

 

 

 

「―――妙なんだ。」

 

何度もかけ直すも永遠にオフラインの文字。嫌な予感を察知した狡噛はすぐさま唐之杜に連絡を入れる。

 

 

「ちょっ…狡噛さん!唐之杜さんは確か休憩―――」

 

常守がそう言いかけると通話が唐之杜に繋がる。

 

 

 

「…ん〜〜。もう何よ慎也君?人が気持ちよく寝てる時に…」

 

完全に寝起きの声の唐之杜。しかしそんな相手にも容赦なく狡噛は言葉を続けた。

 

「悪い志恩。すぐに調べて欲しいことがある」

 

隙のない狡噛の言葉。その様子にいち早く気づく唐之杜。すると即座にソファから身を起こし、分析室のモニターへと向かい合う。

 

 

「…運良く分析室のソファで眠ってたからすぐ調べれるわよ。何を調べたらいいの?」

 

体を伸ばし疲れで固まりきった体を解すように首を気だるそうに回す。

分析室の画面を見上げキーボードに手をかける。

 

 

「港区四丁目、港南付近でなにか事件の報告、通報履歴。サイマティックスキャンで引っかかった奴、とにかくその近辺の怪しい情報を調べて欲しい」

 

煙草に火をつけ、ふ〜っと深呼吸をし

カタカタとキーボードに指を滑らせる。

 

「OK、10秒ちょうだい」

 

その一連の様子を見ていた他の3人。

征陸と縢はただ事じゃないと察知すれば出動の準備をする。

 

「ちょっ…一体何が…」

 

「監視官。俺の嫌な予想が当たっていればすぐに現場へ直行だ」

 

そしてその瞬間、唐之杜がデータを転送する

そのデータには防犯カメラ映像が入っていた

 

 

「あー…はいはい。約3分前、港区港南四丁目近くの海岸通りの防犯カメラに色相が急激に悪化してる女の子が映ってる。それに様子も変よ。」

 

乱れた服を手で掴み、もつれる足でひたすらに駆ける少女の姿。どうやら怪我をしている様子で足元がおぼつかず動揺している様子もみてとれる。

 

「…この娘…」

 

どこかで見覚えのある少女の姿に狡噛は眉間に皺を寄せる。会ったことは無いが"見た"記憶があるのだ。

 

 

 

 

 

「―――慎也君。たった今通報が入ったわ。港南の海岸で女の子がヘルメット被った集団に襲われてるって。」

 

 

常守は目を見開き狡噛に目線を移す。"まさか"とその場にいた3人が息を飲んだ。嫌な予感は的中したのだ。

 

 

「通報者は麻布高3年の花橋咲良。一緒にいた子の名前は……狡噛舞白。…慎也君。舞白ちゃんが何らかの事件に巻き込まれてる」

 

狡噛はその言葉に微かに反応を見せる。あくまでも冷静さを装ってはいるが明らかな動揺を感じるのであった。

 

「志恩。そのまま付近の防犯カメラの分析と常に情報を送ってくれ、頼む」

「勿論よ。……常守監視官。すぐにドミネーターの手配をしておくわ。それと念の為の救護ドローンもね。」

 

「はい。お願いします。」

 

すっかり目が覚めた唐之杜は仕事モードに。他のメンバーも手際よく出動準備を行い、各々が執務室から飛び出した。

 

 

廊下を掛ける常守達。

先頭を切って足早に向かう狡噛に常守は問いかけた。

 

 

「…その集団って…街頭スキャナーにも引っかからず……まるで透明人間みたいに…どうやって…」

 

「恐らく、通報内容にあった"ヘルメット"が鍵だ。」

「ヘルメット……」

 

 

狡噛は頭の中で色々な考えを掛け巡らせる。舞白のデバイスがオフラインになっていた事も明らかに違法な何かの手引きがあるに間違いない。どう考えても異様すぎる状況なのだ。

 

 

「…舞白ちゃん……」

「…………」

 

縢は言葉を零すと悔しそうな表情で廊下を駆け抜ける。続いて征陸も言葉は発さずとも苦しそうな表情を浮かべ、狡噛の背中を見据えていた。

 

 

 

「…頼む舞白。……無事でいてくれ…………」

 

狡噛は血が滲むほど唇を噛み締め、両手拳に力を込める。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

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