White and white(PSYCHO-PASS)   作:鈴夢

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真の友情(2)

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

奥へと進んでいく途中に

光が漏れている扉を見つける

微かに人の話し声が聞こえると

壁にもたれかかり、銃をギュッと両手で握りしめる

まともに銃なんて触れたこともないが

御守りのように、万が一のときに使えるようにと

 

 

「咲良!」

 

扉を勢いよく開け、銃口を向けながら部屋へと入る

 

数十メートル先に白髪の男、咲良

左奥にはもう1人男が立っていた

 

「待っていたよ、狡噛舞白」

 

嬉しそうに笑みを浮かべ

咲良を抱えている腕をさらに引き寄せ

ナイフを揺らつかせる

 

 

「……あなたが……マキシマ……」

 

 

マキシマ、と言い放ったその時

槙島は口角をクイッと上げ鋭い目付きを咲良に向けた

 

「まさか、君が僕の名前を言い当てるなんて

…お兄さんから聞いたのかな?」

 

キッと槙島を睨みつけ銃口を向け直す

 

「違う、

……お兄ちゃんの仇……」

 

ピンぼけ写真の人物で間違いないと分かり

しっかりと脳裏に焼き付けていた

 

「その顔、やはり兄妹だね

……お兄さんにそっくりだ」

 

ナイフの刃を弄ぶように

フラフラと揺らし槙島は言葉を続ける

 

「君たちの動き、見させてもらったよ

状況整理、空間把握、怪我を負っても落ち着いた様子で

猟銃相手に怯まない、さすがだ」

 

「……目的は何、咲良?」

 

銃を構え直し余裕そうに語る槙島に対し

少しイラつく様子を見せる

 

「違うよ、目的は別だ」

 

刹那、槙島はナイフの刃を咲良の首に当てると

ツーっと首筋を切る

 

咲良は小さく悲鳴をあげ

ポタポタと真っ赤な血が床を染めていく

 

 

「咲良を解放して、

…あと1つの解除キーはどこなの?」

 

「君がずっと持っているよ

僕からの贈り物を渡したはずなんだが」

 

舞白は槙島の言葉に目を見開く

そんなハズないと、2.3.4.5.6しか

見つけられていないのだから

 

 

「本当の友情とは、

どうだい?まだピンと来ないかい」

 

舞白は目を泳がせる

そして何かに気づき、鞄から一冊の本を取り出す

 

咲良の家にあった手書きの地図と共に置かれていた

司馬遷の本

 

銃を小脇に挟み、パラパラとページを開く

 

 

栞のように挟まれていた

No.1の解除キー

最初から形が薄く、変わった形をしているキーだなとは思っていたが

まさか本に挟まれているとは気づきもしなかった

 

 

「それに気づいていれば

もしかするとこの娘を助けられていたかもしれない、

残念だ

……そろそろ時間切れだ」

 

槙島は折りたたみのナイフをしまえば

咲良を前方へ突き飛ばす

 

 

「咲良!」

 

 

舞白は咲良の元へ駆け寄り受け止める

そして解除キーを1番に差し込むも赤いランプは点灯したままだった

 

「言っただろう、時間切れだと」

 

「っ!!」

 

その瞬間舞白は咲良を抱き抱えながら銃口を槙島に向け

発砲する

初めての発砲に体が怯み手が震えていた

 

 

「……まさか撃ってくるとはね

自分が殺人犯になる事も恐れないのか君は」

 

銃弾は槙島の頬を掠り、小さなキズを負わせることしか

出来なかった

サイコパスが濁る事も恐れず、ただ親友を兄の仇を、

それだけを考え発砲した舞白を

槙島は心底さらに興味を持つ

 

 

「また会えるのを楽しみにしているよ、

狡噛舞白」

 

チェ・グソンと共に立ち去る槙島

舞白は自身の傷の痛みに耐えながら

咲良の身を按じる

 

 

「……どうしたら……っ……爆弾……」

 

咲良は膝を着いて放心していた

残った爆弾を何とか出来ないか探してみるも

方法が見つからない

 

「舞白、大丈夫だよ」

 

「大丈夫って……何言ってんの!」

 

その瞬間、点灯していた赤いランプが

チカチカチカと点滅を始める

 

 

「……舞白、今までごめんね

沢山傷つけた、私の命と家族の命の為に

大好きな舞白を……たくさんたくさん……」

 

咲良は舞白を突き飛ばし立ち上がる

脇腹と腹部の傷が激しく痛み舞白は膝を着いたまま

立ち上がることが出来なかった

 

 

「舞白と過ごした3年間、楽しかった

私に持ってないものを沢山持ってて、私と正反対で…

自慢の友達だったの

……もっともっと一緒にいたかった」

 

「待って……咲良……」

 

点滅するランプの速度が早くなる

咲良は距離を取りいつもの様に笑みを浮かべた

 

 

「バイバイ、舞白……」

 

「咲良!!!!!」

 

舞白が必死に手を伸ばす

 

その瞬間、舞白の体はばく風により飛ばされ

咲良の肉片が飛び散る

爆弾1つのとは思えないほどの威力だった

 

咲良の体は僅かに下半身の一部はなんとか形を保っており

上半身は木端微塵

 

 

「う……うぅ……」

 

飛ばされた反動で脇腹のナイフが更に突き刺さる

咲良の死体が転がっている周辺まで

うつ伏せで這いながら向かう

 

「さくら……そんな、っ……さくらぁああああ!」

 

肉片になった親友の姿に

叫び声を上げ、涙が溢れ出した

 

自分のせいで生命を落とした親友

なぜもっと気づけなかったのか、自負し続ける

 

 

狂ったように叫び声を上げていると

背後から宜野座が現れる

 

宜野座は必死に何かを言っているが

舞白の耳には入らなかった

 

そして気づけば失血で酷い目眩を起こし

その場にぐらりと倒れ込む

 

 

 

「常守!早く救護ドローンを!!

舞白が……」

 

 

宜野座が舞白に応急処置を施す

顔色が真っ青になっていく舞白の頬に触れ

何度も声をかける

 

 

「舞白!……舞白!

もう大丈夫だからな……」

 

舞白の白髪が血で赤く染まるほど

酷い現場だった、血は殆ど咲良の返り血だった

 

「……マキシマ……」

 

舞白が槙島の名前を呟くと

宜野座は目を見開く

 

そしてそのまま舞白は瞼を閉じ

きを失う

 

「おい!しっかりしろ!舞白!」

 

舞白の脳裏に焼き付く

槙島の顔、咲良が吹き飛ぶ瞬間

 

 

司馬遷のあの本に挟まれていた起爆を止めるキーは

あるページに挟まっていた

 

『一人が死に一人がいきのこっているときこそ、

友情がどんなものであったかが知られる』

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

犯罪係数 4

色相はWhite

 

槙島は舞白のサイコパスを確認し口角を弛めていた

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

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