春の息吹と共に、明快な光が窓から差し込んでくる。
美しい赤レンガで彩られた家の隅っこで、二人の男は目を覚ました。
「うんち漏れたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
細身の男が叫ぶ。
「シリアスな雰囲気とか解説とか要らねーから! 情景描写なんて捨てちまおうぜ! おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいんほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほはほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
実に単純明快に、そいつらは狂っていた。
同じベッドで寝ていたその男たちは、どちらとも全裸である。
細マッチョの全裸変態と、胸板の厚いしっかりとしたゴリラの全裸変態が六畳半の部屋で大暴れしていた。
ちなみに、さっきのセリフには一つだけ「は」が隠れているぞ! 探してみよう!
「そんなの誰も探さねーよ!!!!!!!!!!!」
「ああああああああ!!!」
入ってくるなり、その少女は凄まじい勢いで全裸男二人をフライパンで殴る。
二人は勢いよく吹っ飛ぶと、やがてケツを合わせて空中で静止した。
「朝からうるさいんだよ! 何か嫌なことでもあったのか? 話なら聞くぞ、ライデン、マイキー」
その少女は、たいそう美人であった。
金髪ポニーテールに男勝りな口調、魅惑的な脚。そして家庭的なエプロンを前に掛けている。変な性癖の人が興奮を抑えられないであろう風貌だ。
彼女が鬼の形相で迫ると、ライデンと呼ばれた男は慌てて首を横に降った。
「いや、こういうのって最初のインパクトが大事らしいからな。叫んでみただけだ」
「同意」
マイキーが頷く。一応、ゴリラの方がライデン、細マッチョ&赤メッシュの変態がマイキーである。お互い高身長な上にかなりイケメンなのだが、先程のような奇行のせいでマジで第一印象は悪い。
「出会ってから三ヶ月経つ今でも印象は最悪だよ──」
「地の文に意見すな」
「爽やかな朝ですねぇ。さて、僕はご飯でも食べに行きますよっと」
マイキーはあくびをしてから、シライ2を披露しつつ部屋の外へと出ていった。
「いやキモっ!」
実はもう慣れているのだが、何やらツッコまないと負けな気がしたので少女は一応ツッコミを入れておく。
「さーて、朝飯食ったら出発するぞ。サユキ改めウルトラ貧乳スレンダーAV(アニマルビデオ) じょ」
話の途中で(もはや罵倒)、サユキと呼ばれた少女が再び顔面にフライパンの一振を食らわせる。しかし、ライデンは自慢のスキンヘッドでその一振りを止めた。
「へぇ……中々やるじゃん」
「てめーこそ。心無しか威力が増してる気がするぜ?」
バトル漫画のような雰囲気を醸し出しつつ、サユキとライデンは飯が用意されているリビングの方へと向かった。
*
「いただきます」
「いただきますってなんかエロ」
今度は平手打ちされたマイキーだったが、まぁなんやかんやで朝食がスタートした。
白いテーブルをみんなで囲って、仲の良さそうに彩の良い朝飯を食べる。男二人が全裸であることを除けば、ごく普通にある極上の幸せであった。
さて、この三人はどういう関係なのだろう──端的に言うと、異世界のパーティ仲間である。
町の外れにある『クサ森』という森の中には沢山のモンスターもとい化け物がおり、三人はそいつらを駆除して獲得した賞金で飯を食っている。
マイキーは難解な魔法を駆使して獲物を殺戮し、ライデンは理不尽な火力で敵を惨殺。サユキは格闘家の娘なだけあり『技』で敵を倒す。技ってなんかエロいよね。
「そういや、新規メンバーの件はどうなったんだ? 見た感じ人は集まっているようだが……」
このパーティ、実は新しい仲間を募集していたのである。さすがに三人は少なく、まぁ強けりゃ誰でもいいよ──的なテキトーなスタンスで募集をかけたわけだ。
そうライデンが切り出すと、マイキーは大きく頷いた。
「そうですね。まぁしかし、見た感じ応募者はみな弱そうです。性○隷として買っておく価値はありますが」
「えぐいこと言ってるぞお前」
全裸男が、全裸男を戒めた。それもつかの間、サユキは大きくため息をつく。
「やっぱりイケメン以外を全員蹴落としたのがまずかったか……」
「いや女はどうしたんだ。食いてぇ」
「そりゃあもう、マイキーとライデンの顔を見た瞬間に逃げ去って行ったよ」
「心当たりないですけどねぇ」
「生理的に受け付けねぇんだろ」
「酷いですねぇ。どんなブスでも、僕はきっちり全員抱いてあげると言うのに。もちろん同じ額ですよ」
「聖人だなオイ」
「いやクズでしょ」
そんな風に軽口を叩いていると、突然ドアからコンコンと音がした。
十中八九来客の登場であろう──。
「はいはーい」
サユキが他人行儀の返事をして玄関の方へ向かうと、男二人は怪訝そうな表情を浮かべた。
「新聞の勧誘か?」
「宗教かもしれませんねぇ」
しばらくすると、サユキが戻ってきた。
「なしたよ」
「カナタさんが『道端に落ちてたガキ拾ったから保護よろ』って言って玄関に子供を置いていった」
「あのカナタさん!?」
「マジですか、カナタさんがウチに来ることなんてあるんですねぇ」
カナタさん。三人を狩人として育てた、親のような人のことである。
「随分な面倒事を押し付けられたもんだな」
全裸男は、揃いも揃って玄関に向かった。
すると、ドアの隙間に挟まって呻き声を上げている男の子がいたのだ。
「いや何してんねん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
珍しくまともなツッコミをしたライデンは、全裸のまま男の子を保護した。
「なんだこいつ、中々顔立ち整ってんな。捨てようぜ」
「なんで!? 捨てないでよ! 捨てるの!?」
「え? うん」
「当たり前みたいな顔すんな! マイキーもなんか言ってやってよ!」
「こいつの睾丸を摘出しましょう」
「一体この男の子になんの恨みが!?」
あまりにカオスすぎて読者の100割は既にブラウザバックを連打して退出しただろうが(失笑) 、突然の異世界テンプレ展開に全裸変態の二人は苛立ちを隠せない。
「先が読める展開ほど面白くないものは無いんですよ。どうせあれでしょう? たまたま亡くなった主人公がたまたま転生してたまたま最強のスキルを手にして既存キャラを抜いて夢精ゲフンゲフン無双し始めるんでしょう? そしてたまたまハーレムを形成してウハウハしまくって王位を獲得してタマタm失礼、たまたま一夫多妻制を採用しようとしたら彼女の一人にナイフで殺されるんでしょう? いや待てよ伊●誠みたいになるならこれはこれで悪くない……よし、この男の子は保護しましょう!」
「納得の仕方が意味不明すぎんだろ!?」
「キチってんな(諦め) 」
結局、三人はこの男の子をベッドに寝かせて、そのままモンスターの討伐に出かけたのであった。
※好評だったら続きます