プロローグ
はい、どうも、ワタクシはしがない傭兵のカゲロウと申します。
突然ですがねぇ、ワタクシが普段寝泊まりしてる洞窟が突然攻撃されましてですねぇ、なんか急に軍隊が入ってきたと思ったらあっという間に紐でぐるぐる巻きにされまして、気がついたら攻撃してきた軍隊の指揮官の前に放り出されてました。
あ〜、そのロゴマーク見たことあるぅ...
...とりあえず...
「あの、これ解いて貰えませんかね?」
「あぁ、ごめんね。それは無理だ。お茶飲む?」
「......もらう」
なんでだよチクショウ!てかなんだよ!俺コイツ知ってるぞ!
そんな俺を知ったことか、とガン無視したよく分からんフルフェイスの...男?女?...ともかく、「ドクター」は話し始めた。
「そんな怖い目で見ないでおくれよ。私だってこんなことしたくないさ」
「じゃなんで俺の事捕まえる指揮してンだよ」
「それは...まぁ、ね?仕方ないでしょ」
「仕方ないってなんだよ!?」
なんだコイツ!?言うことに事欠いて仕方ねぇとか言ってんぞ!どうなってんだ!
「ええい離せ!どうなってんだよ!ロドスはよォ!」
「いや〜、ねぇ?ホントに仕方ないんだよ...ブハッ..ケルシーが君のこと欲しがっててね?」
「ちょっと笑ってんじゃねぇぞコノヤロォ!」
何が面白いんだこの状況!周りはロドスのオペレーターに囲まれてるし...いやコイツら酒飲んでやがる!「仕事終わりの1杯」じゃねえよ!ふざけんな!
「いやいやw私もね?ククッ..君の事が興味深いと思ってね..フフッ..」
「そーだそーだー。とっととロドスに入っちまえー」
「傭兵よりよっぽど待遇いいぞー」
「酒も呑めるぞー」
「ドクター以外棒読みじゃねえか!雑に職場勧めてんじゃねぇよ!」
ざけんな!酒よこせ(本音)!
「なんで入らないんだい?私とロドスは君が欲しい。君は今よりずっと良い待遇を受けられる上に鉱石病の治療も受けられる。これ以上のwin-winの契約が他にあるかい?」
「....そもそもテメェ。俺の体質知ってんだろ?」
「君が自らの鉱石病を『治せる』事かい?勿論知っているとも」
そうだ。俺はこの「原石廃坑」に寝泊まりしている。だから廃坑とは言えど、
「そもそも君のそれ、どうやっているんだい?」
「あ?...なんつーか..こう..アーツを自分の全体に行き渡らせて...」
ポロポロと俺の体から生えていた原石が落ち始めた。
「...素晴らしいね。その能力」
「...これが世の中全員できるのなら、アンタも楽になるのになぁ...」
「全く...否定出来ないような事を落ち込みながら言わないでくれよ...君が過去にやった事もほぼ全部知ってるけどさ...」
「なんで知ってんの(ドン引き)....」
「じゃあ教えてくれる?」
「えぇ...」
「...話さないとケルシー呼んでくるよ?」
「スイマセンハナシマス。だからあの年増だけは勘弁」
「...しーらね」
俺は過去、この力を傭兵仲間に見せたことがある。
こうすれば治せる。助かる上に日常生活に戻ることができる!と、俺は仲間たちに嬉々として見せた。そして、皆が鉱石病から解放されるのを今か今かと待っていたのだが、誰一人として治らなかった。
アーツの扱いが下手なのか?
いや、当時の俺より上手いやつは何人もいた。
なら、俺の教え方が悪いのか?
俺はヴィクトリア王立前衛学校を卒業しているからそれは無いと思う。
なら...俺は白昼夢でも見ているのか...?
