White and white(PSYCHO-PASS)   作:鈴夢

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誰にも止められない

 

 

・・・・・・・・・・・

 

必死に後を追いかける舞白

たどり着いたのは多数のトラックがが停まっている

駐車場のような場所

 

綺麗に並んでいたが1台だけ不自然に消えていて

ふと、視線を施設の外へと向ける

 

どれくらい先か分からないがトラックが横転しているようだった

どうやら追先程横転したような、そんな煙の量がモクモクと天に昇っていた

おそらく3人はあの場所に…

 

「ストップだ、舞白ちゃん」

 

またもや舞白を止めようとする人物が現れる

しかし、現れるだろうと舞白は覚悟をしていた

 

背後にいるのは征陸だった

舞白はゆっくりと体を向けドミネーターを向ける征陸に拳銃を向ける

 

「…征陸さん、ドミネーターで私を捌くことは槙島と同じくできません」

 

征陸はドミネーターを下げると諦めたような表情を浮かべる

 

「あんなにちっこくて、いつもコウの後ろを歩き回ってた女の子が、まさかこんなに逞しくなるなんてな」

 

ゆっくり拳銃を降ろすと、小さく笑みを浮かべる

 

「…コウにも似てるが、常守監視官にも似てる気がするよ

特にその変わりようはな」

 

征陸は舞白を保護する気なのか見逃すつもりなのか読めない

しかし、征陸にはやってもらわないといけないことがあった

追われても厄介だと、一番思っていた相手は征陸だった

 

「征陸さん、これ、受け取ってください」

 

舞白は懐から手のひらサイズのデバイスを取り出せば

10m先あたりにいる征陸に投げ飛ばす

 

 

「槙島はこの施設の心臓部、ウカノミタマの組み換え装置に爆発物を仕掛けてました、それがその爆発物の解除キーです」

 

槙島に拘束された時に奪い取ったものだった

施設にたどり着いた時、槙島は念のため、電力を落とされた時のためにと仕掛けているのを目にしていた

 

もし破壊されれば、復旧までに時間を要する

飢餓に苦しむまではないが、国民のサイコパスに大きく関わる案件だった

 

「…俺を足止めするつもりだろう、抜かりないね

兄妹揃って…」

 

解除キーを見つめ握りしめる

そして、舞白へと目線を再び戻す

 

 

「……行くのかい、舞白ちゃん

…伸元が悲しむ、おそらくサイコパスも…」

 

征陸は宜野座の父親だ

子供の気持ちには一番敏感に気づいていた

 

「死ぬわけじゃないですから

…私は自分を生かすために行くんですよ」

 

その言葉を残すと舞白は一気に駆け出す

征陸もそれ以上止めようとしなかった

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

長い長い道路を駆け抜ける

涼しい風が舞白の体を覆う

 

一面に広がる美しい穀倉地帯、オレンジ色の空

高い建物ひとつない幻想的な景色

これから起こることを想像できないほど

非現実的で美しい光景に目を奪われる

 

まるで世界にひとりだけのような感覚

槙島は、もしかしたらこんな気持ちだったのか、

どれだけ犯罪に手を染めても高揚していく心、濁らない色相

しかしうまらない孤独感、満たされない心

 

友人を殺されても、自分自身が酷い目にあっても

実際に彼と少し過ごすだけで、何故だか同情してしまう自分がそこにはいた

 

 

それは同じ免罪体質者だからなのか?

理由は分からなかった

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

だんだんと近づく事故現場

よく見てみると道路の脇に誰かが倒れていた

 

常守朱、そして傍らにはドミネーターが置かれていた

 

 

「常守さん!!」

 

傍に駆け寄り優しく肩に触れる

怪我を負っているようだが呼吸はしっかりとしていた

大丈夫…生きてる…

そう安堵した瞬間、常守の腕が動き

肩に添えられていた舞白の手に触れる

 

「……こうがみ、さんを…止めて…

…お願い……」

 

「常守さん…大丈夫、お兄ちゃんを殺人犯に絶対しない」

 

「…ましろ…さん……

…あなたをシステムから…守るから……」

 

常守の言葉に目を見開く

免罪体質である事、おそらく他にも知っていることがあるのだろう

 

傍らに置かれているドミネーターが青く光を放つ

おそらく、舞白に何かを伝えるべく意思表示しているのだろう

しかし、舞白は触れなかった

 

 

「…私は絶対にシステムの一部にはならない」

 

そしてゆっくり立ち上がり

横転したトラックの先に開かれた道を見据える

辿れば2人に会えるはずだと

 

「常守さん、ご迷惑ばかりおかけして

本当にすみませんでした

…また会える事を願ってます」

 

そう言い残し道路から穀倉地帯へと飛び降り、2人を追いかける

 

常守は悔しそうに涙を流していた

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

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