White and white(PSYCHO-PASS)   作:鈴夢

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迷い込む子兎のように

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

猛スピードで走り続ける電車

なんとかフラフラと立ち上がり

今にもちぎれそうなつり革や錆びた手すりを掴み

ゆっくりと前へ前へと進んでいく

 

何とか運転席に辿り着くも

停められる手段は見つからない

 

((…っ…どうやって停めれば))

 

その瞬間、急に減速し始め

慌てて手すりに掴みかかる

 

相変わらず電車内も外も真っ暗で状況が分からない

手元のデバイスに触れるもオフライン、位置情報すら分からない

 

 

そして暫くすると電車が完全に停車

警戒しながら車内から出ると足音が聞こえてくる

 

やけに機会音が混ざったようなガチャガチャとした音

それに二足歩行のリズムではなく、動物の足音なのか

 

すぐに懐中電灯を足音の方向へ向けると

赤い点々とした光が見える

 

違う、あれは人じゃない

 

危険を察知した舞白はすぐさま駆ける

幸運にも廃棄された駅のホームで停車していたため

幾らか逃げられそうな扉を見つける

 

1つだけ扉が開いているのを見つければ

滑り込むようにその扉へと飛び込み鉄製の扉を思いっきり閉める

 

なんとか追いつかれる前にたどり着いたが

鉄製のその扉が凹むほど何かが体当たりをしていた

 

「…何なの…一体…」

 

息をゼェゼェと荒らげながらその場から直ぐに逃げる

恐怖のあまり怪我の痛みも忘れ、ただただ走り抜ける

 

一本道に繋がるその場所を抜けると

何やら広い空間にたどり着いたのだった

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

舞白を追っていた狡噛と宜野座

廃棄区画に入ると2人は更に舞白と距離を詰めて

着いていく

 

特にカメラやスキャナーなど

相手側から設置されている様子もないと気づき

地下へと歩みを進める

 

しかし、駅のホームに着いた瞬間

舞白が乗り込んだ地下鉄が動き出すのに気づく

 

 

「!…しまった!!」

 

宜野座は思わず声をあげれば

その瞬間、狡噛が駆け出す

 

 

「っ…クソがっ…!!」

 

狡噛がポケットから何かを取り出す

赤いランプを光らせ起動させたのは発信機

電車が加速する前にその発信機を電車のほうに投げつければ

ギリギリ車体に引っ付かせる事ができた

 

瞬く間に電車が姿を消せば2人は為す術なく

その場で立ち止まる

 

 

「なんとか発信機は機能してる

お相手さんには気づかれないように

ちょっとした細工をした発信機だ、大丈夫だろう」

 

狡噛が手首のデバイスとは別に背負っていたリュックから

PC型のデバイスを取り出す

きちんと舞白が乗っている電車の位置情報は共有されていた

しかしあっという間にかなり遠い距離へと離されていく

 

「…ここからはさすがにドローンを投入する

舞白の身が危険だ

まさかここまでやられるなんてな…」

 

宜野座がドローン投入の連絡を入れ

続いて縢と征陸の出動依頼も行った

 

 

狡噛は羽織っていたジャケットを脱ぎ捨て

黒い半袖Tシャツに黒のスキニーパンツ姿に

そしてリュックの荷物をまとめれば懐中電灯を片手に走り出す

 

それを見た宜野座が制止をかけるも止まるはずもない

 

「おい!狡噛!待て、止まるんだ!!

勝手な行動は慎めと…っ…」

 

 

狡噛は聞く耳を持つはずもなく

あっという間に宜野座の目の前から消え、線路の上を駆け抜ける

 

 

((応援を待ってる暇はない、

…舞白、お前って奴は…))

 

恐れることなく臆することなく舞白は消えていった

その姿を追う兄

呆れながらも自分と同じような行動をとる妹に

意気軒昂としていた

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

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