かく言う私も大苦戦しました(初期勢ドクター)
ホルン隊長と感動の再開を果たしたところだが、少しばかり昔話に付き合ってもらおう。
具体的にはなんか少しヤンデレに片足突っ込んでるニアール家についてだ。いやなんか久しぶりに会ったらドス黒くなってるし、どうなってんでしょうね?
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カジミエーシュってのはヴィクトリアとウルサスの丁度真ん中にあるんだよ。で、俺は一応元傭兵で、ウルサススレイヤーなんて呼ばれてたんだ。
言葉通りにウルサス兵を殺して回ってたからついた異名なんだけど、何時だか忘れたんだが、とある時にウルサス兵がしっぽ巻いて逃げるもんだから呆れながら追撃してたら迷子になったんだよね。そん時にフラフラ歩いてたらいつの間にかカジミエーシュのスラムにたどり着いたんだよな。
そこでレッドパイン騎士団を名乗る何人かに拾われてしばらく過ごしてたんだが、どうやら騎士競技に出場すれば莫大な金が手に入ると言うじゃないか。
俺はレッドパイン騎士団やそこにいた感染者に恩義があったから騎士競技に出場しようとしたんだ。そうしたら周りのレッドパイン騎士団に必死に止められたんだ。
曰く「感染者は出場できない」だと。俺は鉱石病を自療できるから問題ないって押し切ったんだけど、そん時に団長さんに「何をされるか分かったもんじゃない!」と大声で言われて気づいたんだよ。団長さん、泣いてたんだってさ。
ロドスでアッシュロックと再開した時に明かされたんだが、団長さんは誰かが傷つくくらいなら自分を傷つけるようなすごく優しい人だから、俺が騎士競技に出場したらとてつもない傷を負ってくると考えていたらしい。いやまぁ実際ごもっともなんだけどね。
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受付の人に「参加するならある程度金とかスポンサーないと無理だよ?」と言われたので傭兵時代のツテで運送会社(表向き)にスポンサーになってもらった。ありがてぇ...。あのペンギンにはマジで頭が上がらん。
え?早くニアール家を出せって?
オーケーオーケー。落ち着けよ。
じゃあ続きな?
まぁ、大まかに区切れば俺は優勝した。なんか名前が...えっと...てーげん?なんとかといった黒騎士の三連覇を阻んだとかでかなり注目されたんだ。いやぁ強かったね。なんなんだあのバケモノ。この世界の女の人強すぎじゃね?
まぁ、優勝したとは言っても、感染者と関わっていると知られたら賞金がどうなるか分かったもんじゃないから、それこそペンギン急便に表向きの仕事を頼んでダンボールにお金を詰めて運送してもらった。
さて、ここでだ。俺はまたヴィクトリアに戻ろうかな〜なんて考えていたんだが、なんかすごい金色の美人なクランタに話しかけられたんだ。「家に来ないか?」ってさ。この人が「ウィスラッシュ」なんだけど。
俺はホイホイついて行ったよね。で、気がついたらムリナールさんとの面談になってた。
「...君か。黒騎士を打ち破った騎士というのは」
「あぁ、そうだが。何者だ?アンタ。タダモンじゃねぇな?」
「私は一介の社会人に過ぎない。それよりも、だ。私は君を雇おうと思う。どうだ?君は今傭兵なのだろう?1年ほどこの家に身を置かないか?」
「こんなお屋敷に住んでる奴が一介の会社員な訳ねぇだろ。で?なんだって?俺を雇う?」
傭兵にとって長期の契約ってのは警戒するに値する。割に合わない無理難題を連続で押し付けられるのが関の山だからだ。俺はよーーーく知ってる。
「あぁ、これだけ出そう。家に余裕がある訳でもないが、君を姪達の戦闘面での教官になってもらいたい。ゾフィアだけでは足りないからな...」
そこに提示されたのは今回の騎士競技の優勝賞金にも負けず劣らずの大金だった。これだけあれば武器の手入れもできるし、俺の切り札である原石スティックも買い込める。何より車が余裕で買える。優勝賞金はレッドパイン騎士団に押し付けて手をつけていないから、俺としては喉から手が出るほど欲しい大金であった。
「こんなに出すのか...。一体貴様の姪はどれだけのじゃじゃ馬なんだ?」
「君は極東の刀の使い手だろう?なら極東式の薙刀も使えるのではないか?」
「まぁ、一応な」
「それでいい。姪が騎士競技に出る時に薙刀に似た武器を使う敵が現れるだろうからな」
「騎士競技に出すのか?姪を?...アンタ鬼か?」
「オニは君だろう」
確かに俺の種族はオニだけども。
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庭先に出ると既に先程出会ったゾフィアという女と1人の幼さが残るクランタが組手をしていた。あれが俺の契約にあった姪っ子か。
「あら?来たのね。マーガレット。挨拶なさいな」
「私はマーガレット・ニアール。あなたが新しい先生か?」
「先生...まぁ、そうだな。ムリナールさんにお前を騎士競技で戦えるようにしろとのご達しだ」
「...?おじさんは騎士競技に反対してたんじゃ...」
