ヴィクトリアの元軍人兼傭兵   作:Mrミステル

16 / 29
皆様こんにちは、ミステルでございます。

前回はローザがフラフラとどこかへ行ってしまいましたね。
今回はそれを追いかけるカゲロウ視点でスタートです。


それでは、どうぞ。


二次小説の主人公は危機管理ができない

「追うのはいいけどさ、ちゃんと謝りなよ?さすがにドライすぎるよ。ローザはカゲロウと違ってこんな戦場なんて経験ないんだから、その上友達が死んでるんだよ?大丈夫?さらに傷えぐったりしない?」

 

「...正直、小官は不安しかありません」

 

「全くもって同感だ」

 

「俺もついて行こうか?」

 

「あんたはやめときなさい...ホントに気をつけなさいよカゲロウ。本当に、ほんっっっっとに」

 

「なんだお前ら、俺がそんなに信用ならねぇか?」

 

「「「「「うん」」」」」

 

「...泣いていいか?」

 

そんなに信用ねぇのかよ!!ひでぇコイツら!

 

「ほら、グズグズしてると見失うぞ。(サイラッハの気持ちが爆発する前に)早く行け」

 

「お前らマジで覚えてろよ...」

 

そうして俺はローザの後を追った。確かに今まで戦いなんてした事の無い女の子が当然戦いに巻き込まれて、さらに友人まで失ったとなれば、精神的なダメージは計り知れない。壊れてもおかしくないレベルだろう。

 

「はぁ...」

 

てか傷心中の女になんて声かければいいんだ。しかも相手は子供だぞ?あ、学生の時に落ち込んでるジェニーに声掛けたことがあったな...

えっと...なんて言ったんだっけ...。

 

〜〜〜〜~~〜~~~〜~~

 

回想、ヴィクトリア王立軍事学校時代のカゲロウ

 

「なんだ、こんな所にいたのか」

 

「...ほっといて」

 

「そういう訳にもいかんだろ。...っと」

 

場所は夕日が当たる校舎の1階であまり使われない裏口の階段にジェニーは縮こまっていた。

 

「...なぁ、なんでこんな所にいんだよ」

 

「....」

 

「なんだよ。お前、儀仗隊に選ばれたんだろ?もっと胸はれよ。」

 

それでもコイツ(ジェニー)は黙っている。俺はイライラしてきて、ついキツく言った。

 

「...あのなぁ...俺だってお前の全部を知ってるわけじゃねぇんだよ。言ってくれないと分からん」

 

「...だ」

 

「あ?」

 

「儀仗隊なんて...嫌だ」

 

何を言い出すかと思えばこれだ。儀仗隊は技能もそうだが何よりも容姿が優れていなければならない。小さな女児は1度は夢見る役職だ。コイツも小さい時は儀仗隊になると言い張っていた。

 

「...そりゃまた、どうして?」

 

「...」

 

また黙りだ。頼むよぉ、話してくれよォ。じゃないと分かんねぇよぉ。

 

「ちっちゃい頃はあんだけ言ってたじゃねぇか」

 

「...それはもう昔の話」

 

「...そっか、でもなんで今更」

 

「...カゲロウには分かんないよ」

 

はぁ?なんだコイツ。人が話に来てやってるってのによォ!わざわざ先生に言われたんだぞ!「カゲロウ君、ジェーン君を気にかけてあげてね」ってよォ!...そう、だから落ち着け...ここでキレたら先生に成績下げられる...。

 

「...言ってくれないと始まらんよ」

 

「...もぅ、うるさい...ほっといて。1人になりたいの」

 

「...そっか。落ち着いたら話に来い」

 

「...」

 

〜〜〜〜~~〜~~~〜~~〜

 

全然励ませてないじゃん!!

あかんこれじゃ(空気が)死ぬぅ!...てかこの後どうなったんだっけ。まぁいいや。いやよくねぇわ。どないしよ。

えっと、えっと、友達が死んだんだろ...?なんて声かけよう。

あ、俺の傭兵仲間が全滅した時、どんな風に励ましてもらったっけ...

