作者は強風域の地域に住んでいるので今日は1日お家でゆっくりです。
さて、前回はクシュマフとの戦闘が始まるところで終わりましたね。今回はその戦闘の続きです。
では、どうぞ
俺はクシュマフとの無限とも言える戦いへ踏み切った。途中で通信がかかってきた気がするが、今更敵に背を向ける訳にもいかない。
...てかコイツほんとにGなんだけど!?どんだけしぶといんだよ!そこに転がってる死体全部コイツに変身すんの!?ダルゥ!
「イヒヒィ...極東の刀と私のアーツの相性なんて分かりきったことでしょォ!」
「うるせぇゴキブリ。何回お前のこと殺したと思ってんだ」
「1度や2度殺した程度で図に乗らないでほしいですねェ...紋様を刻んだ人間がいる限り私は死にませんよォ!」
いつものやけに語尾を伸ばす特徴的な話し方は変わらずに、もう3体目との戦闘に入っている。ローザは無事に逃げきれただろうか。
...てか、ほんとにめんどくせぇなコイツ。
「おい、お前のアーツと手の内、大体わかったから一斉にかかってこいよ」
「アァん?」
「お前一人一人と戦ってもお互いにジリ貧なんだから一斉にかかってこいって言ってんの。なんだ?まさかその程度もできない訳じゃあるまい?」
「...!...シャシャってんじゃねぇぞォ!感染者のゴミ虫がァ!」
「お前も感染者だろ」
「いいだろう!『
すると先程まで物言わぬ死体だった身体が起き上がり始め、顔を覗かせた。1人残らず同じ顔をしており、同じガタイであり、同じアーツの使い手だ。...先程のドロシーという女であろう金髪ロング(既に半分ほど抜け落ちているが)の個体もいる。
ボコボコボコボコ!!
...どうやらたった今変化が終わった個体もいるらしい。謎の音はコイツらの身体が内側から沸騰するように変化していたから発生していたようだ。...あくまで俺の予想だけどな。某名探偵も小さくなる時身体熱かったらしいし、コイツらも体の中でなんか沸騰してたんでしょ。
「お望みどおりに26人で相手してあげますよォ!かかれェ!」
26人...え、26人?しかも自律してんだけどコイツら。目の前で全く同じ顔のヤツが笑ってんのマジで気持ち悪ぃ。26の内25は武器を持っていないのがせめてもの救いか。アーツロッドを持っていない術士なんて取るに足らない雑魚だからな。
「お前..ッ!武器も持たせずに突貫させるとか...ハアッ!..どんな神経してんだ!」
「ンっン〜?所詮ン、ソイツらは捨て駒ですよ。
「ちょっと上手いこと言ってんじゃねェぞ!?」
クソッ!なんだコイツ!余裕ぶっこきやがって!ムカつく!!
素手で殴りかかってくる分身はともかく、アーツを使ってくる分身が厄介すぎる。
「『風切』!」
「ぐおッ!?」
「アブなぁい!?」
「全員しぶといじゃねぇかよ!」
「そりゃ元が私ですしぃ?」
「マジモンのGじゃねぇか!ふざけんな!」
1匹見たら30匹はいるってか?やかましいわ!今の風切受けても誰も死なねぇし。耐久力だけはいっちょ前だな。
「ほらほらァ!こっちからも行きますよォ!」
「なっ!...ぐはっ!?」
俺は大きくダメージを受けてかなりの勢いで吹き飛ばされてしまった。壁に何度も穴を開けてようやく止まった時、俺は周りを見て冷や汗をたらした。何故ならば...
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「ハァ...ハァ...!」
バタン!と大きな音を立てて通信基地のドアが開き、ローザが飛び込んできた。
「ローザ!どうしたの!?...カゲロウは!?」
「ハァ...カゲロウはっ...ゼェ...アイツと...ンクッ..フゥ...戦ってる!アイツともう既に戦い始めてるよ!」
ドクターも画面の向こうからの会話が聞こえたのか、フルフェイスに指紋がついてしまうのにも気づかず手を当て、天を仰いだ。同じくオーキッドも天を仰いだ。
「通信にでないと思ってたら…もう!また勝手なことして!!」
「...どうするんだドクター。カゲロウの性格からしてもう止まらないぞ」
『ハァ...仕方がない。いいかい皆、これから彼の援護に向かって貰えるかな。敵の能力は今話した通り、ラップランドは...行けるかい?』
「もちろんだよ...!アイツには借りがあるからね...ボクがぶっ殺す...!!」
『うん、わかった。よし、そうしたら今すぐにでも向かってもらえるかい?スポット、少し大変かもしれないけど、増援にはホシグマもいるから、できる限り粘って欲しい』
「...了解だ。それが俺の役目だし、覚悟もしてる」
『まずは分身たちの分断を試みてくれ。一体一体もそこそこの強さだからね。纏まられていると少し厳しい。分断に成功したらそこからは各個撃破を狙うよ。纏めて倒すには此方の火力不足だ。くれぐれも敵が
「「「「「了解」」」」」
「...え、アタシは?」
『君は...うん、私とお話しようか』
「え、は、はい...」
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俺は今、猛烈にヤバい状況に陥っているのかもしれない。あいつのアーツの射程距離は如何程か、対象は、効果時間は、分身の人数に限界はあるのか等、知らないことが多すぎる。
もし、もしも仮にアイツのアーツの射程距離がここまで届いていて、尚且つ分身の数に限界がないのなら俺は今、猛烈にヤバい状況だ。
というのは...