...あれ?もしかしてこれやらかした?あっ、ゾフィアが「黙れ」って目線だけですごい伝えてくる。分かりました。黙ります。だからその目止めて。
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「はぁっ!」
「おっと、筋は悪くないな」
俺の首の横をソードランスが通り抜けたところで、1歩右足を引く。俺は今刀1本だからな。単純にリーチの差で不利だ。
「くっ、ちょこまかと!...そこだっ!」
マーガレットは俺の引いた右足を見て突いたソードランスをそのまま薙ぎ払いに来たのだが、まぁ、まだまだだな。
「残念。カウンターだ」
「なっ!? ガハっ...」
そのままソードランスの比較的マーガレットの持つ部分に近いところを払ってソードランスが宙を舞い、その隙に俺がマーガレットに蹴りを入れたところで組手は終了。
さすがに女の筋肉で薙ぎ払いは無理があるな。
咳き込むマーガレットを尻目に俺が弾き飛ばしたソードランスを拾いに行き、戻ってくると既に落ち着いたようで、瞳をメラメラと炎を宿しながら
「もう一度だ」
と、言ってきた。俺としてはヴィクトリア式の教育メゾットであるキッチリカッチリしたのを活かしたいところなのだが(これ以外の教育法を知らない)、ここまで燃えている奴を放置するのもなんだか後味が悪いので
「1回だけだ」
と言って100回やった。気がついたら真っ暗だしゾフィアとマリアが止めに来なかったら多分夜明けまで続いてたぞ。
といった具合に初日から1週間似たようなメニューで飛ばしに飛ばしたんだが、これを見たマリアが「私もやる!」と言い出した時は頭が痛くなった。
姉が俺にボコボコにされてグロッキーになっているのを見て「私もやる!(裏声)」とか言ってきたぞコイツ。頭おかしいんじゃねぇの?()
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「なぁ、ムリナールさんよ」
「なにかね?」
「俺の寝室、どこ?」
「マーガレットとマリアと同室」
「は?」
要約するとこんなやり取りがあった。
いや待てよおかしいだろ色々と。布団に横になっているのだが、俺の左側にはあっち向いて拗ねてるマーガレットだし、右側にはマリアがいてすっごい話しかけてくる。
「どうしてこうなった...」
「あははっ!私、男の人と寝るの初めて!」
「黙らっしゃい!」
マリアは男というか、誰かとお泊まり会みたいな事をした事がないのでテンションが上がっているらしい。マーガレットは単純に俺にボコボコにされたから拗ねているだけで、しっぽは俺の太ももの上にある。可愛いヤツめ。
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2人に稽古をつけ始めてから1ヶ月。2人とも飲み込みが早いので俺が教えることがドンドン無くなっていく。1年も持つかな?さすがに組手では負けないがゾフィアも2人の成長速度に目を見張っていた。
「あなた、やるじゃない。2人とも生き生きしてるわ」
「光栄だ。金を貰った以上、俺は筋を通す」
「あら、傭兵の割には誠実なのね」
「...多分俺くらいだと思う。ここまで誠実なの。...自分で言うのもなんだけど」
「あら、謙虚さはさすがに持ち合わせていないのかしら?」
「ほざけ叔母さん」
「あ?」
「ヒェッ」
この後めちゃめちゃシバかれた。
ここからさらに2ヶ月後、俺に名指しの傭兵業での仕事が舞い込んできたので、ムリナールさんとゾフィアに許可とって少しばかりまたウルサス兵を狩った。マジでホントにウルサス軍ってクソだな。荒野に身を寄せあってただけの感染者にさえあの仕打ちか。
「別にここはウルサスの領土じゃねぇだろ...」
と、俺がボヤいていると後ろから独特な呼吸音と共にやってきたのは、『皇帝の利刃』。
「私が今、両の足で踏みしめている。それ即ちここはウルサスの領土だ」
「傲慢なのも大概にしろよ*ウルサススラング*野郎。世界がテメェらの為だけにあるとでも思ってんのか?」
夜明け。激突。日没。決着。
丸一日戦い続け、ようやく皇帝の利刃のチューブを切り裂き、勝利したのだが、ここら一帯はもう生命が存在できなくなってしまった。
何とか体を引き摺って『国土』の外に出て応急処置を終え、ニアール家に帰ってくると2人から泣きながら出迎えられた。
そうだった。2人に仕事だから稽古をゾフィアに代わってもらうことを伝えてなかった。
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これからである。金色のクランタが段々とドス黒く染まっていくのは。
カゲロウが『報連相』を怠ったばかりに2人の姉妹は心配性を拗らせていくのである。
だが、カゲロウは気づかない。成長した2人のクランタが何を企んでいるのか。今回の運動会で2人がカゲロウと離れ離れになりたくないが為にナニをしようとしようとしているのか。
カゲロウは、知る由は色んな時期にあったのだが気づかなかったのである。
カゲロウVSニアール姉妹VSモスフィアVS何も知らないドクター
ファイッ!!