 

〜〜〜〜~~〜~~~〜~~〜

 

時は学生生活が終わり、軍人生活を経て、傭兵時代。そして仲間が全滅した直後。

サイラッハとの一幕。

 

「....」

 

「ね、ねぇ...カゲロウ...」

 

「...」

 

「カゲロウ...大丈夫?」

 

「...す」

 

「え?」

 

「ウルサス、潰す」

 

「えっ」

 

〜〜〜〜~~〜~~~〜~~〜

 

...くそっダメだ!俺の覚悟がガンギマリすぎる!!

実際この後すぐにウルサス狩り始めたから大して落ち込んでもねぇし!

あー!クソクソクソ!!マジでどうしようかな。友達失う経験は俺もしたけど、ローザは一般人だ。生きてきた世界が違いすぎる。もういっその事引きずってでm「...アンタなにしてんの?」...え?

 

「こんな所で頭抱えて、なに?黒歴史でも思い出しちゃった?」

 

「なんだ...その...お前...大丈夫なのか?」

 

「....もちろん大丈夫じゃないわよ。ドロシーは小さい時からの友達だったんだから。でも、アイツが持ってた本も形見として持ってこれたし、これからはこれをドロシーだと思って生きていくわ。ドロシーの分まで。もう周りでは何人も死んでるし、悲しいけど慣れちゃったわ」

 

なんだコイツ。メンタルイカれてんのか?(褒め言葉)友人を失ったのにもう前を向いてやがる。さてはあんまり仲良くなかったな?(失礼)

 

「...よく持ってこれたな。みんな同じような顔だったのに」

 

「...彼女のアーツが残ってたの。どうやらあのクソ野郎に変えられてもその人のアーツは残るみたいね。近づいたらすぐに分かったわ」

 

「なるほど?お前、アーツの流れには敏感なのか?」

 

「敏感もなにも。私のアーツは『コピー』よ?敏感じゃないとやってられないわ」

 

は?

 

「は?」

 

「は?じゃないわよ。私のアーツは『コピー』というか...真似と言った方がいいかしら。アンタのアーツだって真似できるわよ。...さすがに時は止められないけど、模倣する対象がいないと発動すら出来ないの。だから残り1人になった時、抵抗できなかったのよ」

 

「え?じっ..じゃあお前、鉱石病治せんじゃねぇか!?」

 

「え?」

 

「俺のアーツは自分の鉱石病を治せる!原理は知らんが..とにかく俺のアーツは原石に干渉できる類のモンだ!」

 

「えっ...」

 

言うが早いかローザは俺のアーツをコピーしたらしい。原石クラスターがある箇所からポロポロと原石が剥がれてきている。

 

「取れてく...あんなに痛かったのに...」

 

「...」

 

他人のを見ているとやはり壮観だな。ミッドナイトが呆けるのもうなずける。

ポロポロと原石が完全に落ちた後、ローザは化け物を見るような目でこちらを見てきた。

 

「アンタ...人間?」

 

「どっからどう見ても人間だろ」

 

失礼な奴だな!!

 

------------------------------

 

「あれ?帰ってきた!」

 

「おーう、ただいま戻った」

「ただいま」

 

「え?あれ!?ローザちゃん!?原石クラスター無理やり剥がしちゃダメだよ!?」

 

「あー、バグ。コイツのアーツ、他人の能力をコピーできるらしいぞ。そんで、俺のアーツを使って治したって訳」

 

「え?じゃあローザちゃんはもう...」

 

「感染者じゃない、ただの健康な一般人だな」

「...みたいです」

 

「「「「ええぇぇぇぇ!?!?」」」」

 

------------------------------

 

あの後、私は皆から盛大な祝福を受けた。

バグパイプやオーキッドさんはもちろん、ラップランドや...モスティマさんか、モスティマさんにも「おめでとう」「良かったね」なんて言われた。それが私には理解出来なかった。

 

「なんで...」

 

「ん?」

 

「皆はなんで!私を...祝ってくれるんですか...?」

 

「なんでって...なんで?」

 

「皆はまだ感染者でしょ?!なのになんで!治った私を嫌な顔せず祝えるのよ!訳わかんない!」

 

