White and white(PSYCHO-PASS)   作:鈴夢

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white

 

 

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穀倉地帯を抜け、目の前に広がる地平線

暗闇の中で、波の音だけが心地よく響き渡る

 

あの後、力尽きた舞白は兄に抱えられ

2人は逃げるようにあの場所から姿を消した

 

 

「……ぅ……」

 

舞白は小さく声を上げると

ゆっくりまぶたを持ち上げる

 

「気がついたか」

 

「…うん…」

 

砂浜に足を下ろす

冷たい風が吹き荒れ、2人は目を細める

 

「終わった、ね」

 

「…あぁ…」

 

狡噛はタバコを吸おうとポケットに手を入れるも

上着のジャケットに入れていた事を思い出し

舞白が羽織っていた自身のジャケットに触れ

タバコの箱を取り出す

 

「…お前はどうする?

何か、戻れない理由があるんだろう」

 

シュボッとライターの火をつけ煙を吐き出す

舞白は目線を水平線に向けたまま深呼吸をした

 

シビュラの事について、話そうと思えば話せるが

何故だか兄に話そうという気になれなかった

 

「うん、もう戻れない

お兄ちゃんと同じだよ」

 

暫く沈黙が続く

月明かりが2人を照らし、舞白の白髪がキラキラと光る

 

 

 

「なら、俺と来い」

 

タバコを地面に落とし靴ですり潰せば

浜辺を歩き出す

 

「この一帯のシビュラの監視システムの復旧までまだ時間がある」

 

数百m先に舟の停留所を見付ける

舞白はその光景を目にして口を開く

 

 

「…国外、そういうこと?」

 

「俺たちは生憎、兄妹揃って

シビュラの管理下に置かれている日本には居られない」

 

前を歩いていた狡噛が立ち止まり

背後にいる舞白に振り向く

 

 

「だが、逆にシビュラの管理下に置かれていない国外に安全な場所はない、おそらく紛争だらけだ

…お前はその世界に行く勇気はあるか?

全てを捨てて、危険な場所に」

 

舞白はその言葉に笑みを浮かべる

 

そんなこと、何ともなかった

シビュラに利用されるくらいなら、兄と共に

修羅の道でも何でも歩いてやると

心に決めていた

 

 

「本望だよ、お兄ちゃん」

 

一切動じない妹の姿を見て狡噛も面白そうに笑みを浮かべる

 

「お前なら、そう言うと思ったよ」

 

狡噛はいつもの様に舞白の頭をくしゃくしゃと撫でる

 

兄となら、妹となら

どこでも行ける気がしていた

 

2人は肩を並べて歩き出す

 

舞白は不意に首のしこりに触れる

キーンと頭に走る痛みを感じ

 

 

だが不思議とその痛みが心地良い

外頸動脈に残されたそれはもう取り出すことはできない

 

槙島が残した異物、いや、遺物かもしれない

その痛みを感じる度、舞白の精神が整う感覚を覚えてた

 

 

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2116年 東南アジア SEAUn

 

 

傭兵や憲兵達の間で噂が広まっていた

 

やたら強い日本人の2人組が

テロリストの軍事顧問をしていると

 

傭兵として各地を練り歩き

拠点を作らず、のらりくらりと国を縦断しているとか

 

 

1人はガタイの良い、まるで狼のように鋭い眼光を放つ男

もう1人は珍しい白い髪の姿をしていると

男とは正反対で、その女が現れると不思議と争いがなくなる、とか

White Girl、white celestial maiden、と呼ばれているという話が飛び交う

 

 

 

 

そしてその話も、日本の公安局の耳に入らないわけがなかった

 

 

 

厚生省公安局一係 監視官 常守朱、執行官 宜野座伸元

 

 

2人の真相を探るべく

2人はSEAUnへと降り立ったのだった――

 

 

 

 

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White and white

 

 

 

 

 

▷▶▷あとがきは活動報告にて

 

 

 

続編は本日または明日中に公開させていただきます

 

 

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