「....お兄ちゃん、だいじょぉぶ?」
「いたくない?」
目の前に紋様が刻まれた小さな子供がいるからだ。それも数人。何よりも事態をややこしくしているのは、この子供たちはおそらく感染者ではない。
(どういうことだ?あのアーツは感染者のみが対象ではなかったのか?)
その仮説が崩れるのならば、ほぼ最悪に近い状況と言えるだろう。そもそも生きている人間に対して、「自身の分身とする」という生命の乗っ取りのような事はできるのか?分からねぇことだらけだ。
「あら?どうしたの?」
「あ、ママー。このお兄ちゃん、怪我してるの」
「まぁ大変!アンタ、大丈夫かい?」
「...あ、あぁ。大丈夫だ。すまない、心配をかけ...ッ!?」
この母親にまで紋様が刻まれているじゃねぇか!どうなってやがる!?
いや、落ち着け俺!かなりの距離を飛ばされたから少し時間があるはずだ。とりあえず、アイツの分身が増えてしまうことは避けたい。ここから動いてくれるか分からないが、動いてもらわないと困る。
「お母さん、私はここら辺の天災トランスポーターですが、どうやら午後は酷い風が吹きそうだ。子供たちを連れて帰った方がいい」
「おや、トランスポーターなのかい。...分かった。私はまだヴィクトリアのトランスポーターを信じてる。今回の天災は予見できなかったらしいが、彼らが天災が来ると言って来なかった事はないからね。...おーい!午後はどうやら嵐みたいだから帰るよー!」
良かった。どうやら納得してくれたようだ。子供たちも撤収の準備を進めてくれている。この家族たちにも紋様が刻まれているが、生きている人間、それも健常者を自身の分身とする、なんて事はされたくないし見たくもない。
「ありがとう、お母さん。私はまだ調べたい事があるから失礼するよ」
「えっ、アンタその傷!本当に大丈夫なのかい?」
「あぁ、大丈夫だ。気にしないでくれ。それよりも早く帰った方がいい。嵐は待ってくれないからな」
「そ、そうかい...なら私たちは帰るよ」
「ママー!レオがいなーい!」
「そこら辺に隠れてるんだろう!かくれんぼだ!探しておいで!」
「キャー!」
...どうやらめんどくせぇ事になりそうだ。足音が近い。今からこの家族を帰すのは無理だな。
「お母さん!もう風がすぐそこまで来てる!ガキ連れて風が凌げる場所に避難しろ!」
「えぇ!?もうかい!?「早く!」...分かった。おーい!2人とも!レオは見つかった!?」
「いなーい!」
「分かった!今からお母さんがオニやるからアンタたちも隠れな!」
「分かったー!」
機転の利く母親だこと。...俺は少しでも家族からあのGを引き離すため、吹き飛んできた方へ突っ込んだ。
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あの家族がバレていないのが奇跡に思えるほどに奴らは近くにいた。
「....!見つけた...」
「...!!いたぞォ!こっちだ!」
発見はほぼ同時、ただし声をあげられてしまったので周りのヤツらも寄ってきた。数は...7体!一気に叩く!
「...受けるがいい。俺のアーツを」
「その前に攻撃すればこっちのモンですよォ!」
「ハァァァァ...ハァッ!」
何体かがアーツを放ってきたが、交わし、7体の内先頭に立っていた奴の前で俺は停止した。
「俺のアーツはこのクソッタレな石を焼く力。世界を焼く力」
「何をブツブツとォ!」
目の前の個体が焦って、大きく腕を薙ぎ払ったが、俺はそれをバックステップで交わした。
...ここだ。ここが俺の間合い。7体全てを斬ることが可能な距離。刀に仕込まれている原石にアーツを流し込み、紫炎を生み出す。
「我が炎は怨嗟の炎。無念に散った同胞の恨みの炎。黄泉より燃えるその怨、我が晴らして見せようぞ」
「この距離なら刀は届きませんねェ!食らえ!」
「オオオオオォォォォ!!」
アーツによる光弾が飛んできているが関係ない。
「あはれ、散れ。...『
カゲロウは紫炎を纏った刀を袈裟懸けに大きく振り抜いた。刀だけでは届かなかった7体はアーツによる炎によって焼かれ、地獄行き。炎は未だ刀に纏われており、しばらくは消えないだろう。
「これが俺の斬撃だ。思い知ったか」
分身は残り19体か。先は長いな。
はい、というわけでいかがでしたでしょうか。
今回はカゲロウ君スキル2の『冥天火光』が初登場ですね。
果たして、健常者にもクシュマフのアーツは作用してしまうのか。
ではまた次回