「なんでってそりゃお前...めでたいからだろ。これでお前はただの一少女として生きられるんだ。そもそもロドスの理念はそこにある。鉱石病を治し、鉱石病によって受ける理不尽による不幸を取り除くためにロドスは活動しているんだぞ。そりゃ目の前でその理念そのまんまの現象が起こってんだ。嬉しいだろ」

 

その言葉をカゲロウから聞いた時に周りの人を見渡すと、誰も嫌な顔をしていなかった。誰もが笑っていた。小さなポプカルちゃんから「良かったね」と言われた時、ついに私は涙を流した。ポプカルちゃんの目の前で泣き出してしまったから彼女はすごくオロオロしていた。ごめんね?ポプカルちゃんが悪いわけじゃないんだよ。

涙で潤んだ視界の端では、カゲロウがバグパイプとサイラッハに「女の子を泣かせんな!」ってダブルラリアットを受けていた。隣ではチェンという人がため息をついていて、私はやっぱりそれが可笑しくて、笑ってしまった。あぁ、ごめんねポプカルちゃん。泣いてる人が急に笑いだしたら怖いよね...。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「カゲロウ」

 

「うごァァァァァ...何ぃ゛ぃ゛ぃ゛」

 

今度はバグパイプにチョークスリーパーをかけられているところに私は話し始めた。

 

「私、ロドスに行きたい。貴方たちが見ている世界を私も一緒に見てみたいの。もちろん、厳しい事は承知の上よ。それでも、私はロドスに行きたいと思うの...変かしら?」

 

「ちょっど待って...ふぅ...。いんや、全くおかしいなんて思わないよ。お前がその覚悟を持ってんなら俺たちロドスは貴女を歓迎する」

「カゲロウはまだロドスに来て1ヶ月だけどね」

 

「...悪かったな。じゃあお前が言ってくれよ」

 

 

 

「うん、えーコホン。....一緒に帰ろう!ロドスに!」

 

 

こうして、ローザは晴れてロドスの一員になった。

ちなみに、途中で出会った家族だが、皆紋様は消えていた。それつまり、クシュマフが全滅した事を示しているのだろう。援軍が来てからはマジであっさり終わったな。

その家族に聞くと、どうやら近いうちにヴィクトリアの移動都市の一部が近くを通るらしい。それに乗って、これから頑張っていくんだと話を聞いた。よかったよかった。

 

------------------------------

 

ローザはすぐにロドスに溶け込んだ。彼女が予想していたロドスの像と概ね一致していたらしく、面食らった事といえば、履歴書を提出した時に人事部が涙を流して歓喜していた事くらいだろう。ローザは基本的には人事部にいるらしい。オーキッドさんの推薦だ。だが、そのアーツの特性故に色んな部署に引っ張りだこらしい。

初めてロドスの制服を来た時、ローザはわざわざ俺のところに来て、

 

「どう...かしら。似合ってる?」

 

と聞いてきた。

 

「ん、あぁ似合ってるよ。可愛い」

 

と返したところ、隣にいたジェニーからとんでもない殺意が飛んできた。ローザも気づいたらしく、慌てて退散して行った。

俺はまた眉間に旗立てられた。

 

「んもぅ、カゲロウは私だけ見てればいいのっ!」

 

とかほざきながら眉間に旗刺して壁に固定するのはヤバくないか?視線どころか全身固定されて動けないんだが。

 

「誰か助けてーーー!!!」

 

俺の悲痛な叫びがロドスの女性宿舎にこだました。幸い搾り取られることは無かったが、そろそろコイツやばくない?

 




はい、というわけでいかがでしたでしょうか。

ローザが仲間になりましたね。新しくロドスの人事部に配属され、オーキッドさん同様、ブラック労働に追われる日々との事です。

ローザの『コピー』について解説をば、
ローザのコピーは対象のアーツを文字通りコピーします。ゲーム的な制度で言えば、直前に配置したキャラのスキルをローザも使うことができる。と言った具合です。

例)S3エイヤフィヤトラを配置→ローザ配置(高台地上どちらでも配置可能)→ローザもイラプションが使える。と言った具合です。ただし、チャージ時間は倍になります。

この章はとりあえずこれで終わりです。次回からは幕間を書いていこうと思います。そんなにシリアスな幕間にはしないつもりなので、よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。