White and white(PSYCHO-PASS) 作:鈴夢
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話をして落ち着いたのか、咲良の色相の濁りが無くなっていく。流れ落ち続けていた涙は止まり、徐々に表情に色彩が戻る。
舞白はそんな彼女が落ち着くまで延々と摩り続ける。
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夕日も沈み、気づけば時計の針は夜の7時半を指す。室内は薄暗く、生暖かい潮風が2人の髪の毛を揺らしていた。
「―――大丈夫?咲良」
優しい舞白の声。親友の優しさに落ち着きを取り戻した彼女はすっかり調子を戻した様子で微かに笑顔を見せる。
「うん、ありがとう舞白。…話すとすごく楽になって…落ち着いた」
「よかった。…ほら?お腹すいたでしょ?そろそろご飯食べない?」
「賛成!」
咲良の肩をポンポンっと叩くと直ぐにアバターを呼び出す。すると白うさぎのアバターが現れ、ハイテク機能を発揮する。
「「本日のお二人のkcal摂取量は1700kcalと少なめです!こちらのメニューをオススメしま〜す!」」
高カロリーな食品の提案。
どれも食欲を擽るもので食べ盛りの2人は目をキラキラと輝かせた。
「今日はお泊まり最終日だし、豪勢にピザにしようよ!」
「いいねぇ〜!あとはポテトと―――」
舞白と咲良は次々とメニューを選択していく。さっきまでの暗い気分が嘘のようだ。心の底から今が楽しくて仕方ない。
「今日はダイエットのことも忘れて食べてやるー!」
「ていうか、咲良はダイエットなんてしなくても細いから大丈夫」
「…いや。舞白に言われても…なんか嬉しくないわ…」
ケラケラと笑い合ういつもの2人。互いに肩を叩き合ってふざけたり、年頃の少女らしい姿そのものだった。
そして咲良は感じていた。
"舞白といると自然といつも元気になれる"―――
誰かが喧嘩していても舞白が仲介するとあっという間に不思議と場が収まる。色相が濁り、悩む友人の相談に乗ると次の日には良好傾向に。
狡噛舞白という人間はいい意味で周りと大きく違っていた。
「―――舞白って、本当に不思議」
「…へ?何か言った?」
呑気な様子の舞白。頭も良くてなんでも出来る才女なのに、なぜかたまに気が抜け間抜けな様子を見せることもある。そんな彼女に咲良は小さく笑みを浮かべた。
「なんでもなーーい!独り言。…ていうかさ、後で海辺で花火しない?
私花火セット持ってきてるんだ〜」
そう言うと傍らの鞄から花火セットを取り出す咲良。その表情は悪戯を考える少年のように怪しげだ。
「この辺の海岸、警備ドローンいるよ?見つかったら即通報だけど?」
「ふふん、大丈夫大丈夫!ちゃんと調べてきたから。ここの海岸の一部にドローンも防犯カメラも設置されてないところあるから」
「それやばくない?」
元気を取り戻し、冗談交じりの無茶な発言をする咲良に安心していた。親友が笑っている姿は素直に嬉しい。彼女が笑顔でいてくれることが舞白にとっては幸せだった。
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複数の怪しげな男達がとある場所に集まる。
その男たちは色相が大きく濁り、スキャナーに捉えられれば1発で矯正施設行きという、正に"アウトロー"という言葉が似合う集団だった。
そしてその集団は"ある男"の前で立ち止まる。
白銀の髪を持つ矯正された美しい男。
その男は妖しげな笑みを口元に浮かべ、2枚の写真を翳す。
「―――君たちにはこの2人を襲ってもらう。」
天真爛漫に頬を緩ませる少女2人の写真。それを見た男たちは不敵な笑みを頬に浮かべていた。
「犯してもかわまない。殴っても切っても、好きなようにしたらいいよ。…ただ、殺すのはナシだ。」
"殺す以外ならどうぞお好きに"
その台詞に興奮を見せる男たち―――
「好きにするのは構わない。だが……"その後"は君たち次第だ。」
白銀の男の傍らに佇んでいたもう一人の男が"試作品"だというヘルメットを全員に手渡していく。形状は珍しく、あまり見た事のないデザイン。そのヘルメットは被ると完全に顔を隠し、面が割れないようなものになっていた。
「…日々の鬱憤を晴らし、せいぜい己の色と向き合えばいい」
怪しげに笑みを浮かべるその男―――槙島聖護。
彼の手元の写真に映る2人。
それは舞白と咲良だった。
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