White and white(PSYCHO-PASS)   作:鈴夢

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2人の狼

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

舞白が彷徨い続け約30分が経過

ある程度この空間の広さや間取りを把握し

番号付きの謎の札をついに5枚見つける

しかし1番だけが見つかっていない

 

そして空間把握を終わらせればいよいよ作戦に入る

 

「…ふー……」

 

深呼吸をすると一気に駆け出す

そして対象を見つけるとわざと音を鳴らす

 

「来たか!」

 

相手は泉宮寺豊久

嬉しそうに気を高ぶらせる泉宮寺は銃を構える

 

舞白は元々抜群の運動センスを持っていた

相手の猟銃を恐れず上手く壁や障害物を利用して避けていく

 

((装填数は3発、

3回避ければこっちのもの……))

 

1…2……

 

「ッ…この小娘………!」

 

3発目も見事交わせば

舞白が泉宮寺に近づき空手の蹴り技でもある

外回り蹴りを頭へと命中させる

 

そしてその反動で泉宮寺が身につけていた

暗視カメラが仕込まれているメガネが吹き飛ぶ

 

そしてその顔を見て舞白は息を飲む

 

 

「あなた……帝都ネットワーク建設の……泉宮寺豊久!」

 

つい先日全身サイボーグ化について語る番組で

泉宮寺を見たばかりだった

やけに蹴りを入れた頭も硬かったはずだった

 

「……ッ……」

 

その姿に動揺してしまった舞白は

背後の気配に気が付かず隙を見せてしまう

 

バンッ!と銃声と同時に

舞白の右肩を弾が微かに滑る

被弾はしなかったものの掠った箇所が熱を帯びたように

ジクジクと痛み舞白はうろたえてしまう

 

「…っ……咲良……」

 

背後にいたのは無表情で銃を構える咲良の姿

その瞳に光はなく、いつもの可愛らしい無邪気な姿は

考えられないような様子

 

 

そしてまた引き金に手をかける咲良

咲良に視線を奪われているのをいい事に

泉宮寺は舞白の怪我をしていた右肩をワザと掴み

地面へとねじ伏せた

 

 

「今です、仕留めなさい」

 

泉宮寺が咲良に言い放つと

銃口が向けられる

 

床にねじ伏せられたまま咲良の瞳を見続ける舞白

 

 

「咲良!ねぇ、私だよ!咲良!!!」

 

呼びかけるも反応をしない

人さし指が引き金に触れる

 

「咲良あああああっ!!!」

 

舞白が悲鳴に近い声で叫ぶ

一瞬怯む咲良、

そしてもう1人、聞き覚えのある声が

暗闇に響き渡る

 

 

「舞白ォォォオオオオッ!!!」

 

ケミカルライトが咲良の銃を持つ手に命中し

天井に暴発する弾

そして舞白を押さえ込んでいた泉宮寺が慌てて弾を装填し

猟銃を構え、声の主の方向へ構える

 

舞白はすぐ起き上がると

右肩を抑えながら再び迷路のような通路に向かって走り出す

肩は一部肉が抉れ血が溢れていたが

カバンのショルダーの紐を抜き取り止血を試みれば

出血量が減っていく

 

凄まじい銃声が3度再び聞こえると

泉宮寺の悔しそうな雄叫びが聞こえてきた

 

すると舞白は何者かに背後から掴まれ

安堵したようにその人物にもたれかかった

 

 

「…お兄ちゃん……」

 

ギュッと背後から優しく抱きしめてきたのは

兄だった

 

「遅くなってすまない

…よく頑張った、舞白」

 

狡噛は舞白の姿を見ると怪我を確認する

 

 

「怪我をしたのは右肩だけか?

…お前…こんなところで裸足で…

何か罠でもあったら……」

 

裸足で走っていたせいか擦り傷や切傷で

赤く腫れていた

他にも痣などを見つければ狡噛はため息をつく

 

「いいか、お前はもう動くな

あの2人は俺が……」

 

舞白が兄の腕をつかめば首を振る

 

「2人で、でしょ」

 

舞白は真剣な眼差しで狡噛を見上げる

狡噛は何かを言いかけたが首を振り

何か思い詰めたように俯き、少しすると舞白へと目線を移す

 

「…お前、これはお遊びじゃない

バーチャルじゃない、本物だ

あの銃も殺意も、あれは本……」

 

狡噛が舞白を咄嗟に抱えて走り出す

 

「!?お兄ちゃん」

 

「黙ってろ!」

 

銃声と共に弾丸が頭スレスレを通り過ぎる感覚

入り組んだ道を進んでいくと狡噛は息を切らしながら

舞白を降ろし辺りを警戒する

 

「お前は怪我もしてるんだ、

…しばらくすればギノ達の応援も来る、頼むから無理をするな」

 

何を言っても聞かないであろう妹に対し半ば諦めを見せれば

ため息を吐く

 

「俺が来るまでの間の状況、簡潔に話せ」

 

いつもの穏やかな兄ではなく

公安局執行官としての顔

そのピリッとした空気感に少し一驚するも

今までの事を話す

 

この状況で普通の高校生が怪我を負ってはいるものの

生き抜いている事実

まあ、舞白ならと考えるもののやはり怪しい点があった

 

所々に置いていたケミカルライト、

そして舞白が持っていた2.3.4.5.6と各ナンバーが振られた

薄いプラスチック製のチップのようなもの

 

「…お兄ちゃん、これってなんだと思う?」

 

「1だけ見つけてないんだな?」

 

「うん、もう周り尽くしたと思うんだけど…

見つからなくて」

 

淡々と話す舞白

全く怖がっていないこの異常な状況に

狡噛すら舞白に恐怖を覚えそうだった

 

「恐らくだが、これは何かの鍵だ

俺もこういう物の専門知識を持っているわけじゃないが

恐らく……」

 

先程の記憶を巡らせる

花橋咲良の体に付けられていた爆弾

 

前身頃に6つ、各爆弾には赤いランプが点灯

確か差し込みできそうな窪みがあったはずだと

 

 

「舞白、

……救えるかもしれない、あの娘を」

 

狡噛はそう言うと舞白の耳元で何かを話す

そしてそれを聞いた舞白の表情が少し和らいでいた

 

 

「犯人の目星は大体ついてる

今までそいつが絡んでた事件の傾向を考えると

俺たちに尻尾を掴ませるようなチャンスを与えてる

…まるで俺たちを試すように、俺とお前が2人で協力するのを

最初から分かっていたように、猟奇的な……」

 

そもそも狡噛が罠はあったものの簡単にここまでたどり着け

容易に舞白に合流できたのも普通ならおかしい

本当に舞白を殺したいなら、放っから犬型のロボットを

数体この空間に放てば勝ち目はなかった

 

 

「…お前を危険に晒したくないが何もしないまま逃げ続ければ

花橋咲良が危ない、それに俺達も危険だ

……お前は強い、現にこの状況に順応してる」

 

 

「お兄ちゃん…」

 

舞白はその言葉にグッと胸もとで拳を握る

今まで過保護で心配症だった兄が認めてくれたような気がして

正直嬉しく感じていた

 

「舞白、今からお前に指示を出す

…でも、身の危険を感じたら、直ぐに自分の身を優先

それは絶対守れ」

 

コクリと舞白は頷き

狡噛は作戦を口にする

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

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