White and white(PSYCHO-PASS) 作:鈴夢
・・・・・・・・・
「はぁ〜食べた食べた〜」
部活終わりに咲良と街に立ち寄りファミレスでたらふく食べ、帰路に着く舞白。
家まで続く海沿いの道。美しい海を横目で見ながらゆっくりと歩みを進める。大好きな潮風に潮の匂い。しかし脳裏に浮かぶのは自分の将来を決める職能適性の結果だった。
「…職能適性…、公安局A判定……」
一部の友人達にしか明かしていない職能適性結果。周りのみんなはSEやスポーツトレーナー。はたまた舞白と同じような結果を持つ者もいたが公安局A判定は舞白以外に誰もいなかった。
兄と同じ道は進まない、私には向いてない。……なんて思っていたが、最近あの時の夢を見た。
右手で首に触れる。
あの冷静沈着な兄が取り乱すほどの事件。そして、潜在犯、執行官へと陥れられた事件。兄の大切な存在でもあり、舞白にとってもかけがえの無い優しい存在だった佐々山の死。
兄の部屋から見つけた1枚の写真。白髪の人物のかなりピンぼけしたもの。舞白はそれを手帳に挟んで隠し持っていたのだった。
重要なのか、その事件に繋がるのかは勿論分からない。
――ただ直感だった
この写真の人物が関係しているのでは?と
大好きな兄と離れ離れになってしまい潜在犯の兄を持つからと、しばらく当時は周りから迫害されてきた舞白にとって許されない出来事だった。
私は、公安局に行くべきなのか?
でもきっと、兄は反対する
この事も隠したまま……絶対に話す訳にはいかない。
「((お兄ちゃんを……佐々山さんを陥れた人間。))」
再び写真を手帳にしまい鞄に戻しているとすれ違いざまに人とぶつかってしまう。そんな相手に舞白は慌てて頭を下げ、謝罪を述べた。
「ごめんなさい!私が前を見ていなくて……」
相手は驚くほど美人で、舞白より身長も高く素敵な女性だった。見惚れるほどに奪われる美しい外見。背後に見える海の光景に映える女性に息を飲む。
「いいえ、こちらこそ。私こそぼーっとしていたみたいで……ごめんなさいね?」
ペコッと頭を下げられると、舞白も反射的に再び頭を下げた。そしてその女性は歩みを進めていく――
「――綺麗な人…」
穏やかな波の音だけが響く。
柔らかい潮風が吹けば舞白は我に返り、家まで駆け出すのだった。
・・
・・・・・
美しく、高身長の女性。
予め用意しておいた車に乗り込んではとある相手に電話をかける。
『―どうだったかな、チェグソン。』
物腰柔らかな声がデバイスから流れる。チェグソンは車内でホログラムを解除すると美しい女性から一転、目つきの鋭い男性へと姿を変えた。
「槙島さんの言う通り……彼女が狡噛慎也の妹で間違いありません。」
自宅の場所も把握すれば、チェグソンは満足気だった。
『あとは彼女の交友関係も調べて欲しい。報酬は上乗せするよ』
「お任せ下さい、槙島さん」
通話が終われば槙島という男は数々の光で溢れる東京の街を、とあるビルの屋上から見下ろす。
柵に肘をかければ怪しげに笑っていた。
「…狡噛舞白。君は"僕と同じだ"」
槙島の手元で揺れる2枚の写真。
任務中の狡噛慎也の姿。学校で友人と微笑む狡噛舞白の姿。
「君たちはとても面白そうだ。」
白銀の髪の毛を揺らし陶器のような白い肌。表情は喜びを浮かべ、口元は怪しげに笑みを浮かべていたのであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・