White and white(PSYCHO-PASS) 作:鈴夢
「……なぁ、どうすれば良かったんだ
こういう時何が正解なんだ?」
さわさわと涼しい風が2人の髪の毛を揺らす
宜野座と征陸は息抜きがてら、いつもの場所に向かえば
都心の景色を見下ろしていた
「正解はない、あるのは妥協だけだ」
「ハァー……」
征陸の言葉に何も掴めずため息を吐く宜野座
懐からメガネ拭きを取り出せば曇ったメガネを拭き始める
「なぁ、伸元」
「何だ?」
改まる征陸に目線を向ける
「身を守れ」
想定外の言葉に宜野座は不思議そうにしていた
メガネを拭く手を止めると征陸の言葉に耳を傾ける
「……言っちゃ悪いがこの件はお前の手に余る
ヘタに動いて詰め腹を切らされるよりも
ただ低い方を目指して転がっていくだけの役立たずに徹する方がいい」
「またずいぶんと酷いアドバイスがあったもんだ」
「そういう知恵は俺よりもお前の方が回ると思っていたんだがな」
宜野座はメガネをかけ直すと再びため息を吐いた
「…今回は槙島だけじゃない、舞白の事もある
俺は……あいつを守れるだろうか、
槙島の確保、舞白の保護、やはり狡噛の戦力は欠かせない」
「飼い主の手を噛む犬でもか?」
「槙島絡みとなると狡噛ほど鼻の利く猟犬はいない
それに妹も絡んでる、
……あんたがよく言う刑事の勘、結局俺が持ち合わせることのなかった才能だ」
目線を外のビル街に移しただただ見つめる
「だが、任務から外せというのは局長命令だろう?」
「…なんとか、あいつをおりの外に出せないか……」
宜野座は模索するも、結局それは必要がない状況へとひっくり返る
狡噛は公安局から姿を消すのだった
唐之杜は例のヘルメットを渡し逃亡の幇助
征陸は密かに警視庁時代から隠し持っていたセーフハウスの鍵を渡し
常守に対しては1枚の手紙と外されたデバイスを残して
狡噛は槙島をこの手で裁くため
舞白を守るため
たった1人で全てを投げ捨て、2人の後を追いかける
そしてそれを実行する数時間前、
狡噛は宜野座を自室へと呼び出していた
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「なぁ、ギノ
ひとつ聞いていいか?」
狡噛はタバコの煙を吐くと目の前のソファに座る
宜野座にある問いかけをした
「俺を急に呼び出すほどの内容だろう、なんだ?」
「お前、舞白をどう思ってる?」
「……何だ、いきなり」
突拍子のないよく分からない問いかけに宜野座は
コーヒーを口に含む
冷静を保っているように見えるが狡噛にはそうは見えなかった
「その言葉そのまんまの意味だよ
…一応聞いておきたくてな」
宜野座が舞白を見る目がただの妹のように感じてはいなかった
どこか、好意を寄せているような
そして舞白は決して口にはしないが昔から宜野座を
兄以上に信頼しているような、そんな感覚を狡噛は感じていた
「そんなことを聞いてどうする」
「…兄として聞いておきたかったんだよ」
この言葉に、宜野座は密かに疑念を抱いていた
きっと消える、狡噛は何かよからぬ事を考えていると
だったらいっそ、話してみるかと心に決める
「俺は恋愛事情をお前に話すつもりはなかったが、
相手が相手なら仕方ない、
……俺は、舞白を心底好いてるさ」
その言葉に笑みを浮かべる狡噛
どこかホッと安心したような、兄の顔をしていた
「俺がプロファイリングが得意なの知ってるだろう
分かりやすいんだよ、お前は」
部屋の一角に置いてある写真立てに目を向ける
舞白の無邪気な笑顔が狡噛を奮い立たせていた
「もし、あいつの身になにか良くないことが起こったら、
俺はおそらくあいつと姿を消すかもしれない
……もしお前が、舞白を先に保護したら
絶対に厚生省に引き渡すな」
「……」
「おそらく、舞白は厚生省に消される
俺はそう考えてる
……保護と言いながら、何かにあいつを利用する気だ」
六合塚から送られてきたデータを既に目を通していた狡噛
空白の職能適性、そして何故か槙島とセットで調べられたサイコパス色相の履歴が見つかっていた
消される、そうとしか考えられなかった
「……分かってるさ」
「頼んだぞ、ギノ」
宜野座は狡噛の表情を読み取る
そしてお互い、それ以上踏み込むことは無かった
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