White and white(PSYCHO-PASS)   作:鈴夢

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dark red

 

 

・・・・・・

 

ひたすら続く線路を駆けるのは狡噛慎也

舞白の位置情報を見る限りかなり距離を離されていた

 

「……待ってろよ……舞白……」

 

そして走りつづけていると別の足音が前方から聞こえてくる

余りにも間隔の狭い駆ける音、

人ではない何かが近寄ってくる

 

赤い目のような光が4つ

 

「「グガアアアァァァァアア!!」」

 

現れたのは犬型のロボット

襲われたらひとたまりもなさそうな……

 

 

「なんだ!コイツら!」

 

狡噛は向かってくる犬型ロボットに向けて蹴りを入れる

一体は運良く、蹴り飛ばした先にコンクリートの窪みに嵌り

身動きが取れなくなる

 

しかしもう一体が狡噛の体に体当たりをするように襲いかかる

思いっきり体を吹き飛ばされた狡噛、

素手で何とか応戦するも破壊まではできない

 

「ッチ……」

 

辺りを見回すと5m先程に外れかけている鉄製のパイプを見つけ

なんとか振り払いながら走り抜ける

 

パイプを思っきり壁から引き抜けば襲いかかるロボットに

思いっきり振りかぶった

 

「オラァァァッ!!」

 

ガコンッと見事に命中すれば

頭部が破損され、目元の赤いランプが消える

 

一息つくも背後から激しい機械音

先程窪みに挟まっていたもう一体が抜け出し

狡噛に再び襲いかかった

 

先程使ったパイプは大きく凹み曲がってしまい使えない

ため息を吐くと、スっと体勢を整え構える

 

そして飛びかかってきた瞬間、素手で思いっ切り殴り飛ばし

ロボットの首が大きく曲がり戦闘不能に

 

「……コイツら……どこから……」

 

特にロボットに血痕はなかった

恐らく舞白は少なくともコイツらに怪我は負わされてないと

ホッと安心していた

 

そして再び狡噛は走り出す

 

・・・・・・・・

 

 

「ハッハッ……」

 

同時刻、妹の狡噛舞白も迷路のように作られた

謎の空間を駆け回っていた

 

 

あれからケミカルライトと番号のふられた謎の札のようなものを

合計4つ見つけた

 

2.3.4.5

 

未だに何に使うかは不明だったが

集める価値はありそうだった

 

 

((とりあえず目も慣れてきた、

…あとはどうやって咲良に近づくか……))

 

そっと壁に体を預けこっそりと咲良の背後を捉える

 

咲良はフラフラとおぼつく足で

持ち慣れていない銃を両手で握りしめ

舞白を探している様子だった

 

((後ろには何もついてない、やっぱり前身頃だけに

爆弾がついてる、6つ……))

 

ケミカルライトを咲良の方に投げつけた瞬間

咲良の横から突如現れた猟銃を持った男

 

((まずい!バレた……))

 

ライトを持っていたせいでハッキリと場所を明かしてしまい

慌ててその場から離れる

 

 

「フン……遅い!」

 

男は引き金を引く

反応が遅れた舞白はなんとか体を捩らせ身を隠し

弾をかわすももう1発、そして更にもう1発の銃弾の音が聞こえ、慌てて走り出す

 

((上下二連式に見えたけど装填数が3発……

連射速度も異常に早い、自動式の猟銃……))

 

自動式は主にクレー射撃などに使われるものだった

やたら連射速度も早く、装弾数も多い

 

 

このまま逃げても体力と精神力を消耗するだけ

なんとか2人の距離を引き離して

あの男の動きを封じ込めれば、と考えれば

舞白は再度走り出す

 

 

 

「……チッ……コソコソと……

まるで狐のようだ……」

 

猟銃を怖がることなく逃げ回る舞白に嫌気を指す泉宮寺

それを無線で聞いていた槙島が喋り出す

 

「「……兄妹揃ってまるで獣です

……あるいはオオカミの眷属かもしれませんよ」」

 

「あの娘に兄がいるのか、それはさぞ

とんでもない奴だろうね」

 

ガチャンと弾を入れ替える

足元に転がってくる弾を咲良は無表情で見下ろす

 

 

「「…ほら、君も頑張らないと……」」

 

槙島がそう言った瞬間

無線の音声から弟の泣き声が聞こえてくる

 

「裕翔に何をしたの!?」

 

お姉ちゃん!と泣き叫ぶ声と微かに母親の唸る声が

咲良は慌てふためく

 

「「息苦しいと思ってね、口に貼り付けてたテープを

取ってあげただけさ」」

 

銃を地面に落とししゃがみこむ

 

「「裕翔君といったね、サッカーが得意で将来有望だとか

…そうだ、足を切り落として……」」

 

刹那、プツンと何かが切れたように咲良が悲鳴をあげる

 

「イヤァアアアアアアアアアァァァァァァァアアアアアアアアアアアッッ!!!」

 

しばらくそのまま固まると右手で銃を拾い上げてゆっくりと

歩き出す

 

表情は無い、涙を流しながら

まるで壊れた人形のように機械的な動きをしていた

 

「……殺せば……いいんでしょ

……殺せば……」

 

そして気味悪く笑い始める

既に咲良のサイコパスは赤黒く濁っていた

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

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