だが、俺は生きている。周りの仲間は死んでいく。
ここまで時間をかけて、俺はようやくこの能力が俺だけのモノだと気づいた。鉱石病がいくら進行しようと、健康体でいることができる能力。
俺は仲間たちに顔向けが出来なかった。皆は死がそこまで迫っているというのに、俺は自ら死を遠ざけることができる。
見ていられなかった。
俺より若い新入りが粒子になって消えて行くのを。
俺を信じた仲間が、日夜出来もしないアーツの練習をし、死を急速に招いているのを。
俺に向けられる羨望の眼差しを。
だから俺は離れた。
傭兵が荒野を1人。なんて訳にもいかないから、俺はヴィクトリアの近くの廃坑に身を潜めた。
鉱石病を治せる。この力を他人に行使出来たらどれほどの幸せを生み出せただろう。傭兵仲間だって死ななかった。
そういった感情が俺の心を支配し、蝕んだ。
食料や水には困らない。傭兵をしなくても王立前衛学校を卒業しているのだから仕事なんて探そうとすればいくらでもある。
故に辛かった。
俺は「士官」クラスを卒業し、前線へ配備された直後に感染。ウルサスの奴らの兵器に原石が仕込まれていた、と発表されている。
そして、その戦闘で感染した奴らは追放され、路頭に迷うこととなった。その時の弾かれ者同士で、傭兵団を組んだのだ。
そこは俺にとって唯一の居場所だった。お互いに傷を舐め合い、守りあい、語り合った。
家族みたいだった。暖かい場所だった。
俺はその温もりが何よりも辛かった。
「お前だけでも」 俺だけが生きて何になる。
「治せばいいじゃないか」 お前たちはどうするんだ。
「戻らないのか?『普通』に」 『普通』ってなんだ。
結局、俺は死なない程度に鉱石病を調整しつつ、傭兵団に残り続けた。しかし、皆が死に、メンバーが一新されていく中で、俺は遂に耐えられなくなった。
特に書き残す様なこともなく、俺は団を離れた。
そこからはヴィクトリアに戻り、鉱石病を完治させ暫く働いていた。収入は傭兵より安定している。
悠々自適とまでは行かないが、それなりな生き方をしていた折に傭兵団が全滅したと、風の噂で聞いた。
果たして噂は真だった。
死体は誰が誰だか分からないほどに滅茶苦茶にされていて、ウルサスの仕業だと分かるのは一瞬だった。持っている武器で判別するのがやっとだった。人数が少ないのは、風に吹かれたということだろう。
現に今も1人、体が粒子となり飛んでいってしまった。
俺は自分を許せなかった。再び傭兵へと戻り、傭兵団の名を名乗り、各地の小競り合いに割って入った。一騎当千とまでは行かずとも、一騎当十くらいはやっていたのではないだろうか。
特にウルサスを徹底的に潰した。刀で四肢を落とし、大太刀で両断し、近くの木に括りつけ、放置した。
ウルサスを殺すたび、仲間が報われているような気がした。
俺たちを感染させ、傭兵にしたのもウルサス。
そして、俺たちを殺したのもウルサス。
どこに情け容赦をかける義理があるだろうか?
「....というのが俺の略歴だが。だから俺は嫌なんだ。ロドスに入ったら俺1人だけ完全に浮くじゃねぇか。そして何よりウルサスが殺せなくなる。ロドスって基本殺害ダメなんだろ?却下だ却下。俺はこれからもウルサススレイヤーとして生きていくんだ」
「おっっっっっも」
「吐きそう」
「下手したらこの隊の誰よりもきついかもな」
「...君、もしかしてあのウルサス殺しの
「他に心当たりないし、まぁ、そうなんじゃないの?」
「...参った..君だったのか...」
「え?どゆこと?」
「...君には必ずロドスへ来てもらうよ。君のことを待っている人間がたった今増えたからね」
「は?」
「よし!そろそろ彼に仕掛けた薬の効果が出る頃だから、準備して!」
「は?」
....は?....あっ、眠い寝るわ....zzzz
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
そして俺が目覚めたら、案の定ロドスの医務室のベットの上でした。
そして、なんか横にいるんだけど。めっちゃ寝息たててるし、ちょお美人。
え?誰この人。いやヴイーヴルなのは分かるけど。いやでもどっかで見たことあるような...?俺こんな美人と同衾してたの?あっ、めっちゃいい匂いする。結構鍛えてるな...軍人かな?とりあえず腕を解いて...力強っ!?逃げられねぇ!なんだコイツ!起きてるだろ!怪力もいいところだぞ!俺だってオニの端くれだぞ?
「ふんぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
「何をしているんだ」
「アッ...」
ひぇっ。ケルシーセンセ....。
「ドクターがやっと『陽炎』を連れて帰ってきたと思えば...医務室のベットで異性と同衾しているとは。君に必要なのは外科医ではなく精神科医だったかな?」
「ヤメテ!暗に頭おかしいって言わないで!謝るから!....いやなんで俺が謝るんだ。よくよく考えたらおかしくね?」
「....ワルファリンを呼んでこよう」
「違う!違うのケルシーセンセ!俺はコイツがなんでここに居るのか知らないし、俺マジでさっき起きたばっかりだから!」
「避妊はしてくれよ。彼女が妊娠でもしたらロドス全体に影響が出る」
「ちがァァァァァァァう!!!」
と、言うわけでいかがだったでしょうか。
いきなり縛られて拉致されて美人と同衾してる主人公がいるらしいんすよ〜
( *¯ □¯*)なー( *¯ 罒¯*)にー(以下略
次回から人物紹介と、関係性を整理しながら話を進めていきたいと思います。
ではまた次回