White and white(PSYCHO-PASS) 作:鈴夢
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公安局 分析室
事件から半月が経ち、術後の傷も良好
医務官からメモリースクープの実施を許可され
分析室に現れる舞白
一係のメンバーが全員揃えば
舞白は専用の椅子に座り
ヘッドマウントディスプレイを被る
「いい?舞白ちゃん
…もし耐えられなくなったらすぐに止めるから…」
唐之杜が機械の用意をしながら幾らか舞白へ
注意事項を口にする
舞白は口角を上げると頷いていた
傍らには手を握る狡噛
一係のメンバーも心配そうに見守る
機械の用意ができると唐之杜がスクリーンの前へ移動する
「弥生、色相もろもろのモニタリングお願いね」
「大丈夫」
六合塚が唐之杜に向かって頷くと
スイッチに手をかける
「始めるわよ、舞白ちゃん」
そしてメモリースクープが始まり、
一瞬だけ舞白は握っていた狡噛の手を力強く握り返した
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蘇るあの時の記憶
家政婦の死体、生ぬるい地下へと続く階段
気味の悪い犬型のロボット、
向けられる泉宮寺の銃口、
泣き叫ぶ咲良、向けられるナイフの切っ先
白髪の男の後ろ姿、
連れ去られる咲良
「「待っていたよ、狡噛舞白」」
ナイフを揺らす白髪の男
余裕そうに、にこやかに笑みを零す
「「言っただろう、時間切れだと」」
発砲するも男には当たらない
親友の胸元でチカチカと点滅する赤い光
あぁ、間に合わない
なんで、なんで、
「「バイバイ、舞白……」」
目の前で…吹き飛ぶ…
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「ぁ……あぁあ…」
ガクガクと震える体
握っていた手を鬱血しそうなくらい掴みかかる舞白
それを察知した宜野座が唐之杜に合図を送る
「止めるわ!」
プシュウゥゥ、、という機械音と共に
近くにいた征陸が被らせていた
ヘッドマウントディスプレイを外し、投げ捨てる
「ああぁ…あ…」
狡噛に体を揺さぶられるも一向に意識がどこかに行っているような様子
天井を一点に見上げ目は虚ろでガクガクと手が震えていた
「おい!舞白!舞白!!」
どうにもならないと思った狡噛は
不意に舞白の頬を引っぱたく
パシンッ!!!
その場にいた全員が狡噛の行動に驚くも
混沌としていた意識がパッと戻れば正面に向き直る舞白
「……あ、…あれ…?」
キョトンと辺りを見回す
申し訳なさそうに顔を顰める狡噛を目の前に
舞白はいつも通りに戻っていた
「舞白ちゃん…よかったー…」
縢も舞白の肩をポンポンと叩けば
六合塚と常守がすぐさまサイコパスを確認する
「…数値も色相も…全く問題なし…
むしろ上昇すらしてない…」
「……舞白さん…」
2人はその結果に目を見開き安堵のため息を吐く
唐之杜も細かく容態をチェックするも全く問題なし
「…よかったよ、舞白ちゃん
あの様子で全く濁らないとはな」
征陸も同じく安心したのかソファに座ると
"とんでもない嬢ちゃんだ"、と呟く
「……舞白……」
狡噛の隣で座り込む宜野座、
やれやれと言わんばかりに安心しきった様子で
横の人物に目を向ける
一番動揺していたのは本人よりも狡噛
叩いてしまった右手を見つめている姿に
舞白は思わず笑みを零していた
「まさか、お兄ちゃんに殴られる日が来るなんて」
全然余裕そうにする舞白
狡噛はその様子を見るなり優しく抱きしめる
「よく…よく頑張った、舞白」
周りの目を全く気にせず
舞白を力強く抱きしめる
恥ずかしそうにする舞白だったが
今日だけは抱き返していた
「……頑張ったわね、舞白ちゃん
フェイスレコグニクション、成功よ」
分析室のスクリーンに白髪の男の顔が現れる
「槙島聖護、間違いないわね、舞白ちゃん」
舞白はゆっくりと立ち上がり画面に目を向ける
そしてこくりと頷き、男を睨みつけた
「…間違いないです、この男…」
咲良たちの命を奪った張本人
背後から宜野座が近寄れば背中を叩く
「舞白、もう大丈夫だ
…あとは俺たちに任せろ」
宜野座の言葉にまた頷きギュッと拳をにぎりしめる
「お願いします、皆さん」
一係の面々も頷く
「「次は君だ」」
しかし、その言葉だけ
舞白は不思議と誰にも言えなかった
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