White and white(PSYCHO-PASS)   作:鈴夢

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わたしを信じて

 

 

・・・・・・・・・

 

 

安定材を投与して4時間

パニック状態だった舞白は正気を取り戻し

なんとか普通に会話ができるようになるまで回復した

 

医務官は部屋から立ち去り

唐之杜と狡噛、常守が舞白の様子を観察していた

 

 

「すっかりいい女になっちゃって〜舞白ちゃん」

 

クレンメに触れ点滴の投与速度を調節する唐之杜は

舞白にできるだけ不安を与えないように

明るく話しかける

 

「えーっと…色相も数値も問題なし

サイコパスに異常はないわ、すごい精神の持主ね」

 

舞白の前にスクリーンを映し出し

健康状態等の情報を提示する

先程のパニック状態からは考えられないほどクリアな色相

狡噛は安堵のため息をついた

 

右側に座っていた狡噛は更に椅子をベット側に引き寄せ

舞白の肩を優しく撫でる

 

「傷は痛むか?もし痛むなら強い痛み止めを出してもらえるぞ」

 

浜辺での事件から続いて怪我を負った舞白

普通の同い年の女の子ならば耐えられないような状況に

適応しきっている舞白の事を逆に心配していた

 

「大丈夫大丈夫、本当に心配症なんだから」

 

いつもと変わらないように振る舞う舞白だったが

どことなく元気の無い様子、

狡噛達はその空気に気づき口にはしないものの心配していた

 

 

「…あの、私に

何か出来ることはありませんか?」

 

舞白は兄に向けていた顔を左側に向けると

常守と唐之杜に問いかける

 

「お前は何も考えるな、自分の回復のことだけを考えろ」

 

「咲良を殺した犯人を捕まえて欲しいんです」

 

「舞白!」

 

兄はきっと私には聴取程度で終わらせようと思ってるはず

でも咲良を殺したあの男を

絶対に捕まえて欲しいと願っていた

 

「なんでもします

現場にまた行って検証でも、他にもできることがあるなら」

 

「舞白さん…でも…」

 

常守が狡噛の様子を見て宥めようとするも

舞白は発言を止めなかった

 

 

「マキシマ、男は確かにマキシマだった

…ねえ、お兄ちゃん

私知ってるの、あの写真の男

白髪のピンぼけした…あの写真」

 

狡噛は知るはずのない予想外の名前を

舞白の口から聞くと唖然としていた

 

「お前、なんでその名前を」

 

「お兄ちゃんが佐々山さんを失ったのも

潜在犯になったのも…このマキシマって男のせいでしょ」

 

舞白は狡噛に顔を向けないまま淡々と話す

 

「…私恨んでる、ずっと

全部奪ったの、私から全部…」

 

 

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「…舞白……俺…、俺は…、…何を……」

 

 

 

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舞白の脳裏にあの時の兄の姿が映る

次々と大切なものを奪っていったあの男に

怒りが込み上げる

 

 

 

「…お願い、本当に私の為を思ってるなら

私にも手伝わせてよ」

 

兄に顔を向け懇願すると狡噛は困惑していた

 

 

 

 

 

 

 

「狡噛さん、血縁者でもない私がこんなことを言うのも変ですが

……舞白さんを信じませんか?」

 

常守が恐る恐る口を開く

 

「残念ながら、犯人の顔を見ているのは舞白さんだけです

…顔が割れれば犯人逮捕に大きく繋がります」

 

 

狡噛が頭を掻きながら天を仰ぐ

そんな兄の手を舞白は優しく掴む

 

「大丈夫だから、わたしを信じて」

 

 

ぎゅうっと掴む手を強める舞白

 

目線を天井から舞白へと移すと困り果てたように表情を曇らせる狡噛

 

そしてそっと

舞白の手を握り返した

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

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